ラーメン&つけ麺食べ歩き
メルシー
(東京都 新宿区)

店名 軽食&ラーメン メルシー(めるしー)
住所等 東京都新宿区馬場下町63 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2005年8月上旬 ラーメン 390円 
2005年12月下旬 もやしソバ 410円



〜メルシー その1〜

(各写真はクリックで拡大します)




東京メトロ「早稲田駅」から徒歩1分ほど。
この地で長らく愛され続けている歴史ある老舗店です。






店内は老舗店に特有の微妙な薄暗さ・・・。
テーブル席のみで、実に気取りのない雰囲気。
雑誌なども置いてあります。






壁にかけられたメニュー。
「ラーメン」を注文しました。






店の奥に位置する厨房です。
すり減ったカウンター台が歴史ある繁盛ぶりを証言。










2005年8月上旬 ラーメン 390円



有名私大の近くにあるとか、値段や雰囲気が昔のままとか・・・
そう言うレベルで語るべきラーメンではないですね。

何よりも、その「美味しさ」に心の底から驚愕です。
スープ、麺、具が、見事に「トリプルクロス」する美味しさの相乗効果。
この絶賛の「三位一体」感・・・都内でも実に屈指のお店でしょう。

うーん・・・・もっと早く食べていれば良かった。
今まで迷っていた時間が、実に悔やまれますなぁ・・・。









スープを一口飲めば、びっくりする美味しさです。
厚みのある素材感と深いコクに満ちた、実にストレートなパンチのある美味。
濃い醤油ダレがじっくりと効き、油も多めなスープは、モヤシやコーンとの相性も抜群。
さらに後口がすっきりとしているのも素晴らしいですな。






麺は丸太さを感じる太麺特有のしっかりとしたすすり心地がある。
スルスルと表面が非常に滑らかで、口当たりが優しいですね。






さらにもう一つかみ・・・うーん美味しいですな。
カンスイ臭がなく、舌触りが良く、意外に現代的なテイストの麺です。
明らかに上質な小麦粉を使い、コストがかかっている印象。




2005年8月上旬 ラーメン 390円 

1958年創業の老舗店、早稲田大学のすぐ近くと言うこともあり、古くから早大生に人気のお店として知られている。
今回、私が訪問したのは8月上旬と言う大学が夏休みで学生不在の時季であり、しかも昼前の11時台であったが、それでも8割がた席が埋まっていたのには驚いた。数人でドヤドヤとやって来てオシャベリしながら食べるか、一人で来て漫画を読みながら食べている客が多い。テーブル席の間隔がゆったり取られているのは良いのだが、一人で行くと基本的に相席がルールのようだ。

スープは一口目、いきなり豊かなコクと旨味が口中いっぱいにあふれ返り、予想を大きく上回るしっかりとしたダシのコクに意表を突かれ、「うおー、美味しいじゃん!」と、心の中で叫んでしまった。
確認する意味であわててもう一口飲んでみると、醤油ダレが強めに利いているようで、「う、割と味が濃い目だなぁ・・・」と感じたが、麺を食べ始めると、むしろ適度な濃さと感じられ、ほとんど気にならなくなって来る。
多めの油が浮いているが、かなり上質なラードを使っている印象であり、クドそうに見えたのとは裏腹に、意外にもスッキリ感のある味わいであり、苦味やエグ味と言うものも全くなく、厚みのある素材感と深いコクに満ちていて、実に味わい深いスープである。

さらに業務用スープ的な薄っぺらさや人工的な味付けが全くなく、このお店の厨房内で、精魂込めて仕込まれているスープ・・・と言う感触がまじまじと伝わって来る。
素材は鶏ガラ、豚骨、煮干等だと思われ、見事にバランス良くお互いの旨味を引き立てあっている印象で、時折、「煮干」が突出しているかのような話を聞くこともあるが、何かが目立っている感じではなかった。また、味そのものは濃い目なのだが、スープを飲み干すと、醤油がベタッと舌に長く残る感じがなく、後口がすっきりとしているのも素晴らしい。

麺はスルスルと表面が非常に滑らかで、口当たりが優しく、舌触りが良く、明らかに上質な小麦粉を使っている印象。豊かな量感のある太麺で、丸太さを感じる太麺特有のしっかりとしたすすり心地があり、新鮮なプリプリ感があり、噛めばモッチーリとする細やかな優しい素直な歯応え。さらに噛み砕いてゆくと、「モチョモチョ、モチョモチョ」として来て、雑味のない優しい小麦の風味があふれて来る。カンスイ臭もなく、コストがかかっている感じで、意外にもかなり現代的な洗練されたテイストである。
また、量感があり、パワフルな太さを備えながらも、同時にどこかしら母性的な優しさを感じさせる・・・・・例えれば、まるで「肝っ玉母さん」のようなイメージの麺でもある。

チャーシューは臭みもなく、薄味で、モモ肉の美味しさをみっちりと閉じ込めてある感じ。ギシギシとかミシミシと言うような感じがなく、硬さはあるもののサックリとした歯切れの良さがある。肉の旨味が感じられてなかなか美味しい。メンマはやや柔らかめであるが、シャキシャキする繊維感が心地よく歯に伝わって来る。
そして、具の中でエースの座を占めているのが、間違いなく「モヤシ」であろう。絶妙な火の通り加減で、歯を入れると「シャキシャキ」と軽快に裁断され、口中でリズム良く「パキュ、ポキュ」と折れて行く感触・・・・・絶妙に油でコーティングされていてとても芳ばしいうえ、噛み砕けば淡色野菜特有の旨味がドッサリとあふれ出てくる。
特に、太麺でこのモヤシをサンドイッチ状はさんで、多めにスープをからめて食べると、歯触りと旨味が何倍にも増幅される感じで、美味しさのボルテージが一気に跳ね上がり、まさに美味しさの「クライマックス」を迎える印象だ。モヤシの美味しさを上手に取り入れ、見事に生かしているラーメンは世に少なくないが、間違いなくそれらの筆頭に位置するラーメンだと思う。

食べ進んでいるうちに、何より強く感じるのは、ラーメンを美味しく食べさせるための「ツボ」を、実に良く心得ていると思わせられることだ。
最初にスープだけ飲んで、ちょっと味が濃い目と感じたのは、実は濃い目のスープとこのモヤシのさっぱり感とを交互に食べさせる事で、マッチ&ポンプ的に次々と箸を進めさせる意図が隠されているのだと気づく。太麺も、モヤシの食感と見事にハーモニーを奏でるベストバランスな食感である。甘めのコーンが散らされていて、その甘味が濃い目の醤油スープのしょっぱさと絶妙な味のコントラストを描くとともに、色彩的にも良いアクセントになっている
要は、スープ、麺、具の三者が、見事に手を携え合っている味・・・・スープの美味しさ、麺の美味しさ、具の美味しさ・・・・それぞれが単独で存在するのではなく、その「トリプルクロス」とも言えそうな・・・味の「重なり合い」で、見事な美味さを現出させている印象だ。

麺と具を食べ尽くした後も、一口、また一口・・・・とレンゲが止まらない。
この濃厚な旨味と深いコクに満ち溢れながら意外にもクリアですっきりした透明感があるスープ、動物素材のコクや煮干の旨味が渾然一体となってパンチがありながら添加物感のない美味しいスープは、新宿駅西口の思い出横丁にある「若月」のスープとも良く似ていると思った。値段やコンセプト、店の生い立ちにも通じるものがあるような気がする。また、モヤシとのからみで食べさせる醤油の強いスープ・・・は、渋谷道玄坂の「喜楽」にも通じるものがあると思う。両店ともに、「メルシー」と同様に長い歴史を刻む都内の老舗店である。
醤油の強い後味が舌に残るかと心配して、スープは全部飲まなかったが、食後もそのような事は全く起こらず、全て飲めばよかったとちょっと後悔した・・・。

実は、10年以上前からこちらのお店を知ってはいたのだが・・・・しかし、なかなか足が向かなかったのは、「有名大学のすぐ近くで、学生に人気のお店」「ラーメンが超安いお店」「この地で長く歴史を刻む老舗店」などなどの、あまり「味」とは関連のない形容詞が常に付いて回るお店であったからである。要は、味は二の次なのかと・・・・つい想像してしまっていた。
こちらのお店、そういった「味」と無関係な事ばかりが話題先行になりがちなようだが、しかし、何より「美味しいラーメン」「本物感に満ちたラーメン」である事が、長らく人気を維持している最大の理由だろう。
そもそも、今や100円台のファーストフードが巷にあふれている中、大学に近いとか、歴史があるとか程度では、到底生き残れないはずだ。やはり、間違いなく、この「美味」で支持されているお店だと思う。


(麺は完食。スープは8割飲んだ。)




↓続きあり






〜メルシー その2〜










2005年12月下旬 もやしソバ 410円



うーん・・・出来のブレなんですかね。
今回のスープはダシが薄く、やや醤油ダレのしょっぱさが先行・・・。
麺はちょっと茹で不足で硬すぎでした。

もやしソバにするとチャーシューが入らなくなり、
代わりに茹で玉子が一切れプラス。
器は模様が入ってちょっと豪華に・・・。









透明感のあるスープは醤油が目立ってややしょっぱめ。
多めのモヤシとの相性は悪くはないものの、
前回の豊かなコクと旨味があったスープに比較すると・・・。






豊かな量感としっかりしたすすり心地のある太麺は健在。
ただ、昼時の混雑のせいか、やや茹で不足で硬め。
噛んでもモッチリせず、小麦の旨さが味わえない感じ・・・。




2005年12月下旬 もやしソバ 410円

前回食べてその美味しさに感激すると共に、「モヤシ」と非常に相性の良いラーメンだと思ったので、次回は絶対に「もやしソバ」と決めていた。
今回ようやく再訪するも、昼の12時ちょっと過ぎと言う、うっかり混雑のピークに当たってしまった。この時間帯だと学生だけでなく近所のサラリーマンも大挙してやって来ている。
それにしても、ホールは結構広いのに、女性スタッフが一人で席割りをし、注文を取り、ラーメンを運び、空いた器を下げ、会計と挨拶まで担当している・・・。それでいて、少しも待たされたり、もどかしさを感じたりさせないのだから・・・実に大したものだと思う。

スープを一口飲んでみると・・・味の路線は前回と全く同じなのだが・・・旨味やコクが薄く、醤油のしょっぱさが尖って感じられる。
何と言うか、良く言えばあっさりとした透明感や鋭角的なキレがある訳なのだが・・・・まるで素材の量が半分位になってしまったかのような、ダシの薄さが感じられてしまう。特に、昼の早い時間にも関わらず煮干の風味がほとんど感じられず、それを補うかのように、醤油ダレがちょっときつく感じられる。芳ばしさを生んでいた油感もやや控えめだ。
特に一口目は余計に旨味が薄く感じられたので、どうやら多めのモヤシの水分がスープの旨味を薄めてしまっている一面もあるようだ
モヤシのエキスで旨味が増幅し、かつ、サッパリと後口が良くなる事を期待していたのだが、むしろ普通のラーメンの方がベストバランスなのかも知れない。

麺はどっしりとした存在感のある太麺。
その豊かな量感としっかりしたすすり心地は健在であったが、お昼のピークで混雑していたせいなのか、明らかに茹で時間が不足している食感であった。生煮えとまでは行かないものの、明らかに芯が残っていて、噛んだ歯に抵抗がかかる感じ。そのため、噛んでもモッチリせず、小麦の風味が湧き立つ感じにならず・・・・今回は、この麺の持つ本来のポテンシャルが十分には発揮されていないように思えた。

今回の「主役」とも言えるモヤシは、やや硬めの火の通り加減であったのと量の多さが相乗効果を生み、予想以上に歯応えがあった。さらに硬めの麺と組み合わさった事で、全体的に結構ハードな食べ応えを生み出している。
メンマは前回に比較すると、フニフニとして非常に柔らかく、歯応えが足りなく感じたが、これは麺が硬めだったのとモヤシが多かったことによる相対的な感触なのかも知れない。
散らされた甘いコーンは、このちょっとしょっぱめの醤油スープのアクセントとして非常に良く合っていた。また、「もやしソバ」になるとチャーシューは入らなくなるようだ。代わりに茹で玉子の7ミリ程のスライスが一枚入っている。

モヤシと麺を食べ尽くして、最後にゆっくりとスープを味わってみたが、スープは味が「濃い」と言うのではなく、ただ「しょっぱい」と言う感じで、やはり旨味は薄めに感じられた。どうやら、モヤシの水分が影響しただけでなく、今回はダシそのものもあまり出ていなかったようだ。
ただ、それでもこちらのスープ・・・・今回は旨味が「スリム」と感じこそすれ、決して「チープ」とか「ジャンク」には感じないのは、この価格帯のラーメンとしては特筆されるべきだと思う。
次回はぜひともこちらのお店本来の「絶好調」の時のラーメンを味わってみたいものだ。


(麺は完食。スープは3割飲んだ。)










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