ラーメン&つけ麺食べ歩き
大勝軒 東池袋店
(東京都 豊島区)

(2007/3/20閉店)

店名 大勝軒 池袋 本店(たいしょうけん)
住所等 東京都豊島区東池袋4-28-3 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2004年5月中旬 特製もりそば 650円
2005年2月上旬 中華そば 630円 
2005年2月上旬 もりチャーシュー 950円
2005年2月中旬 特製もりそば 650円
2005年3月上旬 中華そば 630円
2005年6月上旬 特製もりそば 650円 
2006年2月下旬 特製もりそば 650円
2006年6月上旬 中華そば 630円
2006年12月中旬 特製もりそば 650円
            中華そば 630円
2007年3月中旬 メモリアル写真編



〜東池袋大勝軒 その1〜




すでに時間は午後3時近く。
赤いパイロンには「本日終了」と書かれています。
私は「もりそば」をオーダー済みです。






店舗アップ。
この地で既に40年以上営業されています。
単純計算すると今までに延べ約200万人が
この場所で列を作ったはずですな。






これが大勝軒のノレンです。
ここ数年、ノレン分け希望者が後を絶たないようです。






メニューです。
私が初めてこのお店を訪問した時は
中華そば580円の時でした。






狭い厨房で頑張るお弟子さん達。
この厨房では夏は暑さで大変だと思います。

タオルを巻くスタイルは
必然的に生まれたんでしょうな。






店内はカウンター席とテーブルが2卓。
特にテーブル席は小さいためキツキツです。






切抜きがいろいろ貼ってあります。






壁にもメニュー。
山岸さんの手書きでしょうか。






カウンターに置かれた薬味。
コショウは白と黒の二種類を常備。






食べ終わって出て撮影。
高層ビルのサンシャイン60が見えますな。






白い鉄板の向こうは再開発地域。
表示を読むと高層マンション群が建つようです。
風景がガラリと変わることでしょう。










2004年5月中旬 特製もりそば 650円
(この写真はクリックで拡大します)



つけ麺の「元祖」です。
このメニューには、きっと多くの人にとって、
語り尽くせない様々な「思い入れ」が詰まっている事でしょう。

世のつけ麺の多くが、こちらのもりそばの
アレンジである事を考えると、
やはり一時代を築いた偉大なメニューですな。




2004年5月中旬 特製もりそば 650円

都内の有名店の一つ、東池袋大勝軒を尋ねてみる。
しかし、なんと大勝軒と道路をはさんだ目の前はすっかり地上げされてしまっていて、白い鉄板でえんえんと覆われ、広大な更地になっていた。どうやらこの辺り一帯は再開発されて巨大なマンションがいくつも建設されるらしい。
厨房の窓にはあの人なつこい山岸さんの笑顔は見られなかった。奥にいらっしゃるのかも知れない。いつも会計を担当していた山岸さんの妹さんの姿も見えない・・・。代わりに若いお弟子さん達が何人かいる。

大勝軒東池袋へは、ほぼ1年ぶりの再訪だが、街の景色がすっかり変わり、人もすっかり変わってしまっていた。
しかし、この日は列の最後だったが、順番が来て入店すると、店内だけは相変わらずの狭さと歴史を感じさせる昔の造りのままだった。

厨房内が見えない位置に座ったため、調理の様子がまったく判らない。一度に何人もの麺を大量に茹でるため、タイミング次第で結構待つ事になる。15分ほどすると大量のもりそばが小窓から次々に運び出される。

約一年ぶりの大勝軒のもりそばとの再会・・・・麺は中太、量はたっぷりして割と長めの麺なのは相変わらず。一口そのまま食べてみると、今回のものはちょっとコシがなくクタッとしている。
以前はもっとコシとプリプリ感があったと思う。しかし、カンスイ臭さがなく、ほんのりとした甘味と豊かな含水率で、やはりなかなかおいしい。

つけ汁も以前と比較して醤油色が薄くなり、随分と黄土色に偏っている。大勝軒のつけ汁の魅力は、濃密な豚のコクと鼻腔をくすぐるサバ節の香りであったと思うが、目の前のつけ汁からは残念ながらそのいずれもあまり感じられない。味付けは、酢の酸味と砂糖の甘味とがメインであった。豚骨以外に豚の頭や大量の挽き肉を入れて、つけ汁に独特で魅力的なコクを出す方法はやめてしまったのだろうか。

半分ほど麺を食べると、器に1/3ほど水がたまっているのが判る。麺を浸けて既に薄くなりかけていたつけ汁が、この水分のせいで、さらにすっかり薄まってしまい、終盤は味が薄くなり過ぎてしまう。
以前は、しっかりした肉質とおいしい味付けの大判のチャーシューが、つけ汁の器を上下に二分割する形で入っていて、前半、麺を食べてつけ汁が薄まったところで、ちょうど「しきり」役のチャーシューを食べると、器の下半分の濃いつけ汁が現れて、再び最初の濃厚なつけ汁の味がよみがえる最高の工夫がされていたものだった。

今回は、モモ肉の中型チャーシューが2枚入っていたが、グレー色のモモ肉で、ところどころ色ムラがある。食べてみるとバサバサする固めの食感で、肉らしい風味や旨味は感じられない。大勝軒のチャーシューを食べるのは、実に「ごちそう」と言う感じで、毎回とても楽しみであっただけに、たまたまなのかも知れないが今回のものは別路線という印象を受けた。

茹で玉子は定番の固ゆで半分が入るが、メンマは随分少なめになっていて、海苔は最初からスープの奥へ沈んでいてせっかくの磯の風味がまったく消えていた。
また、以前は玉子もメンマもチャーシューもナルトもすべてつけ汁から上に顔を出していた。それはつけ汁の中にたっぷりと具が入るため内容物が沈み切らないからである。しかし、今回は、すべて見事に水面下に沈んでいる。つまり具のボリュームが明らかに変化している。
この辺りの事は細かな事なのかも知れないが、大勝軒リピーターにとっては気になることであろう。

店主の山岸さんご自身は、ここ数年来、体調的に厨房に立つのが非常に厳しいようで、この日も姿をお見かけすることはできなかった。山岸さんの自伝著書 「これが俺の味」 を読むと、たとえどんなに熱心な弟子にどんなに丁寧に作り方を教えても、「私の味は、私以外では同じにはならない」という旨の内容の事が書いてある。

山岸さんが40年以上の歴史を経て到達し、築かれた「あの味」を、山岸さん以外の人間が作る事など、やはり容易には「叶わない」ことなのだろう。


(麺は完食。スープ割はせず。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その2〜




冬の快晴の一日に
久しぶりに東池袋大勝軒を訪問。
JR池袋駅から徒歩10分・・・お店が見えてきました。
東京メトロの東池袋駅も近いですね。






終了間際なので行列は短めでした。
スープ素材の良い風味が漂って来ます。
10分ほどで入店できました。






テラス席(?)もありますぞ。
暖かな陽射しがいい感じですね。
再開発による高層マンション建設は
まだこれからのようですな。






メニューと営業時間。
ただ、実際の開店時間や閉店時間は
割とアバウトな気も・・・。






いよいよ入店直前。
右に厨房が見えますな。
山岸氏のお姿はないようです・・・。






サイン色紙が貼られています。
水彩画は大勝軒ファンの方からの贈り物かな?
他に山岸氏の似顔絵などもありました。






こちらにもサイン色紙。
茶ばんだ色紙に歴史を感じますね。










2005年2月上旬 中華そば 630円
(この写真はクリックで拡大します)



これぞ「大勝軒」・・・・。
これでこそ「東池袋」・・・・。

山岸氏以外には
決して誰にも作れないと思っていた・・・・
「東池袋の味」が
完璧すぎるほど完璧に「再現」されていました。

「スープ」も、「麺」も、本来の姿は・・・・
やはり「完成度」のレベルが圧倒的に違いますね。

ただただ・・・・「感無量」です。
。゚(゚´Д`゚)゚。









スープを一口飲んで衝撃が走る !(O_o)
この瞬間、東池袋「神話」の第二幕の開演を直感。

動物系と魚介系が恐ろしいほどに「調和&融和」した
素晴らしき「一体感」のあるスープ。
素材の味を生かし、「甘味、辛味、酸味」などの「ノイズ」を排除した
本物を知る「大人の味」ですね。






「この麺です。」
「これです。これこそが大勝軒。」

この極上の「プリプリ」と「サクサク」の無類のバランスこそ
やはり「40年のキャリアの集大成」という印象。
この食味、まさに「一日にして成らず」でしょう。






ズルズル、ハフハフ、ゴクリ・・・。
ウゥ、ウ、ウマー。
(゚∀゚)

丸太麺のやさしい風合いをベースにした
「プリプリ」とはじけるような「小気味良い口当たり」
「サクサク」という軽やかな「歯切れの良さ」
ここに大勝軒の真価がありますな。






お馴染みの「モモ肉」と「固ゆで玉子」の名コンビ。
これからも「頑として」変わらないのでしょう。




2005年2月上旬 中華そば 630円 

真冬とはいえ、気持ちよいほどの快晴の一日、久しぶりに東池袋大勝軒を尋ねてみた。
前回の訪問から、既に8カ月以上を経過し、店前の再開発の状況が気になっていたということもある。しかし、到着してみると建設予定の高層マンションは、いまだ基礎工事の段階のようで、まだまだ何も建ってはいなかった。
列に並ぶと店内からは心地よい素材の香りが匂い立っている。既に閉店の3時近い訪問だったこともあり、行列は短く、あまり待たずに入店ができた。
まだ暖簾分け店が少なかった数年前では、スープ切れなどで2時頃に打ち止めになる事もあったが、最近は割ときっちり3時頃までやっている事が多いようだ。

注文は並んでいた時に済ませてあったこともあり、また、たまたま麺茹でのタイミングが良かったらしく、席に着くと5分ほどですぐにラーメンが登場した。
目の前のラーメンスープからは、思っていたほどには香りは立っていない・・・・が、レンゲで半口ほど飲んでみると・・・・・まさに一瞬にして、「金縛り」である。
瞬時に「今日のスープはうまい」「美味いぞ」と直感する。
しかし、何よりそのスープは、単純に美味いだけなのではなく・・・・もっとずっと遥かにレベルの高い位置で、大いなる満足感を放っていた。
そう、そうなのだ。「これぞ大勝軒の味」、「これでこそ全盛期の東池袋の味」なのだ。
私の脳裏で、「やってくれた」と言う心の叫び、喜びの声がこだまする。熱い気持ちがふつふつと胸の奥にこみ上げて来た。

すかさず二口目のスープを口に入れる・・・。「やはり」、「間違いない」、と言う確信が私の全身にみなぎって来る。
今日のこのスープ・・・・店主の山岸氏以外には、決して誰にも作れないと、半ばあきらめていたあの「東池袋の味」が、驚いたことにあまりにも「完璧」すぎるほど「完璧」に、見事に再現されていた。
正直に言えば、前回の訪問以来、再訪には慎重になっていた部分があり、今回の訪問も期待感とともに一抹の不安もあった訳だが、そんな一抹の不安を地平の彼方まで吹き飛ばしてくれた思いだ。

スープはまず非常に「熱い」。
これが東池袋の特徴だ。スープを飲み込む際に、舌やノドの奥までが「ジワー」と熱くなる「熱」の食味が、鮮烈なインパクトを脳へ強烈に「刷り込む」感じがある。
そして、たっぷりと溶け込んだ素材によるトロミのあるスープは、豚、鶏などの動物系と、サバ節、煮干などの魚介系が完璧に「調和&融和」し、どこまでも「一体化」した一つの深〜い味わいを作り出している。しかも、決して食べ手にゴリ押しするようなインパクト系なのではなく、実にビビッドでありながら、素晴らしい「優しさ」に満ちた大らかな味なのだ。
まさに何十年も作り続けてきた、炊き続けてきたスープだからこその「円熟味」「貫禄」が感じられ、同じ素材を使うことはできても、この素材同士の醸す「熟成のハーモニー」を出すのは、「歳月」と言う要素を抜きにしては至難の技だろうと思う。

醤油ダレの使われ方もまた、その味わい、濃さともに、「舌を巻くほどに」完璧である。
タレが前に出すぎず、塩分感も絶妙、極々少しだけほんのーりと「甘味」がベースに感じられるが、おそらくは豚骨などから自然に出たような極めてデリケートな甘味だ。
インパクト狙いの「酸味」や「辛味」や「苦味」などはまったく感じられず、こういった「ノイズ」を排除し、動物素材と魚介素材の融合だけで創られた「味」、一切のごまかしのない、まさに「本物を知る大人の味」である。
化学調味料も使われてはいるものの、ダシの分厚さに隠れてほとんど隠し味程度である。油感はほとんど感じられず、飲み口は重すぎず、軽すぎず、シャープすぎず、緩すぎず、実に見事なものだ。

また、いよいよ麺であるが、本日の麺は、これもまた素晴らしいスープに呼応するかのような「最上」の出来栄えであった。
一口食べてみると、お馴染みの丸太麺の優しい風合いをベースに、「プリプリ」とはじけるような小気味良い口当たりを伴って口に入ってくる。そして、歯を入れれば「サクサク」という軽やかな「歯切れの良さ」を放ち、噛み締めると、「モチモチ」とする心地よい歯応えが小麦の風味とともに、口中いっぱいに次々に湧き出てくる極上の麺だ。
太麺とは言え、昨今人気の「がっつり」タイプではなく、水分の多そうなやや柔らかめの「コシ」のタイプになる訳だが、間違っても「フニャフニャ」とか「ブヨブヨ」とか「デロデロ」とかなどではなく、「サクサク」という足並みの揃った柔らかさ、歯の入りやすさ、軽やかな「歯切れの良さ」こそが大勝軒の「自家製麺」の身上である。
そしてこの極上の「プリプリ」と「サクサク」の絶賛のバランスこそ、東池袋「40年のキャリア」の何よりの「集大成」であろうし、大勝軒の真価であるように思う。

また、麺の食味であるが、麺に練り込んだ玉子の優しい風合いと小麦の風味が織り成すその食味は・・・・色で言えば「まっ白」でもなく、「茶色」でもなく、「やや白っぽいグレイ」と言う感じだ。その落とし所が素晴らしいと言うか、上品になりすぎず、洗練されすぎず、何とも「庶民のごちそうの味」「大衆の幸せの味」を絶妙に探り当てている感じ・・・。いやはや「見事」としか言いようがない。
この「食味」、この「風合い」・・・・・まさに、「一日にして成らず」であろう。

チャーシューは当然のようにモモ肉なのだが、ふっくらしていて、歯を入れると、肉の繊維に沿ってホロホロとほぐれる様は、モモ肉にはあるまじき素晴らしい食感だ。味がきっちり染み込んでいてかなり美味しかった。
ゆで玉子はお馴染みの固ゆでで味付けはされていないシンプルなもの。この素材が乳化した密度の高いスープの中では、このサラリとして「淡白」な味わいが、とてもよい口直しとなっていると思う。
メンマは、「シャクシャク」する歯触りで、麺とのトーンの一致を考慮したようなやや柔らかめの食感である。スープと完璧に同化した味わいであり、後付けのような甘さも全くなく、薬臭さも絶無。

卓上には「コショウ」や「オロシニンニク」などの調味料も置かれてはいるが、まるで出番がない。要はそれほどまでに隅々まで「完成され尽くした」味なのだろう。
大勝軒の麺は、食べても食べても食べ疲れせず、また、お腹に「ドカッ」と溜まる感じではなく、ゆっくりと優しく堆積してゆくイメージである。
後味的には、その麺の残り香とともに、スープに溶け込んでいた「大量の動物素材を摂取した感じ」がしっかりとあり、胃がジリジリする動物性の豊かな満腹感がお腹の底から湧き上がって来る感じだ。

食べ終わってみれば、「何かが」素晴らしい・・・・と言うのではない事に気付く。
言うなれば、「すべてが」素晴らしい。「全部が」素晴らしい・・・・のだ。
ただ、もしも、あえて言うならばだが、スープと麺と具の構成、そのバランスや食感を、実に巧みに「揃え切った」感じがあり、オール同一メーカーで揃えたコンポーネントステレオのような「純血種」的相性の良さ、まとまりの次元の高さが特に素晴らしいと感じる。

また、何と言うか、右にも左にも味が片寄らず・・・・どこも出っ張らず、どこもへこまず・・・・正中線を垂直にして立ったように姿勢がまったくブレておらず・・・・一切のわき見をしていない味というイメージでもある。
大勝軒の支店というか、暖簾分け店で食べると、「美味しいな」とは感じつつも、「あぁ、ここがもう少しこうならなぁ・・・・」とか、「これをもうちょっとこう変えれば・・・・」とか、「あれがまだ少し足りないような気が・・・・」などなど、素人ながらもあれこれいじくりたくなる箇所が目に付いてしまう。
しかし、今日の東池袋のラーメンは、いじりたくなるどころではなく、まさに「究極」の美のバランスを備えた彫刻であるミロのビーナス像の如き、あまりにも「完全無欠」の姿に近い。
今、この瞬間に存在している、この「ラーメン」を、何とかこのまま永久保存する方法はないのだろうか・・・・と考えてしまうほどなのだ。

ここ数年は、店主山岸氏の体調不良やお弟子さんの頻繁な入れ替わりで、なかなか味が安定せず、むしろ一部の暖簾分け店の方が美味しいなどとの風評を聞く事も時折あったりして、一抹の寂しさを感じていたところへ、今回、まさしく見事な「横綱相撲」を披露された思いである。

あまりにも出来栄えが素晴らしかったので、山岸氏ご本人が厨房の奥にいらっしゃるのかと思い、会計の際にスタッフさんに尋ねてみると、「現在、療養中なので、お店には来ていないんです」とのお返事であった。
それにしては、今までの「東池袋」訪問の中でも、三本の指に入る出来栄えと感じた。厨房には三人ほどのスタッフの姿が見えたが、一体、どんなキャリアのお弟子さんが作られているのだろうか。
数ヶ月ほど修行して、独立してしまう人が多いようだが、「今日の味」をいつまで楽しめるのか・・・実に気になるところである。


(麺は完食。スープは8割飲んだ。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その3〜




前回の感動冷めやらぬうちに
本命「もりそば」目当てに再び訪問。
近づくにつれ、いつもの行列が見えてきます。






午前中はやはり結構な行列です。
約40分ほどで入店。






「トイレこちらです」の貼り紙。
最近貼ったのかな?初めて見ました。
大勝軒東池袋にトイレはあるのか・・・長年の疑問が氷解。
かちどき製粉の袋がすごい数積まれてますな。






うーん、この「狭さ」がいいんですよね。
全く知らない者同士が、ひざ付き合わせて食べる
ノスタルジーあふれる雰囲気。










2005年2月上旬 もりチャーシュー 950円
(この写真はクリックで拡大します)



麺もつけ汁も、しっかりと「大勝軒」の味。
「今までも、そしてこれからも・・・・この味で行く。」
と宣言しているかのようです。
こちらとしても「末長〜く」お付き合いしたい味です。

つけ汁の器が大きいのは「もりチャーシュー」の証。
この中に「鎧」(よろい)のようなチャーシューが三枚も鎮座しております。
その「硬派」ぶりは都内一かも?









巨大なチャーシューが三枚も埋蔵されておりました。
チラリと見える部分はまさに「氷山の一角」。






150kmの剛速球の如きストレートな素材感にあふれたつけ汁。
麺とのベストパフォーマンスは麺好きなら「必食」ですね。
後半は巨大なチャーシューの油が溶け出して、
ややコッテリ濃厚な口当たりに変化。






きれいに盛り付けられた自家製麺。
今でこそ「見慣れた」麺の量ですが、
初めて見た時は、そりゃもう驚いたもんです。
(´Д`)






たっぷりと「水」を含んだ感じで、プリプリと活きの良い麺。
噛み締めてもモチモチではなく、サクサクとした軽いキレ。
玉子風味とともに小麦の風味が「スーッ」と現れてきます。
後味が軽快なのでいくらでも食べられる印象。






デカッ!つけ汁から取り出してみますた。
チャーシューは普通のもりそばの物とはまるで「別物」ですな。
でかいだけでなく、明らかに分厚くなって、
ザクリッ、ミシッ、ミシッ、ギシギシ・・・。
歯応え「ありあり」の超ストロングテイストに圧倒されますぞ。






スープ割をして頂きました。
気前良くたっぷりと注いでくれて感激です。
かなり熱々で提供されます。
つけ汁の酸味がわずかに加わり、素晴らしい美味しさ。






何かが独走するのではなく、魚介系と動物系が見事に「均衡」した味。
風味が立ち上るのではなく、上手に「閉じ込められている」味。
これこそ、まさに「プロ」の作る味でしょう。




2005年2月上旬 もりチャーシュー 950円

前回の出来栄えがあまりに素晴らしかったので、すぐまた再訪してみた。
私的には大勝軒においては「中華そば」よりも「もりそば」の方がお気に入りである。
初めて大勝軒のラーメンを食べた時は、ソフトな丸太麺の印象や、強く濁ってトロミのあるスープは、それまであまり馴染みがなく、澄んだ細麺のラーメンが好きだった当時の私には、すぐには「理解できない味」であった。しかし、その後の訪問で初めて「もりそば」を食べ、その美味しさに「開眼」させられたのを今でもはっきりと覚えている。
つまり前回の高いレベルの味を、今回は大好きな「もりそば」で堪能しようと、大いなる期待のもとでの訪問である。前回、チャーシューも美味しかったので、どうせならと「もりチャーシュー」をオーダーした。東池袋でチャーシュー増し系メニューを注文するのはこれが初めてのことだ。

登場したもりそばは、つけ汁の器が普通のものより一回り大きくなり、ゴッソリ入ったチャーシューの一部が顔を出している。
まずは、麺だけ、何も浸けずに食べてみると、冷水できっちりとよく冷やされた丸太麺は、「プリプリ」と活きの良い口当たりを伴って優しく口の中に入って来た。
舌と上あごを優しく「さする」ように「プリプリ」と口中を動き回る感じだ。そして、歯を入れてみると、たっぷりと「水」を含んだ感じで、「サクサク」とした軽いキレを放ち、同時に小麦粉の「白っぽいグレー」の素朴な穀物風味が、一気に鼻腔にあふれかえる。

玉子風味は控えめで、甘味などの余計な味付けやカンスイ臭もなく、小麦粉の純粋で新鮮な風味が「スーッ」と素直に現れて来る感じである。
よく冷やされているせいか、噛み締めても「モチモチ」感は少なく、粘る感じがない。スッキリした柔らかさ、たおやかな食感であり、小気味良く「サクサク」と噛んでいるうちにいつの間にか口中から姿を消してしまう感じで、とても後味が軽快なのでいくらでも食べられる印象を受ける。
さすが、この辺の口当たりの絶品ぶりは「伊達に40年間行列を作っていない」と言うところだろう。

一方のつけ汁は、やはり先日食べたラーメンと同様、右にも左にも味が片寄らず、どこも出っ張らず、どこもへこまず・・・・一切のわき見をしていない味というイメージだ。
何かが独走したり、何か一つに頼った味ではなく、言うなれば、「動物」「魚介」「醤油ダレ」の三者が、まるで同時に生まれて一緒に育って来た「三つ子」の如き見事な足並みの揃い方であり、生来の「親密度」「チームワーク」を持っている印象だ。
もりそば用のつけ汁と言う事で、ラーメンスープと比べると、「酢」が足されている。
このほど良い酸味が豊かなダシと醤油ダレに見事に「融合」し、「つけ汁」としての分厚い味わいの三重奏を成している。
しかし、甘味や辛味は極々控えられており、あくまで素材本来の味を大切にした、言うなれば極めて「色づけの少ない味」と言えるだろう。ラーメンと比較すれば化学調味料もほとんど感じられなかった。

チャーシューはモモ肉とばかり思っていたが、まるでロース肉のような脂肪の縁取りが付いている。「豚しょう」と言う特殊な部位を使っていると言う話も聞いた事がある。
そして何より、普通のラーメンやもりそばに入るチャーシューの「倍」近い厚みに切られていて、一見、嬉しく思ったが、実はこれが大変な要素を含んでいて、私にとっては「難関」チャーシューであった。
つまり、倍近い厚みになった固めのチャーシューは、普通のもりそばの物とはすっかり「別物」に感じられ、まるで「鎧」(よろい)のような歯応えになっていたのだ。思いっ切り前歯を入れないと、いや、思いっ切り歯を入れても・・・・ミシミシと言うだけで容易には噛み切れないのだ。肉質は前回のラーメンのものと大差ないのだろうが、「一本の矢は容易に折れても、三本重ねれば折れない。」ということわざがあるが、倍の厚さになったチャーシューは、その固さを飛躍的に増大させた食感と感じた。
さらに、このでかさ・・・・。しかも、それが三枚も・・・・。

ザクリッ、ミシッ、ミシッ、ギシギシ・・・・・ゴクリ。この無類の「硬派」チャーシューを噛み砕く行為をえんえんと繰り返すのは、結構大変な「仕事」であった。こういう超ストロングテイストなチャーシューが好きな人もいるだろうし、お店も大サービスのつもりで厚めに切ってくれたのだろうが、アゴの力の弱い人だと相当に疲れるかも知れない。味付け自体は、醤油味がほんのり付いている程度で、三枚のうち一枚だけは肉汁などでふっくらした味わいであったが、他の二枚はパサ付き気味の淡白なテイストであった。
また、後半になると、巨大チャーシュー三枚から流れ出たと思われる「豚脂」が相当量スープに浮いてきて、白っぽい曇りが少しずつ浮いてくる感じになり、味わいもコテコテした脂の多いちょっとクドい味に変化してしまったのも気になった。

メンマは柔らかめで、甘味は少なく、スープが湿潤したような味わい。玉子半分は、あっさりした淡白な味わいがやはり良い箸休めになっている。

また、食べていて終盤に入ると、麺皿の底の方の麺が、やたらと細かったり、ちぎれていたりなど・・・こま切れで不完全な形の麺が多くなって来た。
大勝軒では5〜6人前を一度に茹で、平ザルで取り分けるため、もし最後の6人目などに当たると、それまでザルですくい残された麺が最後の一杯用にかき集められて入ってくる事がある。そういえば、今回の私のもりそばは、ロットの最後に出されたものであった。
店主山岸氏ご本人の著書などを読むと、食べられる部分は一切無駄にしない(捨てない)というポリシーのようなので、こればっかりは「運」であり、「ご愛嬌」というところだろう。

そういえば、過去何度となく訪問している「東池袋」だが、もりそばを食べて「スープ割」をした事がなかった。また、している人を見かけたことも一度としてなかった。
いつも混雑していて「してくれるのかどうか」尋ねるのさえままならなかった訳だが、今回、思い切って尋ねてみると「できますよ」との快いお返事。
飲み干せる程度の薄味にするため、空いた麺皿に半分ほどタレを移してから、スープ割をお願いすると、これがまたタップリの熱々スープを注いでくれた。

レンゲで飲んでみると、先日のラーメンのスープを彷彿とさせる素晴らしい味わい。スープ割をするといきなり魚介系が主張するスープが多い中、やはり、何かが独走するのではなく、魚介系と動物系が見事に「均衡」した味で、野太いながらもナチュラルな美味しさが光り輝いている。
酸味が残っているので、ラーメンスープとはまたちょっと異なる美味しさだ。スープでタレが薄められたせいか、スープ割後は、一味唐辛子による辛味がやや目立って来るようにも感じられた。
また、鼻に香る風味は穏やかだが、旨味がタップリと内包されたスープであり、風味が立ち上るのではなく、上手に「閉じ込められている」味という印象である。
これこそ、まさに「プロ」の作る味だろう。


(麺は完食。スープ割も完飲。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その4〜




東京メトロの「東池袋駅」から歩くと3分ほど。
閉店の午後3時ぎりぎりに訪問。
後方にサンシャイン60が見えます。






なんと閉店直前のせいか空席が結構ありました。
とても珍しい事ですぞ。
(゚Д゚)






私の「もりそば」が最終ロットかな?
TVを見ながら待ちます。






食べ終わってお店を出たところ。
これから店員さんのお食事タイムである
「まかない」が始まるようです。
店員さんは7人位いたような気が・・。







2005年2月中旬 特製もりそば 650円
(この写真はクリックで拡大します)



これぞ東池袋発祥、「特製もりそば」です。

この麺にしてこのつけ汁あり・・・
このつけ汁にしてこの麺あり・・・
まさに「究極」の好相性ですね。

最終ロットのせいか、単なるブレなのか・・・
麺はちょっと歯切れが重く、つけ汁はやや甘味が目立っていました。
もちろん、それでも十分に美味しいです。









つけ汁は醤油ダレが多少薄目に感じられました。
今回のつけ汁には、酸味よりも甘味が割と目立ちます。
終了間際のせいかややぬるめだったのは残念ッス・・・。






今日の麺は「サクサク」という軽さではなく
ちょっと「モニュモニュ」とする歯切れの重さがありますた。
「モッチリ麺好き」な人にはウケそうですな。






つけ汁に入れるとこんな感じ。
グーンと輝きを増して、まるで「水を得た魚」のよーな・・・。
一味唐辛子がちょっとからんで来ます。






チャーシューを取り出してみました。
やはりこれ位の厚みだと、歯切れが良い感じですな。
醤油で味がきっちり付いて美味しいです。






スープ割をして頂きました。
うーん・・・やはり玄人路線の深〜い味わいです。
ジンワ〜〜〜ッと来る「いぶし銀」のような素晴らしい美味しさ。
これなら、ラーメンが美味しいはずですね・・・。




2005年2月中旬 特製もりそば 650円

巨大チャーシューに翻弄されてしまった感じの前回を踏まえ、今回は、「もりそば」自身の魅力をしっかりと堪能するため、再び訪問してみた。
午後2時頃に訪問すると20名ほどの行列だったため、一度時間をつぶしてから2時50分頃に再訪すると、幸運にも待ちなしで入店できた。今回は、店員さんの人数がやたらと多く、7人位はいらっしゃったようだ。背中を見ると、それぞれ○○○大勝軒、△△△大勝軒などとバラバラなノレン分店の店名が書かれている・・・。ひょっとして、日によって各ノレン分け店からそれぞれ応援に来ているのだろうか。
もしかしてそんな感じで、仕込みや調理担当の人が変わったのか、それとも単なるブレなのか判らないが、今日のもりそばは「麺」、「つけ汁」とも、前回とは微妙に違っている箇所があったように感じられた。

登場した「もりそば」の麺、まずは汁に漬けずにそのまま食べてみると・・・・今日の麺はいつもの「サクサク」という軽さのある歯切れの良いものではなく、「モニュモニュ」とする粘りを感じるやや動きの重い印象の仕上がりであった。
プリプリ感はあるものの、重量感が増していてちょっと動きや歯切れが悪い感じ、いつもの軽快感に欠けている印象である。ただ、モッチリした麺が好きな人には、むしろ今日のような麺はなかなかウケるかも知れない。
小麦の風味もあまり立たず、いつもより玉子の風味の比重が増しているような気もした。

つけ汁は、出汁は非常によく出ていてコクがあるものの、醤油ダレがちょっと薄めで、スープ割せずともそのままでもゴクゴク飲めてしまえそうだった。終了間際のせいか、ややぬるめだったのも残念で、タレが薄めで、かつ、ぬるいと、どうしてもパンチ不足に感じられてしまう。特に最初の一口、二口目位の「導入部分」で、食べ手を強引に引き込む「パンチ」が弱いと、全体に溌剌(はつらつ)としたイメージが湧いて来なくなってしまう気がする。
また、酸味よりも、むしろ今日のつけ汁は甘味が目立っていて、やや柔和な味付けに感じられた。

チャーシューは二枚入り、醤油できっちりとほど良い味付けがなされていて美味しい。
歯を入れるとやはり肉の繊維が複雑かつ堅固に結び付いている感じで、ミシミシ、モソモソという歯応えだが、厚みは5mmほどでこの位の厚みのものがやはり食べ易いと思う。

最後にスープ割をして頂くと、つけ汁は一気に熱々になり、まさに「元気回復」状態になって戻って来た。
今日はサバ節の香りというよりも、カツオや煮干のような風味が目立って感じられ、柔らかな旨味とほのかな醤油ダレのコンビネーション、それを微妙な酸味や甘味や辛味が幾重にも取り巻き、まさしく「絶品」クラスの深く鮮烈な味わいである。
まるでお寺の「鐘の音」の如く、「ズヴヴゥ〜〜〜ン」と体感できる重低音の振動を伴って、体の芯まで旨味が響き渡って来るような感覚。ノドから胃にかけてジワ〜〜〜ッと旨味が広がり、まさしく「五臓六腑」に「染み渡る」感覚だ。

むさぼるようにスープを飲み尽くし、空になった器を見て、前回、前々回と同様に今回もスープの出来があまりに素晴らしいので、今ではむしろ「もりそば」よりも「中華そば」の方が良いのかと・・・・・大満足の陰で、ちょっとだけ複雑な心境になってしまった。


(麺は完食。スープ割も完飲。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その5〜










2005年3月上旬 中華そば 630円
(この写真はクリックで拡大します)



今日の「中華そば」は
醤油ダレがちょっと薄めで、動物系ダシが強めでした。
麺もいつものサクサクした軽やかな「歯切れの良さ」が影を潜めた印象。

豪快でアバウトそうに見えて、
やはり相当デリケートなバランスの上に成り立っている味です。









動物系が強く出て量感タップリの美味しいスープ。
ただ、その分、魚介系が押された感じですな。
後半はゼラチンのまったり感がちょっと重いかも。






今日の麺はモニョモニョして粘りが増した感じ・・・。
少ないお湯でいかにも大量の麺を一気に茹でた感じの
微妙なヌメリがちょっと感じられました。




2005年3月上旬 中華そば 630円

再び、「中華そば」を目的に訪問してみた。午後1時40分の訪問で、10名ほどの行列、30分弱の待ちで入店できた。
この日も店員さんが結構多く、8名位もいらっしゃった。調理担当者が変わったのかどうかは不明だが、ほぼ一ヶ月ぶりに食べたこの日のラーメンは、2月に食べたものから比べると、やや大勝軒「らしさ」が薄れたものと感じられた。

登場したラーメンを見て、真っ先に「醤油の色がちょっと薄いな・・」と感じた。
一口スープを飲んでみると、やはりと言うか、醤油ダレのパンチが控え気味で、その代わりなのか、化学調味料がちょっとフライング気味に効いている。ただ、濃厚な動物系の量感を感じさせるダシがどっしりと後を追うようにやって来るので物足りなさなどは微塵もない。しかし、その分、魚介系のダシが動物系に押され気味でやや目立たなくなってしまっている感じで、バランス的にはやや動物系に重心が振れているように感じられた。

また、麺は箸で持ち上げてみようとすると、妙に何か重い抵抗がかかっている感じを受けた。すすってみると、麺の表面に微妙なヌメリがちょっと感じられ、いかにも少ないお湯で大量の麺を茹でたような印象を受ける。噛んでみると、いつものような「プリプリ」とはじけるような小気味良い口当たりや、「サクサク」という軽やかな歯切れの良さは影を潜め、「モニョモニョ」という粘りが増した感じの食味に感じられた。この感覚は「モチモチ」とも、また少し異なるものだ。

後半になると、化学調味料の姿はダシに紛れてあまり目立たなくなってしまったが、その一方でスープの「重さ」が存在感を増してきた。
鶏ガラや豚骨から出たと思われるゼラチン質のトロミが濃厚で、これが割と粘着質のある口当たりに感じられ、このトロミが麺にからんで、すすっても噛んでも、ちょっとネチャ付く感触がある。そのため、余計に「サクサク」という軽快な歯切れの良さがなくなり、全体のトーンがやや重苦しい感じになってしまっている。最後の方は、割と口の中がネトネトしてしまって、味が口中に「まったり」とトグロを巻くような感覚を受けた。
ただ、全体として見れば、最も調理が大変そうな動物系のダシが良く出ている訳であり、そういう意味ではもう少し魚介とのバランスが取れて、醤油ダレのパンチが増すと、飛躍的に完成度がアップする印象だ。

また、チャーシューとメンマはかなり美味しかった。特にメンマは普段より量が多めで、コリコリ、シャクシャクする食感は最高の仕上がりに感じられた。
東池袋「大勝軒」のラーメン・・・・一見、豪快でアバウトそうに見えて、実はやはり相当デリケートなバランスの上に成り立っているラーメンと再認識した一日となった。


(麺は完食。スープは4割飲んだ。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その6〜




左へ曲がるとすぐ大勝軒です。
この位置で行列が見えなければかなりラッキーです。

お向かいのマンション建設現場では鉄筋組みが始まっていました。
囲いに完成予想図が描かれていますね。






雨のせいか数名の待ち客のみで10分ほどで入店。
テラス席は、雨でお休みのようでした。
(´Д`)










2005年6月上旬 特製もりそば 650円
(この写真はクリックで拡大します)



こ、この麺のうまさ・・・・
まさに「空前」にして・・・・「絶後」・・・・。

「雨」こそは・・・・まさに自家製麺の「天佑」であり「天恵」。

今までも「絶品」と思っていた東池袋大勝軒の麺に
まだまだ更に遥か上の世界・・・・がある事を知りますた。

ただただ・・・・「合掌」です。









今回のつけ汁はちょっとコクがなく、調味料で補強した感じ。
もう少し素材感が欲しいですぞ。
しかし「麺」の素晴らしさがすべてをカバー。






打ち立て、茹で立て、作り立て・・・。
瑞々しい水分を身にまとってツヤツヤと光り輝いています。
小麦のかぐわしい無垢な香りが漂います。






ツルツル、サクサク、プリプリ・・・。
うぅ、う、うますぎる・・・。(゚∀゚)

普段の「サクサク、プリプリ」を遥かにグレードアップ。
口に入れたとたん、まさに「はじける」美味しさ。
口中にパア〜ッと花火が上がるようです。

ぜひともクリックして拡大で見ることを推奨ですぞ。






さらにもう一つかみ・・・うーん、美味すぎる。
生き生きした「麺」の生命が口中で炸裂する感じ。

今までの東池袋のベスト・・・と言うより、
私の過去の食べ歩きの中のベストパフォーマーの一つ。

この混じり気のない美味しさ・・・ジュエリーで例えていうなら
滅多に発掘されない「Loupe-Clean」グレード。






スープ割した図。
今回のスープは魚節や煮干の風味は控えめ、
動物系も大人しめでした・・・。




2005年6月上旬 特製もりそば 650円 

先日、知人と東池袋大勝軒の話をしていて、「雨の日のもりそばを食べた事があるか?」と尋ねられた。
思い起こせば過去相当な回数訪問しているが、雨の中で長時間並ぶのはどうしてもイヤなので、ほとんどが晴れか曇りの日の訪問であった。一度だけ強雨の日に「この悪天候なら空いてるかも」と思って行ったら、全く普段と変わらない大行列で、強雨の中を1時間以上も並んだので、それ以来、雨の日には行っていない。
その時も濡れて寒かったので「もりそば」ではなく、「ラーメン」を食べた。なので、回答としては「今まで雨の日にもりそばを食べた事はない」、であった。
すると、その知人は「朝から雨の日には、普段より数段グレードアップした最高の麺が食べられるから、是非一度行ってみ給え。」と言う。
そして絶対にラーメンではなく、必ず「もりそば」を食べるようにと、強く念を押された。

それから2週間ほどで、ある日、「朝から雨」と言う天候に恵まれ(?)、さっそく東池袋を再訪してみた。雨と言うこともあってか、昼前にもかかわらず列は短めであった。ここ数年で激増した大勝軒ノレン分け店のおかげで客が分散しているのか、3〜4年前と比較すれば東池袋本店の列は明らかに短くなっていると感じる。
ちょっと肌寒いので本当はラーメンを注文したいのを、ぐっとこらえて「もりそば」をオーダーした。

5分ほどで登場した「もりそば」の汁を見て、ちょっとギョッとした。普段より透明度が高く明らかに素材感が薄そうに見え、具などの内容物も少なそうだったのだ。
しかし、一方の麺は、普段以上に瑞々しい水分を身にまとってツヤツヤと美しく光り輝いている。まるで赤ちゃんの肌のように、木目(きめ)がきれいに整っていて、一点のシミやクスミがなく、見た目からして、いかにも「新鮮」「出来立て」という印象である。鼻を近づけると小麦のかぐわしい無垢な香りが漂っている。

まずは何も浸けずにそのまま麺だけを一口食べてみると・・・・「うぐっ・・・」、一瞬にして、「金縛り」である。
すすれば「ツルツル」、歯を入れれば「サクサク」、噛み締めれば「プリプリ」・・・その食感の「方向」は全く同じなのだが、到達している「レベル」は明らかに別物である。
口に入れ、軽く噛んだとたん、まさに「はじける」美味しさ、口中にパア〜ッと、「旨味の花火」が打ち上がるような感覚なのだ。そうして噛み締めれば、今度は「旨味の湖
のごとく小麦の美味しさが口中にあふれ返り、サクサクとした軽いキレの麺が歯をビロードのように包み込み、飲み込めばふんわりとした清々しい香りが鼻腔へ抜けてゆく・・・。
もう私の脳内ではこの時点でエンドルフィンが全開である。

太麺らしいしっかりとした丸い輪郭がありながらも非常になめらかな口当たり、サクサクとする無類の歯ギレの良さを放ち、小麦感がビビッドで、噛み砕いてゆくと均質にほぐれ、最後は麺の一つ一つの分子レベルにまで、きれいにスーッと分解して行くような感覚だ。その分、いつもよりモチモチ感はやや軽めに感じられる。
多加水でどちらかと言えばソフトな口当たりの麺であるが、サクサクと足並みがきれいに揃っていて、「モニョモニョ」するような曖昧さが全くないのがいい。後味が軽快なので本当にいくらでも食べられる印象だ。

一方のつけ汁は、第一印象のとおりちょっとコクがなく、普段よりもちょっと多めに化学調味料で旨味を補強した感じになっていた。
もう少しコクというか、素材感が欲しいところではあるが、しかし「麺」のあまりの素晴らしさがすべてをカバーしてしまう感じで、つけ汁に浸け、一口、また一口と、すするたびに激しい「幸福感」に襲われる。
食べていて次第に麺がなくなって行ってしまうのが、無性に残念でならず、何とか今日の麺の「お替り」はできないものかと・・・店員さんの方を何度も見てしまった。

美しい「水」を内包したような・・・この無上の「麺」。
普段の麺との違いを、もし何かに例えて表現するとすれば・・・・・うーん、ダイヤモンドの「クラリティ」だろうか。
すべてのジュエリーの王者に君臨するダイヤモンド、その価値は「3つのC」で決まると言う。3つのCとは「カラット(重さ)」「カラー(色)」「クラリティ(透明度)」である。要は同じ大きさのダイヤでも、「色」や「透明度」次第でピンキリの価格差になるわけなのだ。
通常は、クラリティの中でもトップグレードのものを「VVS1」と表記するようだが、実はさらにその上に「Loupe-Clean」という更なる最上級のグレードがあるらしい。おそらくは滅多に掘り出されないグレードなので、あまりに「幻」のトップグレードと言うことになり、あまり知られていないのだろう。

つまり、今まで東池袋で「最高の出来」と思っていた日の麺を「VVS1」とすれば、今日の麺の驚愕の「瑞々しさ」「フレッシュさ」「混じり気のなさ」は・・・まさしく、それを凌駕する「Loupe-Clean」の透明度のイメージに他ならないだろう。
何度通ってみても、東池袋大勝軒にはまだまだ更に遥か上の世界がある事を思い知らされる気分だ。

この日の感想を、後日、例の知人に話すと、東池袋店主の山岸氏ご本人が、著書「これが俺の味」の中で、「その日の天候、特に湿度に応じて麺の出来具合は変わってしまう。湿度が高いときの方がしっとりとしたいい麺が出来る」「自家製麺の店に食べに行くのであれば湿度の高い日を狙っていくと良い」旨の発言を述べられていると言う。そして実際に知人も食べて、雨の日の「東池袋」大勝軒の麺の想像を超えた「質感」の違いの大きさに驚いたと言う。
東池袋大勝軒はその日の早朝に打った麺を寝かさずに、その日のうちに使い切るから、その日の天候がストレートに反映される貴重なお店であり、それゆえ前日、もしくは早朝から雨が降っている日を狙って行くと、一段と美味しい麺に当たると言うことらしい。

素人としては、湿度などでそんなに麺の出来が変わるものかと思ってしまうが、自家製麺のお店の店主さんの中には、「水一滴でも麺の出来が変わる位だから、湿度の影響は計り知れないほど大きい」などと言う人もいる。
そういえば、今はどうか判らないが、「支那そばや」でも地方のノレン分け店などに対し、店主が製麺に熟練するまでは、その日の現地の「温度」と「湿度」を佐野氏へ電話させて、その日の製麺に使う水分量や塩分量、カンスイ量などを細かに指示される・・・と言うような話を以前聞いた記憶がある。

もちろん、雨の日でも出来栄えにブレはあるのだろうが、もし毎回このグレードの麺が食べられるとしたら・・・次回の雨がなんとも待ち遠しくてならない。
それにしても、今回のつけ汁は明らかに60点前後の出来と言う感じであったにもかかわらず、麺の美味さだけで、ここまで食べ手を魅了してしまうとは・・・まさに恐るべし「東池袋」である。
これでもし・・・・「製麺」、「つけ汁」、いずれも100点満点の日に当たったとしたら・・・・・・・・この東池袋の地に、いったいどんな「もりそば」が光臨するのか、想像するだけでも背筋が凍る想いだ。


(麺は完食。スープ割も完飲。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その7〜




再び雨天に訪問。
店外に張り出されたメニューには
お?・・・・いつの間に「ワンタン麺」が?






「麺硬めお断り」との貼り紙。
(´Д`;)






食べ終わってお店を出たところ・・・。
目の前のマンションは8割がた完成と言う感じですた。






そびえ立つ新築高層マンション群。
うぅ、あまりに高すぎてカメラに収まらん・・・。










2006年2月下旬 特製もりそば 650円
(この写真はクリックで拡大します)



「雨の日」を狙って再び訪問。

毎回、さまざまな表情を見せてくれる「特製もりそば」。
むしろ、その日の「出来」を想像しながら通うのも一興ですな。

そして、この地で食べられるのも残り数ヶ月・・・。
新作の「ワンタン麺」も気になります。









麺は・・・ちょっと水切り不足・・・。
見た目からしてピチャピチャ・・・してます。
水がしたたり、あからさまに「水分過多」の麺。
うーん、もったいないですね。






今回は、かなーり・・・・「甘い」つけ汁。
砂糖の分量を間違えたのかな?






しかし、最後は大逆転、スープは本当に「超絶品」でした。
こんなに動物性のコクが濃厚かつ上手に出ているスープは・・・
大勝軒含め、他店でもほとんど記憶がないです。




2006年2月下旬 特製もりそば 650円

2005年末にやっていたテレビのラーメン特集番組で、東池袋大勝軒が2006年9月でこの地を去る(移転先は未定)と放映され、それなら何とか今のうちに・・・・と思い、再び訪問してみた。
できれば前回のような「朝から雨の日」に訪問したいと思っていたところ、絶好の雨日和があり、これ幸いと閉店間際を狙って行った。しかし、列は10名ほどなのに、並んでから食べ始めるまで40分ほどの長い待ち時間となった。どうやら、雨の日は「テラス席」が使えないので回転がかなり落ちるようだ。
ちなみに今回は意外に店員さんの数が少なく、五人位しかいなかった。また、店外のメニュー見ると、いつからか・・・なぜか「ワンタン麺」を始めたようだ。

登場した「もりそば」、まずは麺だけを食べてみると・・・・麺は、茹で過ぎと言うのではないのだが、あからさまに「水分過多」でビチャビチャとしている。多加水と言うのではなく、ほとんど水から引き上げたばかりのような状態だ。
どうしたのかと思い、箸で麺を持ち上げてみたところ、器の下、半分近くまで「水」が溜まっている・・・。うーん、明らかに水切り不足である・・・・。
そのため、麺にキリッとした「締まり」がなく、何とも水っ気の多い食べ心地だ。期待していた前回のような「サクサク」「プリプリ」とした足並みの揃った感じがない・・・・。終了間際の時間帯で、仕上げにあせりでもあったのだろうか。

気を取り直して、麺を汁に浸け「ズルズルズル・・・・。」
再び、びっくり、つけ汁が思い切り「甘い」・・・。化調や酸味は僅かなのだが、ともかくかなりの「甘さ」。まる砂糖菓子のような甘さが支配している。
最初の3口ほどはそのまま食べたが、歯がむずがゆくなるほど甘い。さらに麺と一緒にたっぷりの水がしたたってつけ汁へ入って来てしまうので、つけ汁がどんどん薄まってしまい、一層、「締まり」のない味になってしまう・・・。

我慢できなくなり仕方なく卓上の「一味唐辛子」「ラー油」をやや多めに入れ、さらに「辛し味噌」「オロシニンニク」を入れてみた。これらの強い辛味や辛気で、多少はパンチが出るとともに、甘味も抑え気味になり、気を取り直して食べ進む。
メンマは柔らかくやはり甘め。さらに茹で玉子がまたさらに輪をかけて甘い・・・どうしたのだろうか。チャーシューは2枚入っていたが、大きい方はモソモソと歯応えが重く旨味はあっさり、小さい方はホグホグと歯触りが良く、肉の旨味がたっぷりで美味しかった。

今回は、「麺」も「つけ汁」も随分と不調だなぁ・・・とガックリして、最後のスープ割もやめようかと思ったが、結構、寒い日だったので暖まりたかったこともあり、余ったつけ汁を半分ほど麺皿へ空けてから、スープ割をお願いした。
相変わらず良心的にたっぷりと注いでくれたそのスープ・・・・。一口飲んでみて、今度は良い方へ「びっくり」である。
これが驚くべきことに何とも「絶好調」の素晴らしい美味しさ。いつもならスープ割は「魚系のきれいな旨味」が中心なのだが、今回は「豚と鶏」の動物系の旨味、エキス感、強いコク・・・が、舌の上、ノドの奥へと「真っ直ぐ」に突き抜けるように入って来て、その濃縮された旨味が胃の中で「炸裂」する感じの、絶品の「動物性スープ」であった。
まるで、図太い「豚肉ソーセージ」をノドの奥まで突っ込まれて、グリグリ回されたような気分だ。
こんなに動物系のコクが濃厚かつ上手に出ているスープは、今まで大勝軒含め、他店でもほとんど記憶がないと言うほどに美味しい。

いやはや・・・これなら今日はラーメンにすれば良かったと激しく後悔し、もう一杯行くかと思案するも、既に3時をとうに過ぎ、本日の営業は終了である。
さすがに「スープ割、おかわり」とも言えないし・・・・。うーん・・・これは、また「次、来たくなる」設定だなあ・・・と苦笑する。

お店を出ると、道路向かいの空き地だった場所には、既に高々と建設中のマンションがそびえ立ち、はや東池袋の新名所になりそうな様相である。
ちなみに大勝軒店主の山岸さんは、現在お店には出ていないそうで、都内にご自宅があるそうでそちらにいらっしゃるのだろう。
しかし、現役時代はこの大勝軒店舗の二階のアパートに泊り込みで毎日働いていたらしい。さらに足が悪く、日によってはアパートの階段を昇れない日もあり、そう言う日は一階店舗の客席スペースに「厚板」を敷いて、布団をかけて一人眠ったそうである・・・・。

再開発とは言え、この店舗で既に40年以上営まれて来た身としては・・・・立ち退きと店舗の取り壊しは、まさに「断腸」の想いだろう。
今日は、働いているお弟子さん達も、心なしか表情が寂しそうに感じられた。
九月まで・・・・あと七ヶ月・・・・。帰り道、移転先が一日も早く無事に決まりますようにと、強く心に念じた。


(麺は完食。スープ割も完飲。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その8〜










2006年6月上旬 中華そば 630円
(この写真はクリックで拡大します)



なんだか・・・「麺」が随分と変わりましたなぁ・・・。
スープも、今日は「粉末系調味料」っぽい魚味が強いです。

作り手次第で多少味が変わるのは判りますが・・・
もう少し、「伝統の味」を大切にリスペクトして欲しい気がします。

海苔がくっついていたのか、
二枚入っていてちょっと得した気分。
(´Д`)









舌を覆い尽す強力な「魚系」の旨味が、やや不自然に強く感じられるスープ。
粉末の「カツオ風味調味料」を入れすぎたような・・・ちょっと「勇み足」な印象。






大勝軒伝統の自家製麺ですが、製麺方法を変えたのか・・・
「モニョモニョ」「モムモム」と粘りが増した感じの
動きの鈍さ、歯切れの重さがある、やや曖昧な食感です。
さらに「硬めの麺」に仕上げたいのか・・・・どうやら茹で不足気味。




2006年6月上旬 中華そば 630円

以前、「雨の日のもりそば」の麺の美味しさに感動して以来、気が付けば、なんと既にもう丸一年が経過・・・・。まさしく「光陰矢の如し」・・・・とはこの事か。
六月・・・・再び「梅雨」のシーズンが到来した訳だが、この日は「雨」でこそなかったものの、朝からどんよりとして今にも降りだしそうな湿度の高い曇天であった。
一年前の感動を期待して、大勝軒へ向かう。開店時間より早めの10時50分頃に到着したところ、既に開店していて先客が12名ほど席に着いていた。

この日は「中華そば」を注文してみた。お店のスタッフの顔ぶれは毎回のように異なっている。変わらないのはただ一人オレンジ色のシャツを着用した古くからの方だけである。しかし、この方は店の仕切りだけで、直接調理にタッチすることは少ないようだ。

登場したラーメン・・・・見た目は立派に「大勝軒」である。
しかし、スープは一口目・・・・動物系は大人しめであり、反対に舌を覆い尽す強力な「魚系」の旨味が、わざとらしいほどかなり強めに感じられる。
この味の強さ・・・・思い切り「パンチ」のある味を出そうとして、調味料を多く入れすぎ、あからさまな「勇み足」になってしまっている印象を受ける。
味が自然に「スーッ・・・・」と舌に染み込むようにやって来るのではなく、まるで舌に濃い色の油彩絵の具でも塗り付けられたかのような・・・・かなりゴテゴテとあざとく「味」が感じられてしまうのだ。
プンプンと香るこの魚系の風味・・・・まさしく、粉末の「カツオ風味調味料」を入れ過ぎている味だろう。パンチのある味を狙うのも良いのかも知れないが・・・・ここまで入れてしまうと、むしろ味が強過ぎて、クドくて、重く感じられ、舌が負けてしまうと思う。

一方の麺は・・・・実は、ここ数回ほどの訪問でも感じていたのだが、今回はっきりと「変化」を確信させられた。
まず、箸で持ち上げてみようとすると、妙に何か重い抵抗がかかっていて、麺の動きが悪く、軽快感に欠けている印象である。食べてみると、実際、「モソモソ」として硬い・・・・。
以前とは粉の配合や水分量、卵の量などを変えているのか、往年の頃の「サクサク」「プリプリ」ではなく、「モニョモニョ」「モムモム」と粘りが増した感じの食味になってしまっていて、口当たりや歯切れが重くなっている。この感覚は「モチモチ」と言う心地よい感触とは、またかなり異なるものだ。
また、客からよほど頻繁に「麺硬め」を注文されるのか・・・・それとも作り手の個人的嗜好の反映なのか・・・・今回の麺はかなりの「硬め」の茹で加減・・・・いや、むしろ「完全な茹で不足」で提供されて来た。山岸さんのレシピ通りの茹で時間よりかなり早く麺を湯から上げているように感じられ、そのため、麺が生煮えで中心部が粉臭いし、製麺に使った麺の塩分が湯の中へ抜け切っていないため、麺から塩の味がしてしまう。

私的には、東池袋大勝軒の麺の持つ魅力と真価は、「プリプリ」とはじけるような「小気味良い口当たり」と「サクサク」という足並みの揃った軽やかな「歯切れの良さ」、この両者の醸す無類のバランスこそが身上と思って来たし、だからこそ訪問を重ねて来たのだが、どうも最近の東池袋大勝軒のスタッフの方は、「違う価値観」をお持ちのようだ。
そのため、食後の後味までもがかなり変わって感じられる。硬い麺は胃に重くもたれ、スープの強い調味料がいつまでも舌に残った。
今回は、スープも麺も・・・・いかにも修行を始めて半年以内位の人が作ったかのような「習作」的ラーメンと感じられた。

前回の「もりそば」のつけ汁も、なぜか異様に甘かった事が思い出される。
これらの変化は、単なる調理の「ブレ」なのだろうか、それとも意図的なレシピの「変更」なのだろうか・・・・。
もしも、意図的な変更だとしたら、山岸さんがほとんどお店へ姿を見せなくなってしまった今、たまたま製麺やスープの担当となったスタッフが、「俺ならこうする・・・」「今の流行はこうだ・・・」と言う「思い付きレベル」の考えで、「40年の重み」のある味をあれこれ安易にいじって変えてしまうのは・・・・如何なものだろう。

若い作り手があれこれと「創意工夫」することは大いに結構なことであるとは思うが・・・・だがしかし、大勝軒のノレン分け店が勝手に味を変えるのとは「意味」が全然違うのである。
「本店」の作り手が勝手に味を色々と変えてしまったら、「40年の伝統の味」がこの世から消滅してしまうことになる。
もしそうなれば、以降は、いくら本店で修行しても「本物の大勝軒の味」「山岸さんのラーメンの味」を知る後継者は一人も輩出されなくなる事になってしまう。
今回がたまたまの「ブレ」で終わる事を強く願いたいが、山岸さんご自身はどう思っているのだろうか・・・・。


(麺は完食。スープは2割飲んだ。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その9〜




ほぼ完成した「摩天楼マンション群」の麓に・・・・
大勝軒への変わらぬ行列が見えます。






大勝軒のすぐ裏手は、既に「資材置き場」になっている様子・・・。
いよいよ、この一帯も「再開発」へのカウントダウンが・・・。






大勝軒の入居しているアパート「角ふじ荘」。
かって、この二階には山岸さんのお部屋があった事も・・・。






うーん・・・・45年間、続いたこの「光景」。
雨にもマケズ、風にもマケズ、雪にもマケズ・・・・続いた
この長蛇の行列が見られるのも、残り僅か・・・・。






この日、勝手口でレジをご担当されていたのは山岸さんの実妹さん。
お店がなくなるのは、きっと「断腸の想い」でしょうね。

勝手口の右脇に出前用の「おかもち」が複数置かれています。
つまり、これだけ超繁盛していても・・・・実は、いまだに、
大勝軒は手間のかかる「出前」もしているんです。
創業時から、ずっと支えてくれたご近所への恩返しの気持ち・・・との事。










2006年12月中旬 特製もりそば 650円
(この写真はクリックで拡大します)



この日は、初めて外の「テラス席」で食べました。
(*゜∀゜)=3

今でこそ定番になった「つけ麺」ですが・・・・そのルーツは
「ラーメンの神様」山岸一雄氏が、40年以上もの歳月をかけて育て上げた
この独創の「エポック・メイキング・ヌードル」です。

ラーメン業界に大いなる「足跡」を残した不滅の「金字塔」。

これぞまさに、後世に語り継がれるべき・・・・
「殿堂入り」の一杯でしょう。









つけ汁の器が、白色から黒色へ変わりましたね。
今回のつけ汁は動物性ゼラチンのトロミ感がなく、「サラリ・・・」とした食感。






今でこそ、「大盛り」系のメニューも珍しくないですが、
40年以上も前から毎日この「量」を提供していたのですから・・・。






おお、あの・・・大好きな「プリプリ、サクサク」した食感が帰って来ました (゚∀゚)。
モチモチした舌触りと、ほんのりとした甘味の・・・極めて「優しい味わい」。
ただ、今回は後味にちょっと塩気が触る感じも・・・。






茹でると、断面が「プックリと丸く」膨らむのが大勝軒の麺の特徴。
眼前の「ブロック塀」とにらめっこしながら食すのも・・・
これまた「一興」ですな。






うーん・・・・サックリとした歯触りで、実に美味しいチャーシューです。
レトロチックながら、これぞ「温故知新」と言う味わい深さ。






スープ割をして頂いた図。
黒い器のせいか・・・・スープの色が濃く見えます。






閉店時間に近いタイミングだったせいか・・・・
スープもやや薄目に感じられました。




2006年12月中旬 特製もりそば 650円

いよいよ2007年の春をもって、東池袋の大勝軒が「45年の輝かしい歴史」に幕を下ろすことになってしまった。
以前のテレビでは2006年9月で閉店と放映されていたが、その後、どうやら若干延期されたようで、数日前に、TV「裸の少年」(2006年12月16日に放送)で大勝軒が登場し、改めて、いよいよこの冬で閉店と紹介されていた。
正確な最終閉店日は番組では言及されていなかったが、インターネットを検索した限りでは、2007年の2月末とか、3月20日頃とか、諸説入り乱れている。
事情通に伺った限りでは、2007年の4月以降、この大勝軒から日之出町公園手前までのエリア一帯は更地にされ、その後には52階建ての巨大な超高層商業オフィスマンションが建てられると言う。

TV「裸の少年」放送の数日後に訪問してみると・・・・テレビの影響もあってか、昼の1時頃で50名近い待ち客が並んでおり、普段以上の行列の長さに一旦は諦めたのだが、2時半頃に再度訪問してみると20名程になっていたので、列に加わった。
並び始めて、10分ほどしたところで、オーダーを取りに来たスタッフから、「店内ではなく、テラス席で良ければすぐに食べられますが・・・」と言われたので、初めてテラス席で食べる事にした。
実は、いつか一度はテラス席で食べてみたいと思っていたのだ。

数分後、薄緑色のトレイで運ばれて来た「特製もりそば」・・・・は、なぜかつけ汁の器が白色から黒色に変化していた。
まずは、汁に浸けず、麺だけを食べてみると・・・・前回のような「生煮え」風の食味ではなくなり、以前のプリプリ感を取り戻していて、とても美味しい。
モチモチした舌触りと、サクッとする歯切れ・・・・口中にはほんのりとした甘味が広がる・・・極めて「優しい味わい」だ。これでこそ、「大勝軒の味」だと思う。
ただ、製麺時に塩を入れすぎたのかどうか・・・・今回は後味にちょっと塩気が触る感じを受けた。

一方の「つけ汁」は動物性ゼラチンのトロミ感が少なく、そのため麺を浸けても、「サラリ・・・」としてしまい、「ピトピト・・・」と粘性を伴って汁が舌にまとわりからむ感じがしない。
今回はテレビの影響でいつも以上に客が並んだせいか、ここ数回の訪問の中でも、一番薄く感じられる。おそらくは、途中で寸胴にお湯を足して、スープを薄めながら増量して、何とかこの閉店間際までスープをもたせて、対応したと言う印象だ。
そして旨味の薄さやコクの少なさを、砂糖による「甘味」で補ってしまっている。ただ、それでも度を超してやたらと甘過ぎる自堕落な味になっていないのは好感が持てる。
うっすらとした酸味も感じられるが、辛味はほとんど感じられない。
また、寒い12月の外気の中で食べたと言う事もあってか、半分ほど麺を食べたあたりで、すっかりつけ汁が冷め切ってしまった。

チャーシューは2片入っていて、サックリと歯切れが良く、大変に美味しかった。
ホロホロに柔らかいのではなく、肉の荒い繊維が詰まっていながらも、上手に煮込んで柔らかく仕上げているのが良く判る。
肉の味はやや抜けた感じがしたが、その分、醤油でしっかりと味が補充され、トータルとしての完成度が非常に高い。

せっかくなので、最後にスープ割をお願いした。
しかし、さすがにスープに「力」がなかったと言うか・・・・油や動物性のコクが少なく、反面、不自然に魚系の味が濃く感じられてしまう。また、素材からのコクが薄い分、つけ汁の甘味が目立って出てしまっており、後味には粉末系の魚風味調味料の味も感じられてしまった。

ちなみに、池袋大勝軒の厨房の狭さ・・・・そして使われている寸胴のサイズ・・・・を見れば、少しでもラーメンに詳しい人なら、この寸胴で一日に200杯超のスープをまかなうのは困難だと判るだろう。
実際、山岸さんがいらした時も、スープが減るにつれ、随時、水道から寸胴に水を足していたが、同時に挽き肉を投入したり、業務用スープを足したりして、「追い炊き」をして味が薄くならないように調整をしていた。

そのため、東池袋大勝軒は、開店直後のスープと、昼の1時頃のスープと、そして終了間際の3時頃のスープと・・・・時間帯によって味が随分と大きく変わってしまう。
ただし、素人考えでは、開店直後の、最も「濃いスープ」が一番美味しいような気がするものだが・・・・実際は、必ずしもそうとは限らず・・・・ひとかたならぬ山岸さんの「調味センス」の素晴らしさに感心させられた記憶がある。
ただ、いくら上手に調整しても、さすがに営業時間の終わりに近づく頃は、どうしても動物性のゼラチン感が乏しくなってしまうのは避けられない。今回も2時半過ぎ、しかも普段以上の大行列の後と言うことで、一層その傾向が顕著になってしまったようだ。


それにしても、今まで、30回以上はこちらのお店を訪問しただろうか。おそらく、今日が自分にとって・・・・「最後」の大勝軒訪問になるだろう。
食べ終えて、箸と器を置くと、言葉にはならない・・・・ある種の感情が胸に深く去来し、次第に大きくなって、抑え切れない気持ちとなってこみ上げて来た。


(麺は完食。スープ割も完飲。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その10〜




この道路の右側一帯、100m程先にある日之出町公園の手前までが、
2007年4月以降、区画整理されてしまうそうです。
その後、52階建ての巨大な超高層ビル一棟が建つそうな・・・。






「メニュー表」と「本日終了」の札。
私が初めてこちらの「大勝軒」を訪れた時は、
「中華そば」が580円の時代でした。






「後ろ髪」を引かれる想いで・・・・いよいよ「大勝軒」を後にします。
もうこの景色を見る事もないのでしょうね・・・・。
ただただ合掌です (TーT*)










同上日 中華そば 630円
(この写真はクリックで拡大します)



1961年の「大勝軒」創業以来、
約「半世紀」もの間・・・・
「特製もりそば」とともに、人気の「双璧」を成した
偉大なる大勝軒の「中華そば」です。

果たして、この一杯が・・・・過去、
一体、何百万人の・・・・「お腹」と「心」を満たした事でしょう。

「大勝軒閉店」の万感の想いとともに・・・・
北風の吹くテラス席で、
「外気」に晒されて食べる「中華そば」は、これまた、
何とも・・・・「感無量」の味でした。




同上日 中華そば 630円

最後の東池袋大勝軒訪問・・・・と言うことで、「中華そば」を連食することにした。
既に営業終了ぎりぎりのオーダーで、閉店時間をまたいでしまったため、急いで食べる形になってしまったが・・・・。

登場した「中華そば」は・・・・いつになくスープの醤油色が濃い目に思える。
まずはスープを飲んでみると・・・・見た目どおり醤油ダレによる「味」はクッキリと感じられるのだが、どこか厚みの少ない「ライト」な飲み口に感じられる。
やはり、先の「もりそば」のスープ同様に、濃厚なゼラチンのトロミ感が少なく、そのため、舌触りが「サラリ・・・」としてしまい、「ピトピト・・・」と粘性を伴って舌にまとわりからむ感じがしない。
スープに醤油ダレの色や味が目立つのも、脂肪分と乳化したスープ成分が少なく、透明度が高いためと言うこともあると思う。

ドッシリとした動物系が控えめな分、魚系の味わいがややあざとい程に主張しているが、全体的に「あっさり」とした和風寄りの飲み口になっていて、これはこれで美味しいと言う人も居ることだろう。
今回のスープを飲んで、どことなく、今年の8月に食べた「豪快」(神奈川県藤沢市)のラーメンのスープを想起してしまった。やはり、ルーツが同じである事が判る。

麺は・・・・箸を入れてみると、以前6月に食べた時のような「無用の硬さ&重さ」は箸に感じられず、麺を探る箸の動きが滑らかだ。
一口食べてみると、前回のような「生茹で」っぽさは消えていて、一安心した。さすがに「硬すぎる」と客から不評だったのか、それとも麺茹での担当者が変わったのだろう。

それでも、「もりそば」の麺が、以前のプリプリ感を完全に取り戻していた事に比較すると、きちんと茹で上がってはいるが、まだやや硬めの状態で上げているようだ。
おそらくは熱いスープに浸るのを見越して、「中華そば」は硬めに茹でているのだろう。そのため、やや芯が残っている感じではあるが、その分、長らくスープに浸ってもヘタらない持続力がある。

チャーシュー、メンマ、茹で玉子・・・・と、具は非常に「安定感」のある出来栄えで、安心して食べられた。
ただ、今回は終了間際でスープの加熱が甘かったのか、スープの温度がやや穏やかに感じられた。また、「テラス席」だった事もあり、寒い外気の中で食べていると、一層早めにスープ温度が低下してしまったようだ。


ちなみに、5〜6年前までは、3時前に「スープ切れ」となってしまい、1時半とか、2時頃で「売り切れ」になってしまう事もしばしばだった。2時過ぎに来て、列に並ぼうとした客が、「売り切れ」で断られている姿を良く見かけたものだ。
しかし、山岸さんが厨房に立たなくなってしまったここ3〜4年ほど前からは、ほぼ必ず3時まで営業をしているようになった。
厨房を覗いても、寸胴のサイズが変わった訳ではなく、寸胴の本数が増えたようにも見えないが、池袋駅から決して近いとは言えない立地でもあり・・・・大勝軒を目指してわざわざ歩いて来てくれた客を、「売り切れ」で追い返すのは、あまりに忍びないと言う配慮なのだろうか。
ただ、その安定営業と引き換えに、今の大勝軒の味は・・・・それなりに「スープ」の濃度を希釈した味になっている・・・・とも言えるかも知れない。

先日のTV「裸の少年」でレポーター役の支那そばや店主・佐野実氏も、20年ほど前に初めて大勝軒を食べた時に、「こんな美味いもの、出来んのかな俺に・・・・」と、その味の完成度の高さに、物すごい衝撃を受けた・・・・と述べていた。20年前と言えば、1986年、まさしく大勝軒の「絶頂期」の頃の味だろう。

私が初めて大勝軒を訪れたのは・・・・佐野氏に遅れる事10年、1996年の頃だった。
初めて訪れた池袋の大勝軒・・・・まずはその辺鄙な場所と、やたらと年季の入った狭い店構えに驚かされた。そして何より、店の前の40人ほどの「無言の行列」・・・・。行列に並んでラーメンを食べたのは、ここ「大勝軒」が初めてだった。今でこそラーメンを食べるための行列は珍しくもないが、当時、一時間半も並んだ末に食べた「大勝軒」の味は、まさしく「衝撃的」だった。
しかし、営業時間がやたらと短い上に、雨の日でも、風の日でも、灼熱の夏でも、極寒の冬でも・・・・確実に一時間以上の長蛇の行列に阻まれ、気軽に行けず、訪問回数は思うようには伸びなかったのが、今から思うと・・・・何とも悔やまれる。

ちなみに、「その頃」の大勝軒の味を知りたい人は、当時の名店ラーメンを特集した書籍「OYSYラーメン」(柴田書店、1994年刊)で、当時の池袋大勝軒のラーメン作りの様子が詳しいレシピと数多くの写真付きで、非常に詳細に解説されているので読んでみると良いと思う。
そして読めば、当時の大勝軒のラーメン作りのあまりの「凄さ」に、「驚きを隠せない」ことだろう。
私も、その本に展開されている大勝軒の複雑なレシピと、膨大な作業量を見せられて・・・・しばし愕然としてしまったほどだ。
そこに図解されていた大勝軒のラーメンのレシピは・・・・私の想像を遥かに超えて「複雑&厖大」な素材が駆使され、あらゆるノウハウが詰め込まれ、一流のスキルが必要とされ・・・・一見して、作るのが「非常に難しい」ラーメンである事が、素人の私にもまざまざと伝わって来た。

逆に、だからこそ・・・・あの不便な立地で、マスコミ操作もなく、実力だけで40年も行列を創るに至れるラーメンだったのだろう。
このレシピを見せられても、普通の人間では、コスト的、作業量的、スキル的に、とてもではないが、容易には同じ「マネ」はできないだろう。おそらくは、どこかしらで「断念」し、どこかしらの材料や工程を「省略」したくなってしまうと思う。

さらに、「ラーメンの経済学」(河田剛著、2001年刊)によれば、池袋大勝軒のラーメン原価率は「驚異の45%」だと言う。
同書籍によれば、全国から集めた高価な厳選食材を惜しみなく投入したラーメンで有名な「支那そばや」でさえ40%、無化調スープで特注麺を使う「麺屋武蔵」でさえ43%であるのに対し、池袋大勝軒は何とこの両店を凌ぐ45%の原価率だと言うのだ。
普通のラーメン店は原価率30%程度であるから・・・・当時の大勝軒のラーメンが、どれだけ無類の「コスト」をかけたハイレベルなラーメンだったのかが如実に判ろうと言うものだ。

それだけ高い原価率のラーメン・・・・普通なら赤字となり、経営の軌道に全く乗らないところだが、駅から遠い不便な場所にある家賃の安い小さな店舗で、人件費のかからない家族経営で、かつ、毎日確実に行列が出来て作った200杯が4時間で確実に「完売」し、「ロス」がゼロと言う・・・・これらの「天与」とも思える奇跡の条件が揃ったからこそ、成り立っていたのだろう。
加えて、17歳の頃からラーメンの道一筋、「自分にはラーメンしかない」と言い切る山岸さんの揺るがぬ決意・・・・繰り返すが、大勝軒のピークの頃の味は、「選ばれし者」にのみ可能な「最も作るのが難しい」ラーメンだったのは間違いない。
そう言う意味では、「その頃の味」を基準に大勝軒を評価する人と、ここ「3〜4年の味」しか知らない人との間で、池袋大勝軒に対する評価は大きく分かれるかも知れない。

また、TV「裸の少年」に登場した山岸さんのお話によれば、現在、お弟子さんの数は200〜300人、暖簾分けのお店は全国に「96店舗」にも上ると言う。
大勝軒ほどの超有名人気ラーメン店が「ノレン分け」と言えば、普通なら、数百万円からの「ノレン代」を師匠へ上納するのが商習慣として「常識」だと思うのだが、山岸さんの自伝著書「これが俺の味」によれば、驚いた事に「大勝軒」のノレン分けを何と「無料」でなさっているらしい。
しかし、大勝軒の門を叩いた何百と言う弟子入り志願の人達も、初めて山岸さんの仕込みを目撃した時は、その圧巻の素材量と膨大な時間を費やす仕込みの工程に、さぞや大いに「度肝を抜かれた」事だろう。

本来であれば・・・・「東池袋大勝軒の味を受け継ぐ」と言うことは、つまり、「原価率45%」でラーメンを売ると言う事に他ならないのだ。
ある意味、この「45%」の壁に耐えられないお店では、あの味の再現は困難なのだと言う事になる。

ましてや、東池袋大勝軒が、半世紀近くもの間、多くの人を魅了し続けてやまないのは・・・・・決して「味」だけでなく、山岸さんの素晴らしい「お人柄」が最高のスパイスになっている事も極めて大きいと思う。
そう言う意味では、ラーメンの「味」だけでなく、ぜひ山岸さんの温かい「お人柄」を受け継ぐお店が誕生して欲しいものだ・・・・・。


今回の池袋本店の閉店を機会に、いよいよ山岸さんもラーメン業界を「ご勇退」されてしまうとの事。
「ラーメンの神様」と崇められている山岸さんのご引退は、業界にとってはまさしく「国家的損失」であり、ファンにとっても非常に残念である事は間違いない。
しかし一方で、私としては正直、少し「ホッ・・・」としてもいる。
なぜなら、一番心配していた事は、ファンの声に応えるべく山岸さんが無理をしてしまい、倒れてしまったりしないか、持病が悪化したりしないか・・・・だったからだ。
また、「東池袋再開発」と言う不可抗力によって、大勝軒が大繁盛の状態のまま閉店に至るという事は、考え方によっては、「大団円」と言えなくもないし、40年以上も行列の絶えたことがないこれほど盛業中のお店が、再開発計画の区画整理のためにやむなく立ち退きと言うことになれば、おそらくは相応の額の補償も出て、山岸さんの退職金の足しにもなれることだろう。

山岸さんが遂に体力の限界を感じ、厨房から離れた数年後に、「再開発」と言う不可抗力によってお店も閉店すると言う「劇的な結末」を迎える事も・・・・・
まさしく、山岸さんと大勝軒は、一心同体と言うか、運命共同体と言うか・・・・私には人智を超えた「天の配剤」が働いているように思えてならない。


(麺は完食。スープは5割飲んだ
。)




↓続きあり






〜東池袋大勝軒 その11〜










2007年3月中旬 メモリアル写真編
(各写真はクリックで拡大します)



2007年3月の快晴の一日、
東京メトロ有楽町線の東池袋駅方面から大勝軒を望む。

樹々の右奥に大勝軒の赤いヒサシが見えます。






ここぞ・・・「つけ麺の聖地」。
定休日なので、さすがに人影はまばらですが・・・
時折、足を止めて大勝軒の閉店の貼り紙を覗き込む人も・・・。






今日は、東池袋大勝軒「最後の定休日」。
大勝軒の建物解体前に
「メモリアル・フォト」の撮影に来ました。






正面から見た図。
ヒサシには燦然と輝く「特製もりそば」の文字・・・。
その左側のシャッターの下りたスペースが「製麺室」です。






昭和36年(1961年)以来・・・実に46年間も大勝軒を支えた
アパート「角ふじ荘」の全景。

この建物は、既にラーメン界の「国宝」と言えるでしょう。






お店の裏手側。
普段、営業日の時は、行列がこの「裏門」の位置まで来ると、
いよいよ、入店まであと「45分ほど」のサインでした。






この細い路地・・・大勝軒で「行列」した人には思い出の場所でしょう。
左の電柱の辺りまで行列があると、ほぼ「二時間待ち」と言われていました。






東池袋の再開発事業の計画概要の案内。
2007年4月から、「既存建物解体」が始まるようです。






大勝軒の跡地に建つ
地上52階建ての「摩天楼」の完成予想図・・・。




2007年3月中旬 メモリアル写真編

いよいよ、東池袋「大勝軒」の終焉へのカウントダウンが始まってしまった。
閉店の日が近くなった2007年2月頃から、閉店を惜しむ客が押し寄せ、平日でも連日200名ほどの行列が出来、ほとんど午前中に「売り切れ」のパイロンが出てしまう状況になっているようだ。

私個人としては、既に「食べ納め」は済ませているつもりであったが、大勝軒の建物が解体されてしまう前に、一度、「メモリアル・フォト」を撮影して置きたくて、3月中旬、東池袋大勝軒の「最後の定休日」に、大勝軒を尋ねてみた。
定休日なら、人影もなく、建物の写真が撮り易いだろうと思ったのだ。実際、さすがに、周囲に人影はまばらであったが、時折、足を止めて大勝軒の閉店の貼り紙を覗き込んでいる人も居る。

カメラで撮影をしていたところ、たまたまご近所にお住まいの方とお話をする機会に恵まれた。
そこで、今後のこの地区の再開発について尋ねたところ、配付された再開発スケジュールの計画概要のチラシを見せて頂けた。
その紙面によれば、2011年初頭には、お隣りの「サンシャイン60」クラスの巨大な超高層ビルがこの地に誕生するようだ。

ちなみに、大勝軒営業の「最後の日曜日」となる2007年3月18日に大勝軒を訪問した知人によれば、最後の休日営業と言う事もあってか、今まで見たこともないほどの超大行列になっていたそうだ。
待ち客の列がサンシャインの通りまで出て、さらにず〜っと延びており、ピーク時には、目算だが、おおよそ「400人」を超える巨大な行列となったらしい。午前中に「売り切れ」表示をしなければ、おそらく更に行列は倍以上に膨れ上がった事だろう。
実際、知人の帰る午後3時頃になっても、まだ待ち客の行列はなんと200名ほども残っており・・・・通常の閉店時間の3時を過ぎて、おそらく数時間は延長をして営業をしていたと思われる・・・・との話だった。

いざ「閉店」で、数ヶ月にも渡り、連日、これだけ無数のファンが詰め掛けるのだから・・・・・やはり、池袋大勝軒の超人気ぶりは「空前にして・・・・絶後・・・・」だと思う。
たとえ、テレビや雑誌のラーメン特集で、「一位」に祭り上げられたお店の閉店でも、こうはならないだろう。
何よりこの連日に及ぶエンドレスの超大行列が、「東池袋大勝軒」こそ、名実ともに「日本一の人気ラーメン店」であると言う・・・・厳然たる事実を証明していると言えるだろう。


ところで・・・・・私が今住んでいる場所の近くにも、40年以上の歴史を持つとおぼしき佇まいの小さな中華ラーメン店があった。
実際に私も数回訪問した事があったが、老夫婦で営まれ、なかなかの味を出していたと思う。
しかし、去年の秋頃からシャッターが閉まったままとなり、いつの間にか「閉店」の貼り紙が貼られ・・・・人知れず、誰にも看取られず、静かに、ひっそりと「閉店」をしてしまった・・・・。
相当な歴史があったお店と思っていたが・・・・閉店に当たり、マスコミの取材もなければ、閉店を惜しむ行列ができる事もなかった。
しかし、むしろ世の中・・・・こう言う形で「終焉」を迎えるお店の方が圧倒的に「大多数」だと思う。

そう考えると、東池袋「大勝軒」は・・・・・
本当に多くのファンから、惜しまれ、労(ねぎら)われ、きちんと見送られて・・・・本当に幸せな「ゴール」を迎えられたと思う。


(東池袋大勝軒最後の定休日)










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