ラーメン＆つけ麺食べ歩き
秀佳亭
（福島県 白河市）

2005年7月上旬　手打ラーメン　500円

こちらの店主さんは、白河の名店「とら食堂」のお弟子さんのお店で修業をしたらしく、とら食堂の「孫弟子」に当たるお店。
店内は広い座敷とテーブル席があり、広めのゆったりとした造りで、雑誌なども置いてあって落ち着いた寛げる雰囲気である。また、窓が大きく取られているのでサンルームのように陽射しが入り、自然採光を生かした造りになっている。

登場したラーメンは500円と言う価格から考えると、ボリュームが豊かで、チャーシューも厚みがあり、玉子やホウレン草などの様々な具も乗っていて、かなりのお得感がある。
スープの出汁素材は、脂の乗った親鳥の鶏ガラをメインに使っているらしいのだが、「とら食堂」のようにいかにも大量の鶏ガラのコクと旨味がガッチリと濃厚にあふれ出ているというタイプではなく、もっと軽快であっさりとしていて、その分醤油の凛としたキレが強調され、目立っているスープだ。鶏油などの油分が少ない分、やや醤油の味が立ち過ぎていてちょっとしょっぱい感じもあるが、その強い醤油味がスープにパンチを生んでいるとも言える。

手打ちの麺は、手打ちとしては加水がやや低めに感じられ、輪郭が強くカッチリした食感がある。そのせいか、食べてみると見た目よりも細めに感じられ、ツルツルすすれて、プルプルしたハリがあり、縮れた角がトントンと心地よく歯をノックする感じになる。そして、リズム良くすすれて、軽快ではあるが、表面がややプラスチッキーと言うか、軽く歯を弾くような硬めの感覚を受け、強めのコシのせいか、噛み締めるとややゴツゴツとした感じが残ってしまうが、むしろその食感を積極的に狙っている感じがある。手打ちは好きでも柔らかい麺が苦手な人には、かなり支持されそうな麺だと思う。
麺帯がかなーり良く練り込まれた感じで、小麦粉の結合が強く、グルテンの量がいかにも多い感じ、ノド越しよりも、歯応えを楽しむタイプの麺だ。
また、こちらの麺は青竹で打つようなのだが、カンスイは使わず、カンスイの原料となる「かん粉」を使用して凝固させる珍しいタイプだと言う。そのせいか麺の風合いに透明感がある感じで、雑味がなく、小麦の旨味や風味が良く出ていて美味しい。

チャーシューは、モモ肉特有の歯応えがモソモソする感じがあり、さらに厚みがあるために歯切れが重く、ちょっとモッサリと感じられてしまう。噛み砕いてもなかなか繊維がほぐれず密に絡み合っている感じで、アゴを良く使って食べる感じになるが、あまり肉汁が感じられるタイプではない。
また、おそらく製法が同じだからなのだろうか、やや弱めではあったが、やはりとら食堂と同じような清々しい不思議な香りがチャーシューから感じられた。周囲がピンク色になっているのは、新鮮な生肉を蒸し焼きにすることで、チャーシューの外周に血が集まり、ピンク色になって残ると言うことらしい。
茹で玉子は固ゆでタイプのスライスされたものが入る、白河で玉子が入るのは珍しいが栄養面のバランスと言う点では大いに歓迎したいところだ。
ホウレン草は、緑色野菜の特有の風味などはそれほど強くなく、あくまで彩りとして添えられている印象。海苔やメンマも同様に感じられた。

歯応え重視で強いハリとコシのある手打ち麺は、全体的に「緩く」「優しく」「柔らかな」麺が多いと感じた白河のお店の中では、なかなかの独自路線を感じさせ、魅力的な異彩を放っていると思う。
また、あっさりしながらも甘味がなく醤油のキレが強調されたパンチのあるスープ、量感のある厚いチャーシューなどなど、どちらかと言えばやや硬派と言うか、働き盛りの男性向けにチューニングされた印象を持たされるラーメンだ。
自家製の「からし」を使うと言う「からしラーメン」も人気の一品らしい。


（麺は完食。スープは３割飲んだ。）

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