ラーメン&つけ麺食べ歩き
よか楼 本店
(埼玉県 熊谷市)

店名 手打らあめん よか楼 本店(よかろう)
住所等 埼玉県熊谷市妻沼1866-5 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2007年6月上旬 らあめん 450円 


〜よか楼本店〜



お店に到着しました。
国道407号から一本脇道へ入る形のため、通りすがりの客は少なそうな立地。
お店の50m位先に駐車場が完備されています。






洋風瓦を使ったロッジ風の建物。
店頭を飾る鉢植えの一群が素晴らしいですね。
お店の「もてなしの心を映す鏡」でしょう。






店内はテーブル席と小上がりがあり、
熱帯魚のアクアリウムが二つ置かれていました。
「おしぼり」のサービスも嬉しい。






「創業大正13年」と「手打らあめん」の文字が
誇らしそうな「おしながき」表紙。






「カツ丼」「カレー」「スパゲティ」「各種定食」「サラダ」・・・・等、
いろいろバラエティに富んだ「食堂」の趣きです。
「らあめん」を注文しました。
それにしても、なんつー「良心価格」・・・・。










2007年6月上旬 らあめん 450円
(この写真はクリックで拡大します)



うむむ・・・・「450円」と言う厳しいコストの制約の中、
創意工夫と良心で、ここまで見事なラーメンを創り上げるとは・・・・。
これぞラーメンの「模範」であり、「王道」ですな。

クラシカルな面を残しつつも、新しさを上手に「融合」。
「トータル」での満足度もスゴイですが・・・・
「パーツ」の一つ一つも信じられないほど完璧な作り込み。

特に巨大な肩ロースのチャーシューは「絶品」。
粗雑さのない「盛り付け」の美しさも高得点ポイント。









言うなれば・・・懐かしの「中華そば」テイストの最終完成形。
鶏ガラや豚骨に加え、煮干による「深み」のある旨味。
決して「ナチュラルさ」ばかりではないものの、
百戦錬磨の「完全無欠の素ダレ」が最大の強みかな・・・・。






「佐野系」のピロピロとした縮れた手打ち麺とは異なり
ストレート感の強い、「中加水」タイプの麺。
香りや味は、昔懐かしの「中華そば」を髣髴とさせるもの。






明るい「きれいな色」ながらも、なかなか素朴なテイスト。
スープとの相性や全体のキャラクターから考えると・・・
実に「相思相愛」「的を射た」組合せ。




2007年6月上旬 らあめん 450円 

大正13年創業という、埼玉県熊谷市にある老舗の手打ラーメン店。
こちらのお店、あまりマスメディアには登場しないようだが、既に80年以上も続く「手打ラーメン店」と聞き、6月の栃木ラーメンツアーの帰り道に寄ってみた。「マスコミにはあまり出ない&地元客で賑わう手打ちラーメン店」シリーズの一環でもある。
ちなみに、こちらのお店は私が以前に訪問した「よか楼・熊谷店」の本店に当たるお店らしい。「よか楼」は埼玉県内に、「本店」、「熊谷星川店」、「妻沼大我井店」の三店舗があり、それぞれ血縁関係にあるようだ。

「おしながき」を見ると、ラーメン以外に「洋食」、「定食」、「おつまみ」などが多数揃い、どうやら「食堂」としての側面も強く感じられるのだが・・・・・多くのメニューは500円前後の価格帯に集中していて、そのひとかたならぬ「リーズナブルさ」に驚かされる。
さっそく「らあめん」を注文したが、「450円」のラーメンを頼んだだけなのに、きちんと「おしぼり」まで出してくれたのには恐縮してしまった。

登場したラーメンは・・・・比較的大きな丼で登場し、具も多彩でボリュームもあり、粗雑さのない美しい盛り付けで、見た目はとても「450円」には見えない。
まずはスープを飲んでみると・・・・決して「見た目」だけでなく、「味」についてもその価格から想像していたよりも遥かに「美味しい」「きちんとした」スープである事に再び驚く。

最初のうちは、特に表面の油が多く絡む事もあり、「キトキト」「コテコテ」とする多めの油っこさが唇周りに感じられ、鶏ガラや豚骨だけでなく、煮干も使って相乗効果を出しているようで、旨味に「深み」がある。同時に「ワラワラ・・・・」と、舌を侵食する化学調味料も感じられるが、しかし、飲み進むと鶏ガラや豚骨の穏やかな利かせ方が「ジワジワワン・・・・」と後を追いかけて来て、「ボディ」や「コク」のある立派なスープである。
醤油の香りは飛び、味は円くなっているが、全体的に割と「甘口」である事も飲み口の良さに貢献しているようだ。

ただ、すぐに気付くのは「ラーメン専門店」の味と言うよりも、いわゆる典型的な「町の中華食堂」タイプのスープである事だ。
昨今のダブルスープのように、鮮やかにカツオが香るとか、華やかに香味油が効くと言う事はなく・・・・懐かしさを感じさせる「中華そば」の味であるが、その到達レベルが非常に高いと言う印象だ。
むしろ、少々気になるのは、多数のメニューを抱える食堂風のお店が出すラーメンとしては・・・・あまりにも「美味すぎる」と言うか、あまりにも「すみずみまで味が整い過ぎている」・・・・ようにも感じられてしまう事だ。
おそらく、使われている「素ダレ」が非常に「優秀」なのだろう。まるで、大手食品メーカーなどがプレミアム市場向けに生産している「高級素ダレ」の完全無欠の美味・・・を連想してしまうハイレベル過ぎるほどの味の完成度だ。

ただ、スープに「ガラ」とともに、業務用の「畜肉エキス」を連想する独特の匂いを感じ、ダシ素材が「解像」する感覚がなく、各素材がひと塊りの「団子状」になってしまっているように思える。欲を言えば、スープの香りや味に、もう少し「若さ」や「フレッシュさ」や「作り立て感」が出て欲しい気もするのだが、それでも値段から考えれば、「最上」の部類に入る出来栄えのスープである事は確実だろう。

一方の「手打ち麺」だが・・・・私が考えていたような「佐野系」のピロピロとした縮れた手打ち麺とは異なり、一見すると、機械製麺と見間違うような整ったビジュアル。よくよく見ると麺の太さは微妙に不揃いの部分もあるが、手打ち麺のシンボルである「多加水」ではなく、どちらかと言えば、よくある「中加水」タイプの麺である。
一すすり食べてみると・・・・これまた先のスープ同様に、なんとも「レトロ」な食味で、まさに昔懐かしの「中華そば」タイプの麺だ。

口当たりは少しヌメる感じがあり、平らな面が舌に「ペタペタ」「ピトピト」と吸いつく感じのあるすすり心地で、非弾性的で、「のっそり」とする遅い動き。特に柔らか過ぎるような事はなく、それなりのすすり心地と歯応えを備えているのだが、やや「ヌチャヌチャ」とする多少の歯ぬかりが感じられ、「歯切れ」も遅い方だ。
あまりグルテン組成がない感じで、「プリプリ感」や「モチモチ感」と言うものはほとんど感じられない。ひょっとしたら小麦粉だけでなく、ちょっと片栗粉(デンプン)をブレンドしたような麺にも感じられる。

色は美しい「玉子色」だが、それは何かの色素による色なのか・・・・なぜか麺からは玉子の風味は感じ取れなかった。
香りや味も、小麦粉の良い風味と言うよりも、輸入小麦粉に多い「しけった」「湿っぽい」ような「粉臭さ」が出ているように感じられ、昔ながらのカンスイの匂いも加わる。さらに・・・・そこへ「打ち粉」(片栗粉)風の匂いまでも加わるため・・・・なかなかクラシカルで素朴なテイストである。
しかし・・・・決して古びてはいないし、十分以上に「現役」の美味しさである。スープとの相性と言う点や全体のキャラクターから考えても、何とも「的を射ている」「相思相愛」の麺だと思う。

ただ、その「中加水さ」ゆえ、もし何も知らずに食べれば「機械製麺」と言われても信じてしまいそうな食味にも感じられ、少なくとも「手打ち」と言われて私がイメージする「佐野」や「白河」の多加水手打ち麺とは、まったく別種の食味と感じられた。
一言で「手打ち麺」と言っても、その工程は・・・・「練り」、「延ばし」、「切り」、「もみ」等に分かれる訳だが、「手打ち」を名乗るお店でも、全工程を「手作業」で行うお店もあれば、どこかの工程で一部機械を導入しているお店もあるようだ。
私にとっては想像していた手打ち麺とは方向性が異なったが、これはこれで根強いファンがいるタイプの麺だと思う。

そして、このラーメン一番の「秀眉」はこの価格に不相応なほどのビッグサイズと肉質の美味しい「チャーシュー」であろう。
通常、安価なラーメンには、安い「モモ肉」や「バラ肉」が使われるものだが、こちらでは惜しげもなく高価な「肩ロース」が使われている。しかも、厚みもシッカリとあり、最初箸で持ち上げた時にその「重み&大きさ」に「絶句」してしまったほどだ。

食べてみると・・・・厚みがありながらも非常に柔らかくてふくよかな肉質、「ザックリ・・・・」と小気味良く歯が入り、まるで「シーチキン」のように肉の繊維が「ホックリ」とほぐれて、口の中で自然分解するタイプ。同時に「ドッサリ・・・・」とほとばしり出て来る肉汁と旨味がたまらない美味しさ。脂身も「トロットロ」で、舌や喉を「なで回す」ような蕩け方だ。
味付けは濃い目なのだが、これがまた「あまりにも完璧」な味付けであり、単なる「ラーメンの具」のレベルを大きく飛び越えて、「一品料理」としての完成度を感じる。

冷凍臭や生臭み、スジ張った感じなどのネガティブ要素なども絶無、厚みは最大で1cmほどもあり、実に「ごちそう」と言う言葉が良く似合う。実際、低価格帯ラーメンの多くが「申し訳程度」のチャーシューしか入らない事に比較すれば・・・・まさに「夢」のようなサプライズと言えるだろう。
ただ、あまりにもチャーシューの存在感が大きく、「一点豪華主義」のような印象を持ってしまうのだが、それは極めて贅沢な悩みと言うものだ。とにかく「客に喜んで欲しい」と言う気持ちの塊りが目一杯に詰まっているチャーシューであり、実にお店の「心意気」を垣間見る想いがする。

メンマも味は濃いめだが、これまた驚くほど「上手な味付け」が成されていて、「ボリンボリン」としっかりとした歯応えを放つ美味しいもの。単なる「ラーメンの具」と言うよりも、ビールの「おつまみ」等にしたらおそらく最高だろうと思われる「台湾料理」的なエッセンスが感じられ、立派に「一品料理」として成り立つレベルの見事な美味しさである。
ホウレン草は、念入りにアクを抜くためか、長めに茹でこぼした感じのもので、その分、味も抜け気味ではあったが、他のパーツの味がすべて濃い目なので、むしろこの「薄味サッパリ」のホウレン草は良い箸休めになって感じられた。

また、低価格でレトロな中華そば風のラーメンと言うと、大抵は「麺の量」が「昔のスタンダード」のままと言うか、大体120〜130g程度の少なめである事が多いが、こちらは明らかに量が多く、体感的にはおそらく170g前後はありそうだ。製麺コストを抑えられる「自家製の手打ち麺」ゆえの嬉しいメリットなのだろう。
世の多くの500円以下のラーメンが「食事」として考えた場合、それ単体では物足りない事が多く、他のサイドメニュー等の追加を「暗示」しているのとは・・・・大きく異なる価値観で作られていると感じる。

麺と具を食べ終えて、再びスープを飲んでみると・・・・チリチリと舌を灼くような旨味が巧みにちりばめられていて、決して「ナチュラルさ」ばかりではないが、やたらな最新ラーメンなど足元にも及ばない「完成形」の極めて磐石の美味である。
飲むほどにジンジンと美味さが「加速」する感じで、その「バランス」取りの上手さに感心させられ、気が付けば「完飲」してしまった・・・・。

調子に乗ってスープを全部飲んでしまった事もあり、お店を出てからも一時間位は、業務用スープなどで良く見られるような化調やエキス類の独特な後味がジリジリ、ジワジワと舌に残ったが、しかし、胸焼けやモタれ、体調の変化は絶無であり、むしろ麺のカンスイ臭と相まって、はっきりと「ラーメンを食べた」と自覚させられる後味・・・・でもある。
おそらくは、昔からのラーメン好き人間の中には、「この味、この後味こそが真のラーメンの後味だ」と言う人も少なくない気がする。

そして、そう言うクラシカルなテイストを残しつつ、麺のボリュームや高級感のある肩ロースチャーシューの採用など、昨今の新しいラーメン事情も取り入れて、上手に「融合」がなされている。「ご当地」と呼ばれる土地柄のラーメンであれば、伝統のご当地スタイルを貫くのも良いと思うが、普通の地方都市であれば、老舗とは言え、そう言う工夫が必要だとも思う。

それにしても、ここ数年・・・・「700円」や「800円」のエントリープライスを付けるラーメン店が多くなってしまった中で、「450円」と言う価格で「ここまで出来る」お店は・・・・ある意味、素晴らしく「偉大」である。
探せばまだまだ500円以下のラーメン店もある事はあるが、今度は逆に、見た目も味もいかにも「低価格」と言うラーメンである事が多い。もしくは、いかにも客寄せのため一品だけ低価格で他のメニューはいきなり高くなるメニュー構成となっている事がほとんどだ。

しかし、こちらのラーメンは・・・・地方の物価や地代を考慮しても、どう見ても明らかに「プライス以上の価値」を感じるし、他のすべてのメニューも一様に良心的な低価格で抑えている。
ラーメンマニアの間では、ラーメンの「味」ばかりが話題になりがちであり、美味や創造性のためにはコスト高も容認すべしと主張する人もいたりする。
しかし・・・・世の大多数の「普通の人達」にとって、「ラーメン」とは・・・・当然だがあくまで「手軽な食事の一つ」に過ぎない。
大手金融「GE Money」が2007年4月実施したアンケート調査によれば全国の男性サラリーマンの平均昼食代は「590円」だそうだ。これは前年比「−60円」のダウンだそうである。

「美味」を追求するのは良い事だが、そう言う意味で、あまり「平均価格」をつり上げてしまえば、誰もが「ラーメン」を気軽に食べられなくなり、最大顧客層である大衆からそっぽを向かれ、結果として「ラーメン人気」に自ら水を差しかねない強い危惧を感じる。
真にラーメンの明るい未来を考えるのであれば・・・・こちらのお店のような「美味しさと安さを両立させる」と言う「最も高度な難題」に果敢に挑んでくれている貴重なお店は、もっと大いに評価されるべきだし、もっと話題に上るべきだと思う。

お店を出ると、店頭で見事に咲き誇る「鉢植え」の一群が実に素晴らしく、その香りと美しさに心が和む。
単に「鉢植え」・・・・と、軽く考えがちだが、これだけの数の鉢植えを、これだけきれいに咲かせるには・・・・毎日の世話がさぞ大変なことだろうと思う。
店頭で咲き誇る花々は、お店側の「お客様を迎える心」「もてなしたい気持ち」の表れであり、お店の「心を映す鏡」のようにも感じられた。


(麺は完食。スープも完飲。)









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