ラーメン&つけ麺食べ歩き
天空
(神奈川県 横浜市)

店名 らーめん 天空(てんくう)
住所等 神奈川県横浜市神奈川区子安通1-5-4 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2005年6月中旬 らーめん 600円



〜らーめん 天空〜

(各写真はクリックで拡大します)




京浜急行線の「子安駅」から徒歩1分。
目の前の道路は第一京浜(国道15号)です。






茶色の板張りに白いノレン・・・どことなく「和風」の店構え。
扉は開け放してありました。






営業時間とメニュー。
土日祝は通し営業のようです。






店内右側に券売機。
「味噌」や「つけめん」もあるんですね。
「らーめん」を購入しました。






店内はL型カウンター形式。
卓上には粒ニンニクとクラッシャーがあります。
作り方は非常に丁寧ですね。










2005年6月中旬 らーめん 600円



スープ、麺、具と・・・いずれも完璧な仕上がりですね。
このハイレベルな内容で600円は安いでしょう。

この手のラーメンとしては非常に「きれいに」まとまっています。
ただ、その分、どこかしら「冷静さ」を感じてしまう味・・・。
いわゆるエリートの考えた味・・・と言う印象かな。









背脂とラードがビッシリと浮いたスープは意外にクリアな飲み口。
甘味がありコッテリですが、「濁っていない味」です。
明瞭な醤油ダレがキリリッと芯を成しています。






口に入れる際はワッシワッシと暴れて主張するものの、
噛み締めると小麦の風味が湧き立ち、モチモチ感豊かな歯応えが最高の太麺。






肉厚のチャーシューはちょっとモサモサする歯切れの
遅さがありますが、肉質そのものはかなーり上質ですね。
実に的確で上品な味付けもお見事。




2005年6月中旬 らーめん 600円

2004年9月開店のお店で、かの渡辺樹庵氏のプロデュースらしい。
背脂たっぷりのコッテリスープに、ワシワシした太麺、キャベツやモヤシのトッピングなど、どことなく「二郎」を彷彿とさせるイメージは、渡辺氏としては新しい方向ではないだろうか。
お店は第一京浜に面していて、大きな看板でとても見つけ易い。店内はさほど広くはないが、広めに取られた厨房には数々の調理器具が並び、美味しいラーメンが出てきそうな予感が漂っていた。調理はかなり丁寧で、一杯ずつきちんと時間と手間をかけて調理している。

登場したラーメンは、赤みの強い醤油スープに、細かな背脂がビッシリと浮き、透明なラードの層が浮いている。
レンゲにとってみると、赤みの強い醤油スープはかなりしょっぱそうに見え、しかもスープとともに背脂がドッサリとレンゲへ入り込んで来て、見た目的には結構なインパクトがある。
しかし、一口飲んでみると・・・・余計な「重さ」や「クドさ」のないと意外にクリアな飲み口のスープである。見た目、ビッシリ入ってくる背脂が舌にプツプツと触るかと思っていたが、細かくてとても柔らかな背脂なので、ポヨポヨと舌や上アゴを撫でる感触がむしろ面白く心地よい。
スープ自体には、背脂の甘味とミリンの甘味を足したようなW甘味があり、ひょっとしたらちょっと砂糖なども使っているのかも知れないような「甘口」の味付けである。そして、それと対峙するかのように、明瞭な味わいの醤油ダレがキリリッと存在していて、「凛」とした味の芯を形成している。この醤油風味であるが、塩分感は極力抑え込まれて、塩分の強さではなくあくまで醤油の鮮やかな「醸造風味」で食べさせる感じだ。
また、さらに何か複雑な風味を感じるのだが、カレースパイスのクミンのような・・・爽やかな異色の風味が混じっている気がしたが、おそらくは私の勘違いだろう。

一口目からさまざまな風味と旨味が渦巻くかなり美味しいスープだと思う。
そしてともかくコッテリではあるものの、「濁っていない味」「クリア感のある味」になっている。おそらくは、豚骨の使い方が上品で臭みや雑味が全くないこともあるが、良質な背脂を厳選し、塩分が控えられ、化学調味料感がないことなども関係していると思う。
はっきりした明確な味の輪郭ではあるが、「パンチ」とか、「ワイルドさ」は敢えてあまり追求していない印象であり、ワイルドそうな見た目とは裏腹に、もっと「技術」「品性」を感じさせる味になっている。

組み合わされる太麺がこれまた素晴らしく美味しい。
一見すると四角い断面のストレートな太麺で、まるで「うどん」のような顔付きであるが、決してツルツルと軽やかなすすり心地ではなく、箸で掴み上げて口に入れると「ワッシワッシ」とちょっと暴れる感じがあり、強引に口の中へ押し込むように食べる感じがある。しかし、噛み締めると、豚骨の風味と小麦の風味がWで湧き上がり、太麺のモチモチした豊かな歯応えが最高に美味しい。あまりにモチモチして美味しいので意識的に噛む回数が増えてしまうような感じだ。
すすった際に、麺の太さとともに断面の「四角さ」を意識させる感じが、なかなか主張のあるすすり心地となっていて、存在感のあるスープともパーフェクトに「均衡」し合い、まさにベストマッチの様相である。

例えば二郎などでは麺に大量のモヤシやキャベツなどの野菜が組み合わさる事で、食感が増幅されスープに負けない味になるように設計されているかと思うが、こちらでは野菜なしの状態で、麺とスープだけの組み合わせでベストに感じる。そのせいか、載せられている野菜類は量も控えめで、実際食べていて後半まで箸を付ける必要をまったく感じなかった。その野菜の茹で加減は、やや硬めで歯応えがある印象だが、茹で時間が短いと言うよりもキャベツ自身が肉厚で葉がギッシリ詰まった良い物を使っているという印象である。しかし、旬でないせいか、キャベツ自身の甘味や旨味はあまり感じられなかった。
麺とスープがあまりに素晴らしいので、野菜はその邪魔にならないよう、この位の控えめな量で丁度良いと思うし、背脂系のラーメンは後口をサッパリさせる意味で淡色野菜類が使われるケースが多いが、こちらのスープはもともと不思議なクリア感があるので、その意味でも野菜類の必要をそれほど感じなかった。

チャーシューは肉厚のバラ肉、食べてみるとトロリとかホロホロとか崩れるタイプではなく、ややしっかりした歯応えがあり、ちょっとモサモサする歯切れの遅さがあるが、肉質そのものはしっとりとしてかなり上質で美味しい。また、過剰さのない上品な味付けも見事なものだ。脇役である「具」としての分をわきまえていると言うか、前面に出過ぎない丁度良い位置をキープした美味しさがある。いくらでも食べたくなるタイプのチャーシューだ。
途中で、卓上のニンニクを入れたり、唐辛子を入れたりしてみた。しかし、このスープはある程度はそれらの調味料を歓迎するものの、本心ではまるで完成された味をいじられるのを拒否するかのように、スープ自身の味は少しも変わろうとしない頑固さがあるような印象を受ける。

食べ終わってみれば、スープ、麺、具と・・・ほぼ完璧な仕上がりである。このハイレベルな内容ときちんとした作り込みで600円は安いと思う。
そして、何よりこの手のラーメンとしては非常に「きれいに」まとまっているのが印象的だ。二郎は好きだけど、あの量の多さとワイルドさ、後味の強烈さがちょっと・・・と考えている人には、こちらのラーメンは大いに喜ばれるかも知れない。
ただ、その分、どこかしらに「冷静さ」を感じてしまう味・・・・でもある。いわゆるエリートが「綿密に設計した味」、人為的に「プロデュースされた味」・・・と言う印象が見え隠れしてしまうのだ。
何しろ、背脂ドッサリ系は、「食べた後にちょっと苦しくなったり、少し体調が悪くなる位じゃないと・・・」と言う人もいるほどのジャンルのラーメンである。
例えば二郎のような独善的なワイルドさや、混沌としたカオス的な美味しさがウリのラーメンが、飼いならされて常識を覚え込まされてしまうと・・・・どこか物足りない、それでは面白くない、と言う人もいると思う。

それにしても麺も素晴らしく美味しいが、塩分感や化調感がなく、旨味と甘味にあふれたスープはグイグイと続けて飲まされてしまうほどに美味しい。
私の場合、大抵この手のスープは3割も飲めば自然と手が止まる事が多いのだが、今回はすべて飲み干したい強い衝動にかられた。しかし、カロリーが気になって何とか意志の力でやっとレンゲを強引にストップしたほどだ。退店時は後ろ髪を引かれる想いだった。食後の後味も「すこぶる」付きに良好だったのも好印象だ。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)










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