ラーメン＆つけ麺食べ歩き
らすた
（神奈川県 横浜市）

2005年2月下旬　らすた麺　600円

「家系ラーメン」の本場、横浜にあっても、屈指の味と評判の高いお店。
こちらのお店がある東急東横線の日吉駅の東口は、改札から出ると放射状に商店街が広がっている。狭い道路と人の多さ、とりわけ学生層が多く、ちょっと雑然とした街の雰囲気はどことなく江古田や下北沢に通じるものを感じる。
お店の開店時間である夕方５時直後に訪問すると、先客２名だったが、その後続々と客が訪れ、数分で満席になってしまった。さすがの人気ぶりだ。

スープはかなり多めに鶏油が浮いている。底から良くかきまわして飲んでみると、塩気は随分と控えめながらも、「醤油」本来の醸造風味がとても良く生きていて、「凛」とした骨格を成している。意外に豚骨は穏やかでジェントルな感じであり、臭みなどは全くなくコクも十分だが、豚骨に負けず劣らずに鶏ガラの風味がしっかり感じられた。フレッシュな素材感に満ち、コクがある割にスッキリした飲み口であり、化学調味料感や雑味がなく、濁りのない「きれいな」味わいという印象。
確かに「油」は多めには感じるが、透明感があるクリア＆ライトな油で、妙なクドさがなく、口当たりが非常に上品だ。

ちょっとオレンジ色がかっていて玉子の栄養満点なイメージの太麺はしっかりと長く、割と太めなので箸で持ち上げるとボリューム感がある。
「プルンプルン」とするやや固めの口当たりだが、噛めば「モチモチ」「シコシコ」する素晴らしい歯応えを放ち、玉子がたくさん使われている豊かな味わいだ。
製麺所は染谷製麺だそうだが、確かに江古田にある「染谷製麺」のラーメンの麺と、色、形状、味ともに共通する麺だと感じた。
スープとも合っていると思うが、麺自身の「味の密度」が濃い印象で、素晴らしく「高級」な味わいという印象である。この麺を、ぜひ「つけ麺」で食べてみたいと思うのはおそらく私だけではないだろう。

チャーシューはちょっとハムっぽい「ポソポソ」するライトな食感、あまりジューシーではなく味付けは薄めだが、全体の中では調和が取れていると思う。ホウレン草は柔らかく、風味が良く、歯切れも良い上質なもの。
海苔はパリパリして美味しいが、かなり青い磯の風味が強く、スープとからめると結構「磯風味」方向へ、スープの味を曲げてしまう気がした。もう少し黒っぽくて、風味の大人しい海苔が合うのではないかと思えた。

半分ほど食べてから、卓上のオロシニンニクとショウガを入れてみると、鮮烈な風味が加わって一段とパンチが増し、キレや清涼感も出てくる。ただ、今回たまたまなのか、ややスープの温度が控えめだったため、冷たく水分の多いオロシニンニクやオロシショウガを入れると、ちょっとスープの温度が低下した感じになってしまった。

スープ、麺、具・・・と、数ある「家系ラーメン」の中では相当に「優等生」的な存在だと思う。
ただ、調味料控えめで味がゴテゴテせず、もたれず、鶏ガラ比率が高いせいだろうか、スッキリした後味は、人によってはちょっと上品過ぎると言うかもしれない気はする。
「家系」ラーメンに何を求めるか・・・・・個々の食べ手の価値観は実に様々である訳だが、もし濃厚でありながらも「上質でスッキリ」した味を求めるなら、私ならこちらのお店を選ぶだろう。


（麺は完食。スープは７割飲んだ。）

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