ラーメン&つけ麺食べ歩き
リュウキュウアーユーを食べる会
(東京都 千代田区)

(2005/12閉店)

店名 リュウキュウアーユーを食べる会(りゅうきゅうあゆをたべるかい)
住所等 東京都千代田区永田町2−14−3 赤坂東急プラザB1 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明(奥のバーは可)
訪問日 2004年11月中旬 鮎○ゴトラーメン 1000円



〜リューキューアーユーを食べる会〜

(各写真はクリックで拡大します)




赤坂見附駅の真ん前にある「赤坂エクセルホテル東急」です。
その地下一階にお店はあります。
永田町駅、赤坂駅、溜池山王駅、国会議事堂前駅も徒歩圏内。
左手に赤坂プリンスホテルも見えますな。






巨大な建物の右端、ロイヤルホストの下に入口があります。
地下へのドア前に置かれていた看板。
「昼始めます」の告知と営業時間が出ています。






階段を地下一階へ降りるとお店が見えて来ます。
ノレンが大きいですな。






入店すると待ち客席にはスゴイ量の単行本。
実はこれが何とすべて・・・
「釣りキチ三平」
!?






奥の一帯は「aka」というバースペースになっています。
琉球の「泡盛」などが飲めますぞ。






激流を跳ねる「鮎」のオブジェ。
実際、繊細で上品な味からは想像できないほど
やたらと闘争心(縄張り意識)の強い魚です。






キムチ?鮎にキムチ?
敢えてミスマッチ感覚を狙ったのかな?
「オリオンビール」や「泡盛」もあります。
鮎○ゴトラーメンをオーダー。






「簗」(やな)をイメージしたようなインテリア。
カウンターや箸入れには
無数の「鮎」が描かれていますぞ。






私の手元にも一尾泳いでいました。
実に「風流」な演出ですな。










2004年11月中旬 鮎○ゴトラーメン 1000円



何とも美しいビジュアルのラーメンは
香魚である「鮎」がテーマ。
非常に難しいながらも、素晴らしく価値のあるテーマに
全身全霊で果敢に挑戦している印象ですね。

焼いた川魚の香ばしさがスープへ良く出ています。
やはり鮎は「丸ごと」でのオーダーが「良」でしょうな。
繊細な食味の極細麺も秀逸なセレクション。









スープはダシに「琉球鮎」を使っているとの事です。
淡いトーンの川魚特有の旨味が心地良い
ふくよかな柔らかいスープです。
それでいて味の輪郭がなかなか鮮明に描かれてますな。






極細縮れ麺はスープをたっぷりとからめて
とてもナイーブ&デリケートな食感です。
まさに繊細な「ピアニッシモ」テイスト






丸ごと乗る焼き鮎は琉球鮎ではなく
「飛騨高山産」の鮎を一夜干ししたものらしいです。
背中開きで大きな骨を取ってあるので、
頭から丸ごと食べられます。
熱々の焼き立てで実に香ばしくて美味しいですな。






好みで入れる香草です。
出された時に「○○○○です。蓬(よもぎ)の一種です。」
と説明してくれたけど名前を覚えられませんでした。
(- - ;)




2004年11月中旬 鮎○ゴトラーメン 1000円

世田谷区にある「鮎らーめん」がプロデュースして2004年9月オープンしたお店。
当初は夜の営業だけだったが、2004年10月より昼間の営業も開始したと聞き、訪問してみた。場所は赤坂東急プラザの地下一階という何とも素晴らしく豪華な場所である。店内もかなり広く、40坪位はあるのではないか。店内インテリアも「鮎」と「琉球」がコンセプトとなっているようで、相当に凝った作り込みが成されている。待ち客用のウェイティングスペースがあり、さらに店内の壁に沿って待ち客用の椅子がある。その待ち客用なのか、100冊位のマンガの単行本が置かれていた。チラッと見た限りだが、これが何と全て川釣りマンガの傑作「釣りキチ三平」だったのには、びっくりした。

コの字型にグルリと回り込むカウンター席は、「竹」や「木目」を生かした物で、何となく鮎の「簗」(やな)をイメージしたものに感じられた。良くみると、カウンターや箸入れには、何百もの「鮎」の泳ぐ姿が描かれている。「風流だなぁ」と、思わず声が出そうになった。店の奥には琉球(沖縄)の泡盛等を楽しめるバーが併設され、「食後の一服はこちらでどうぞ」と書かれている。
席まで案内してくれた女性スタッフは、「こんなにきれいな日本語は久しぶりに聞いた」というほどの超完璧な言葉遣いと素晴らしい接客ぶり。厨房はちょっと見えづらい位置にあるが、スタッフの声や気配から、とても心を集中して一杯ずつ丁寧に作ってくれているのがはっきりと伝わって来る。

実は私は「無類の鮎好き」であり、そういう意味でもこちらのお店への訪問には特に胸が高鳴るものがあった。
また、鮎は「春に生じ、夏に長じ、秋に衰え、冬に死す・・」と言われる、わずか一年しか生きないいわゆる「年魚」である。したがって鮎の旬といえば6〜8月である。釣るのも「解禁」待ちだ。しかも「香魚」と呼称されるように、その魅力のメインは、ズバリ「香り」にこそある。鮎が川底の「苔」を食べる事で生まれるその特有の香気は無類の「媚薬的」香りであるとともに、非常にはかなくデリケートなものだ。これで年間を通して、どのようにして良い「鮎」を確保しているのかも、興味のあるところだ。

登場したラーメンは、炭火で焼いた鮎が丸ごと載っていて、とても香ばしい香りを放っている。焼き魚ではあるが、サンマやアジなどの海の魚を焼いたような強い匂いではなく、いかにも川魚という感じの淡白で上品な香りだ。
スープは、世田谷の「鮎ラーメン」のスープをベースとして、さらに「琉球鮎」をダシに使っていると言う。お店のHPによれば、「琉球鮎」は遺伝学的にも本州の鮎とは別種で、貴重な存在らしいが沖縄本島では昭和53年を最後に姿を消してしまい、現在は奄美大島のみに生息していると言う。
一口、スープを飲んでみると、淡いトーンの川魚特有の旨味が心地良いふくよかな柔らかいスープだ。確かに、他では味わったことのない特有の優しい川魚系の旨味である。そこへ、浮いた油の柔らかなまろみと、北陸地方の「骨酒」(焼いた岩魚を熱燗の日本酒に入れて飲む)を思わせる、何ともいえない焼き魚の香ばしさが加わり、膨らみのある豊かな味へと組み立てられている。塩味は非常に控えめなゆったりとした利かせ方。
魚の生臭みなどは微塵もなく、実に上品できれいなスープであるが、味の輪郭は弱過ぎることはなく、なかなか鮮明に描かれているのは「さすが」と言う感じ。特に焼き鮎周辺のスープは香ばしさが加わっていてとても美味しいと思う。

小刻みに縮れた極細麺は、麺自体は割とプリプリ感のあるものだと思うが、ちょっと柔らかめに茹でられていて、とてもナイーブ&デリケートな食感である。すすると、ジョボジョボとたっぷりのスープをからめ取りながら口中へ入ってくる。かなり繊細な食味であり、このラーメンにはとても良く合っていると感じるが、コンセプトや全体のバランスを考えての事なのだろうが量はやや少なめに感じた。
丁寧に極細に切られた白髪ネギが載せられ、その風味とともに、この極細麺の食感を良く補強している感じ。
蓬(よもぎ)が一片載せられていて、好みで足せるようにと、別皿でも出してくれた。噛むと野性味の強いワイルドな苦味と香気が「パッ」と瞬発的に揮発する感じ。

焼き鮎は、どうやら背中から開いて一夜干ししたものを使っているようだ。そのため、ふくよかさを維持しつつ身が適度に締まり、熱々の焼き立ての香ばしさもあって、なかなか美味しい。ついつい日本酒が欲しくなる美味しさだ。背骨を始め、大きな骨が取り除かれているので、頭からそのまま丸ごと食べられるのも嬉しい。この焼き鮎、今はまだ琉球鮎ではなく、「飛騨高山産」の鮎を使っているらしいが、近い将来に琉球鮎になる予定のようだ。

しかし、「川魚」が支配するこの淡水ワールドに、「海」の風味の海苔だけは合わないと思った。
とは言え、海苔を入れないとビジュアル的にちょっと寂しいし、なかなか難しいところだ。九州地方では「水前寺海苔」という天然の淡水海苔が存在しているという話を聞いたことがあるが・・。

全体としてみると、主役の座に「焼き鮎」が据えられている印象で、スープや麺はやや脇役になっているような気がする。
そのため、鮎「丸ゴト」なら良いが、「ハーフ」だと、全体のボリュームも変わってしまうだろうし、焼鮎から流れ出る香ばしさも半減してスープの味のバランスも変わってしまうだろう。

また、個人的には「鮎」の真の美味さは、つねづね「松茸」と通じるものがあると思っている。なぜならいずれの真価も「味」にあるのではなく、その馥郁たる無類の「香り」にこそあるからだ。本当に素晴らしい鮎を食べると、鮎の白く美しい身の組織の間に素晴らしく清清しい「香気」の小宇宙が見え隠れするのだ。この香気こそが、鮎の「真価」なのであり、まさに「醍醐味」だろう。
そして「鮎」も「松茸」も、その「媚薬」のような「香り」がとてもデリケートで、産地や個体毎の差がとても大きいことや、香りが実に失われやすく飛んでしまいやすい点でも実に共通していると思う。松茸ご飯などを作る際に、一流料亭などでさえも、香りの補強として、「松茸フレーバー」(人工香料)を加えるお店もあると言う。実際、天然物ゆえ質にバラ付きがあり、さらに保存や調理の過程で香りが飛んでしまいやすい「松茸」を、メニュー商品として「安定」して提供するには仕方のない事なのだろう。
「鮎」においても、養殖の鮎などは、あの特有の「香り」を人工的な方法で作り、「錠剤」として出荷直前に一匹ずつ経口投与する業者もあると言う。

私も、今まで何百と言う「鮎」を食べたが、心の底から「美味しい」と思ったのは、たった1回しかない。4年ほど前の夏に静岡市で食べた「鮎」が、この小さな白身の中に、地の底へ引きずり込まれるような、深い「香り」を秘めていた。確か一匹で1700円位したが・・。その後も日本最後の清流と言われている高知県の四万十川まで出かけ、天然鮎を食べた時でさえも、「香り」が今一つと感じた。しかし、「高級魚」「川魚の王様」と言われる鮎のあの素晴らしい本物の「香気」を、静岡市で一度でも知ることができたのは、今でも本当に「一生モノ」の貴重な味覚感銘だったと思っている。
こちらのラーメンも、まるで北陸地方の「骨酒」を思わせる「川魚」テイストとしては素晴らしいと思うが、「岩魚」(イワナ)や「山女」(ヤマメ)とは異なる、ぜひ「鮎」の真価である「香気」という次のステージへと進んで行ってくれるとさらに素晴らしい。
それと、BGMはサザンオールスターズだったが、ここまでインテリアに凝るのなら、ぜひBGMも清流の「せせらぎ」の環境音楽にして欲しいなぁ・・・。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)











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