ラーメン&つけ麺食べ歩き
田中商店
(東京都 足立区)

店名 博多長浜らーめん 田中商店(たなかしょうてん)
住所等 東京都足立区島根1-2-3
     ↓ (2007年3月移転)
東京都足立区一ツ家2-14-6 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2005年10月中旬 らーめん 600円 + 替玉 120円 
2006年6月下旬  らーめん 600円 



〜博多長浜ラーメン 田中商店 その1〜




お店に到着しました。
目の前の道路は環七通りです。
横断禁止、Uターン禁止なので注意。
(;´Д`)






グルッと遠回りして横断歩道を渡り、お店の前へ。
右に見える高架が梅島陸橋ですぞ。
電車だと東武伊勢崎線の「梅島駅」「西新井駅」が近いです。






ビルの右側の路地を少し入った左手に駐車場があります。
扉は「全開」で開け広げてありますた。






営業時間。
夜だけの営業なんですねー・・・。






店頭に置かれたメニュー。
「らーめん」をオーダーすることに。






店内の奥一帯が厨房です。
カウンターの調味料や箸入れが、実に規則正しく並んでます。
非常に清潔感のある店内で、居心地も抜群。






円形テーブルが屋台の雰囲気を醸します。
冷水はセルフです。
ちなみに開店一番乗りでした。
この後、続々とお客さんが来店。






卓上の無料薬味群、他に刻みニンニクもありました。
辛子高菜は激辛なので入れすぎに注意。










2005年10月中旬 らーめん 600円 + 替玉 120円 
(この写真はクリックで拡大します)



いやー・・・・文句なく「美味しい」ですね。
さすがです、博多豚骨の「名店」と言う噂は本物でした。

一切の雑味や濁りを排除し、
豚の一番美味しい「ふくらみのある旨味」の部分だけを、
ここまで上手に、巧みに、分厚く出せるとは・・・。

まさしく味の「芸術品」と言う印象です。









豚の旨味が半端でなく渦巻き、突出して舌に乗って来る。
決して旨味がバラバラにならず、「乱れ」が一切なく、
きれいに収束し昇華しているイメージ。






茹で方「普通」だと、麺はふんわりと軽く、
余計な芯が消えて「輪郭」だけがきれいに残っている感じ。
ふくよかで上品な口当たりで美味しいです。






替玉を「バリカタ」で入れてもらったところ。
私的には「バリカタ」よりも「普通」が麺を味わうにはベストかな。
「高菜」は激辛なので入れすぎに注意しませう。




2005年10月中旬 らーめん 600円 + 替玉 120円 

都内でも博多長浜ラーメンの「名店」の名を欲しいままにする人気のお店。
環七通りと言う都内有数の交通量を誇る道路に面していて、お店の右脇には駐車場も完備されているのだが、店前の付近一帯はUターン禁止なので車で訪問する場合は、環七の「外回り」で到着するよう方向に注意したい。
お店に向かって歩いていると、既に50m位手前から「豚」の匂いが私の鼻を捕らえ、お店の存在を確信させられたのには驚かされた。
しかし、入店してみると店内は非常に丁寧な清掃が行き届いていて、床が脂ですべったり、テーブルがベトベトしたりと言う事が全くない。博多豚骨の「本格派」と言うイメージがあったので、ある程度、マニアックな雰囲気を想像していたのだが、実際は明るくきれいな店内で清潔感にあふれ、スタッフの方も感じの良い接客と笑顔で迎えてくれる。

スープを一口飲んでみると・・・ネトッ、モッタリ、とした口当たりを感じた直後、「な、なーるほど・・・確かにこれなら美味いと噂になるよ」と思わず納得させられた。
豚の旨味が本当に半端でなく渦巻いていて、突出して舌に乗って来る。しかも豚骨のエグ味や嫌な醗酵臭が全くない。
他の博多豚骨のスープが「旨味と雑味が一緒に出ている」とすれば、こちらのスープは豚の一番美味しい「ふくらみのある旨味」の部分だけが上手に、巧みに、分厚くスープへ溶け出ている、というイメージである。旨味がバラバラにならず、「乱れ」が一切なく、きれいに収束し昇華していると言う印象なのだ。
旨味が濃厚にもかかわらず、脂はそれほど浮いていないので「クドくない」のもいい。塩分によるしょっぱさがないのもいい。
普段はなかなか出会えない「上の世界」の味、しかも2ランクは上の「美味」の世界へと「一歩も二歩も」確実に踏み入れているスープだと思える。こちらのスープと比較すると、普段食べている博多豚骨スープは、「味が平坦」、「雑味が多く濁った味」、と言う感じになってしまう気がする。

また、本場の博多長浜ラーメンと言うと、「どれだけ臭いか」とか、「どれだけクセがあるか」、などが話題になることがあるが、今日のこちらのスープを飲んで、改めて感じるのは、そういった「臭さ」や「クセ」というものは本来語られるべき対象ではなく、何よりも豚のピュアな「旨味」こそが語られるべきだと言う事だ。
「臭さ」と「美味さ」は当然ながら、全くの別物なのだし、「かぐわしい」のと「臭い」のも別物だと、改めて悟らされる。

麺はふんわりと軽く、余計な芯が消えて「輪郭」だけがきれいに残っている感じ。さほど極細には感じられないが、すすり心地が軽いせいもあるのか、やや短めに感じられた。
もっとザラッとした粗さと茶色い風味を感じさせる地場っぽい麺かと想像していたのだが、雑味のない輪郭の整ったスープとともに意外にもふくよかで上品な仕上がりで美味しい麺だと思う。
替玉では「バリカタ」指定にしたところ、はっきりと芯が残り、カツカツとする歯応えは出るが、ややねじ切れるような歯切れの悪さも出てしまい、麺そのものの美味しさを楽しむにはやや味わい不足と言う印象になってしまう。ワシワシする弾力を楽しむには良いと思うが・・・。

チャーシューは割と大きさはあるのだが、噛んでもサクリとかホロホロとかの歯応えではなく、たまたまかも知れないがモサモサするだけでかなり歯切れが悪い。
噛んでもグニグニするだけで、肉に繊維感がなく、肉の旨味が出てこない感じ。キクラゲはコリコリして美味しいが、いかんせん量は少なめである。

替玉をしてからスープに刻みニンニクを入れてみた。パンチが増大するのは良いが、やはりこれだけ完成されたスープだと、あまりいじらず、何も足さない方が美味しいかも知れない。
さらに、辛子高菜を入れたのだが、これが他店と比較するとかなり激辛の高菜であったようだ。味見せずに不用意に沢山入れてしまったため、あまりにも辛くなりすぎて、スープの風味を破壊してしまったうえ、辛すぎてスープを飲み干せなくなってしまった。

お店を出てから10分位は上下の唇が、スープのゼラチン質によって「ビタッッ」とくっついてしまい、慌てさせられる。ラードが少ないのであまりベトベトした重さはないのだが、良質のゼラチンがたっぷりと溶け込んでいるのは間違いないようだ。
以前にどこかで味わったスープと似ているなぁ・・・と思ったが、他の博多豚骨ラーメンのお店ではなく、以前食べて強い衝撃を受けた「つるや」(栃木県)の「とんこつ醤油ラーメン」のスープを思い出した。この明らかに「一線を超えた」濃さと美味さ・・・・結構、近いものがあると思う。
また、私が都内の博多豚骨ラーメン店の中では「別格」だと思っている「よかろうもん」(墨田区)の豚骨スープが、何より「飲んで美味しい」ナチュラル志向のスープだとしたら、こちらはより豚の旨味が明瞭に際立っていて、「麺を食べて美味しい」方向にベストチューンされたスープと言うイメージでもある。

会計時に次回替玉無料券を頂いたが、これだけの美味しいラーメンが夜だけしか食べられないのが残念でならない。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)




↓続きあり






〜博多長浜ラーメン 田中商店 その2〜




今回も開店直後の一番乗りで入店しますた。
すると・・・店内には「月曜定休」(祝日の場合は翌日)の貼り紙が。
どうやら年中無休ではなくなったようです。






青森田子産の「最高級生にんにく」。
自家製の刻みニンニクゆえとても新鮮ですが、割と粗めの刻み方なので・・・
薬味に使うには、やや「生野菜っぽさ」が残っている感じも・・・。










2006年6月下旬 らーめん 600円 
(この写真はクリックで拡大します)



スープも麺も、非常に美味しい上に、どことなく「一流」志向と言うイメージ。
無頼に振舞うのではなく、品格やクオリティを重視していて、
どこかしら、枠をはみ出ない「優等生」的な雰囲気があります・・・。

既に、博多長浜ラーメン界の「エリート」としての風格を感じさせますね。
蒸し焼きチャーシューが個性を演出。









相変わらず雑味のない、濁りのない、きれいな味わいですな。
言うなれば、博多長浜の「教本」的な豚骨100%スープ。
早い時間のせいか、トロトロするゼラチン感とともに、極めてスムースなノド越し。
味的にはニンニクの旨味がやや強めに効かされています。






麺の茹で方は「普通」にしました。
硬すぎず、柔らかすぎず・・・・それでいて、しっかりとした歯応え。
これまた「教科書」的な絶妙なソリッド感を持つ極細麺。






うむむ・・・・どうやらチャーシューはバラ肉を蒸し焼きにしているようですね。
塩味でやや濃い目の味付けがされ、燻製チップか何かの微細で不思議な香りがします。
博多長浜ラーメンでは珍しいタイプでしょう。




2006年6月下旬 らーめん 600円 

久しぶりの訪問、お店の周囲50mほどへ近づくと、既に独特の豚由来の匂いがうっすらと鼻をかすめる感じがある。
本当は深夜遅く、スープがある程度煮詰まった頃を狙って訪問したかったのだが、諸般の事情により、今回も夕方6時の開店直後の一番乗りになってしまった。
ちなみに、昨年来たときは「年中無休」であったが、いつからか「月曜定休」(祝日の場合は翌日)になったようだ。

登場したラーメンは・・・・すべてのビジュアルも色合いも、前回のものと寸分違わず同一であり、既にこのラーメンが完成形であることを伺わせる。
スープを一口飲んでみると、相変わらず雑味のない、濁りのない、きれいな味わいであるが、早い時間のせいか、トロトロ、ネトネトするようなゼラチン感とともに、なかなかスムースなノド越しを楽しめる。
そして、味的には豚骨のパンチや豚頭のコクなどと共に、ニンニクの旨味がやや強めに効かされている事が判る。このニンニクの濃い旨味が、ほど良い「調味料」のように舌をキャッチして、じっくりと豚スープの旨味を堪能させてくれる。

そして前回も感じた事だが、こちらのスープの一番の美点は、「豚」の良い部分だけを上手に出していて、雑味や濁りの原因となる豚の悪い部分を決して出していない事だと思う。
寸胴で強火でグラグラと長時間煮込む「博多豚骨スープ」の場合は、寸胴で煮込む段階で味に差が生じる事は少なく、その前段階、つまり寸胴に入れる豚ガラの「下処理の入念さ」で、ほぼ味が決まると言う。
仕入れたばかりの生の豚骨には、様々なムダ肉や筋や脂肪や血合いが残っている訳だが、要は、臭みや雑味が出るそれらの「負」の部分をいかに完璧に取り去って、上等な旨味が出る「正」の部分だけを厳選して寸胴に入れるか・・・・が、味の決め手になるらしい。

高級オーディオでも、マニアの間で常に話題になるのは、いかに機器の「SN比」(サウンド・ノイズ比)を良くするか・・・である。
つまり、本来の試聴目的である「サウンド」を完璧に取り出すだけではダメなのだ。肝心なのは上質なサウンドを取り出すとともに、そのサウンドを邪魔して音を濁らせる厄介な「ノイズ」をいかにゼロに近づけるか・・・・なのである。いかに「ノイズ」を限りなくゼロに近づけるか・・・・に各高級オーディオメーカーの開発陣は、常に頭を悩ませているのである。
豚ガラの「丁寧な下処理」・・・・判ってはいても、膨大な量の豚骨ガラを完璧に掃除するのは実に大変なことである。それゆえ・・・・各店で味の差が出る事にもなるのだろう。

一方の麺の茹で方は「普通」にしたが、それでもややソリッドな歯応えが残って感じられた。
そのため、ふくよかでふんわりとするような軽さは感じられなかったが、硬すぎず、柔らかすぎず・・・・それでいて、しっかりとした歯応えを放ち、これまた多くの博多長浜ラーメン好きから支持されるであろう「教科書」的な絶妙なソリッド感を持つ極細麺に仕上がっていた。
私的な好みとしては、博多長浜ラーメンの麺は、やや「たおやか」な感じがする位の柔らかさが好きなのだが、おそらくは今回のような茹で加減の麺の方が、世間一般にはウケると思う。

チャーシューは、前回も気になったのだが、鮮やかな「ピンク色」をしている。
そして良くみるとチャーシューの「フチ」の部分が色が濃く、赤みが差している。豚肉をじっくりと蒸し焼きにすると、「血」が肉の周囲に移動して、このように周囲が赤くなると言う。
つまりは、こちらのチャーシュー、博多長浜ラーメンでは珍しく「蒸し焼き」にしたタイプであるようだ。ただ、噛んでもサクリとかホロホロとかの歯応えではなく、その蒸し焼きにしたチャーシュー独特の歯応えは、どちらかとい言えばロースハムのように感じられる。
そして味付けは塩味がやや強めに効かされているとともに、炭の匂いなのか燻製チップなのか・・・・ほんのりと僅かにだが、何とも不思議な香りが感じられる。

ところで、博多ラーメンの豚骨スープは、どれほど上質なスープでも、「豚オンリー」ゆえのシンプルさ(単調さ)を感じる事が少なくないと思う。
それゆえ、途中で「ゴマ」や「紅ショウガ」や「ニンニク」などの様々な「薬味」を好みで足す楽しみがある訳だが・・・・逆に言えば、これらの「薬味」の味がラーメンの味の完成に大きく影響を与える図式になると思う。
数ある薬味の中でも私は辛子高菜の「醗酵臭」がスープに加わるのが好きなので、辛子高菜は必ず入れるようにしているのだが、こちらの辛子高菜は辛すぎてあまり入れる事ができず、無理に入れると、前回の時のようにあまりの強い辛さが他のすべての風味を霞ませてしまう事になる。
そのため、高菜の醗酵臭を自分の好みの量まで足せないのは何とも残念だ。できればもう少し辛味を控えめにして欲しいと思える。

また、青森田子産の「最高級生にんにく」が刻まれて卓上に置かれている。
スーパーなどでニンニクを自分で買ってみると判るが、国内青森県産のニンニクの価格は、輸入の中国産のニンニクのほぼ6〜8倍もする、まさしく「超高級品」である。
刻まれたニンニクの断面がシャープでエキスの滲み出しも少ない事を考えると、フードプロセッサ等による機械切りではなく、おそらくは膨大な手間と時間をかけて包丁により「手刻み」にされていると思われる。
それゆえニンニク風味はとても新鮮で良い香りなのに加え、業務用オロシニンニクにあるような薬臭さも絶無であり、その意気には心から敬服してしまう。
ただ、どうしても割と粗め(大きめ)の刻み方になるがゆえに、スープへ入れても「熱」がニンニクの中心まで通りづらく感じられてしまう。
そのため、食べている際に「シャリシャリ」と生野菜っぽい歯応えを感じ、かつ、風味と言う点でも、薬味と言うよりも、まるで生の玉ネギのような「生野菜っぽさ」が残っている感じも受ける。
あくまで私的な好みとしては、ニンニクはおろし金で擂った方がはるかに風味が良く出ると思うので、ニンニクの仕込みの半分位はおろし金で擂って、刻んだものとブレンドしてくれると、さらに一層完璧になるような気がする。

食べ終えてみれば・・・・・スープも麺も、いかにも「一流」志向と言うイメージを新たにした。
勢いや情熱だけで、やたらとガンガン濃く、ワイルド一辺倒に仕上げるのではなく、何より「品格」や「クオリティ」を重視していて、どこかしら、枠をはみ出ない「教本」のような安定感と雰囲気を感じるのだ。
例えれば・・・・他店の博多長浜ラーメンが、インパクトや個性バリバリの「私大卒」なら、田中商店の博多長浜ラーメンは「国立大卒」と言うイメージなのだ。
どことなく、博多長浜ラーメン界の「エリート」っぽい風格を感じてしまうのである。

それとも、前回も今回も開店直後の「若いスープ」であったことも、そういったイメージに関係しているのだろか。
それでもお店を出てからは、ピトピトとする強いゼラチン感で唇がくっつく感じがあるのは「さすが」である。
いずれにしても次回は、ぜひとも閉店間際のトロントロンに煮詰まったスープを堪能してみたいものだ。


(麺は完食。スープは8割飲んだ。)










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