ラーメン&つけ麺食べ歩き
たいぞう 本店
(東京都 豊島区)

店名 節骨麺 たいぞう 池袋本店(たいぞう いけぶくろほんてん)
住所等 東京都豊島区西池袋1-24-8 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2007年3月下旬 節骨らーめん 680円 


〜節骨麺 たいぞう 池袋店〜



お店を発見しました。
池袋駅の北口から徒歩1分ほどの
繁華街にあります。





全面「板張り」の店構えが目立ちますな。
店頭に「十一時より朝五時まで」「年中無休」の案内。






入店するとすぐ右側に券売機。
「節骨らー麺」を購入。






コの字型のカウンター席の磨き込まれた「木肌」がイイ感じ・・・。
手前に「ニンニク」の無料トッピングが見えます。






照明を落とした「和風」空間。
テーブル席もあって、小グループ客に嬉しい配慮。






卓上に置かれたメニュー表。






「骨」「麺」「節」について
お店ならではの「こだわり」の説明も・・・。










2007年3月下旬 節骨らーめん 680円
(この写真はクリックで拡大します)



交通至便な場所、長い営業時間、年中無休の利便性・・・・
和風シックの落ち着いた空間、丁寧な接客。
そして・・・極めて「安定した美味」のハイグレードなラーメン。

スープ、麺、具・・・・いずれも、
驚くほどの「完成度」と、非常に高い「仕上がり精度」。

「味にこだわり」ながらも「品質管理」のノウハウが生きる・・・
一切の「ブレ」を排除したかの如き、完璧なる「クオリティ・コントロール」。
「法人経営」のメリットを強く感じるラーメンです。









魚と豚の「一体感」があまりにも「完璧」で、ひとかたならぬ「馴染み」の良さがあり、
上品さと力強さを併せ持つ、極めて「高品質」な美味しさのダブルスープ。






やや平打ち気味のオリジナル特注麺は、「ツルッ」とする光沢感のあるすすり心地。
「ふっくら」膨らみのある噛み心地と、「プッチン」と弾けて分離する小気味良い歯切れ・・・と言う
相矛盾する要素を、見事に「同居」「両立」。




2007年3月下旬 節骨らーめん 680円 

2004年創業の「池袋北口」にあるラーメン店。現在は「恵比寿」「三軒茶屋」にも支店がある。
お店のWebSiteを拝読すると、経営母体は法人のようだが、かなり素材と手間にこだわってるような事が書かれていて・・・・興味を持って「本店」を訪問してみた。
駅からは徒歩一分ほどなのだが、場所的には路地を少し入ったところにある。全面「板張り」の店構えが目立ち、繁華街と言う場所柄か、店頭に「十一時より朝五時まで」「年中無休」の案内が書かれている。
券売機のメニュー筆頭には、背脂の入る「節骨こってりらーめん」が来ているが、より「ダシ」の味がストレートに判りそうな、「節骨らーめん」の券を買った。

登場したラーメン・・・・スープは、店名に冠されるとおり「魚介」と「豚骨」のダブルスープだそうだ。
メニューの解説によれば、魚介スープは「鹿児島県枕崎産本鰹と高知県土佐産宗田節、九十九里産煮干、北海道産天然日高昆布をどっさり使用。弱火でゆっくりやさしくうまみを出した香り高いスープです」と書かれている。
一方の豚骨スープは「ぜいたくに薩摩産黒豚を使用。12時間以上煮込んで、8時間熟成させた力強くて濃厚なスープ。」の旨が書かれている。

厨房は、高めの囲いがあって調理の様子は見られない。
「Wスープ」と言うことは、二つの寸胴で別々にとったスープを、「一つの丼」の中に注ぎ入れてブレンドしている事になるが、お店によっては、いかにも「直前に混ぜた」と言う感じが「ありあり」で、魚介と動物が、あまり馴染んでいない・・・・と感じるお店も少なくない。
しかし、こちらのお店のスープは、魚と豚の「一体感」が、とても直前に混ぜ合わせたとは思えないほど、あまりにも「完璧」で、まるでブレンドしてから一晩くらい寝かせて時間を置いたかのような・・・・ひとかたならぬ「馴染み」の良さがあり、上品さと力強さを併せ持つ、極めて「高品質」な美味しさのスープだ。

味の比率的にも絶妙なバランスであり、厳密に言えば「節系」が一歩前に出ているようだが、魚節の酸味が尖ったり、魚の生臭みが出たりという事は絶無で、旨味のみがとても上手に抽出されている。また、豚骨もきちんと下処理をしてから炊いている事が判る「臭み」のなさ、そして火加減やアク管理をきちんとしている美点を感じる「疲れ」のない美味しいスープだ。
スープからは、背脂らしき「甘味」も少し感じられるが、決して「ドロリ」とはせず、むしろ「サラリ」とした口当たりである。また、繁華街にあって深夜も営業と言うと・・・・酔った客に合わせて、濃い目の味にチューニングしがちであるが、「しょっぱさ」とか「クドさ」とか「化調感」は感じられず、かなり上質な仕上がりになっている。

一方の麺は・・・・オリジナル特注麺だそうで、メニューによれば「関東麦を使用し、24時間熟成させたコシの強い麺」だそうだ。
カンスイ臭もなく、確かにその味からも「上質な小麦粉」を使っている事が「ありあり」と良く伝わって来る美味しい麺だ。
最初の一口は・・・・「ツルッ、ツルルッ」と歯の上を非常に良く滑るすすり心地で、噛むと「プチン、プッチン」とまるで弾けるように小気味良く切れる。切れる際に、麺に「粘り」がないのだ。しかし、麺にグルテンがない安い「粗製ウドン」のような「プツプツ・・・」と力なく切れるタイプなのではなく、小麦粉の密度感や圧延感はしっかりとありつつも、ちょうど「茹で玉子」のプルルンとする「卵白」のような・・・・「歯切れ」の心地良さを持つ麺である。ツルッとする歯触りと言い、この「分離」するような歯切れの小気味良さと言い・・・・多めに「卵白」を使っている麺なのは間違いないだろう。

また、形状が「やや平打ち」なので、麺の断面が「縦」になって噛んだ時は「ふっくら」とした膨らみのある噛み心地が生まれ、逆に「横向き」(水平)に噛んだ時は「プッチン」とする小気味の良い歯切れ感が楽しめる。つまり、「噛み心地」と「歯切れ感」と言う矛盾する要素を・・・・「やや平打ち」&「よじれ」を加えることで、見事に「両立」&「同居」させた素晴らしい工夫がなされていると思う。

前半はやや「ゴワゴワ感」も感じられるが、やたらと硬過ぎるような「無粋」なことはなく、きっちりと茹で上がっていて、後半にはモッチリ感も出て来る。ただ、それでもちょっとした硬直感は残っていて、舌や歯をゆっくりと撫で回すような・・・・「しなやかさ」や「なまめかしさ」はさほど感じられない。
また、麺の表面が卵白でツルンツルンとしているためか、意外にスープを吸わないようだ。この辺りは、背脂投入で「スープ粘度」が増すであろう「節骨こってりラーメン」でベストとなるチューニングなのかも知れないが、お陰で最後まで「麺」がノビず、様々な「食感上の長所」がラストまできちんと持続する。

海苔がスープに触れて溶けないよう、上手に立体的に乗せているのも、なかなか芸が細かいと思う。
メンマは適度に太さと量感があり、「コリコリ」「ポリン」とほど良く歯応えがありながら、同時に、「ふっくら」とした心地良い柔らかさを両立させている見事な物、噛み砕くと中からは醗酵したメンマの旨味とタレが混じり合った汁が「ドッサリ・・・」と流れ出して来て、一本一本を数分かけて「じっくり」と味わい尽くしたくなるほどに・・・素晴らしく美味しい。まさに「傑作」の部類に入るメンマだと思う。
世の中、細切りや薄切りのメンマを使うお店もあるが・・・やはり、ある程度の「太さ」がないと、このようなジューシーな旨味をたっぷりと「内包」した美味メンマには仕上がらないようだ。

チャーシューも肉の鮮度を感じる風味がとても良く生きていて、肉汁も豊富でジューシー、これまた非常に美味しい。全体は「しんなり」とウエットな風合いだが、脂身部分は舌の上で「トロトロ」「トロリ」と蕩け、赤身部分は「しっくり」「ほこほこ」として肉の繊維のきれいにほぐれる噛み応えが長らく続き、使われている肉の美味しさを心ゆくまで堪能できる。噛めば噛むほど、本来の「肉の旨味」が次々とあふれ出て来て、実に感心させられてしまう。「ぜひ肉質の違いを知って欲しい」というお店の声が聞こえて来そうだ。
むしろ、「ホロホロ」と崩れる柔らかい肉ではどうしてもすぐに飲み込んでしまうため、心地よい口解け感は味わえても、本当の「肉の味」の全てはしっかりと楽しめない・・・・と、教えられる気分である。

途中で、卓上に置かれていた無料トッピングの「生ニンニク粒」を一つ、ニンニククラッシャーでつぶし入れてみた。
しかし、「一杯で二度美味しい」とか「味の方向性の変化」レベルを大きく超えて、あまりにも影響が強すぎ、全体のバランスを崩してしまうようだ。おそらく、このニンニクは「背脂」がたっぷり入る「節骨こってり」に使えば相性が良いのだろうが、普通の「節骨スープ」だと、せっかくのまとまりの良いスープの味がかなり破壊されてしまうように感じられてしまう。

とは言え、ニンニクを入れた後も、ついついスープを飲む手が止まらずに、気が付けばすっかりと「完飲」させられてしまった。
太麺を食べさせるだけの力があるスープ「濃度」がありながらも、自然な素材感にあふれ、「濃い味」や「クドい旨味」ではないので・・・・「グイグイ」飲めてしまうのだ。

また、「麺」や「スープ」には、食べていて、どこかしら・・・・新宿の「武蔵」と池袋の「瞠」の中間のような味を連想させられた。むしろ、やたらな「目新しさ」で冒険するよりも、既に多くのファンのいる「人気の味」を良く研究し、「後発組」のメリットを生かすべく、上手にリファインして、狙って来たような印象を受ける。
一昔前なら、「突出」していたと思われるこのレベルの美味しさに、次々と新店がエントリーして来るのをみると、今ではラーメン業界の全体の「底上げ」が大きく進んでいる事実を強く感じる。

ただ、メニュー筆頭の「節骨こってりらーめん」は、「背脂」がしっかりと加わるようなので、「武蔵」や「瞠」の客層とは大きく異なるだろう。
お酒を飲んだ後は、人の体はなぜかコッテリした「脂肪分」を欲しがると言う。「アルコール」が入ると「動物性脂肪」がやたらと美味しく感じられ、実際、飲んだ後に、バラ肉たっぷりの牛丼がやたらと美味しく感じられたりするのもその一例だ。そう言う意味では、ロケーションが池袋繁華街と言うこともあり、お店の看板メニューはこちらが担当していると思われる。

食べ終えての感想としては・・・・・
「すごく美味しい」「極めて上質な仕上がり」と言う事だけにとどまらず・・・・何より、非常に調理が「安定」していると言う印象が「際立って」強く記憶に残った。
スープ、麺、具・・・・いずれも、驚くほど「完成度」や「仕上がりの精度」が非常に高く、一切の「ブレ」が入り込む余地がないと言うか・・・・とにかく「クオリティ・コントロール」が完璧と言う印象を強く受ける。
特に「スープ」については・・・・ひょっとして、スープはここの店内で仕込んでいるのではなく、他の支店分と一括して、どこかの工場でのセントラルキッチン方式なのだろうか・・・・と思えてしまう位に、やたらと「味が安定している」・・・・・と言うイメージを受けてしまう。

ただ、その分・・・・どこか優等生的と言うか、万人向けと言うか・・・・食べ手がハマって抜け出せなくなるような・・・・個人のラーメン店で感じるような「後を引く」「クセになる」感覚が少ないと言うか・・・・食べていても「店主氏の人柄」や「作り手の顔」があまり浮かんで来ないような・・・・気がする。
安定して管理された素材と調理マニュアル&詳細レシピに従って、まるで「分業」で作られたかのような・・・・「インダストリアル的」な美味しさと言えば良いのだろうか。

一般に「法人経営」のラーメン店と言うと、「マニュアルっぽさ」ばかりが目に付き、あまり「ときめき」を感じない味である事が多い気がするが、こちらのお店は法人のメリットが非常に良い方向へ出ている「好例」である。
これなら、交通至便な場所、長い営業時間、年中無休の利便性、スタッフの接客教育などのメリットも加わり・・・・本当に誰にでも「安心して」「便利に」「美味しく」ラーメンを食べられると思う。
有名店や人気店とは言え、小規模な個人経営のお店だと、時折、「味の大きなブレ」や「臨時休業」に当たって、ガッカリ・・・・する事も少なくないが、こちらのお店は「味へのこだわり」だけでなく、「安定経営の大切さ」と「完璧なるクオリティ・コントロールの有り難み」を、本当にとても強く感じさせてくれる。


(麺は完食。スープも完飲。)









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