ラーメン&つけ麺食べ歩き
おくど
(東京都 新宿区)

店名 おくど(おくど)
住所等 東京都新宿区新宿1-11-7 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2005年7月下旬 おくど拉麺 600円



〜おくど〜

(各写真はクリックで拡大します)




お店に到着しました。
新宿御苑前駅から徒歩2分ほど。
奥に見える緑は「花園公園」です。






赤い縁取りの大きな看板が目立ちますね。
入口脇に大きな竃が鎮座。






コンセプトはズバリ、「あっさり、なのに、しっかり」。
豚骨独特の臭みを丹念に取り除いた
あっさりとしたやさしいスープだそうです。






店内はカウンター席形式。
店員さんは元気良く、かつ、紳士な感じ。






店頭に鎮座した巨大な2つの羽釜。
ここからスープをひしゃくで注ぎます。






「ちゃんぽん」や、夏季限定の「担々つけ麺」もありますぞ。
「おくど拉麺」を注文しました。










2005年7月下旬 おくど拉麺 600円



スープの舌触りがとてもクリィミィーですね。
とても「あっさり」だけど、実に「ふくよか」な・・・優しい旨味です。

穏やかで上品な味のまとめ方、心地よい優雅な匂い・・・。
力ずくでない紳士なアプローチは、
九州豚骨の中の優等生的イメージ・・・。

宮崎県特産の「黒まっぺモヤシ」がアクセント。









博多豚骨をコクのある「濃厚牛乳」に例えるとすれば、
こちらのスープは「低脂肪乳」のサラリとした味わい・・・・。
あっさりして体に優しいイメージかな。






極細麺は表面が非常に滑らかでツルツルとする軽快なすすり心地。
あまりザクザク感がなく、ハキハキした明るい食感ですね。
上質な小麦粉感にあふれ、上品な風合いのスープとの相性も良好。




2005年7月下旬 おくど拉麺 600円

2003年5月開店の、都内でも珍しい宮崎ラーメンのお店。
店名の「おくど」とは、宮崎地方の方言で薪炊きする「竈」(かまど)のことらしい。実際、お店の入口横に大きな羽釜が二つドーンと据えられいる。

先日、あまり九州豚骨ラーメンを食べ慣れない知人を伴って、私の好きな都内の某店へ行ったところ、「臭いが強烈でとても食べられない」と言われてしまい、改めて臭くなくて美味しい九州豚骨ラーメンを探してみたくなった。
こちらのお店のスープは、匂いや灰汁がきつく出る豚骨の一番ダシを敢えて捨て、その十分に下茹での済んだ豚骨に再び水と有機野菜等を加えて、丁寧に炊き出されていると言う。お店自身も、スープのコンセプトをズバリ、「あっさりなのに、しっかり。豚骨独特の臭みを丹念に取り除いたあっさりとしたやさしいスープ」と、謳っている。
大きな羽釜で炊き出されたスープは、寸胴などへ小分けされることがなく、大きな釜の分厚い木の蓋を開けて、大きなひしゃくで一杯分ずつスープを直接ラーメンのどんぶりへ移していた。

ラーメンが目の前に登場すると、豚骨よりも先に「モヤシ」の香りが鼻先に感じられたほどであり、確かに豚骨の強い獣臭はほぼ完全に影を潜めている。
優しい乳白色のスープを一口飲んでみると・・・・スープは口当たりがとてもクリーミーで粘性が低く、スルーリと滑り込むように口の中へ入って来る。確かに臭みはなく、「あっさり」とした旨味であるが、同時にしっかりとした「ふくよか」な旨味を感じる。いかにもグラグラと煮立てた感じはあるのだが、何と言うか粗雑な感じが全く感じられず、臭み、エグみ、クドさ、雑味などが全くなく、実に品良くとられたスープと言う印象である。
その分、スパイラル的な旨味やコクは確かに控えめにはなっているが、食べ手に穏やかで優しい風合いのスープとしてまとめられており、まさにお店の狙い通りの味に仕上がっている印象だ。

麺は、いわゆる九州系の極細ストレートのタイプ。すすってみると表面が非常に滑らかでツルツルとする軽快なすすり心地だ。それほど低加水ではない感じで、あまりザクザク感がなく、一本一本が独立した動きを放つハキハキした明るい食感である。小麦粉がかなり滑らかで、いかにも上質な小麦粉感にあふれていてかなり美味しい。上品な風合いの優しいスープにも良くマッチしている。

器の中央付近には、関東ではあまり見かけない細めのモヤシがこんもりと盛り付けられていた。おそらくは九州宮崎特産の「黒まっぺ」と言う品種のモヤシだと思う。
このモヤシは水っぽさがなく、きちんと野菜らしさが感じられる味なのは良いのだが、火が通っていないためか、かなり細めな割に歯触りが結構しっかりしており、歯を入れるとシャキシャキと言うよりは、繊維がねじ切れるようなザクザクする強い感じがある。
モヤシだけを食べると、新鮮で味も濃く美味しいと思うものの、麺と一緒に食べると、モヤシのヒゲ根が長めのため、やや食感がうるさい印象を受け、特にヒゲ根が何本かからみあった時のワサワサ、モサモサする感触は、麺とともにちょっとこんがらがったような口当たりになって感じられ、せっかくの滑らかな細麺の食味をやや邪魔しているような印象を受ける。ただ、むしろその洗練され過ぎない食味がご当地テイストと言うか・・・・、絶妙なカントリーっぽさの大切な演出の一つなのかも・・・・と言う気もする。

チャーシューはモモ肉が二切れ入っていた。モモ肉ながらも薄く切られているので歯応えは適度であり、臭みなどは全くなく、モグモグと良く噛んで肉の旨味を中から導き出すように食べる感じ。旨味がしっかりと内包されていて、スープと同化した味付けになっている。
途中で、卓上にあった薬味のうち、醤油漬けしたようなニンニクスライスを入れてみた。やはり豚骨スープにはニンニクの風味は相性が良く、食欲がグンと増す感じになるが、同時に醤油の風味が強く目立ってしまうのでスープの味がちょっと変わってしまう気はする。またスライス状だと、オロシのような揮発する即効性の風味が出ないので、私としては普通のオロシニンニクも一緒に置いてみて欲しいと思えた。
コショウも置いてあったので少量入れてみたが、せっかくのこの品のある繊細なスープの風味を壊してしまう感じで・・・・あまり合わないように思えた。

また、スープに化調感がないのは良いのだが、7月の真夏、汗をかきやすい猛暑と言うことも配慮してくれているのか、スープはやや塩っ気が舌にピンと立って感じられる。
そのため臭みはないが、しょっぱさが先に立つ感じがあって、舌がそれ以上先へ進みづらく、せっかくの上品なスープではあるが、奥の奥まで・・・すべての奥行きを楽しめないような印象も受ける。後口的にも、塩気がやや残る感じで、スープを飲み干すと同時に味が舌の上から一斉に引いて行く「すっきり」した感じにはならなかった。
おそらく本来であれば、食べ進むにつれジワジワと味が蓄積し、徐々に旨味が立ち上がって来るタイプのスープなのだと思えるが、その割には、たまたまだとは思うが、夏とは言え今回はちょっと塩気が利きすぎているように思えた。
トロロンとしたゼラチン感やタプタプした口当たりの油感がないサラリとしたスープゆえ、一層、塩気がダイレクトに舌に触り易いのかも知れない。

全体として九州豚骨ラーメンとは言え、いわゆる強烈なパンチやディープなコクをウリにしたタイプとは、明確に一線を画す路線の味である。
例えるなら、博多長浜の豚骨ラーメンをコクのある「濃厚牛乳」とすれば、一方のこちらのスープは「低脂肪乳」のサラリとした味わい・・・・と言うイメージが浮かんで来る。コッテリとしたコクのある脂肪の旨味は薄くなるが、その分サラリとして体に優しい上品な味わいだ。最近はスーパーへ行くと、低脂肪乳の比率が随分と増えて来ているようにも思う・・・・。どちらを選ぶかは食べ手の好み次第と言うことになるのだろう。


(麺は完食。スープは3割飲んだ。)










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