ラーメン&つけ麺食べ歩き
おぐら屋
(栃木県 佐野市)
店名 麺'S SHOP おぐら屋(おぐらや) 住所等 栃木県佐野市出流原町993-1 【地図表示】 禁煙 タバコ可(灰皿あり) 訪問日 2007年1月上旬 ラーメン 525円 + 餃子 367円
〜おぐらや〜
快晴の冬の一日に、栃木県「佐野市」を二名で訪問。
「出流原弁天池」と「おぐら屋」は北西方向の郊外にあるので、
この「菊川町」交差点を左折して「赤見」方向へ。
国道293号に架かる「出流原歩道橋」交差点です。
このすぐ南西50mに「おぐら屋」があります。
道路標識に沿って「出流原弁天池」への細い道へ入ると・・・。
なにやら、山の中腹に真っ赤な建造物を発見。
なるほど〜・・・・赤い建物は「磯山弁財天」。
その弁天様の麓にあるから「弁天池」なんですね・・・・。
勉強になるなー。
水源の「弁天池湧水碑」は、ここから150m程「上流」にあるようです。
さらに奥へ行くと「赤見温泉郷」になります。
水面下になにやら動く多数の影が・・・と思ったら、
色とりどりの「鯉」の群れが・・・。
上にある本殿は「鎌倉時代」の建築だとか・・・・。
なんと、この急峻な山肌で700年間も!
うう・・・・興味を抑え切れず石段を昇ってみますた・・・・。
インターネットを検索したら、
京都の「清水寺」と同じ建築士の作による三層楼舞台造りなのだとか・・・。
しかも「釘」を一本も使わず建てられているそうな・・・。
また、いたるところに「白蛇」の像があります。
「磯山弁財天」の舞台から見た景色。
おおー・・・・佐野市街を一望できますた。
まるで、天下を獲ったようで・・・・実にええ気分です。
ヽ(´Д`)ノ
写真中央のやや上、レンガ色の屋根に黄色の壁が「おぐら屋」です。
そのすぐ左に、先ほどの緑色の歩道橋も・・・。
「ほう・・・・あれに見える丸池が出流原弁天池か・・・・。」
・・・・と思ったら、大間違いですた。
後日、丸い池は「フィッシングフラワーパーク」(釣堀)であった事が判明。
弁天池の湧水源は右手前のもう少し奥地にあったようです。
(;´Д`)
2004年4月、以前のお店から300mほど北へ新築移転した「おぐら屋」。
南仏プロヴァンス風の瀟洒なデザインです。
駐車場は広大、第二駐車場まであり、100台分以上はあるかも・・・・。
120席もあって、なお外で行列と言う・・・・凄まじい人気ぶり。
一度、退却し、夜の6時に再訪しました。
薄暮に浮かび上がるお店の前には・・・・さすがに待ち客なし。
入口を入った右側は、
BOXタイプのテーブル席と、奥には座敷スペース。
こちら側一帯は満席でした。
店内は、テーブル80席、座敷40席だそうな。
下駄箱と、セルフの冷水器が見えます。
厨房は、まさに「戦場」のような忙しさ。
昼間はさらに「ウルトラハード」だったのでしょう。
入店して左側にある、テーブル席スペース。
窓にはブラインドカーテンが閉まっていました。
卓上のメニューです。
上部のシールは、「冷水はセルフ・・・」と書かれています。
「ラーメン」と名物の「餃子」を注文しました。
2007年1月上旬 ラーメン 525円 + 餃子 367円
(この写真はクリックで拡大します)
オーダー後、すぐに登場した最初の餃子です。
焼いてから少々時間が経っていたのか、
やや空気が抜けてクッタリとした感じですが・・・・
「味」は文句なく「超一流」の美味しさ。
この餃子が、ラーメンと一緒になって紡ぎ出す「複合味」は・・・
他に類例のない、まさに「一生もの」の感激。
私的には「世界一」美味しい餃子のような気が・・・・。
箸でつかもうとしたら・・・いきなり分解しますた。
「パラリ」と簡単に破れて、「ポロポロ」ともろく崩れてしまう・・・。
しかし、この「儚く破れる」薄皮こそが、何より絶品の口解け感の秘密。
「空洞」の多さも、「フワリ・・・」とする食感に貢献。
こちらは二皿目の餃子。
な、なんつー・・・・「グラマラスなお尻」・・・・( ´∀`)。
焼き立てゆえか、「プックリ」として、丸々と太ってますな。
薄い皮で、餡を「風呂敷」のように包んだ典型的な「佐野餃子」タイプ。
箸でつまんで持ち上げると・・・
腹部が下にプクッと膨れて、「たわわ」に揺れる感じ・・・。
割箸と比較すると「ジャンボ餃子」のデカさが良く判る。
しっとりと潤った柔らかな皮に、香ばしい焼き目、ポッテリと膨らんだ「太鼓腹」がウリ。
皮はおそらく「薄力粉」をかなり多めにプレンドしている印象。
舌に吸い付くような「しっとり柔らか感」のある・・・絶品の「薄皮」と、
口中へドッサリ・・・とあふれ出す「ホックホク」の刻み野菜がたまらない。
熱々の餡は、「サクサク、シャキシャキ」として、野暮ったい「団子感」が全くない。
驚異の「分解能」「解像度」を持つ非凡な餡の食感。
これが、「佐野」屈指の超行列を誇る「おぐら屋」のラーメンです。
果たして、毎日何百杯売れているんでしょう?
ラーメン単品で食べると・・・・
まるで、真っ白な画用紙に「ササッ・・・」と、
極めてシンプルに「クロッキー」(素描)しただけのような・・・・
まったく「着色」のない、モノトーンの「擦筆」のような柔らかな輪郭の味。
しかし、一旦、「焼餃子」と言う名伴侶を得れば・・・・
この路線において、並ぶ者のない、
無敵の「最強王者」に変身する・・・・イメージ。
ほぼ「塩味」オンリーと言う印象のスープ・・・・。
ガラ風味も控えめで、「油」や「ゼラチン」がほとんど浮いていない。
「うっすら」とした淡いスープの味わいからは、
一緒に食べる「餃子」との相性を最優先したイメージを受けます。
あくまで「穀物系」の素朴な美味しさが主役です。
ちょうど、「塩おむすび」を食べているような極めてシンプルな美味しさ。
まさに、「塩」と「小麦粉」のランデヴー・・・の世界。
「ユルリ」とする滑らかな食感を持つ多加水の中太縮れ麺。
太さや長さが均一で、「クニクニ」とする噛み応えと「モッチリ」豊かな量感。
ただ・・・奥の奥の方で・・・わずかに無機質な硬さを感じる。
2007年1月上旬 ラーメン 525円 + 餃子 367円
「ラーメン」に少しでも詳しい方なら、ご存知と思うが、市内人口に対する「ラーメン店の密集度」で、日本全国のツートップ・シティと言えば、ご存知、福島県「喜多方市」と栃木県「佐野市」である。
そして、いずれの街も、ラーメンの麺打ちやスープの美味しさを支える「おいしい水」に恵まれた土地柄である事が、全国屈指の「ラーメンの街」となった要因の一つと言われている。
実際、喜多方は「飯豊山」(いいでさん)系の伏流水、佐野は「出流原」(いずるはら)系の湧き水と言う恵まれた水脈を持ち、その「美味しい水」が多加水麺やスープ作りに広く利用されているらしい。
特に、こちらの佐野市の北西の地に位置する水源地「出流原弁天池」は、栃木県から文化財天然記念物に指定されているとともに、国からも環境省選定の名水百選に選ばれるほどの、佐野市の誇る誉れ高き「名水の源」である。
そして・・・・その「出流原弁天池」の水源地からわずかに500m程と言う「天与」の場所に、佐野の中でも、ひと際大きく、「勇名を轟かすお店」・・・・がある。
そのお店の名は・・・・「麺'S SHOP おぐら屋」。市内200軒を超す佐野ラーメン店の中でも、事実上、トップクラスの売上を長年「不動」のものとしている超人気店である。
その超人気ぶりは、佐野市内は言うに及ばず、栃木県全域から近隣県、果ては遠く東京や神奈川にまで及び、ほぼ関東全域から連日のように客が詰めかけ、120席もある大型店にもかかわらず、店頭の行列が途絶える日はないと言う・・・・。
東京在住の私も、かねてからその「勇名」は伝え聞いており、実は、数年前に一度「おぐら屋」を訪問し、佐野市郊外の緑の多い「のどか」な場所にもかかわらず、店頭の大行列振りと店内の異様な熱気に、度肝を抜かれた記憶がある。
その「おぐら屋」が、2004年4月に300mほど場所を移して、大規模&南欧風の新築店舗になったと聞き、再訪の機会を窺っていたのだが、今回、やっと叶う事になった。
また、以前から一度、有名な「出流原弁天池」を見てみたいとも思っていたので、併せて訪問してみた。
しかし、きちんと下調べせずに訪問したため、当日、「弁天池」と思って感激して見ていた大きな池は、実は間違いで、近隣にある赤見温泉郷のホテル一乃館の付帯施設である「フィッシングパーク」(釣堀)であった事が、後日判明・・・・予期せぬオチが付いてしまった。どうやら、本物の弁天池水源は150mほど道の奥に位置していたようだ。
さて、弁天池方面から戻り、国道293号を横断し、新店舗となった「おぐら屋」を訪問すると、既に昼時を大きく過ぎていたにもかかわらず、店内の120席は満席のようで、店頭には20名ほどの待ち客があふれていた。
駐車場にも概ね70〜80台ほどの車が停まっている。駐車場の車のナンバーをつぶさに見ると、栃木県内のナンバーは5割程度で、他の5割は、埼玉や東京や神奈川など、他府県ナンバーであり、平日にもかかわらず、意外にも遠方からの来客が多い。
さらに、週末の昼時ともなれば、県外ナンバーがさらに増え、店頭の行列も軽く100名を超す事も珍しくないらしい。
待ち客に加わろうか迷ったが、他にも佐野で訪問予定のラーメン店が複数あったため、少しの時間も無駄に出来ないと言う事で先に他のラーメン店を回り、「おぐら屋」は夕刻に再訪することとした。
夕刻の6時頃に再訪すると、さすがにもう待ち客はいなかったが、それでも客席の半数は満席で、空いている大部屋の方へ案内をされた。
今回は同行者を伴って二名で訪問していたのだが、二名とも「ラーメン」だけでなく、おぐら屋の名物である「餃子」を一皿ずつ注文した。
すると、どうやら名物の餃子は、注文を見越して常時次々に焼いているようで、注文から2分もせずに、まずは餃子が一皿登場し、数分後にラーメンが登場した。さらに数分後、二皿目の餃子も提供された。
まずは「餃子」の味についてだが・・・・「佐野」の餃子は、丸々「プックリ」と太った大振りサイズの物が主流なのだが、こちらの餃子は、さらに「輪をかけて」ジャンボサイズである。
箸でつまんで持ち上げてみると・・・・ポッテリと膨らんだ「太鼓腹」をしていて、腹が下にプクッと膨れて「たわわ」に揺れる感じだ。
歯を入れてみると・・・・プックリと太ってはいるが、皮は柔らかで薄く、中も割と空洞が空いているので、噛んだ際に「フゥワリ・・・」「ホワワッ・・・」とする優しい空気感がある。
そして唇に触れるその薄い皮の「しっとりと潤った」感じや、皮の適度な「もろさ」「柔らかさ」「ナイーブさ」・・・・が非常に印象的で、ここで他店の餃子との食感の「大きな違い」を明確に感じさせられてしまう。
そのしっとりとした皮を軽く噛んでみると、これほど薄いのに、「ピトピト」「モチモチ」としていて、小麦粉の旨味にあふれていて非常に美味しい。焼かれた面だけちょっと硬さが出ていて、「パリッ」としたおせんべいのような歯触りの絶妙なアクセントと、抜群の芳ばしさを加えてくれる。
さらに・・・・餃子が大振りで太っているため、何よりモチモチの「表面積が大きい」事も印象に残る。そのため、口に入れた時に薄い膜が「ピットリ・・・」と、口中を覆い尽くし、舌全体を包み込む・・・・ような感覚がある。その大きな薄皮が、口中で一斉に・・・・もろく、はかなく、「破れてゆく感覚」、「崩れてゆく様子」・・・・がたまらない。
そして、そのプッツリと破れた皮の中から、「ホックホク」の刻み野菜が、「ドッサリ・・・」と口中へ放り出され、あふれ出すのだが、この餡の野菜が、これまた「感動的に美味しい」のだ。
餡は、決して「粘らず」「固まらず」「ウェットにならず」・・・・「ホクホクホク・・・」「フカフカフカ・・・」とほぐれていて、「刻み野菜」の一片一片が「サラサラ」と舌に触り、「シャキシャキ」と口中で分解してほぐれる。味が「美味しい」のはもちろん、その歯応えが「気持ちいい」と言うか、なんとも最高の「快感」であり、しかも、縦に「高さ」「厚さ」がある餃子なので、徐々に歯が食い込んでいく過程がたっぷりと長時間楽しめるのもいい。
どうしてこれほど口中で餡がきれいに「ほぐれる」のか不思議だが、どうやら皮と餡の間に、適度な「空洞」があるお陰で、中の刻み野菜が圧縮されたり、押し固められたりしておらず、口に入れた時の絶妙な「ほぐれ易さ」、抜群の「口解け感」につながっているようだ。
また、普通、餃子の材料と言うと、「挽き肉、キャベツ、ニラ、玉ネギ、ニンニク」などが定番だが、こちらはこの無類のサクサク感、サッパリ感からして、「玉ネギ」はネトネトするゼリー状の粘り気が出るので使わず、代わりに「刻んだ白菜」を使っているような気がしてならないが・・・・実際のところはどうなのだろうか。
ラードの油感や肉汁のジューシーさは少なめで、肉の旨味やニンニクもさほど強くは主張していないが、代わりに、油っ気がなくてサッパリとしていて、その「プックリ」丸々太った餃子の形や、蒸された皮のしっとりツヤツヤな柔らかさ、ホクホクとした餡からは・・・・餃子というよりも、「蒸し饅頭」(むしまんじゅう)のようなテイストにも感じられる。
また、やや目立つ位の塩味と化学調味料による「下味」がしっかりと効かされており、焦げ目の香ばしさも加わり、「餃子のタレ」を一切使わなくても、何も付けないまま「餃子」だけで十分に美味しく食べられるほど、単体で「味が完結」しているのだが、もちろん醤油、酢、ラー油を混ぜた「タレ」を使っても、それはそれで抜群に美味しい。
あっさりとしたラーメンと一緒に食べるなら、この濃い味のタレを付けた方が、餃子のパンチが増し、「絶好のオカズ」代わりになって良いと思う。
二つ餃子を食べたところで、いよいよラーメンに箸を付けてみる。
見た目は、典型的な「佐野ラーメン」の風貌で、器の底がはっきりと見えるどこまでも透明なスープに、縮れた中太麺が沈んでいる。
スープを呑んでみると、ほぼ「塩味」オンリーと言っても過言ではないほど・・・・何とも、醤油味が控えめだ。
佐野のラーメンは、醤油は香り付け程度にしか使わないお店が多いが、こちらはその「香り」さえ、ゼロではないものの・・・・極めて控えられている。
同様に、動物性のガラ風味も控えめで、「油」や「ゼラチン」がほとんど浮いていない事もあると思うが、その分、相対的に「塩味」がややむき出しになって前面に出ている感じを受ける。軽さを維持しつつも塩気が「ピシッ」とやや強めに感じられ、きちんと「麺が欲しくなる」味付けにはなっている。
また、ほとんど「ノンオイル&ノンファット」の「淡麗スープ」ではあるものの、決して「如水」と言う訳ではなく、うっすらと化学調味料による旨味の補強がなされている事が判る。
「あっさり味」とか「すっきり味」と言うよりも・・・・「うっすら味」と言う表現を使いたくなるが、実は、一緒に食べる「餃子」との相性を考える限り、この「うっすら感」を持つ淡いスープに大きな意味があるのだ。
また、麺の「茹で湯」の影響はほとんど出ておらず、スープからは小麦粉臭さは感じられなかった。
麺は多加水の中太縮れ麺が組み合わされている。
口に入れた瞬間は、多加水系の「ユルリ」とする滑らかな食感があり、縮れによる「クニクニ」とする歯応えが楽しめるのだが、ゆっくりと歯を入れていくと、「モチモチ」する麺の奥の奥の方で・・・・わずかに無機質な硬さが感じられてしまう。
そのため、太さや長さが均一で食べ易く、十分な太さがあり、モッチリとした噛み応えや豊かな量感もあり、小麦の風味も心地良いのだが・・・・どこかしら愛想の少ない、「無表情」な印象がある。
また、多めにすすった際に、縮れが「ゴソッ・・・」と口先でつっかえて固まってしまい、すする動きが一瞬停止してしまう感じがあるのは少々気になった。
チャーシューは巻きバラだが、おそらくはスープで茹でられていると思われ、脂や肉の旨味は、ほぼスープへ抜けてしまっており、味付け的にも、わずかな塩味だけで、醤油ダレの味は全くしない。決してトロけることはなく、「モソモソ」と乾燥したような、ドライ系の硬めの歯応えだ。ただ、極あっさりスープの中に配置されるチャーシューとしては、こう言うドライなタイプが調和するとは思う。
メンマも薄い塩味だけで、醤油ダレの味は全くしない。「カリカリ」とクラックする歯触りは心地良いが、メンマ特有の醗酵臭もなく、まるでお湯で風味を薄めたような・・・・極めてあっさりとした風味。
このラーメンを「単体」で食べていると・・・・次第に脳裏に浮かんで来るイメージがあった。
それは・・・・ズバリ、「塩おむすび」の味の構成イメージである。要は、「塩と米」のシンプルな美味しさを、そのまま「塩と小麦」へと置き換えた味と言うか・・・・あっさりとしたスープの「塩味」と、モチモチする麺の「小麦の旨味」が、ちょうど「塩おむすび」のような極めてシンプルな構成の美味しさを連想させるのだ。
そのため、「ラーメン」単体で食べると、それだけではやや没個性的と言うか、ラーメンとしてのコクやダシの旨味、パンチや味のピントは、やはりどうしても少々物足りなく感じられてしまう。
しかし・・・・そこへ、「餃子」の物理的な歯応えと、濃いタレの味、ニラやニンニクの「葷」(くん)の強い風味が加わる事で、印象が「一変」して来る。
実際に、餃子とラーメンを交互に食べる事で、餃子のパンチのある味わいが非常に良いアクセントになって、一方のラーメンの淡い味わいも、さらに一層、グーンと「生きて来る」のである。
餃子の「ガツン」と来るパンチを、クセのないあっさりラーメンで柔らかく「溶き延ばしながら」食べる感じになり・・・・まさに「オカズ」と「白飯」の関係のイメージである。ほとんどの客がラーメンと一緒に必ず餃子を頼んでいる事からもこの仕組みがはっきりと理解できる。
要は、「餃子定食」における「ライス」の位置付けを、代わりに「ラーメン」が担っているイメージなのだ。ラーメンの味付けが控えめな「うっすらテイスト」である事も、要は「クセ」のない「白飯」イメージの投影なのではないだろうか。
実際、佐野のラーメン店は、「ラーメン」と「餃子」を一緒に食べる事を「大前提」とした味のチューニングをしているお店が少なくない。そして、過去に私が食べた範囲では、その系統の中でも、最も「成功」しているのが、こちらの「おぐら屋」のような気がする。
そう言う意味では、こちらのお店で「ラーメン」だけを食べた人と、「餃子+ラーメン」を食べた人の、味への評価は大きく変わるように思う。
さて、食べ終えての感想としては・・・・・
この、おぐら屋の「焼き餃子」の別格の美味しさ・・・・に関しては、私の知る限り、他に「比肩」する餃子が思い浮かばない。
いわゆる「東京」や「横浜」の中華料理店で出される皮が硬くて油っぽい餃子や、同じ栃木県内の餃子の町として有名な「宇都宮市」のスリムで小振りな餃子とは、ルーツも味も全く異なる印象を受ける。また、同じ佐野の餃子の中でも、「別格」のように感じられてならない。
私は、一応、本場中国へ中華料理ツアーへ行った事があり、その中でも特に点心や餃子の本場中の本場と言われる「西安」にまで行き、十種類以上の餃子を食べ比べた事もある。
しかし、好みの問題もあるとは思うが、過去に様々な地で食べて来た無数の餃子の中で、現時点では、ここ「佐野おぐら屋」の焼餃子が、二位以下を圧倒的に引き離して「最も美味しい」と思う。
今後もこちらの餃子を上回る餃子とは生涯出会わないだろうと言う予感までしてしまうほどだ。
そして、おそらく、「おぐら屋」の餃子とラーメンを食べて、私と同じ感想を持った人は相当な人数に昇るはずだ。
そうでなければ・・・・・いくらなんでも東京ナンバーや横浜ナンバーの車が、遠くから高速道路代や多くのガソリン代を使ってまで、毎日毎日、何十台と連なって、決して交通至便とは言えない「おぐら屋」を目指してやって来ることなど・・・・到底、「有り得ない」はずだ。
実際、私の住んでいる「東京」の生活圏には、「この味」はおろか、「これと近い味」さえ一切全く存在しない。「佐野のおぐら屋」まで来なければ、この味にはありつけない現実があるからこそ、わざわざ何時間もかけて、道中の他店には見向きもせず、「おぐら屋」へやって来る首都圏ナンバーの車が多いのだと思う。
なぜ、こちらの餃子は、それほどまでに「人の記憶に残り」「人を惹き付ける」のか・・・・判らないが、ご存知の通り、小麦粉にはグルテン成分(硬さや粘りの元)の比率により、大きく分けて「強力粉」「中力粉」「薄力粉」の三種類があり、料理の用途や好みに応じて、ブレンドして使われたりしている。
この中で、餃子の皮と言えば「中力粉」を使うのが普通だが、店によっては「強力粉」や「薄力粉」をブレンドし、皮の食感の個性を出している。保存が利き、皮が包み易く破れにくいようにするには「強力粉」を多めにブレンドすれば良い訳だが、それだと皮がカチカチに硬くなってしまって私は好きではない。
その点、こちらのお店の餃子の皮は、非常に瑞々しくて、舌に吸い付くような「しっとり柔らか感」がある。
普通の中力粉では、到底、こう言う食味にはならない。おそらく、グルテンの極めて少ない「薄力粉」をかなり多めにプレンドしているのが「秘訣」なのだろう。
それとも「片栗粉」や、「コーンスターチ」など・・・・小麦粉以外の「粘り気のない何か」を隠し味的に混ぜているのだろうか・・・・。
また、そのプッツリと破れる「薄皮」から、「ホックホク」の刻み野菜が、ドッサリ・・・・と口中へ放り出され、あふれ出す感覚がたまらない。
その熱々の餡を「ホフホフ」と言いながら、「ホクホク、サクサク」の刻み野菜を舌でほぐし、転がし、崩し、食べる訳だが・・・・練り込んでしまったような「ネトネト感」、モッチャリとする「だんご感」が全くない、驚異の「分解能」「解像度」を持つ非凡な餡なのである。
餡が「ポロポロ」崩れて、「パラパラ」と分解し、全く硬くないし、一切、団子状になっていないのは「特筆」に価する。
また、皮も餡も、油でギットリと「焼かれた」と言うよりも、しっとりと「蒸した」「茹でた」事で火を通している「なまめかしい」食感に仕上がっている。焼く際に、かなり「お湯」を流し入れて、「茹で蒸す」感じで火を通しているのだろう。
ただ、餃子同士が少々くっついていて取りづらく、場合によっては薄い皮は容易に破れてしまう。
今回、私も箸でつかもうとしたら・・・・皮がもろく破れて、いきなり分解してしまい、餡がすっかりこぼれ落ちてしまう事があった。この辺は「慣れ」が必要かもしれない。
ちなみに、こちらのようなあっさり系のラーメンは、その日の出来次第で、大きく味がブレる事は少ないと思うが、一方の餃子は「焼き方」次第で、美味しさが「別物」と言える位にかなり大きく激変してしまう難しい食べ物だ。
やや気がかりなのは、こちらのお店ではオーダーの有無にかかわらず、ある程度、「見込み」で焼いているようなので、タイミングが悪いと焼いてから多少時間の経った餃子が登場するかも知れない。今回も着席してすぐに出てきた最初の餃子は、多少時間が経っていたようで、ややクッタリと空気が抜けたようにつぶれている感じだった。
それでも十分に美味しかったのだが、焼き立てとおぼしき二皿目のものは「ふっくら」と膨らんでおり、さらに一層、「言葉も出ないほど」美味しかった。
以前、こちらの移転前の店舗にも一度訪問した事があるが、今回、数年のブランクを経ても、ラーメン、餃子とも、「味」は全く変わっていなかった。
と言うより・・・・既にここまで完璧に「完成形」の味であれば、全くいじりようがないし、一切変わりようがない・・・・のだろうと思える。
いやはや・・・・佐野近郊にお住まいの方が、心底、うらやましくてならない。
(麺は完食。スープは4割飲んだ。)
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