ラーメン&つけ麺食べ歩き
TETSU
(東京都 文京区)
店名 |
つけめん・らーめん 哲(てつ) |
住所等 |
東京都文京区千駄木4-1-14 【地図表示】 |
禁煙 |
タバコ可否不明 |
訪問日 |
2006年3月下旬 つけあつ 800円 |
〜TETSU〜
お店に到着しました。不忍通り沿いです。
JR西日暮里駅、東京メトロの千駄木駅から
それぞれ徒歩10分ほどの距離。
オフブラックの渋い店構え。
店頭には数名の待ち客の姿も・・・。
営業時間と定休日の案内。
最近、変更されたようですね。
暫くの間、昼からの通し営業のみになるようです。
店内はL型カウンターのみ9席の店内。
厨房からの真剣な空気が伝わって来ます。
カウンターはさほど広くないものの
席の後方スペースが多少広めなので窮屈感はないです。
メニューです。
「冷たい麺」と「熱い麺」が両方楽しめる「つけあつ」をオーダーしました。
券売機は現在停止中のようで、食後の手会計でした。
一日、30玉限定と言う「強麺」もあります。
この日は初訪問なので、「普通」の麺をチョイス。
2006年3月下旬 つけあつ 800円
(この写真はクリックで拡大します)
おお、「ド、ド、ドン・・・」とご登場。
なんだか・・・豪勢な気分になれますな (゚∀゚)。
ホカホカで熱々の「あつもり」と、キンキンに冷えた「つけめん」・・・。
「熱い麺」と「冷たい麺」のコントラストが「超新感覚」。
こ、これは・・・New衝撃体験ですね。
非常に「研究熱心」なうえ、「完璧」をクリエイトしたいと言う意志が明確。
想像以上のサプライズと多大なる満足感を与えてくれる
素晴らしい美味しさです。
これは「あつもり」です。
麺が冷めないように、くっつかないようにか・・・熱々の鰹スープに浸しています。
貝割れダイコンと白ゴマのアクセントも絶妙。
こちらは「つけ麺」です。
キンキンに冷やされた麺は、「ガッツリ」したコシの食感と炸裂する小麦の香りが最高。
おそらく「氷水」で冷やしていると思います。
鍛えた筋肉をスーツ姿で包んだような・・・パワーと品位のあるつけ汁。
背伸びして力んだような・・・「アンバランスさ」「粗野さ」がないのがイイ。
何かが突き出たような味は「卒業」した・・・大人の領域の美味。
ハフハフと熱い「あつもり」の麺です。
箸で持ち上げると湯気と香りが一斉に立ち昇ります。
鰹ダシのスープに浸っていて、そのまま食べても十分な美味しさ。
キンキンに冷たい「つけめん」の麺です。
「がっつり」としたパワフルなコシ、炸裂する小麦の風味に「洗脳」されそう・・・。
必ず「あつもり」を食べた後に食べるのがコツです。
温度と食感の織り成す「超絶マジック」の世界を体験できますぞ。
冷たい麺を「つけ汁」に浸けて引き上げたところ。
なんとも、刻々と交錯する温度と食感の・・・「イリュージョン」ですね。
いわば、つけ麺の「満漢全席」、つけ麺の魅力の「フルコース」と言う印象。
最後にスープ割して頂いた「つけ汁」と「焼き石」。
焼き石を入れて、スープ温度が上がったところで飲む趣向。
足されるスープはやや少なめでした。
「焼け石」の投入で温度が上昇したスープ。
味の方向は「つけ汁」そのままの延長線と言うイメージ。
2006年3月下旬 つけあつ 800円
2005年8月開業のお店だが、既に行列店の仲間入りを果たしている実力店。
「不忍通り」に面しており、艶消しの黒一色に塗られたお店は、ちょっと「がんこ」系のようでもあるが、「どんぶり」のシルエットに湯気のマークが付いた看板と、白いノレンが掲げられていて結構目立つ。店内右側に小型の券売機があったが、たまたまなのか停止中になっており、口頭で「つけあつ」を注文した。
このメニューは、つけ麺であるが、「熱い麺」(あつもり)と「冷たい麺」(つけめん)が、それぞれ200gずつ提供されると言うユニークなメニューである。ちなみに、味玉50円は安いと思ったが、予め半分入るようなので付けなかった。
最初に「つけ汁」と「あつもり」が登場した。冷たい「つけめん」は、麺を冷水で冷やすため1〜2分ほど遅れて登場して来る。
実は、私はつけ麺の「あつもり」があまり好きではない。
なぜかと言うと、熱々の麺同士が「ムチムチ」とくっついてしまい、箸でつかみ上げづらく、非常に食べにくいのだ。また、熱々の麺は次第に表面が乾いてしまい吸着性が出て粘るため、麺と言うより、おモチのような食感になってしまう。
しかし、こちらの「あつもり」・・・・器に「湯」を張る事で、それらの難点を見事に解消している。しかも、単にお湯を張ると、麺が水っぽくなってしまうため、何と贅沢な事にカツオダシの入った熱いスープを張ってくれているのだ。
まずはつけ汁を使わず、そのまま麺を食べてみたが、あっさりとしたスープの旨味がからんでこのままでも結構美味しい。また、白ゴマがプチプチと弾けて風味が加わるのと、カツオと合うカイワレ大根が乗り、その風味もさっぱりしていてなかなか良い感じにアクセントになっている。
ちなみに、つけ汁は、他サイトの写真などで見かけていた「節粉の山」が消えていた。
「あつもり」の麺をつけ汁に浸けて食べてみると・・・・すすり心地は「スルスル」と滑らかで、口当たりがとても「ふくよか」だ。
そして「あつ」ならではのコシの「緩やかさ」とともに、縮れがあるため「フルフル」と左右に振れながら麺が口中に入って来るのが楽しい。
口中に入ると、「ポヨポヨ」と舌の上でリズムを持って「弾む」感じがあり、噛んでみると「モチョモチョ」、「モチモチ」として、多めにほおばると歯を包み込むような「ム〜ッチリ」とした食感があふれる。食感的には「稲荷」(世田谷区)の縮れたポヨポヨの太麺を思い出す。
つけ汁に浸けると、当然、味わいは濃厚になるが、ラーメンのようにスープに浸りきっていなかった分、麺の純粋な味が残っている感じだ。
そして、この「つけ汁」が実にお見事。
訪問前は、いわゆる「ガツンッ」と来るインパクト重視のやたらと魚が突出したタイプを想像していたのだが・・・さにあらず。バランスの良さが光り、一口目から明確に美味しいと感じる。
口当たりは「まろやか」感が出ていて、トロリでありながら、同時にサラリとした感触があり、豚骨をベースに、魚節系の熟成させた旨味をミクロン単位で丹念にちりばめた感じである。
ラードなどのコッテリした油っぽさが極めて抑えられ、つけ汁の舌触りが重すぎず、非常にきめ細かな舌触りで、スーーッと舌に馴染み、スーーッときれいに喉を通ってゆく。旨味はきっちりと濃厚なのに、恐ろしくスムースな口当たりなのが印象的だ。
そして、香りや旨味が濃厚でありながら、雑味が全くなく、味が混濁した感じが全くない。
何より獣臭さや生魚っぽい臭みが絶無なのはお見事だ。豚骨は、骨に残った血肉を徹底してきれいに洗い取り、熱湯で十分に下茹でして臭みを完璧に抜いてから使っているのだろう。魚系も血合い部分や腹などのエグ味が出る部分をきちんと除外して使っているのだろうと感じる。
要は、素材の「旨味をしっかり出す」のと同等か、むしろそれ以上に、素材の「雑味は決して出さない」事が、何よりスープ作りの最重要項目だと、しっかりと判っている人が作る「味」・・・・だと思う。そうでなければ、これほど「きれいな味」には成り得ない。
当然のように、強いしょっぱさや、キツイ化調感や、ギトギトした脂っこさなどの・・・・無粋な要素とは、金輪際「無縁」と言う感じの、どこまでも上品で洗練された味わいである。
次に、冷たい「つけめん」を箸に取り、一口そのまま食べてみた。
すると次の瞬間、「キンキン」と言う音が聞こえてきそうなほどに・・・・麺がキッチリと「極低温」にまで冷やし込まれていてびっくりである。
まるで、「冷蔵庫」から出して来たかのような「冷え方」であり、既に3月も下旬となれば、いくらなんでも水道水だけではここまで冷えないだろう。おそらくは、手間とコストを惜しまず、麺を締めるのに「氷水」を使っているのだと思う。
この冷たい「つけめん」・・・・キリリッと冷水締めされた事でコシの硬さが倍増し、そして太麺としては珍しく明確に縮れていることもあって、ブルブルと重量級の振動を伴って口に入ってくる。
噛み締めてみると、モチモチとかプリプリとかの可愛い食感ではなく、ともかく驚くほどに「がっつり・・・」としたストロングなコシである。
「あつもり」の緩めの歯応えの直後に、とても同じ麺とは思えないこのソリッド&ストロングの強靭なコシに出会うと、思わず「ウオッ!!」と思わせられるサプライズである。
何とも、両方の麺の、「柔と剛」、「熱と冷」、「軟と硬」・・・そのコントラストが食べ手の舌に、強烈なインパクトを刷り込む感覚がある。
冷水締めの有無だけで、同じ麺でもここまで食味が激変する事に、少なからず感動を覚えてしまう。
そして、同時に、冷水締めで閉じ込められて圧縮されていた小麦粉の風味が、一斉に「パァーッ」と、口中に炸裂する感じがある。冷水締めした麺の方が、小麦粉自体の味や香りがはるかによく判るのだ。
「いやー、冷水締めした麺もやっぱりいいなー」と感慨深い。これぞ冷たいつけ麺の醍醐味と言うポイントを見事にアピールして来る上手さに感心してしまう。
ちなみに、麺は特に何も指定しなかったので、オプションの「強麺」にはなっていないはずだが、それでもかなりの「強&太」ぶりに感じられた。
ワシワシとした縮れとがっつりしたコシの弾力を楽しみ、麺を奥歯で噛み砕くのを楽しみつつ、同時に小麦粉の湧き立つ風味を鼻腔全体で堪能する感じだ。
ただ、例えれば、つけ麺の名店である「べんてん」(豊島区)などの麺は、白っぽい小麦粉の風味に感じるのだが、こちらの麺はやや黄色や茶色っぽさがある風味に思う。
具は、すべてつけ汁に入れられている。
半分入った玉子は黄身が半熟でサラリとした口当たり、麺にからめて食べると美味しい。メンマはパキップキッと、明快にクラックする食感が心地よく、濃厚なつけ汁の良いアクセントになっている。
チャーシューは、「扇型」のバラ肉が数切れ入っていて赤身部分は旨味がありしっとりとして美味しいが、脂身が6割ほどと多めだったのが個人的には気になった。
できれば肩ロースにしてもらった上で、扇型ではなく、ぜひ「べんてん」や「頑者」(川越市)のように縦長の「短冊切り」にして欲しい。太麺のつけ麺の場合、チャーシューも縦長に切ってもらえると、太麺ときれいに縦に「列」がそろうので、麺と一緒に自然に頬張りやすく、食べていて気持ちの良いリズムが生まれるのだ。
半分位食べ進んだところで、ふと、このつけ汁・・・・どことなく、「渡なべ」(新宿区)のスープに似ているなぁ・・・と感じた。
特に、トロリとした粘性がありながら、「サラッ」とした舌触りと、旨味が強烈に濃厚でありながら、味が「円く穏やかに」まとまっていて、決して破綻せず、舌や喉にスーッと染み込むような粒子感など・・・・結構、近いものがある気がする。
「渡なべ」は、もう2年近く食べていないので最近の味の傾向は判らないが、少なくとも2年前の「渡なべ」の豚骨+魚節の洗練&インパクトのスープを彷彿とさせる印象を受けた。
最近は、やたらと特定の味が突出していたり、無闇に濃厚すぎて生臭かったりと、味が「インパクト」と「破綻」の紙一重になっているようなスープがあるが、こちらのつけ汁は、そういった何かが突き出たような目立ちたがりの味は「卒業」した・・・大人の領域の美味しさになっていると思う。
味が舌の上で決して「暴れず」に平静なイメージを保ち、茶濁スープでありながら、粉々しさがなく、ずいぶんと透明感のある純度の高い滑らかな味わいなのだ。
後味も非常に爽快で、ベースに優しい甘味がある。辛味や酸味は感じられない・・・・と言うか、そもそもその必要がないのだろう。ただ、後味に極微細な柑橘系の風味を感じた気がしたが・・・定かではない。
食べ終わって感じた事は・・・・いやはや、ともかく「楽しませて頂いた」と言うことだ。
このメニュー、 「熱い麺」と「冷たい麺」のコントラストが何とも「超新鮮」なインパクトを持っている。両者を交互に食べ比べできるのは、麺好きとしてはまさに「感無量」の喜びだ。
今までも「つけ・あつ」の合わせ盛りを出すお店はあったと思うが、ここまできっちりとやっているお店は初めてではないだろうか。従来は同じ皿に盛るだけで、しかも「冷」は室温だったり、「熱」も湯から上げればすぐ冷め始めたり・・・・だったと思う。
しかし、こちらのお店は、まず、「熱」は冷めないよう熱いスープに入れ、逆に「冷」はキンキンに冷やし切って出し、しかも完全に「別皿」にして温度が干渉し合わないよう徹底させている。要は、目指す味を「完璧」にクリエイトしたいと言う堅固な意志が非常に明確に伝わって来る。
しかし、毎日毎日、一杯一杯にこの手間のかかる仕事を施すのであるから・・・・容易に到達できないレベルの「仕事」である。
さらに、スープ割には「焼け石」を添えると言う・・・・さらなる徹底振り。このアイディア・・・・考え付く事はできても、それを実際に提供できるお店は少ないだろう。
実は訪問する前は、焼け石の提供など、単なるパフォーマンスか、客寄せの話題作りかと思っていたが、ここまでの徹底した「仕事ぶり」を披露された後となっては、この最後の焼け石の提供も、あくまで、完璧なる「温度管理」の一環として、「スープの適温」での提供のためには、是非とも「必要なこと」だったのだな・・・・と思えてきた。
ちなみに、ちょっとだけ気になったところと言えば、あの「がっつり」したコシを出すためか、麺にはやや多めのカンスイを使っている気がする。カンスイ臭と言うのは全く感じないのだが、400gの麺を食べたと言うこともあるとは思うが、食後の「胃腸の感覚」としてそう言うイメージを感じた。
そして、最後にスープ割をして頂いたのだが、たまたまなのかも知れないが、入れてくれたスープの量は割と少なめであった。
そのため、ほぼ、つけ汁をそのまま飲む印象の味わいになる。もともと塩分が控えめなのでそれでも良いのだが、やはり、スープ割をした後は、何らかの「新しい息吹」を感じるニューティストになっていて欲しい気がするのだ。「一杯で二度美味しい」のがつけ麺&スープ割の醍醐味だと思う。これなら、「あつもり」に使っていた鰹ダシスープを入れて割ってみても良かったかなという気がした。
また、私に提供された焼き石は、たまたまやや「焼き」が足りなかったようで、さほど「ジュ〜」と言う音もせず、それほど「熱々」と言うほどにはスープ温度も上昇しなかったようだ。
それにしても、創業半年ほどで、このレベルに到達していること自体が「驚異的」だと思う。しかも、既にネットで話題を集め、連日の行列まで出来ているにもかかわらず・・・真摯な調理ぶりや、どこまでも丁寧な接客の姿勢、そしてメニューの価格設定に至るまで・・・・一切の「驕り」(おごり)が感じられないのもいい。
「栴檀(せんだん)は、双葉より芳し・・・」と言う諺がある。香木として知られている栴檀(=白檀)は、芽を出したばかりの双葉の頃から早くも良い香りを放つと言う意味であるが、転じて、才能のある人はスタートの早い時期から優れた存在感を放つ・・・と言うような意味である。
いやはや、こちらのお店の今後の展開が実に楽しみでならない。
(麺は完食。スープ割も完飲。)
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