ラーメン＆つけ麺食べ歩き
好日
（東京都 中野区）

2004年5月下旬　煮玉子つけめん　800円

ＪＲ東中野駅から徒歩１分ほど、家庭的な喫茶店のような佇まいのお店。
店内は中央に大きな楕円形テーブルがあり、奥に小卓がいくつかあった。きれいな花が飾られ、おいしい紅茶と自家製スイーツでも出来てきそうな雰囲気。この日、店員さんは４名ほどいらしたが全員が女性であった。

登場したつけ麺は、大きめの平皿に広げて盛られているため、まるでスパゲッティのようなルックス。さっそく、そのまま麺をひとつかみ食べてみると、見た目はプリプリなのだが、意外と粘るようなコシがあり、ムチムチとする歯応えのある食感であった。しかし、噛み締めるほどに小麦やつなぎに使ったらしき玉子の素晴らしい風味が口中いっぱいにあふれて来て、かなりおいしい麺だった。
つけ汁は醤油の色がきれいな透明感の強いクリアーなタイプで、ほんの少しの油と一味唐辛子が浮いている。麺を浸けてみると、見た目どおりのあっさりした風味であり、適度な酸味があり、鶏や魚が奥ゆかしく香って来る。やや長めの麺であるため、食べ応えがあるのが良い。ただ、表面がツルリとしているため、つけ汁はあまりからまず、十分に浸さないとやや味が弱く感じられてしまうかも知れない。
つけ汁の表面には、少しだけ一味唐辛子が浮いているが、それ以外にも青唐辛子を漬け込んだような、清涼感のある辛味が感じられ、穏やかな出汁の中で、とてもよいアクセントになっている。しかし、後半になってくると辛味が蓄積されるのかちょっと唇がヒリヒリしてくる。辛味だけでなく塩も割としっかり感じられるので、これらの受け皿的にもう少し甘味を足したらさらに良いのではないかと思う。

つけ汁に入っている短冊切りのチャーシューは、おそらく肩ロースと思われる。ベーコンっぽい形だが、風味的には今ひとつと言う感じ。メンマは手裂きのような食感でやや細めのものだ。
味玉は、やや固めに茹でた半熟で、白身はパサっとした感じで、黄身もトロリではなくサラリとしている。食べてみると濃厚な風味があり、しっかりと玉子の味が楽しめるもの。また今回は、煮玉子入りとしたが、もし普通のつけ麺だと具が少々寂しい気がするかも知れない。

食べ終わりに近くになると、スープ割用のスープがミニポットで登場する。レンゲをもらってそのスープだけを少し飲んでみると、カツオ風味の穏やかなスープである。残ったつけ汁に入れて飲んでみると、とてもクリアで奥ゆかしい味であるが、塩分はあまり薄くならない気がした。また、つけ汁の辛味が蓄積して舌の表面を覆ってしまった感じで、ちょっとヒリヒリした状態のため、出汁の旨味を味わうのにベストな状態でなかった。

全体的に天然素材系のナチュラルなテイストであり、じわじわと手探りでこちらの心の琴線に触れてくるような、淑女的でナイーブなつけ麺である。穏やかなヘルシー路線であり、インパクトを売りにするお店とは１８０度方向が異なるので、パンチを期待するのはオカド違いだろう。以前に、ここでラーメンを食べた事もあるが、麺の味自体がとてもおいしいので、やはりつけ麺の方が気に入ってしまった。


（麺は完食。スープ割は６割飲んだ。）

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