ラーメン&つけ麺食べ歩き
瞠
(東京都 豊島区)
店名 瞠(みはる) 住所等 東京都豊島区東池袋1-31-16 【地図表示】 禁煙 タバコ完全禁煙 訪問日 2004年6月上旬 味玉つけ麺 800円 2004年7月上旬 味玉ラーメン(細麺あっさり味) 800円 2004年10月下旬 つけ麺 700円
〜瞠 その1〜
(各写真はクリックで拡大します)
池袋駅の東口側にあります。
高速道路の高架沿い。
橙色のノレンが目印。
格子窓のある渋めの店構え。
営業時間です。
券売機です。
麺大盛りは150円は、
まさに原価のかかった麺の証拠。
ラーメンは「あっさり味」も可能ですぞ。
分厚い木のカウンター。
ガッシリした大きめの椅子。
落ち着いた造りの店内は表彰ものです。
無化調宣言。
つけ麺は多少お時間を戴きます。
2004年6月旬 味玉つけめん 800円
素材、素材、素材、素材、素材、素材、・・・。
まさに、海から、山から、大地から、
思う存分にパワーをもらって生まれた味。
美味すぎて声も出ない・・・(- - ;)
「和風」なのにソバっぽくないのもいい。
つけ汁のアップ。
濃厚な魚出汁風味・・・。
メンマは大きめですな。
スープ割をしたところ。
椎茸の風味が心地よいです。
疾風怒濤のごとく「駆け抜けていった」
魚出汁の余韻に浸る時・・・。
2004年6月上旬 味玉つけめん 800円
「瞠」とは、美味しさに目を瞠るという意味からの命名だろうか。
店内は「木」を生かし、「和」を基調とした精緻なインテリア配置で、非常に落ち着いた高級感ある雰囲気、なぜか空気の密度が濃い印象を受ける。厨房がお店の奥に隔離されているせいか、カウンターの客席は静かで、プライベートな雰囲気を持てる。テーブルや椅子の作りに厚みというか、非常に高級感があり、とても居心地が良い。店内には煮干とカツオ節の混じった風雅な香りが漂い、なんとも鼻腔をくすぐる。
つけ麺は、平打ちの中太ストレート麺で登場する。表面はねっとりしていて、そのまま口に入れてみると、舌に「ぺとっ」と張り付くような平べったい麺特有の口当たり。製麺の圧延工程をしっかりやっているような「ぎゅうっ」とした密度感があり、決して固過ぎる訳ではないが、噛むとややギシッという感じがある歯応え重視の食感である。味は玉子をたくさん練り込んでいる風味と、その微妙な甘さが生きているかなりおいしい麺。
長めなのですする楽しみが味わえ、口の中へ入ると平打ちの麺が、ひらひらと「幾重にも折り重なる」たおやかな独特の食感が味わえる。
つけ汁は、豚骨などの動物素材を最高の土台として、煮干やカツオ節などの魚系素材を、「思う存分に」注ぎ込んだ感じの造り込み。一味唐辛子が絶妙に利いていて、味を引き締めている。塩分感はあるものの、つけ汁としては適度なもの。
麺をつけ汁にからめて、一口ほおばってみると、口腔は素晴らしく匂い立つ魚の香気で一気に充満し、噛み締めれば「爆発的」にうまい。美味すぎる。舌の上に、魚出汁が津波のようにやってきて、口中で渦潮を起こしているような美味さ。
何と言ってもこの「素材感」が素晴らしい。このつけ汁から、麺から感じるのは、素材、素材、素材、素材、素材、素材、・・・である。しかし、何より大切なのは、単に大量の素材を使うのはどのお店でも簡単かも知れないが、ここまで調律して芯の通った「一つの味」に仕上げるのは並大抵のことではない。天然素材は、工業製品と違って、産地ごとに、固体ごとに、旬ごとに、微妙なブレがあるからである。実際、こちらへは数回訪れているが、出来のブレに当たって残念なときもあったが、今回のつけ麺は最高の出来栄えだった。
味玉は半熟だが、トロリではなく、もっとネットリした粘度の高い茹で上がり、中心部はやや液体っぽい。濃い目の味付けだが塩辛さはなく、濃いというよりどこまでも「深い」味わいで、ネットリした食感とともに舌を喜ばせてくれる。相当においしい部類だと思う。
海苔はスープと最高にマッチする物を、何十種類の中から選びに選び抜いた感じで、麺と一緒にほおばると、さらに幸福感を加速させる。
頃合いを見て、割りスープが入った土瓶を持ってきてくれるが、このスープを飲んでみると魚出汁に混じって椎茸の素晴らしく豊かな風味がある。心が洗われるような「森の香り」である。
素材の「馥郁たる風味を味わう」という言葉が、これほど似合うつけ麺は他に少ないだろう。お店を出てからも、舌の上を、喉の上を通り過ぎていった、あの食材達の美声を反芻するのに夢中で、しばらくはお店の前から歩き出せなかった。
かのラーメンプロデューサー渡辺樹庵氏が手がけたお店の中で、私が食べ歩いた中で言えば、「瞠」は、現時点で「渡なべ」(高田馬場)に最も近い実力を持っていると思う。
個人的には、ラーメンならやはり「渡なべ」。しかし、つけ麺なら「瞠」がお気に入りである。
(麺は完食。スープ割も完飲。)
↓続きあり
〜瞠 その2〜
2004年7月上旬 味玉らーめん(細麺あっさり味) 800円
「香り」と「旨味」の二刀流。
「美味さ」という素晴らしい名刀で、
迅く、鋭く、強く、深く、切り込んでくるラーメン。
まさに一刀両断された想い・・・。
「よくぞ、ここまで」と感服してしまう。
「しなる」細麺の食味もベストマッチ。
平打ち麺に比べ、ザクザク食べ進めます。
まさに「味」玉。
名ばかりの味玉はひれ伏すべし。
カツオ節、煮干、椎茸、昆布、豚骨・・・
まさに、素材の濃縮エキス。
2004年7月上旬 味玉らーめん(細麺あっさり味) 800円
前回のつけ麺が忘れられず、再度訪問。今回はラーメンを食す。
以前も、こちらでラーメンを食べた事があるが、味が濃すぎてちょっと後半きつかった覚えがあるので、「細麺のあっさり味」でオーダー。また、前回の味玉が美味しかったので味玉もトッピングした。
店内には、カツオ、煮干、豚骨の風味と共に、茹で上げられた麺の小麦の匂いと、ツナギに使ったと思われる玉子の風味が、とても心地よく漂っている。これほど玉子の匂いがするお店は珍しい。まるで銘菓「ひよこ」などの箱を開けた時に漂うあの甘く芳しい玉子風味を思いだす。
ラーメンが目の前に置かれると、広口の器なのでともかく匂い立つ素晴らしい芳香がある。この芳香の豊かさが素材の量を物語っている。化学調味料では「味」は付けられても、「香り」は付けられないからだ。また、「あっさり味」としたことで、スープ表面の油がかなり減らされており、油のフタがない分、さらに一層香りが立ちやすいのだろう。
スープを一口飲んでみると、いきなり「カツオ」とい名の「切り込み隊長」が、鋭い太刀筋で私の口腔の奥深くまでバッサリと一気に切り込んできた・・・イメージ。しかも、「香り」と「旨味」の二刀流である。迅く、鋭く、強く、深く、素晴らしい太刀筋だ。天然素材のみで、これほどに素晴らしいインパクトがあるとは・・・あまりに「美味すぎる」。不意を突かれた私としては、まさに「一刀両断」された想い。
特に麺をすする時に、カツオ風味が器の周囲に立ち込めて、本当にえも言われぬ感激だ。さらに、中盤からは煮干の香りも応援に駆けつけて来る感じで、この二者の波状攻撃の前に、こちらはもうメロメロで、必死になって食べ進む。
今回は「細麺」を選択したため、かなり細めの麺となっていた。もう少しで極細と言えるだろう。しっかりとスープを吸って、茶色になりかけている。一口目は、意外にも博多系の極細麺を連想するような固めの食感だったが、すぐにスープを吸って適度な固さになった。そして何よりかなり長めの麺なので、麺自体の重さと長さで「しなる」ような食感がある。
チャーシューは肩ロースというには脂肪が少なめで繊維のしっかりしたモモ肉のようだったが、噛むほどに肉の旨味が次々に沸き出てくるなかなか美味しいもの。
メンマは十分に巨大だが、「渡なべ」に比較すると幅がやや狭く、メンマという概念の枠をはみ出さない物。
味玉は、まさに「味」玉だ。しっかりと醤油ダレで丁寧な味付けがされ、黄身はルビーのようなキラキラした暗赤色をしていて、黄身の中央だけは液体に近い。なんとも美味しい。
また、海苔がものすごいスープと良く合っている香りで、「よくぞこの海苔を選んだ」と絶賛したくなる相性ぶり。この海苔をスープに浸して、麺と一緒にほおばると、まるで言葉にできない究極の美味が現出する。
スープの塩分はしっかり、ほんのり強めに利いているという程度で、今回、スープをすべて飲み干しても、多少、喉が渇いた程度であった。また、青ネギのやや苦味のある香りが、全体を引き締める「タガ」として、とてもよい役割を果たしていた。
スープが残り少なくなると、最後はレンゲでなく、思わず両手で器を持ってゴクゴク飲んでしまった。最後の方になると昆布や椎茸が利いている。ひょっとしてスルメも使っているかも知れない。器の最後の方に溜まったスープは、まるで「蜜」の味である。
「渡なべ」のスープと、どうしても比較してしまうが、渡なべは素材の「旨味」だけでなく、良い意味で煮干や魚節の「渋味」がとても良く出ており、例えるならビターチョコレート。何とも言えない「ほろ苦さ」があり、そしてその「味」を理解できる「大人」のための「味」というイメージ・・。
「瞠」のスープは、渋味はあまり感じられず、より一層旨味のたっぷり感に比重を置いたような、セミスイートチョコレート・・。より「万人」向けの、美味しく、判り易い「味」と言うイメージだ。
(麺は完食。スープも完飲。)
〜瞠 その3〜
夜に訪問。
ちょっと料亭風の店構え。
竹の笹がいい雰囲気を醸していますな。
2004年10月下旬 つけめん 700円
今回は、ちょっと「音無しの構え」という印象。
天然素材オンリーで構成する「汁」の難しさを感じさせられます。
麺の器が変わりましたね。
つけ麺専用のものを仕入れたのかな?
いかにも「玉子色」の自家製麺。
「栄養豊富」という感じにツヤツヤと輝いています。
一味唐辛子が浮くつけ汁。
今回はちょっと風味が控えめでした。
割り下スープは精進系のダシ。
かなりしっかりした旨味があります。
2004年10月下旬 つけめん 700円
久しぶりの再訪。しかも夜に来るのは初めて。
入店すると、店内には以前のように甘い玉子の香りは漂っていなかった。厨房の中は見えないものの、しばらくすると「つけめん」を冷水で一気に冷やす「ジャジャジャャーーッ」という水道の音が聞こえて来る。すると、ほどなくして、お盆に載せられた「麺」と「汁」が登場した。
「麺」は相変わらずの「玉子色」であり、いかにも「栄養豊富」という感じにツヤツヤと輝いている。まずは何もつけず、一口そのまま食べてみると、「ぎゅうっ」とした密度感は相変わらずであるが「ふうわり」とする玉子の風味はやや弱く感じられ、麺自体の旨味や甘味もあまり目立とうとはせず、ちょっと「音無しの構え」という印象を受けた。
つけ汁に浸して、一口食べてみたが、今回はあの昇り立つ素材の「芳香」があまり感じられず、特に魚系の香気が随分と控えめであった。
控えめというよりも、やや薄いというか、「精彩がない」、「元気がない」という感じ・・・。二口、三口と食べ進んでみても、魚出汁が津波のようにやって来たり、口中で渦潮を起こしているような美味さは、残念ながら感じられなかった。つけ汁の温度が最初からやや低めだったのも関係していると思う。
こちらのお店のように、天然素材オンリーで構成する「汁」は、素材の旬やその個体差のバラ付きによって、どうしても味を一定させづらいとは思うし、閉店近くの時間だったため、香りの飛びやすい魚介系の風味が特に弱くなって感じられたのかも知れない。
短冊切りチャーシュー、大振りメンマはなかなかの出来栄えであったが、やはり主役の「汁」に元気がないと、これらの「脇役」の名演技も、今ひとつ精彩を欠いて感じられてしまう。
土瓶で出してくれる「割り下スープ」をそのまま少し飲んでみると、熱々の精進ダシであった。これほど良くダシの効いた割り下スープを出してくれるお店は珍しいと思う。ただ、できればもう少し多めにくれるとさらに嬉しい。
スープ割をすると、風味がグーンと増し、「瞠」の味を感じることができた。
(麺は完食。スープ割も完飲。)
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