ラーメン&つけ麺食べ歩き
のざわ屋
(東京都 新宿区)
店名 |
旭川ラーメン のざわ屋(のざわや) |
住所等 |
東京都新宿区富久町16-14 【地図表示】 |
禁煙 |
タバコ可(灰皿あり) |
訪問日 |
2005年11月下旬 醤油ラーメン 600円 |
〜支那そば 野澤屋〜
(各写真はクリックで拡大します)
お店に到着しました。
新宿三丁目駅、新宿御苑駅から徒歩5〜6分。
靖国通りの大東京信用組合の右脇路地を入ってすぐ。
うーん・・・何ともそそる佇まいですな。
「旭川ラーメン」と「支那そば」の文字が共存。
グルリと回ると左側にも入口が・・・。
お店のヒサシは「野澤屋」や「野沢屋」ではなく、
「登澤屋」と書かれているようですね。
L型カウンターの客席は奥へ長い造り。
雑誌や漫画も置いてありますた。
ボール紙に手書きされたメニュー(´Д`)。
「まむし粉」のトッピングが名物らしいですが、
まずは基本の「醤油ラーメン」を注文。
壁に貼られていたスープや麺や具の説明。
ここでは「野澤屋」と書かれています。
パイウオーター(Πウォーター)使用のお店です。
2005年11月下旬 醤油ラーメン 600円
うーん・・・何とも、「心情派」のラーメンですね。
こちらのお店の佇まいや雰囲気とも見事に一致する味・・・。
「三歩下がってお客様の影を踏まず」
客に対しこれほど謙虚で、忠誠心を示してくれるラーメンも珍しい。
「ラーメン」としての、自身の立場を恐ろしいほど見事に心得ている印象。
新参のラーメンには絶対に出せない「味」でしょう。
どこかしら「ペーソス」が漂う叙情詩的な一杯に・・・心打たれます。
こ、この甘旨い味・・・金目ダイの煮付けのタレ・・・?
魚ダシの淡い旨味と、やや強めの甘味が
ふんわりと舌を包み込む・・・何とも優しいスープ。
ズバリ、麺はフニフニ、ユルユル・・・と柔らかめ。
見事に芯が残っておらず、もともとの小麦密度が低い印象。
人に抵抗しない麺・・・食べ手に従順に仕える麺・・・と言うイメージ。
これがまた、スープや具との組合せで考えると、実に「正解」。
2005年11月下旬 醤油ラーメン 600円
新宿にある東京厚生年金会館(ウェルシティ東京)の裏手に位置する旭川ラーメンを謳うお店。
場所柄、夜遅くには酔客なども多そうに感じられ、「ラーメン」の赤提灯が何ともそそる雰囲気を醸し出している。店内は奥へ長いL型カウンター形式。
雑誌や漫画の単行本が置いてあり、一人でも寛げるようになっている。メニューは・・・・ボール紙に手書きされたものが壁に貼られ、醤油、塩、味噌に加え、豚骨や香麺(油そば)まで揃っている。また、珍しい「まむし粉」のトッピングがあり、こちらのお店の名物にもなっているらしい。
ラーメンが目の前に置かれた瞬間から、「あれ・・・この香り、何かの香りに似てるな」と感じた。
レンゲに取って一口飲んでみると・・・・「うむ、確かに・・・・良く似た味付けの料理を食べた事がある」と確信。しかし、それが何なのかまでは、すぐには思い出せなかった。
旭川ラーメンを名乗る割にはスープに浮くラードは少なめだ。スープは濃い醤油色をしていて一見しょっぱそうに見えるが、さにあらず。ゆったりとした魚ダシの淡い旨味と、やや強めの甘味がふんわりと舌を包み込む・・・何とも優しいスープである。その味わいはどこまでも円く、強い塩気や味の尖り(とがり)は一切感じられない。あまり複雑さや、奥深さのようなものは感じないが、素材感や出汁を明確に前面に持ってきて主張させるのではなく、裏方で上手にまとめている感じ。
つまり、素材が「出汁」として突出して舌に感じられてしまうのではなく、あくまで「スープ」と言う形として、全体で調和して自然に舌に感じられて来るのだ。
麺は・・・・ズバリ、「ユルユル」・・・・と柔らかめ。すするとフニフニ、噛めばユルユル、随分と舌に優しい。
店内の貼り紙によれば浅草開化楼の特注麺でコシのあるシコシコ麺・・・・と書かれているが、たまたまなのだろうか、見事なほどに芯が残っておらず、なぜか「硬めの麺」が流行している昨今、むしろこれほどの柔らかな麺を出すお店は、かなり貴重だと思えてしまうほどだ。
茹で過ぎと言う感じではなく、もともとの小麦密度が低い印象であり・・・・人に抵抗しない麺と言うか・・・・食べ手のいいなりになる麺と言うか・・・・人の口に従順に仕える麺・・・・と言うような印象を受ける。
何と言うか、ちょっと飲んで夜に寄ったときなど、「酒に酔って」やや口元のゆるんだ状態であっても、決して食べ手のアゴに負担をかけないような「ゆるやかさ」を備えている麺だ。
場所柄か、まさに、飲んで、食って、ハシゴして・・・ホロ酔い気分での・・・「締めの一杯」に焦点を合わせたような食感にも思える。
メンマもフニフニと非常に柔らかで、しんなりとしたソフトなもので、一切歯の抵抗にならない感じ・・・。
チャーシューは外周部分はカパカパと乾燥した感じなのだが、中心付近はしんなり&ふっくら感があり、相反する食味がうまく同居している。このチャーシューの仕上がりには確かに旭川系の特徴を感じる。醤油で結構強めに味付けがされていた。
半分ほど食べ進んだところで、このスープが何と似ているのかやっと思い出した。
ズバリ、「キンメ鯛の煮付け」のタレ汁の味である。白身魚の上品で淡白な旨味、醤油やミリンや日本酒、黒砂糖、昆布、ショウガなどが加わった、トロッと甘く、あの煮詰まった風味・・・・あの、キンメダイの煮付けの皿に残った、あのタレ(汁)の旨味、風味、甘味に非常に良く似ていると思えてならない。スープに使われている「干魚」はおそらくはアジかとは思うが、同じ小魚類の風味に「昆布」「砂糖」などが加わり、非常に良く似たテイストを醸しているのだと思う。
食べ終わって気づいた事は・・・・麺、スープ、具、の三者が器の中で、あまりにも完璧なほどに見事に「一体化」していることだ。
ともかく、麺、スープ、チャーシュー、メンマ・・・・など器の中に存在している「すべて」が、まるで樽に入れて長期間寝かされた漬物のように・・・・「長期熟成」された後に提供されたかのように、恐ろしいほどにお互いの味が「馴染み切っている」味なのだ。この見事なまでのボーダーレス感・・・他ではあまりお目にかかった事がない。
例えるなら、作り立てのカレーはルーと肉と野菜が馴染みきっていない「若さ」「違和感」があるが、そのままじっと寝かせてから、三日後位に温めなおして食べてみると、作り立てとは比較にならないほど、カレールーや肉や野菜が「一体化」した味になっている。それと同様な一体感を強く感じるラーメンなのだ。作り立てのラーメンなのに、これほどすべての味が馴染み切っているとは・・・・一体、どういうマジックなのだろうか。
麺の柔らかさも、単独で見れば歯応えが柔らかすぎて物足りないと言う人もいるかも知れないが、スープや具との組合せで考えると、実に「正解」であることに気付く。
そしてもう一つ・・・・最近のラーメンは食べ手と対等になろうとするラーメン、下手すると食べ手の上に立とうとするような強気なラーメンと出会うこともあるが、こちらのラーメンは、万人の風下へ慎ましく身を置いて礼を尽くしているような、「分をわきまえた」、不思議な謙虚さがあることだ。
まるで江戸時代のお殿様に一生懸命仕える律儀な家来の如き、ご主君の下で謙虚に「仕えようとする」イメージがある。一切食べ手に口答えせず、決して追い越そうとしない。
最近の新店はもちろん、名の通った老舗のラーメンでも、客と勝負するかのように身構えた味のラーメンが多く、あわ良くば屈服させようと言う意図が見え隠れするラーメン・・・・がある。そう言う意味では、こういった「三歩下がってお客様の影を踏まず」的な、謙虚で殊勝な心構えのラーメンには、最近はあまりお目にかかる事が少なくなった。
そして何より、こちらのお店の場所柄や佇まい、雰囲気とも見事に一致する味・・・。何とも、食べ手の心を優しく解きほぐすペーソスを感じさせる「心情派」の一杯だと思う。
(麺は完食。スープは6割飲んだ。)
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