ラーメン＆つけ麺食べ歩き
屯ちん
（豊島区 池袋）

2004年9月上旬　ラーメン（中）　600円

池袋の喧騒からちょっと入る裏通りにありながら、時間帯にかかわらず行列がある事の多い人気店。
豚骨と背脂の風味が漂う店内では、店員さんが威勢の良い掛け声とともに目まぐるしく動きながらも、客席への心配りもきちんとしていて、とても良い感じ。
「うまい、安い、腹いっぱい、誰もが気軽に入れて満足できる店」が屯ちんのモットーという事らしが、実際、ラーメンを食べてみれば、確かにそのモットーどおりの印象を受ける。

スープは、ちょっとコッテリな外観ではあるが、背脂のふくよかさ、甘さが、とてもマイルドに出ていて風味が良く、一口目からはっきりと「おいしい」と思わせてくれる。使っている素材や調味料が、いかにも味の「最前列」へ集中して配置されている感じであり、最初からストレートに、持っている力、持っている味を、包み隠さず、全開で伝えてきてくれて、とても「判りやすい」「フレンドリーな」美味しさという印象。
味の中心は豚骨と、見たとおりの背脂の甘さだが、鶏の柔らかい風味も感じられて、マイルドというか意外にソフトムードなスープである。醤油の風味は脂にちょっと隠れている気がするが、塩加減も絶妙であり、化学調味料の補強もあって、味の焦点が非常に良く合っており、このスープはかなり万人に受け入れられる味だと思う。
また、よく乳化しているため、思っていたほど背脂の粒は浮いておらず、見た目もミルキーで、決してギトギトタイプではないので、女性などにもウケそうだ。ニンニクの風味もやや感じるが、それはカウンター上に置かれたニンニクの容器から漂っているのかも知れない。

麺の量は、大240g、中180g、小120g、がいずれも同額で、さらには手間のかかる「つけ麺」までもラーメンと同額と言うのは大したものだと思う。
やや柔らかめの中太麺は、いかにも機械的にウェーブをかけた感じがするのはちょっと気になるが、このちぢれのおかげで、すするとプリプリして、噛み締めるとモチョモチョしたソフトな食感が楽しめる。
とても消化の良さそうなソフトな口当たりで、スープを良く吸っているのか、麺自体に味があってなかなか美味しい。
チャーシューはバラ肉かと思うが、脂身の部分はあまり味がなく、ちょっと無機質な歯応え。赤身の部分もやや固めでそれほどジューシーではなかった。メンマは、カッチリとした固さのある食感で、あまり水分が含まれていないような、ちょっとカサカサと乾燥したような口当たりを感じる。噛めばコリコリとするが、味付けは薄め。

ただ、スープも麺も、あまりに安心できてしまう味というか、ちょっとソフトな方向へ傾きすぎている気はする。あくまで私の好みだが、もう少しどこかに「硬派」な部分があれば、さらに魅力的なラーメンに感じると思う。
食べ手を深みに引きずり込むような豚のクセ、ディープなコクを持つタイプではないと思う。
トッピングに「わかめ」、「バター」、「コーン」などがあるが、確かにこれらの「具」が非常に良く合いそうなラーメンであり、良い意味でイージーと言うか、肩肘はらずに食べられる、とても親しみやすい美味しいラーメンと言う印象。


（麺は完食。スープは４割飲んだ。）

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