ラーメン&つけ麺食べ歩き
大盛軒
(埼玉県 比企郡)

店名 拉麺大盛軒(たいせいけん)
住所等 埼玉県比企郡玉川村玉川4710-2 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2004年4月下旬 醤油半ラーメン 600円
           つけ麺 900円
           辛塩豚骨半ラーメン 750円 



〜大盛軒 その1〜

(各写真はクリックで拡大します)




到着しました。
建物が道路から少しひっこんでいるので、
通り過ぎないようくれぐれもご注意。
お店の前が駐車場で便利ですな。






営業時間です。
夜は9時で終了してしまいます。






入るとすぐ券売機があります。
麺類はすべて「普通」と「半ラーメン」の二段書き。
量は多めなので、半ラーメンでも少なくはありません。







店内はカウンター席のみ。
調理の丁寧さ、真剣さがひしひしと伝わってきます。
カウンターの左端に製麺室があります。






メニュー。
麺類は大盛りも100円増で可能。
餃子も名物のようですな。






メニュー裏側。
お店の「こだわり」が書いてあります。
「美味しい食べ方」のレクチャーも。










2004年4月下旬 しょうゆ半拉麺 600円



半ラーメンですが量は十分あります。
ともかく、初訪問のため自家製麺のインパクトには衝撃を受けました。
スープは素晴らしい「素材感」であふれていますな。
具の肩ロースチャーシューも大振りでおいしいです。




2004年4月下旬 しょうゆ半拉麺 600円

山あいに近い一本道を走っていると、こつぜんと現れるお店。駐車場はお店の前に数台が停められる。
入口の二重ドアの間に券売機があるが、すべての麺類は「普通」と「半ラーメン」の二段書きになっている。半ラーメンはすべて100円安くなる。しかし、後で実物を見て思ったのは、「大盛軒」(たいせいけん)という名前が関係しているのか判らないが、いずれのメニューも量がかなり多いこと。むしろ半ラーメンが、他店で言う普通のサイズと思ってもいいかも知れない。店内はL型カウンターのみ12席ほど。カウンター横に製麺室があった。ご夫婦とおぼしきお二人が、真剣な表情で調理に当たっていた。

作るところを見ていたら、茹で上げた麺を、湯切りせずザルに入れたまま、茹で釜の脇にずっと1分ほど置きっぱなしにしていた。その後に時間をかけて盛り付けをしている。不思議に思うが、おそらく何か考えがあってのことなのだろうと思う。蒸らしているのだろうか。
幅広の器で登場した醤油ラーメンは、背脂が多めに浮いていて、一見してコッテリ、かなりパンチのありそうなスープである。鼻を近づけると非常に鮮烈な豚の風味が漂い、豚骨臭も結構出ているように感じた。一口飲んでみると、独特の強い豚骨の風味や匂いに襲われる感じで、その直後に煮干やカツオ節などの魚介類の深く豊潤な風味がズシズシと続けてやって来くる。食べ手を深い深い味覚の世界へと引きずり込むようなディープな味わい。とても分厚いコクと出汁の深みがあり、小手先や調味料などに頼ったようなごまかしが一切なく、いかにも大量の素材を惜しげなくたっぷりと使った事が伝わって来る「正攻法」的な、とても堂々としたおいしいスープだ。

しかし、何より驚いたのは「自家製麺」だった。店内の説明書きによると玉子だけで仕上げた全国初の無カンスイ「全蛋麺」とのことである。どうやら水を一切使わずに、玉子だけで練った麺と言うことらしい。
実際に製麺室が客席横にある。見た目は、断面がいかにも真四角な感じの太麺であり、ずいぶんゴワゴワと大きく縮れている。箸でつかむとズシリと重みがあり、色は薄い黄色で、しっとりした瑞々しい表面がまるでナチュラルチーズの切り口のように美しい。いかにも玉子が多く使われている色合いだ。
さっそく一口食べてみると、結構固めの歯応えで、口の中でワシワシする食感がある。麺のコシそのものも固めだが、四角くてカドが立っている麺なので、カドが口内のあちこちに当たると一層食感がハードに感じられる。さらに、ちぢれているので口の中へ入れてからもワシワシとかなり自己主張をしてくる。

メニューには、全国で初の試みの麺ですと書いてあるが、確かに今まで食べた事のない麺だ。ともかく、滑らかさ、モチモチ感、プリプリという系統ではなく、ツルツルとすすると言うよりも、むしろ、わっし、わっしとかき込み、噛み砕いて食べるような食べ方になるだろう。これはほとんど「熟成させてない」麺だろうと思ったが、後で調べてみると、ズバリ、毎朝打った麺をほとんど熟成させずにその日にすぐに使っているようだ。ともかく個性の豊かな麺という強い印象を受けた。

チャーシューは大振りでやや薄めに切った肩ロース、味付けは薄めでとても良質な肉の味を生かしたもの。しかも包丁ではなく、肉屋さんが使うような機械のスライサーで出す直前に一枚ずつ丁寧に切ってくれる。そのため表面が微妙にケバ立って、表面積が倍増しており、スープをよくからめてとても美味しい。厚さも歯応えを考慮した絶妙な感じに切ってくれる。玉子は黄身がサラリとした食感のもの。
店内には雑誌の切抜きが色々貼ってある。メニューなどを読むと、随分深い造詣をお持ちのようで、独自の哲学の元、ラーメン作りに力を入れているお店のようだ。



(麺は完食。スープは7割飲んだ。)




↓続きあり






〜大盛軒 その2〜










同上日 つけ麺 900円



個性的な自家製麺をさらに楽しめるメニュー。
ボリュームもたっぷりで嬉しい限りですな。

丁寧に冷水で締められた麺は、超フレッシュ&ストロング。
他で同じ麺に出会うことはまずないでしょう。




同上日 つけ麺 900円

続けてつけ麺を食す。これだけは「半分」ではなく、「普通盛り」でオーダーした。
広口の器に敷き詰められた麺は300g位以上ありそうだ。麺は醤油ラーメンと同じ自家製麺。しかし、つけ麺になると、さらに一層この自家製麺の個性が際立つ感じである。
相変わらずナチュラルチーズの切り口を思わせるような瑞々しい色合いの麺を、つけ汁に浸けず、まずはそのまま一口食べてみると、玉子風味の深い味わいがあり、やはり打ち立てということで、瑞々しいというか、生々しいというか、フレッシュで独特な食味だ。

お店によっては「熟成」と言って麺を作ってから2〜3日寝かせる。すると麺の表面の水分が蒸発して、表面と中心で水分量に差が生じる。すると表面はやや固くツルツルで中は水分の多いプリプリとする食感が生じる。
しかし、こちらでは寝かせないですぐ使うため、水分差というもののない全体の食感が極めて「均質」な麺になっている。つまり、ツルツルとか、プリプリと言うよりも、歯応えもノド越しも「均一」な、極めて「なめらか」な麺が出来上がっているのだ。ここにこの麺の大きな特徴がある。
例えれば、一般の麺を、表面にコシがある「木綿とうふ」とすれば、こちらは全体が均質な「絹ごしとうふ」のイメージだろう。

そして、固めの麺は、手もみのせいかスプリングのような縮れがしっかりと付いていて、ワシワシ、ゴワゴワとする「ストロング」な歯応えを体現したもの。
そのため、噛み締めると強めで十分な歯応えがあり、わっし、わっしとかき込み、アゴの筋肉を良く使って噛み砕くような食べ方が似合う麺だ。最後に飲み込む頃は「ボソボソ」というやや大人しめの食感になる。ともかく、あえて朝打ちの麺をすぐに使うことで、このようなフレッシュ&ストロングな持ち味の麺を提供しているのだと思う。また、玉子麺ということで、確かに栄養価も高そうな食味であり、カンスイ臭も皆無の、とても「壮健」な印象の麺である。
麺は「ひんやり」と冷水でよく丁寧に締められているので、キュウリやナルトやチャーシューが上に乗ると、ちょっと「冷やし中華」のようなイメージとダブった。

つけ汁は豚骨ベースの濃い醤油ダレに、背脂とゴマを浮かせたもの。白ネギが短冊切りになって乗っている。
麺をひとつかみ浸けて食べてみると・・・・つけ汁はかなりしょっぱめに感じた。醤油の醸造風味がダイレクトに出ていて、塩分が強い芯を形成し、ちょっとヒリヒリするほどのインパクトがある。醤油の風味がかなり濃いので、出汁や背脂なども思ったほどは存在感が感じられない。濃いタレのしょっぱさと、淡白な多量の太麺を交互に食べると、ちょうどいい感じになる。まさにちょうど、しょっぱい梅干で食べる白いご飯のような関係だろう。

肩ロースチャーシューはかなり多めに乗って来て食べ応えたっぷり。つけ汁ではなく冷たい麺の側に乗っているため、脂がとろけていない分、食べるとコールドビーフのような食感になる。スライサーの歯に工夫をしているのか、やはり表面が微妙にケバ立っていて、特有の口当たりになっている。サシの入り方が絶妙。メンマはカツオ節がまぶしてある。冷たい状態のせいか、ちょっと食感がゴリゴリ固く感じた。玉子は相変わらず黄身がサラリとした食感。
麺や具のボリュームは多いが、つけ汁の濃い目の味で、次々に箸が進んでゆく。大量の麺を食べ終わると、呼気に混じって感じられる麺の風味が、余韻として心地よく感じられる。全体として、「壮健」、「質実剛健」、という印象のつけ麺。


(麺は完食。スープ割はせず。)




↓続きあり






〜大盛軒 その3〜










同上日 から塩とんこつ半拉麺 750円



スープと麺のバランスで最も気に入りました。
濃厚なコクと旨味にあふれた辛味塩とんこつスープは絶品。

さらにその絶品スープの中で、自家製の太麺と大振りチャーシューが
その真価をいかんなく発揮していますな。
ハマル人は思いっ切りはまりそうです。




同上日 から塩とんこつ半拉麺 750円 

最後は辛い塩豚骨ラーメンを食べた。
スープの表面にラー油と辛し味噌のようなトッピングがされた豚骨スープだ。豚骨ベースだが、乳化(白濁)はしていない、いわゆる東京豚骨タイプである。背脂が一面に浮き、細い糸唐辛子がアレンジされる。それ以外の具は基本的に醤油ラーメンと同じ。
ラー油や辛し味噌を溶き混ぜながらスープを飲んでみると、意外に穏やかな辛さである。そして、何よりたっぷりとした深い豚骨のコクと旨味があふれるスープが非常においしい。相当な素材が溶け込んでいる深く、濃く、鮮烈な味わいで、バランス的にも秀逸なものを感じる。まさに「本物の味」である。

背脂なども多めに入るため、見た目はちょっとくどそうだが、実際はまったくギトギトしておらず、自家製の太い麺との相性もベストバランスという感じだ。スープが濃厚な方が良く合うのだろう。さらに、チャーシューもこのスープで食べた時が、一番美味しく感じられ、味が生き生きと感じられた。器が幅広なので、大きなチャーシューもとても食べやすい。
赤い糸唐辛子は、噛まない限りは、さほど辛味が出てこないので、自分の好きな辛味レベルに合わせて、噛み砕くと良いと思う。このメニューも他ではほとんど見かけない見事なオリジナリティにあふれている。そのため、一度ハマった人はおそらく足繁く通うことになるだろう。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)










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