ラーメン&つけ麺食べ歩き
このはずく
(神奈川県 横浜市)
(2006/2閉店)
店名 らーめん このはずく(このはずく) 住所等 神奈川県横浜市鶴見区下末吉3-8-1 【地図表示】 禁煙 タバコ分煙(夜10時まで禁煙) 訪問日 2005年6月中旬 しおらーめん 600円
〜このはずく〜
(各写真はクリックで拡大します)
お店が見えてきました。左手のビルの1Fです。
JRの鶴見駅や尻手駅、京浜急行の京急鶴見駅から徒歩20分ほど。
市営バスの停留所「三ツ池道」の真ん前です。
ドアは開け放たれていました。
取材雑誌の切抜きがたくさん貼られています。
店内はL型カウンター形式。
変に気取らない実直な雰囲気のお店です。
メニューはかなーりバラエティ豊か。
こりゃ、初訪問の身にとっては迷いますなぁ・・・。
結局、最もダシが楽しめそうな「しおらーめん」を注文しますた。
2005年6月中旬 しおらーめん 600円
見た目と食味が見事に一致するラーメンですな。
あっさりした淡いトーンの旨味の和風仕立て路線は、
どこかしら日本蕎麦風のテイストを感じます。
デリケートな作りとバランスながらも
チャーシューの美味しさが抜きん出ている感じ・・。
あっさりした旨味のスープは節粉が浮いて風味を補強。
低めの山々がゆったりと連なるような・・・柔らかな稜線を描く味。
プルプルと明確な「反動」を伴う「動的」な食感の極細麺。
ハリがあって動きの速さのある麺です。
スープとの相性も良いですね。
2005年6月中旬 しおらーめん 600円
2003年にオープンした自家製麺のお店。
店頭に貼られている2003年の雑誌の取材記事を読むと、スープのダシには、鶏と豚の合挽き肉と丸鶏を加えた動物系、羅臼昆布とサバ節、宗田節、煮干の魚介系をブレンドし、最後にサバと煮干の粉を振り足しているらしい。今も同じレシピなのかどうかは判らないが、確かに店内には何種類もの節系のダンボール箱が置かれていた。厨房に置かれた製麺機が目に入る。二人の男性スタッフがいたが、調理に集中しているのか、やや寡黙な感じである。
登場したラーメンの器のデザインを見て、これは「中華」ではなく、「和風」を狙っているラーメンだなとピンと来る。
うっすらと色の付いた透明なスープは、ほぼ全くと言って良いほどに「油」が浮いていない。代わりに細かな節粉がわずかに浮いている。
一口飲んでみると・・・淡々としてあっさりした節系の旨味がじんわりと舌の上へと広がってゆく。何種類もの魚節や煮干を使っているせいなのか、単純な強いストレートな風味ではなく、もっとうっすらとして玄妙な感じの複雑な風味である。動物系に豚骨を使っていないせいか、とてもマイルドで柔らかいダシに感じられ、全体を淡いトーンで統一している。
味の構成に決して急峻な箇所がなく、言うなれば、低めの山々がゆったりと連なった風景のような・・・・どこまでも柔らかな稜線を描く穏やかな味わいだ。
極細の麺は、一見すると、スルスル、やんわり・・・・と言う滑らかな口当たりを追求した麺のような印象を受けるが、実際にすすってみると、もっと遥かに「ハリ」が強くて、口の中に入れると「プリプリプリプリッ」と弾けるような食感だ。プルプル、ツルツルした小気味良いハリがあり、かなり食感を主張してくる麺で、どことなく卵白を多めに使ったような食味がある。
食感にモタモタしている感じがなく、麺に加わった力に対してすぐに反応する動きの速さがあり、アシ(伸び)が短く、コシが強い感じで、スクエア感のある舌触りはどことなく日本蕎麦っぽい。そういう意味では魚ダシの効いたスープとの相性は良いと思う。
メンマは太く短い切り方で、繊維が柔らかくザックリと歯が入り、メンマとしての食感を十分に堪能できる感じだ。箸休めとして理想の役割を見事に具現している印象。味付けは濃すぎずゆったりとして上品な感じ。
特筆物は何と言ってもチャーシューである。肩ロースと思われるそのチャーシューは、サクリと噛み切れたかと思うと、口中で「濃厚なムース」のようにマッタリとしながら滑らかに蕩けて(とろけて)ゆく類まれなる食感。そして同時に非常に高尚な肉の旨味がドッサリと口中にあふれ出して来る。まさしく「絶品」と言う言葉が相応しい最上クラスの出来栄え、鹿児島黒豚を思わせる肉質だが、もしそうでないとしても相当に上等な国産銘柄豚を使っているのは間違いないだろう。
いろいろなお店で食べ歩いても、これほどの美味チャーシューには滅多に出会えないと思った。あまりに美味すぎると全体の中で目立ち過ぎるところであるが、サイズがさほど大きくはないので、全体の中では上手にバランスしている。逆にチャーシューメンだとちょっとクドくなってしまうかも知れない。
終盤になるとスープの最下層にやや多めの魚粉が沈んでいるのに気付く。こうなると魚粉の味がダイレクトに現れ始めるので、ずっと穏やかだったスープだが、「最後の一押し」が用意されているイメージだ。
食べ終えてみれば、スープ、麺、具と、いずれも丁寧な作り込みで、目指している味のスタイルも明確に伝わって来る。
ただ、塩味が立ち過ぎることもなく、化学調味料に頼った味でもないので、「ガツン」と来るインパクト路線や、「グイグイ」と引き込む強引路線ではない、まさに見た目どおりの「あっさり繊細系」路線だ。そして昆布や宗田節の存在のせいか、これに醤油の「かえし」を入れれば、日本蕎麦のツユに近いテイストイメージが浮かんで来る。卓上にコショウの姿はなく、代わりに七味唐辛子が置いてあるので、お店としてもその方向を意識しているのかも知れない。
そしてどことなく和食のイメージを感じさせるものの、その道のプロっぽさと言うよりも、むしろ、「自己流」を感じさせる雰囲気がある。
(麺は完食。スープは5割飲んだ。)
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