ラーメン&つけ麺食べ歩き
心麺
(埼玉県 北本市)
店名 |
支那そば 心麺(しんめん) |
住所等 |
埼玉県北本市本宿1-22 【地図表示】 |
禁煙 |
タバコ完全禁煙 |
訪問日 |
2004年8月下旬 塩ラーメン 700円 |
2007年2月上旬 醤油ラーメン 750円 |
〜心麺 その1〜
到着しました。
JR北本駅から南へ600mほどです。
青い看板が目立ちますな。
お店の前に駐車スペース。
裏手にも広めの駐車場がありますぞ。
営業時間など。
月に2〜3日しか休まないようです。
店内風景。
カウンターとテーブル席があります。
昼時は特に混雑してますな。
メニューです。
夏季限定の「冷し中華」を除くと、
修行先の「支那そばや」と同じメニュー構成ですね。
塩ラーメンをオーダーしました。
2004年8月下旬 塩ラーメン 700円
(この写真はクリックで拡大します)
とてもスマートなルックスの美しい塩ラーメンですね。
洗練されたダシの上に鮮やかに描かれる「凛」とした塩味の輪郭が
実に素晴らしく、食べ手を深く魅了します。
「あっさり」ながら無類のキレを持つ透明感あるスープ。
軽快なハリとスピード感のある極細麺も秀逸。
スープも麺も、まるで「透き通る」ようです。
まるで出汁の「上澄み」だけを使っているかのような
とてもクリアで鮮烈な味わい。
この細さにして、素晴らしい「ハリ」と「コシ」がある極上の麺。
まとめてすすっても、口の中で、麺の一本、一本が、
きちんと「独立」して存在を主張するイメージ。
2004年8月下旬 塩ラーメン 700円
名実ともに埼玉県屈指の人気店の一つ。こちらの店主さんは「支那そばや」鵠沼本店で佐野実氏の元で修行したらしい。
混雑時は、ノートに名前を書いて順番を待つ方式。お店の入口には待ち客用に数脚の椅子が置いてある。
登場したラーメンは、修行先の支那そばやの塩ラーメンとやはり良く似ている。スープも麺もまるで「透き通る」ようで、僅かに油が浮いているだけのとてもスマートな佇まいだ。
まずは一口、スープを飲んでみると、透明に近いスープからは想像できないほどの、旨味とキレがあるスープで、芯のハッキリした実に見事なほど「ピントの合った」味であり、じんわりと味が立ち上がるというよりも、一口目から「明確に」美味いと思わせられてしまうスープだ。
支那そばや同様に名古屋コーチン丸鶏を使い、さらに珍しい烏骨鶏(ウコッケイ)の丸鶏を使っているとメニュー裏に書かれている。これらの銘柄鶏や、魚節、ホタテや海老などの風味が、いずれもが突出せずに、見事に整列して美しい「味の稜線」を形成しているイメージ。しかも素材の厚みのある豊かな旨味ではあるが、まるで「上澄み」だけを使っているかのようなとてもクリアで洗練された「雑味のない味わい」だ。
真夏と言うこともあってか塩はやや強めに出ているが、しょっぱいと言うよりもミネラル感と旨味が前面に出たもの。とても品のあるスープだと思う。
透き通るかのような白い極細麺は、箸で持ち上げてみるとスラリとして長く、口に含むと、旨味にあふれたスープを身にまとって、すすって良し、噛み締めて良し、どこまでも滑らかで、どこまでも味わいが深い。そして、何よりこの細さにして、素晴らしい「ハリ」と「コシ」がある極上の麺である。
箸で多めに一つかみ持ち上げ、まとめてすすっても、口の中で、喉の奥で、麺の一本、一本が、きちんと「独立」して味わいを主張するイメージだ。
麺のエッジと言うか、はっきりした輪郭が、しっかりしたハリが、このスープととてもよく合っている。極細にして伸びづらい見事な麺と思う。
揚げネギやミジン切りネギも実に上品なもので、多すぎず少なすぎずの絶妙な按配、スープの食味を見事にサポートしている。
バラ肉のチャーシューは、味付けは控えめで、風味は「肉オンリー」という感じの、ふくよかな肉の素材の持ち味を最大限に生かしたものだ。メンマは伝統的な「シナチク」の味わいで、ショキショキと適度な繊維感。
ただ、ちょっと大きめの小松菜は、鮮度感があり茎がシャクシャクしてとても歯応えが良いものであったが、たまたまなのか、味わいにちょっと苦味が感じられ、緑の野菜特有のアクが強く感じられるものであった。
「あっさり」「繊細」のイメージでありながら、この味のピントの出し方は実に見事だが、後味的にはちょっと舌に残るものを感じた。また、実は2年ほど前にも、こちらのお店で塩ラーメンを一度食べた事があったが、以前はもっと動物系のコクと量感があったような気がするが、当時の記憶と比較すると、今回の塩ラーメンは量感よりも、透明感とシャープなキレを重視した味にややシフトした印象を受けた。
(麺は完食。スープは5割飲んだ。)
↓続きあり
〜心麺 その2〜
二年半ぶりの再訪です。
昼時を大きく外していたためか、店頭の待ち客はなし。
少々の価格改定があったようです。
「醤油ラーメン」を注文しました。
2007年2月上旬 醤油ラーメン 750円
(この写真はクリックで拡大します)
何とも・・・品良く、美しくまとまった「フォルム」。
基本のレシピは「支那そばや」の踏襲でしょうが、
「自家製麺」に関しては地域性や流行を研究し
常に独自の進化を続けている印象。
熱々で美味しいスープがたっぷりと注がれるのも嬉しいです。
高価な九条ねぎ、そして黒々として香りの良い海苔など、
厳選「素材」へのこだわりも健在。
「厳選鶏」と「醤油」の美味しさを、迷わず「主役」に据えた美味スープ。
「あっさり&まったり」の飲み口が堪りません。
豚骨や魚介はサポート役に徹し、
八角か何かの「チリチリ・・・」とする漢方風の隠し味も。
自家製麺は「塩ラーメン」よりも、やや太くなるようですが・・・
以前より明らかに「歯応え」を増強した仕上がり。
時代ニーズに合わせたグルテン・チューンかな・・・?
2007年2月上旬 醤油ラーメン 750円
約二年半ぶりの再訪。昼時を大きく外していたためか、店頭の待ち客はなしで、すぐに着席ができた。
久しぶりに座った客席カウンターは、意外にカウンターが高く、器が「胸」の位置に来てしまう。そのため、スーッと背筋が伸び、自動的に「姿勢を正して」食べる感じになる。
登場した醤油ラーメンは・・・・スープは「熱々」なのが印象的で、一口目から「勢い」や「パンチ」があり、エネルギー感があふれている。
レンゲのスープを多少冷ましてから、じっくりと飲んでみると・・・・一切の迷いなく「鶏」の美味しさを「主役」に据え、濁らせずに「鶏のコク」を醸し、とにかくあくまで「鶏の美味しさ」と「醤油の持ち味」を上手に生かしているタイプのスープである。
ズバリ、テーマは「鶏」と「醤油」の美味しさの融合のように思う。鶏の美味しさが量感を伴ってきれいに出ていて、醤油ダレとしっかりと「蜜月」関係にあり、豚骨や魚介も使っているようだがこれみよがしに主張はせず、他の余計なものがその間を遮らない良さがある。
昨今、流行の濁った「豚骨魚介」+「魚粉」タイプとは異なり、「豚骨」のゼラチン乳化による「ドロリ」とした重みや、魚粉の「ザラリ」とする粗さがなく、シンプル&スムーズな口当たりであり、「支那そば」の系譜を感じさせる「あっさり感」「シンプルさ」をどこかしらに残して感じさせながらも、古臭さの一切ない、明るい現代的な味わいだ。
以前、鵠沼時代の「支那そばや」佐野氏のラーメンも、こう言う鶏の美味しさを「主役」に据えたラーメンであったと思うが、現在、新横浜ラーメン博物館で提供されている「支那そばや」の醤油ラーメンは・・・・もっと多数の素材が加わり、とにかく複雑&高尚化してしまって、まるで一流の「混声合唱団」のような趣きになっている。
それはそれで凄い事だが・・・・シンプルに「優秀な鶏」の美声ボーカルを堪能するなら・・・・「この頃」のレシピの方が好きだと言う人もいるかも知れない。
味付けは、やや濃い目に感じられるが、昨今の旨味や薬味がゴチャゴチャしてうるさく、「いじり過ぎている」「こり過ぎている」と感じるラーメンや、「たんぱく加水分解物」系の調味料を大量に使った閉塞感のあるスープとは異なり、妙にゴテゴテしてやたらとクドい重さのあるスープでもない。「シンプル」、「明快」、「素直」な味わいの中に、鶏の旨味、香り、油の美味しさ・・・・を上手に「詰め込んで」いる。
ただ、僅かに舌に「チリチリ・・・」と触る漢方風の微細な風味が見え隠れするが・・・・この隠し味風味は、どうやら極少量だが「八角」か何かの中華系香辛料の風味が効かされているようだ。この隠し味が加わる事で、スープに個性を持たせる事に成功し、全体の方向性も「和風」ではなく「中華」へと向いていると思う。
やや大振りな器ごとしっかりと「湯煎」してから提供されているようで、器も熱々なので、スープは終盤までほとんど冷める感じがない。ただ、せっかくの上質なダシの旨味がやや熱さに隠れてしまう感じがある。レンゲでスープをすくって冷ましてから飲めば良いのだが、レンゲが小さめなので、一回にすくえるスープが少なく、多少のもどかしさを感じてしまう。スープが多い分、もう少し大き目のレンゲでも良いかと思う。
数口のスープを堪能した後、いざ自家製の「麺」を一口食べて・・・・少々驚いた。
以前に食べた「塩ラーメン」よりも、やや太い麺が使われているようだが、単に「切り刃」のサイズによる食感の違いではなく、明らかに「歯応え」そのものが変化していたのだ。
口中に入った細麺は、「ボワン」「モワン」・・・・と膨れて、噛んでみると・・・・随分と「活き」が良いと言うか・・・・「コシ」が強いと言うか・・・・細麺としてはかなり歯応えの「主張」が強く、意外なほど「強靭」なグルテンの存在を感じる。
見た目の細さから判断して、「この麺の直径なら・・・・この位の咬合力だろう」と思って噛むと・・・・残り1/3位で歯に「ググン」と抵抗がかかり、歯がストップしてしまうのだ。最後にもう一段階強い力を入れないと、最後まで噛み切れない感じがあり、また、その切れ方も「プツッ」と言う明るい軽快な切れ方ではなく、「グニンッ」っとつぶし切れるような・・・・重みと抵抗を放つ切れ方だ。
見た目にはスラリとした外観にほとんど変化はないものの、以前に食べた時から比較すると、かなり「歯応え重視」の小麦粉プレンドへと明らかにシフトしたように感じた。
そう言う意味では・・・・スープとの相性や全体のバランスと言う意味で、若干の方向性の変化として感じられる。また、小麦粉の香り的にも前回の「白っぽい」「滑らか」な風味から、やや「茶色っぽい」「ザラッとした」風味に変化しているような気がした。
チャーシューは比較的大判のサイズで、厚みもシッカリとある。ただ、今回はたまたまだと思うが・・・やや煮込み時間が長かった感じで、素晴らしい柔らかさではあったものの、肉の味そのものは少々大人しめに感じられた。
メンマは柔らかめの絶妙な歯応え。この細麺との組合せを考えると、メンマのこの形やサイズ、歯応えはベストで良いと思う。高価な九条ねぎ、そして黒々として香りの良い海苔など、「素材」へのこだわりも健在である。
食べ終えての印象としては・・・・・「スープ」や「具」に関しては、修行時代の「支那そばや系」の美味しさや魅力を忠実に踏襲している印象であり、同じく人気店の「支那そばや鶴ヶ峰店」(神奈川県)などと「同じ系譜の美味」として感じられる。かっての藤沢市時代の「佐野氏の美味」を味わいたい方には、今では貴重な存在かも知れない。
ただ、「自家製麺」に関しては・・・・前回訪問時も、滑らかでのびやかな「極細麺」ながらも、麺のエッジや輪郭がハキハキしていて、ひとかたならぬ「ハリ」と「コシ」があり、「極細にして伸びづらい」見事な麺だと思ったが、それでも・・・・おそらくは客から、よほど頻繁に「麺硬めで・・・」とオーダーされるのかどうか、現在は、更にその方向性を顕著に強調し、細麺でありながらも、はっきりと「噛み応え重視」の麺に仕上げているように感じられた。
この食味は・・・・単に「茹で加減」とか「圧延の加減」による食味の変化ではなく、「小麦粉の配合」を工夫しているのだと思う。実際、時間が経っても、噛み切る際に「ググッ」と粘って抵抗する・・・・麺のコシの「粘り強さ」は最後まで弱まる事はなかった。
おそらく、製麺に使う小麦粉そのもののブレンドにおいて、グルテンの多い強力粉のウェイトを高めたのか、もしくは添加用の小麦グルテンを増量してタンパク質の量を増強したようなイメージだ。
ラーメン業界も、ここ3〜4年ほど前からは、硬質小麦を使った「硬くて太い麺」がブームのように思え、「のど越し」よりも「噛み応え」を・・・・「滑らかさ」よりも「がっつり感」を・・・・求める客が増えているように感じられる。ネットで話題になって人気化する新店の多くも、その「硬太麺」パターンのように思う。
そう言う意味では、こちらのラーメン・・・・「細麺ジャンル」における「しなやかさ」と「歯応え」の両立と言う難題へ果敢にチャレンジし、人気店である事にあぐらをかく事なく、常に「地域性や時代ニーズ」に積極的に応えようと言う、意欲的なアプローチの姿勢と研究熱心さが強く感じられ、好感が持てる。
(麺は完食。スープは7割飲んだ。)
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