ラーメン&つけ麺食べ歩き
ぺーぱん
(神奈川県 横浜市)

店名 北海道旭川ラーメン ぺーぱん(ぺーぱん)
住所等 神奈川県横浜市南区高砂町3-34 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2005年3月上旬 正油ラーメン 600円 
2006年8月上旬 塩ラーメン 600円



〜ぺーぱん その1〜



到着しました。
横浜市営地下鉄「吉野町駅」から徒歩4分ほど。
黄色のヒサシと真っ赤なノレンが目印。






北海道旭川ラーメンのお店です。
店名は「べーぱん」ではなく、「ぺーぱん」。






定休日と営業時間。






店内はL型カウンター。
写真付きのメニューが貼られています。
冷水はセルフ。






頭上にもメニュー。
正油ラーメンをオーダーしました。










2005年3月上旬 正油ラーメン 600円
(この写真はクリックで拡大します)



あまりにも美味しくて・・・「ショック」。

そう、一度でも食べれば・・・鮮明に心に焼き付いてしまう
まさに「ショッキング・テイスト」ですな。

世の多くのラーメン好きを喜びで震え上がらせ、
そして大いなる幸福感、満足感とともに黙らせてしまう・・・。
そんな桁外れの実力を持った「一杯」ですね。









ともかく、曖昧さが一切なく、メリハリの利いた明瞭な味の作り込み。
濃厚なダシと醤油の絡み合った、どこまでも深〜いコクに驚きます。
コテコテの香ばしいラードと鮮烈な荒切りネギも絶賛の好相性。






ゴワッとした量感のある太縮れ麺も素晴らしい美味しさ。
やや固めに仕上げられ、すごい存在感のスープをしっかりと受け止めます。
すする際に「ちぢれ」が脈打ち、噛み締めればパンチのある歯応えが絶品。



2005年3月上旬 正油ラーメン 600円 

本場の北海道旭川ラーメンを謳う横浜の有名人気店。
私は本場旭川の地でラーメンを食べた事がないが、都内で「旭川ラーメン」を食べるたびに、寒い冬の旭川で、果たしてこんなに大人しいラーメン、こんなに弱い味のラーメンが本当に食べられているのだろうか・・・といつも疑問に感じる事が多かった。
しかし、こちらのお店のラーメンは明確に違った。このラーメンが誕生し、育まれた地、北海道第二の巨大都市「旭川」の風土と気候を食べ手にしっかりと伝えてやまない、素晴らしいインパクトにあふれた見事なラーメンであった。

こちらの店主さんは旭川ラーメンの有名な老舗「天金」で修行されたらしい。寸胴を3つ使い、鶏ガラ、豚ガラ、ゲンコツを3日間トロ火にかけてスープを作ると言う。
登場したラーメンは、濃い醤油色のスープに薄茶のラードの膜が浮き、まだら模様を成している。不透明なラードの膜が、かなりのコテコテ感を予感させた。

一口スープを飲んでみると、半透明のラードの層が唇にやや硬く当たり、焼き焦がしたような香ばしい風味を感じ、続けて微弱な電流が走ったかのようにビリビリと舌の味蕾が痺れる感じが起きた。
そして、「鯵」(あじ)のような魚の風味が感じられた気がして、以前にラーメン博物館で食べた、同じく旭川ラーメンの「蜂屋」を連想した・・・・が、・・・・後で調べてみると、どうやらこちらのスープには魚介系は使用していないと言う事らしい・・・。
それにしては、割とはっきりと感じられたような印象があったし、あのちょっとビリビリと舌が痺れる感覚は、煮干などの魚素材を大量に使用する「たけちゃんにぼし」(代々木)や「伊藤」(王子)などのスープを飲んだ時にのみ感じる独特な感覚である。
ひょっとしてスープでなく、表層のラードに魚風味を付けているのかも・・・とも思ったが、もしそうでなければ単なる私の錯覚なのだろう。

味の中心には、火入れされて適度に香りが丸くなった醤油ダレが、深ーく、しっかりと効いている。それを濃厚なダシがしっかりと取り巻き、さらにラードのコッテリ感と焼いたような香ばしさが加わって、素晴らしく美味しいスープである。
ラードは焦げるほどに熱してから使うらしく、そのせいか確かに随分と焦がしたような香ばしさがあり、この風味が深みとコクのあるスープに、さらなる個性とパンチを加えている印象だ。

麺は旭川からの現地直送の品らしい。ゴワゴワとした量感のある太縮れ麺で、表面はラードがからんで滑らかながらも、すする際に「ちぢれ」が脈打ち、噛み締めればしっかりとした歯応えと非凡なる「パンチ」を放つストロングなタイプである。まさに、すすり心地、噛み心地、味わいともに文句の付けようがないあまりに卓越した美味しい麺だ。さらにこの濃厚なスープにまったく埋もれず、かといってもちろん喧嘩もせず、この濃厚スープとの相性が素晴らしい。
旭川ラーメンと言うと、ボソボソとして食感がはっきりせず、モソモソとしてインパクトレスな麺が多いように感じていたので、この麺のパンチのあるパワフルな食感には、実に溜飲(りゅういん)が下がる想いだ。

また、食べ始めの数口は、スープの「醤油」「ダシ」「ラード」の味わいが、やや分離して感じられるのが気になったが、麺をすするにしたがって、ラードの層とスープが良く混ざり合って溶け込んで行き、味の一体感が増してくる・・・・すると、スープがグングンと「成長」するかのように、一段も、二段も、さらに爆発的に美味しくなってきてびっくりしてしまった。
この、きれいに混じり合った後の「完全体」でのスープは・・・・とにかく味にメリハリがあり、コクがあり、奥行きがあり、厚みがあり、ナチュラルな旨味がほとばしり出ているイメージだ。しかも、絶妙な甘味も感じられ、実に飲み口の良い仕上がりになっているのは、お見事と言うしかない。
中盤辺りからは、最初のビリビリする感覚も姿を潜め、まさに「ノンストップ」で、口中に「美味さ」が連続して炸裂するようなイメージである。
麺をすするたびに、突き上げるような「美味さ」に見舞われ、思わずちょっとタジタジしてしまうほどだ。

そして・・・・その絶賛のスープと麺を、さらにさらに、数段グレードアップさせている影の立役者までいるのだから・・・・何とも恐れ入ってしまう。
その影の立役者こそ・・・・・一見、無造作に置かれた「荒切りネギ」に他ならないだろう。
何しろ、やや荒々しく歯に当たるその尖った切り方が、このラード多めのこってりスープと、食感的に素晴らしく良くマッチし、ちょっと重くなりがちなスープの食感に軽快感とキレを付与している。さらに、おそらくは意図的だと思うが、「青い部分」が半分ほど混じっていて、この青臭さと苦味が、スープの濃厚さに埋もれず、きっちりと薬味としての強い芳香を放ち、素晴らしい味のアクセントになっているのだ。
この荒切りネギが、パンチのあるスープ、硬めの太縮れ麺、とガッチリ手を組み、まさしく至高の「三位一体」美味ワールドを現出させている印象だ。

このラーメンであれば、既にスープ、麺、ネギの三者のみで、「完成形」のようにも思えるが、具としては他にチャーシューとメンマが載っていた。
チャーシューは薄切りタイプ、ロース肉かモモ肉のように思え、ちょっとモソモソする食感だが、肉の旨味があってなかなか美味しい。メンマはカリカリする繊維感の明確な固めの食感で、薄味に仕上げられていた。

食べ終わってみると、これほど明確に、「うまい」「うまいなぁ」「うまいねぇ」と思いながら、無心にラーメンを食べたのも久しぶりに思えた。化学調味料のような嫌味な後味もなく、ラードも口中にクドく残っている感じはなかった。ただ、手や唇周りはツルツルと油っぽくなっていて、やはりラードが多めの印象はある。
お店を出てから5分ほどして、胃の中から感じる豚骨と焦がしラードの混じった後味に、どこかで経験のある後味と思ったところ、「呑助飯店」(名古屋)の後味を思い出した。

それにしても・・・・これほどストレートに「うまい」と思えるラーメンと出会ってしまうと、逆に他の多くの70点クラスのラーメンが一気に色あせてしまう気がして、嬉しさ半分、ショック半分・・・・という複雑な心境でもある。
まさしく、一度でも食べれば・・・鮮明に心に焼き付いてしまい、記憶から永遠に消え去ることがない・・・・「ショッキング・テイスト」。
実に桁外れの一杯であった。


(麺は完食。スープは6割飲んだ。)




↓続きあり






〜ぺーぱん その2〜



壁にかけられたメニュー表。
今回は、メニュー二番手の「塩ラーメン」をオーダーしました。










2006年8月上旬 塩ラーメン 600円
(この写真はクリックで拡大します)



強く濁った「塩味スープ」ゆえ、外観は「正油ラーメン」と酷似。

スープ自体の美味しさは、「醤油」に軍配が上がるものの・・・・
卓越した「麺の旨さ」は、「塩」の方が遥かにはっきり堪能できますね。

スープ、麺、具・・・・と、良い意味で、
旭川の「オールドスタイル」を頑なに守り続けている印象。









今回の塩スープは「出来立て」のせいか、まったりとする「バター」のような動物性脂肪の風味が感じられ、
豚のホルモン風のディープな匂いが漂い、豚骨の生々しい骨髄感がむき出しになっている印象。
醤油風味がなくなる分、スープの「ナマの姿」がありのままにさらけ出されている感じ・・・。






まさしく「絶好調」、相変わらず「激ウマ」の麺ですなー。
「プリプリッ」と弾むように動きが活発で、噛むほどにツヤのある豊かな味わいが広がる。
まさに、「麺食」の喜びを教えてくれる麺。






口幅いっぱいに「ズゾゾゾゾ・・・・」と、「一気」にすするべし。
さすれば、口中で「プロードウェイ・ミュージカル♪」が上演されるなり。

歯並びに沿って麺が一斉に「ラインダンス」するような・・・・
リズミカルでイキイキと躍動する「生命感」があります。




2006年8月上旬 塩ラーメン 600円

ほぼ一年半ぶりの再訪問。実はこの間にも一度訪問しているのだが、その時は臨時休業に当たってしまっていた。
入店すると、店内は豚骨だけでなく、豚の頭を炊いたような・・・・濃くてディープな豚の匂いがかなり強めに充満していて少々驚いた。見れば何本もの寸胴にスープがタップリと満たされていて、丁度スープを取り終わったところだったようだ。

今回は「塩ラーメン」をオーダーしたのだが、一口スープを飲むと・・・・濃厚な豚骨ガラの「旨味」や「コク」や「まろみ」が、「ドドドッ・・・・」と押し寄せ、そのひとかたならぬ「ガッツ」のある味に圧倒される。
塩ダレはしっかりと効かされていて、汗をかきやすい真夏と言うこともあるかとは思うが、ほんの少ししょっぱめに感じられるが、もともと「繊細系」「じわじわ系」のスープではないようなので、これ位のパンチがある方が判りやすい味になるのだと思う。

そして、すぐに気付いたのは・・・・スープの表層を覆うように、まったりとする「バター」のような風味が感じられることだ。この動物性脂肪の風味・・・・ひょっとして実際に隠し味にバターを入れているのか・・・・それとも豚骨とラードが混じり合って醸される風味なのだろうか・・・・。
さらに、そこへ塩ダレの「塩味」が加わるので、まるで「塩バターピーナッツ」のような・・・・食べていて常に「塩バター」っぽい風味が感じられる。
また、今回は「魚」の風味が全く感じられなかったので、前回に感じた魚風味はスープのダシではなく、醤油ダレの中に使われていたのか・・・・もし、そうでなければ、やはり私の勘違いだったのだろう。

また、今回、ちょうど「出来立て」のスープだったせいか、それとも醤油の強い醸造風味がなくなったせいか、その両方なのか・・・・スープの本来の「ナマの姿」がありのままにさらけ出される印象で・・・・今回のスープは、思っていた以上に骨太なワイルド路線であった。
豚のホルモン風のディープな匂いが漂い、豚骨の生々しい骨髄感がむき出しになっている。人によっては獣臭いと感じてしまうぎりぎり一歩手前まで来ているかも知れない。

例えれば・・・・風味のクセが強いジンギスカン(羊肉)を、濃い味付けの「ニンニク醤油ダレ」や「辛味噌ダレ」などで食べると、羊肉の持つクセがさほど意識できないが、シンプルに「塩」だけで食べると・・・・羊肉のクセも旨味も、その個性のすべてがさらけ出され、隅々まで味わえる・・・・そんなような気分だ。
さらに加えて、たまたまとは思うが、今回のスープは温度がやや控えめだったため、普段なら「熱さ」のパンチで判らなくなる影の部分までもが、一層しっかりと感じ取れてしまった面もあると思う。
なお、醤油スープなら「荒切りネギ」がベストと感じられたが、こちらの塩味スープには、スープの生々しさが増す分、むしろもっと「葷」(くん)の香りの強い「万能ネギ」が良く合いそうな気がする。

一方の麺は、相変わらず「激ウマ」である。
縮れがイキイキとしていて、ハリがあり、非常に美味しい。まさしく「絶好調」であり、実に「非凡なる」美味しさ。
「ボソボソ」感が絶無で、「プリプリッ」と弾むように動きが活発で、噛み締めれば「卵」を豊かに使ったとおぼしきツヤのある味わいが口中に豊かに広がる。
旭川ラーメンの麺と言うと低加水でボソッとした麺が多く、モソモソとして歯応えがはっきりせず、粉っぽく、スープを吸い込みやすい・・・・と言うイメージがあるが、こちらの麺は、あまりスープも吸わず、とてもビビッドなリズム感のある歯応え。この食感を存分に生かすべく、やや硬めに茹でられているようだ。
すするたび、噛むたびに、縮れが活き活きと「踊る」感じがあり、歯並びに沿って一斉に「ラインダンス」するような・・・・「麺食」ならではの楽しさが全開になる。製麺所をネットで調べてみると、どうやら「藤原製麺」らしい。

チャーシューはしっかりと肉の美味しさが感じられてとても美味しいが、はっきりと醤油の味が付いているので、麺やスープで、「塩」の味が連続し、「塩味」に慣れ始めたところへ、不意に強い醤油の醸造味がピリッと現れるため、やや面食らってしまった。
メンマは「パキッ、パキョ」と「割れる」感じの硬めの歯応えで、極めて薄味なこともあり、食味に「竹」っぽさを感じる。

食べ終わってみての感想としては・・・・うーん、あくまで個人的な好みだが、やはり、こちらのお店の「主役」を張れるだけの力量は、明らかに「醤油ラーメン」にあると思う。
醤油ラーメンの出来があれだけ良いと、もはや塩スープで食べる「意味」や「必然性」が見出せない気さえしてしまう。
また・・・・「塩」だと、タレの力が弱めで、スープのパンチやワイルドさが暴れてしまって、やや抑え切れていない印象も受ける。

加えて言えば・・・・・あくまで私見だが、やはり塩スープは「ストレートの細麺」と組合せてこそ、「塩独自の世界」を築ける気がする。太ちぢれ麺との組合せでは、「塩ならではの面白さ」、もっと言えば「塩にしか到達できない味覚感銘」の世界を出すのは・・・・やはり難しい気がしてしまう。

ただ、こちらのお店の最大の美点の一つである「麺の美味しさ」自体は、醤油よりも、今回の塩スープの方が、遥かにはっきりと味わう事が出来た。
塩には余計な香りがないので、麺の小麦粉の風味が醤油の匂いや味にかき消されず、純粋に堪能できるのだろう。

また、様々な新素材や新しい手法を使ったりして、どんどん複雑&多様化している昨今の新顔ラーメンなどを食べ歩いていると・・・・こちらのラーメンの味の造りには、さすがに「新しさ」を感じられる部分は少ないように思う。
長らく「横浜」にあっても、頑として変わらず、決して洗練され過ぎない・・・・いかにも「オールドスタイル」の旭川ご当地らしさを頑なに守り通している「一杯」に感じられる。


(麺は完食。スープは4割飲んだ。)










ホームへ


− BB!ラーメン&つけ麺 名店集 −



本サイトのすべての画像や文章の転載ならびに二次利用を固くお断りします。

Copyright (C) 2004
01ch.com
All Rights Reserved.


.