ラーメン＆つけ麺食べ歩き
たけちゃんにぼしらーめん　代々木 店
（東京都 渋谷区）

2004年8月上旬　らーめん　750円

東京都調布市にあるお店の代々木店として2004年7月にオープンしたらしい。
店内は結構広めで、カウンター席とテーブル席がある。新品の調度品が素晴らしく映えていて、椅子もがっしりとして大きめで座り心地が良い。しかし、広くて新しいうえ、視界が高く、空間がかなり余裕を持って作られているため、妙に落ち着かない。もう少し視界を遮るものがあっても良いと思う。券売機の隣に、こちらのお店のテーマである「煮干」がガラス越しにオブジェのように飾られている。

目の前にラーメンが置かれると、濃い醤油色のスープには、微量の油が浮いている。ふんわりと漂う煮干の風味に、つい鼻が「ヒクヒク」と反応してしまう。さっそく一口飲んでみると、非常にまとまりよく口の中にスープが入って来る。スープを舌の上に置くと、次の瞬間、「ジーン・・・」とする煮干の素晴らしい風味が舌の上いっぱいに広がってゆく。これぞまさに煮干の「エキストラクト」。その真骨頂であろう。そして最後に、ドスンと何か別な旨味の一押しが入る。

醤油の風味もカドが立たず、煮干中心のスープの中へ絶妙な醸造風味の入り方である。味付けはやや濃いめかも知れないが、優しい甘味もあるので、多くの人にとても受け入れられやすいスープだろうと思う。
煮干中心に、昆布の旨味、穏やかな動物系の風味も加わって、イメージとしてはお正月のお雑煮のスープを思い出す。この手の味はやはり日本人にとって、特別な感情と満足感を抱かせるものだ。
どちらかと言えばニューウェーブ的な煮干系スープの「渡なべ」（新宿区）や「伊藤」（北区）とは異なって、あくまで日本人に長らく親しまれてきた、伝統的な、トラディショナルなタイプを突き詰めた煮干系スープと言えるだろう。

麺は、中細ストレートで断面が見事に丸いタイプ。口に入れるとワサワサして、噛むとポキポキという芯の固さがある。しかし、固いのだが、２〜３回噛むと、すぐに歯応えがなくなってしまい、すぐに「こなれてしまう」不思議な食感の麺である。
この固さなら普段の感覚で言うと５〜６回は噛むことになるはずなのだが、「前半」の１〜３回だけで咀嚼が終了してしまい、「後半」の４〜６回目の歯応えが見事にごっそり省略された感じである。そう言う意味ではちょっと肩透かしなコシだが、逆に絶妙に「儚い（はかない）」とも言えるような、潔い食味となっている。
麺の味はちょっとレトロ風と言うか、玉子があまり入っていない感じで、炭酸カルシウムの風味が感じられる気がする。

チャーシューは肩ロースのようなバラ肉。ホロホロとかトローリという感じではなく、食感はウェットな感じであるがジューシーではなく、厚みがあってモグモグとかムグムグと良く噛んで食べる感じ。味付けは薄め。メンマは素直な食感と味付けでなかなか品良くまとまっている。
「伊藤」（北区）でも感じたが、食べ終える頃、また、食べ終えてから暫らくは、舌にちょっとビリビリとした感覚が残る。煮干のペプチドによるものだろうか。


（麺は完食。スープは４割飲んだ。）

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