ラーメン&つけ麺食べ歩き
たいち
(福島県 白河市)

店名 手打中華 たいち(たいち)
住所等 福島県白河市表郷金山字越堀101-1 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2006年7月上旬 手打中華そば 600円 
           つけめん 600円



〜手打中華 たいち その1〜



お店に到着しました。
白河駅から南東の方角へ約12Kmほど、赤い看板が目印。
写真の道路は国道289号線で、お店は表郷庁舎の少し手前付近です。






平屋建てのシンプルな造作の店舗。
店頭に広めの駐車スペースがあります。






営業時間と定休日。






店内は結構広めです。
入店してすぐにテーブル席とカウンター席。






厨房をグルリと囲むようにL字型のカウンター席が広がります。
窓が大きいので、明るい開放感が心地良い店内。






小上り席もありますぞ。
テレビが点き、雑誌類も置かれていました。
窓からお店の看板と、通って来た国道289号が見えます。






卓上のメニュー。
「手打中華そば」と「つけめん」をオーダーしました。










2006年7月上旬 手打中華そば 600円
(この写真はクリックで拡大します)



修行元の「とら食堂」の味を忠実に踏襲しつつも、
やや繊細路線にリファインした印象を受ける絶品中華そば。

手打ち麺、スープ、チャーシューと、本家に勝るとも劣らない凄まじいレヴェルの高さ。
うーん・・・明らかにこの路線の「奥義」を極めている感じですね。
白河の「血統書付きサラブレッド」と言うイメージです。

そして、量がやや控えめで口当たりが優しく、
どこかしら繊細で女性的なフィールを感じさせてくれます。









やや醤油味が強めに効かされてはいるものの、
口当たりがとても柔らかく、透明度の高い「奥ゆかしい味わい」のスープ。
後口がクリアで添加物感の感じられない、「ナチュラルの美学」が貫かれている印象。






ツヤツヤとする光沢感のある手打ち麺はやはり「とら食堂」の系譜。
絶妙に「薄く&細く」仕上げられ、ともかく「繊細」で「緻密」な口当たり、優雅で心地よい舌触りに感服。
食べ手の「心の琴線」に触れて来るかのような・・・・非常に「細やかな」タッチ・フィール。






「とら食堂」の麺が適度なストレート感と太さによる「量感」の豊かさがあり、「マッチョ」とすれば、
何とも艶(なまめ)かしい柔らか&細やかなタッチが、どちらかといえば「フェミニン」なフィールを感じさせる麺。




2006年7月上旬 手打中華そば 600円 

平成10年創業、名店が軒を連ねる「白河」においても良く名前の挙がる人気店。そして白河には「とら食堂」ご出身のお店が多いが、こちらもその「とら系」の一軒になる。
白河の中心街からは割と離れていて、地図では白河駅から南東の方角へ約12Kmほどの郊外となり、国道289号沿いで表郷庁舎(旧:表郷村役場)の少し手前にお店がある。
店内は結構広々としていて、テーブル席はもちろん、厨房をグルリと囲むようにL字型のカウンター席があり、さらに小上り席もある充実振り。窓が大きいので、明るい開放感が心地良く、店内はなかなか居心地が良い。

登場したラーメンは、ズバリ、「とら系」のルックスそのものだ。ただ、器がやや小振りで、そのせいかボリューム的にも多少大人しめに感じられる。
まずはスープを一口飲んでみると・・・・鶏ガラと豚骨を使った醤油スープは、口当たりがとても柔らかく、透明度の高い何とも「奥ゆかしい味わい」のスープである。
ガラの優しい旨味、甘味、膨らみ、が実に行儀良く整って出ていて、凛々しい気品に満ちた優しい味わいだ。私が食べ歩いた白河ラーメンの中では、奥ゆかしいながらも、最も味の「乗り」が良いスープの一つだと思う。

スープは「まろみ」と言うか、うっすらとした「甘味」が感じられ、甘トローンとした旨味が見事に舌を捕らえるのだが、後口にはデリケートな酸味が感じられ、鋭角的なキレと透明感を生んでいる。この酸味・・・・酢が入っているとも思えないが、何に由来する酸味なのだろうか。
そして、「白河ラーメン」の例にもれず、「あっさり」したスープの飲み口なのだが、単に「あっさり=薄味」と言う路線なのではなく、化学調味料や塩気による押し付けがましさが感じられず、味わいがクリアで添加物感の感じられない、「ナチュラルの美学」が貫かれている印象・・・・と言う意味での「あっさり」路線なのである。
ただ、醤油の素ダレがやや濃い目に効かされているようで、味付け自体は結構強めでパンチがあるのだが、要は、味わいに「煩わしさ」や「猥雑さ」や「俗っぽさ」と言うものが一切ないので、ともかく飲み口が非常に「洗練」されているのだ。

一方の麺は、平打ち気味の縮れ麺で、カドの丸さがあり、スルスルと滑らかに口に入り、ツヤツヤとする光沢感のある口当たりはやはり「とら系」の系譜である事を物語る。
そして、その「とら食堂」や、他の「とら系」ラーメンと比較すると、明らかに麺が「薄く」、やや「細め」に打たれているのが、こちらの麺の特徴だろう。そのおかげで、すすり心地が非常に優しく、柔らかく、ともかく「繊細」で「緻密」、そして「丁寧」で「正確」、非常に優雅で心地よい舌触りを感じる。

「とら食堂」の麺が、適度なストレート感と太さによる「量感の豊かさ」があり、力感のある「男性的」な麺とすれば、こちらのお店の麺はその何とも艶(なまめ)かしい柔らかい「細やかなタッチ」がどちらかといえば繊細な「女性的」なフィールを感じさせる麺だと思う。実にきちんと食感の足並みがきれいに揃い、一口食べると、もう一口、また一口・・・・と、まるで「無限連鎖」のように、すぐにまた次の一口が食べたくなる美味しさだ。

それにしても、この優しいフィールの手打麺に、この優しいテイストのナチュラルスープが重なるのであるから・・・・食べ続ければ、いつしかこちらまで「優しい気持ち」になってしまう。まさしく、食べ手の心を開かせ、「心の琴線」に触れて来る、艶かしくも癒し系の名コンビである。

さらに加えて、麺を打ってから三日間ほど熟成させているそうなのだが、そのおかげもあってか、私の食べ歩いた白河ラーメンの中でも、最も「ラーメンらしさ」を感じる麺である点も特筆される。
表面の光沢感や歯触りからすると、「とら食堂」同様に玉子の白身を多めに使っている麺だと思われるが、他の白河ラーメンの多くが「すいとん」や「うどん」を連想させるような「中力粉」で作られたモソッとしたすすり心地と、ザラッとして粉っぽい味、溶けかかった表面とプツプツ切れる麺だとすれば、こちらの麺はラーメン用の配合である「準強力粉」で打たれた、ツルッとした硬質な表面、中華麺らしい食味、そして明らかに一段階上の「コシのネバリ」や「アシのノビ」・・・・がある「高グルテン」系の麺なのだ。
特に、歯が入り、麺が切れる直前に一瞬「ググン」と伸びる「粘り腰」を持っている「グルテン」の豊かな食味が、何ともラーメンを食べている感覚を呼び覚ましてくれる。

さらに具の仕上がりにも一切のぬかりがない。
チャーシューは、パサパサと乾燥した感じがなく、「しっとり」とした滑らかなウエットな舌触りで、肉の旨味がしっかりと感じられ、非常に美味しい。やはり爽やかな炭の香りが微細に香り立ち、モモ肉らしいモソモソした食感ではあるが、噛めば噛むほどスルメのように「旨味」がじっくりと湧き出して来るのには驚かされる。私が食べ歩いた白河ラーメンの中では「とら食堂」に唯一「比肩」する美味しいチャーシューだと感じられた。
メンマは細切りで、ショリショリとする硬めのクラックする歯応え。ホウレン草だけは、ややしなびれたようにモソモソとして多少歯切れが硬く、食感に重さがあった。

食べ終わってみれば、何より「細やかなタッチフィールの麺」と、「ナチュラルの美学」が貫かれているような繊細路線のスープが抜群の相性を見せ、その「バランス」の紡ぐ独自のワールドは・・・・俗っぽさや大雑把さが微塵もない、凄まじく精緻な作り込みと高い地点での味の収束度をはっきりと感じさせられる。
いやはや、お見事、修行元の「とら食堂」の味を忠実に踏襲しつつも、やや繊細路線に「リファイン」した印象を受け、素晴らしい毛並みの良さを感じさせる、まさに白河の血統書付き「サラブレッド」と言うイメージだ。

実際、手打ち麺、スープ、チャーシュー・・・・とも、「とら食堂」に肉薄し、拮抗し得る凄いレヴェルの高さであるが、量がやや控えめで口当たりが優しく、どこかしら繊細で女性的な風合いを感じさせるのが個性のようにも思える。
この辺りは食べ手の「好み」次第と言う事になるのだろう。さしずめ、「とら食堂」が白河ラーメンの「キング」であるとしたら、こちらのお店はまさしく「クイーン」と言うイメージになるだろうか。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)




↓続きあり






〜手打中華 たいち その2〜










同上日 つけめん 600円
(この写真はクリックで拡大します)



うむむ・・・・この「つけ麺」、言うなれば「美女と野獣」のイメージ。

艶かしい「細やかなタッチ」が繊細な「女性的」フィールを感じさせる麺と、
厚めのゴマラー油、多めの唐辛子、強い酸味で「重装備」された、
怒涛のつけ汁の醸す斬新なコンビネーション。

「スッパーン・・・」と強烈に口中で炸裂する辛さと酸味が実に爽快です。
このつけ汁の強大なインパクトを、ほんのり上品な甘さのあるたおやかな手打麺が、
何とも優しく、大らかに・・・・受け止めてくれます。









な、なんつー・・・・赤さ (゜Д゜;)
たっぷりの香味油とネギ、唐辛子粉の浮く「ディープ・レッド」なつけ汁。
酢の酸味も強めに効かされ、かなーり舌を「揺さぶる」味です。






麺は光が透けて通りそうなほど薄く、素晴らしく「エレガント」な口当たり。
実にきちんと食感の足並みがきれいに揃っていて、そのまま食べても抜群に美味しい。






「うどん」と「中華麺」のハイブリッドのような麺が主流の白河の中では
最も「ラーメンらしさ」を感じる秀逸な手打ち麺ですな。
特に、準強力粉メインの小麦粉の配合なのか「アシ」の豊かさがヤミツキの美味しさ。






つけ汁に浸けてから引き上げた麺。
麺の透き通るような白い柔肌に、唐辛子粉がビッシリとまぶされる。
器の周辺にもグルリと唐辛子粉の「輪環」が出現。
しかし、このホットスパイシーなテイストがヤミツキに・・・・。




同上日 つけめん 600円

「つけめん」は、果たしてどのようなスタイルに仕上げられているのか・・・・登場するまでとても楽しみであった。
そして、登場したつけ麺を見ると・・・・麺の盛り付け方、具の配置、そしてつけ汁のアレンジの仕方に至るまで・・・・修行元の「とら食堂」のつけめんとほぼ同一のコンセプトによるスタイルのようだ。ひょっとして「手打中華」同様に、とら食堂の出身店は「つけめん」もレシピを共有しているのだろうか。

麺はラーメンと同様にやや細めの縮れた平打ちタイプが、平皿にきれいに盛り付けられている。
箸で持ち上げてみると、光が透けて通りそうなほど薄く、はにかむようなコシとたおやかな動きを持っている。
まずは汁に浸けず、麺だけをそのままたべてみると・・・・・ヒンヤリと冷えていて、とても心地良い柔らかな舌触りと、歯に優しく触る実にエレガントな口当たり。ツヤツヤとする光沢感のある歯応えで、軽く噛むと「プニプニ」「クニクニ」する感じが可愛らしい。小麦の風味と玉子の甘味がバランス良く整い、麺単体での味も素晴らしく美味しい。
そして噛めばやんわりとしたモチモチ感を放ち、麺にデリケートな甘味も感じられ、やはり、どこかしら女性的なフィールを感じる。これ位美味しい麺だと、麺だけで食べても一皿ペロリと食べられそうだ。

そしてやはり、中華そばの時と同様に、白河の手打ち麺の中では、かなり「中華麺らしさ」にウェイトを置いた麺であると思う。
要は、食べていても、モヤモヤと「もりうどん」や「ひやむぎ」などの姿が脳裏に思い浮かぶのではなく、言うなれば、ストレートに「冷やし中華」を想起させてくれる麺の食味なのだ。特にすすった時や、噛み切る時の、「ポヨヨ・・・」と瞬間的に伸びる「アシ」の心地良さは、「うどん」や「そば」では決して味わえない中華麺に特有の美徳である。
そう言う意味では、こちらのお店の麺は、白河でもなかなか貴重な存在だと思え、おそらくはこちらのお店の熱心なファンの中には、こちらの麺が持つ微細な「違い」を感じ取って、魅入られている方が多いのではないだろうか。

一方のつけ汁は、いわゆる「スパイシー」路線で仕上げられている。
最初は香味油(ゴマラー油風)の風味が強く、唐辛子粉と相まって辛味が「ピシッ」と口に来るが、実際には辛味だけでなくコショウも結構効いているようだ。
そして、その直後に「酢」とおぼしき酸味が「グワワワッッ」と無遠慮に押し寄せて来て、そのパワフルさに思わず圧倒されてしまう。その酸味の大波が引いてゆくと・・・・再び辛味が「グワワッ」押し寄せて来て、この繰り返しの波状攻撃に舌が圧倒される印象を受ける。右からは猛烈なホットスパイシー感・・・・左からは強烈な酸味・・・・と、まるで、風の強い日にケーブルカーかゴンドラに乗って、左右からの強風に「グラーン、グラーン、」とゴンドラごとゆっくり揺れているような・・・・食べながら揺さぶられ、「翻弄」されてしまうような感覚がある。

数口食べると、舌先や唇回りが、次第にヒリヒリ、ピリピリ、チクチクとして感じられ始めて来た。この明確な「辛味」は完全に唐辛子の辛さである。
そこへ、酸味とコショウのスパイシー感が加わるため、どことなく結構エスニックっぽい味にも感じられて来る。酸味は酢によるものと思うが、まるで「ところてん」のツユを連想させる鋭角的な酸味の使われ方、味のキレ方がされているので、もともと「濁り」や「粘度」の少ないつけ汁に、一層、「透明感」「あっさり感」が強調されるイメージだ。
逆に言えば、トロリとする「ゼラチン感」「動物性のコク」が少なく、「とら食堂」も同様だったが、ラーメンスープそのままの濃度に、「ゴマラー油」や「唐辛子粉」や「酢」で、つけ麺用に「仕立てた」と言う印象であり、汁が麺にからむようなドロッとした感じや、トプトプ感が少ないので、どうしても「サラッ」として「あっさり」としている食べ心地になり、その分「辛味」や「酸味」がむき出しになっていると言う印象を受ける。

たおやかで優しい風合いの手打ち麺と、ハードパンチャーのつけ汁が醸すコンビネーションは、なかなか「斬新」である。
食べている途中、唐辛子粉の辛さと酢の酸味のため、すする際に何回かむせてしまった。後口も唇回りがややくどい位にヒリヒリとしてしまうのだが、決して「難関」と言うほどの激辛さではなく、むしろこれ位のパンチがある方が「ヤミツキ」感はあるのかも知れない。
途中、男性数人のグループが来店して来て、全員が「つけめん大盛」をオーダーしていたので、この「つけ麺」が地元の多くの人に広く「受け入れられている」のは間違いないのだろうと思う。


(麺は完食。スープ割はせず。)










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