ラーメン&つけ麺食べ歩き
コムギ
(栃木県 佐野市)

店名 食堂 コムギ(こむぎ)
住所等 栃木県佐野市富岡町1690 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2005年8月中旬 ラーメン 550円
           うま煮ラーメン(餡かけ) 650円



〜青竹手打ラーメン コムギ その1〜

(各写真はクリックで拡大します)




JR&東武線の「佐野駅」です。
最近建替えたようでピカピカ&近代的ですな。






駅前の噴水からの景色。
正面を真っ直ぐ伸びる並木道が美しい。






お店に到着しました。佐野駅からは徒歩25分位かな。
今や佐野でも数少ない本物の「青竹手打」ラーメンを出すお店。
緑のノボリ旗が「青竹手打」のお店である証です。






店内はテーブル席と小上がり。
家庭的でとてもくつろげる雰囲気ですね。






メニューです。
ヤキソバがあるのは珍しいですね。
ヤキソバも青竹手打ち麺を使うのかな?
定番の「ラーメン」と、変り種っぽい「うま煮ラーメン」を注文。






店頭のヒサシに「食堂」と入っていたように
丼物や定食、カレーライスなどもあります。










2005年8月中旬 ラーメン 550円



極あっさりスープ + 青竹手打ち麺。
それぞれの持ち味をギリギリまで追求して見事に組合せた印象です。
本物の「佐野ラーメン」である事への強いプライドを感じますね。

スープは地場っぽさとともに、洗練された上品さを備えた味付け。
独特な麺の食感に「このお店ならでは」の明確なオリジナリティを感じます。
肩ロースチャーシューもふっくらした逸品。









上品な薄味の中に、動物ガラの香りと旨味が非常に素直に出たスープ。
味が舌にダイレクトに感じられるのではなく・・・
じんわりと喉に染み入るようにやって来る美味しさ。






透明感のある美しい手打ち麺は幅広で薄めの仕上がり。
やや「縮れ」や「ねじれ」が控えめなので、
ちょっと名古屋の「きしめん」を連想しますな。






麺のコシは優しくマイルド、噛み締めるとモチモチ感もあるが、
一方で、カサカサするパイ生地のような・・・何層にも空気を含んだような軽さがある。
このモチモチする「ウェット感」と、カサカサする「ドライ感」が織り成す
何とも言えない多孔質な感じの食感がこの麺の真骨頂でしょう。






もう一つかみ・・・ズルズル、ハフハフ・・・うーん、美味しいです。
すする際に、やや硬めにはっきりと表皮が感じられるものの、
すすり心地がとても滑らかで軽く、一本ずつにとてもスムースな均質感があります。
「青竹製法」が生み出す「青竹」ならではの個性的な食感。




2005年8月中旬 ラーメン 550円

「佐野ラーメン」の伝統である「青竹打ち麺」を頑なに守り通すお店。
佐野駅からは結構離れていて佐野工業団地の近く、地元の方の生活道と言う感じの通りに面している。そう言う意味でも「観光化」されていない生粋の「地元店」と言えるだろう。
手打ちのメッカとして名を馳せる佐野市でも、完全機械打ちでありながら、わざと不規則に仕上げた「手打ち風」の麺を使うお店が増えている中、こちらのお店は本物の青竹手打ちに加え、さらに包丁による手切りで一本一本仕上げると言う「昔ながら」の何とも贅沢な麺である。そのため、どうしても一回に打つ麺の量に限度があり、時には麺切れとともに早めに閉店になってしまうこともあるらしい。

登場したラーメンは、大振りな器にスープがたっぷりと注がれている。
一口飲んでみると・・・・醤油色のスープでありながら、醤油の風味がほとんど意識できないほどの薄味に仕上げられている。
その醤油ダレの味が立たない分、動物性のガラの香りと旨味が非常に素直に出ていて、穏やかで、角がなく、丸みのある美味しさを奏でている。力技や物量に頼った感じが一切ない何とも繊細なスープである。
素材には豚ガラと鶏ガラを使っているらしいのだが、力みがないと言うか、ワザとらしさがないと言うか・・・味が舌にダイレクトに感じられるのではなく、じんわりと喉に染み入るようにやって来るスープ・・・と言う感じの美味しさなのだ。

待望の手打ち麺は、箸で持ち上げてみると、透明感のある非常に美しい色艶である。
随分と幅広で薄めに仕上げられ、「縮れ」や「ねじれ」は控えめと言うこともあり、見た目からはちょっと名古屋の「きしめん」を連想させられる。
すすってみると、表面がとろけたようなタイプではなく、やや硬めにはっきりと表皮が感じられるタイプであり、幅広で薄めの形状と言うことや縮れが控えめと言うことも関係していると思うが、すすり心地がとても滑らかで軽く、一本ずつにとてもスムースな均質感がある。
麺のコシは優しくマイルド、噛み締めるとモチモチ感もあるのだが・・・・一方で、まるでカサカサするパイ生地のような、何層にも何層にも空気を織り込んだような独特な食感と軽さのある麺で、何とも言えない多孔質な感じの歯応えを感じる。このモチモチする「ウェット感」と、カサカサする「ドライ感」が織り成す不思議な食感が、明確なオリジナリティを発していて、まさにこの麺の真骨頂と言う感じである。
また、噛み砕いても小麦粉の香りなどが華やかに湧き立つと言う感じではなく、いわゆる「粉臭さ」の少ない麺である。

肩ロースのチャーシューは肉の味がしっかりと残っていてかなり美味しい。ふっくらしていて、臭みもなく、ホロホロとほぐれる繊維質が実に心地よい。
メンマはジョギジョギと、ややねじ切れる感じで、こちらの歯切れは今ひとつに感じられた。

食べていて後半・・・・こちらのお店の「目指しているもの」が、何となく見えて来たような気がした。
まず、「スープ」は油がほとんど浮かない「極あっさり」路線であり、動物性のコクはしっかりとあるが、その伝わり方は優しいと言うか、旨味がゆっくりとジワジワやって来る感じなので、ラーメンにある種の「インパクト」や「パンチ」を求める人にとっては、やや大人しいと言うか、どこかしら穏やか過ぎるラーメンと感じてしまう人もいるかも知れない。
しかし、その真意は、この手打ち麺の香りや味を決して邪魔しないよう、スープが出しゃばらないように、あくまで「名脇役」に徹しさせるための配慮なのだと思う。

そして「麺」であるが、「美味しい」と言われる麺を作ると言うことも勿論なのだろうが、また一方で「青竹製法」が生み出す「青竹」ならではの個性的な食感をきちんと表現できる麺・・・を強く念頭に置いているような気がしてならない。
青竹で打つと、麺帯を竹筒で延ばしてから折り重ね、また竹筒で延ばして折り重ね、再び竹筒で延ばして折り重ね・・・・これを何回も何回も繰り返し行うため、まるで「地層」のような・・・・いかにも「層で形成された麺」と言う独特な食味になるのである。
そしてその非常に細かく何層にも分かれた間に微細な空気の気泡が無数に含まれているような、絶妙な「ウェット&ドライ」な食感を感じるようになる。
先にも書いたが、こちらの麺、そのまるでパイ生地を思わせる、何層にも何層にも空気を織り込んだような独特な食感と軽さ、多孔質な感じの歯触りがしっかりと感じ取れる麺に仕上げられ、そこに照準を合わせている気がしてならない。

青竹で打っているお店でも、必ずしもこのように気泡を含んだような多孔質な感じの麺になっているとは限らず、やり方次第では、モッチモッチする瑞々しく柔らかな多加水タイプと言う感じであったり、いかにも「小麦の練り物」的なゴツゴツとして重く、スイトンのような歯応えのタイプなどもある。小麦粉の配合はもちろん、水分量や折り畳む際の打ち粉の使い方などによる違い、練り方の違いなどで千差万別の仕上がりが生まれるのだと思う。
一言に「手打ち」と言っても、実に様々な麺が存在するなぁ・・・と改めて実感させられるとともに、こちらの「この麺」が好きな人にとっては、多数のラーメン店が軒を連ねる佐野の中にあっても、他店ではなかなか味わえない、まさしく「オンリーワン」・・・・・な存在になっていることだろうと思う。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)




↓続きあり






〜青竹手打ラーメン コムギ その2〜










同上日 うま煮ラーメン(餡かけ) 650円



上に乗る「餡」の量と粘度が半端でなくスゴイ。
ボヨンボヨンとする分厚いトロミ感はインパクト「大」ですな。

分厚いトロミで、麺自体のツルツルする感触が消え、
まるでトロトロのゼリー状の流動感は・・・一度食べたら忘れられない食感。

全体的に薄味で、何とも穏やかな味付けです。







麺をつかむと「餡」がたっぷりと分厚くからみ付いて来ます。
麺のパラパラする「動き」がトロミによってすっかり封じ込められ、
「マッタリ」とした重さのある滑らかなすすり心地を現出。




同上日 うま煮ラーメン(餡かけ) 650円

手打ち麺を出すお店で「餡かけ」ラーメンを出しているのは珍しいと思って注文してみた。本当は「ヤキソバ」とも迷ったのだが・・・。
再び、大振りの器に餡がたっぷりとかけられたボリュームのあるラーメンが登場。この一杯ずつにしっかりと量があるところが、いかにも観光客向けではない、地元の人の「食事」として定着しているラーメンである事をうかがわせる。

スープを飲んでみようとレンゲを入れて判ったのは・・・・ともかく「餡」の量が半端でなく多いことだ。
蓋のように「ビッタリ」と麺とスープの上をしっかりと覆い尽し、しかもかなりの分厚い「層」を成していていて、容易には下にある麺を引き出せないほどである。片栗粉によるトロミの濃度自体もかなり濃く、ボヨンボヨンとする強い粘性がある。

器の上半分はすべてこの「餡」と言う感じで、下層のスープを飲もうとしてもどうしてもトロミが混じり込んでしまい、片栗粉の分厚いトロミがペットリと舌の全面を覆い尽くし、そのトロントロンの寒天のような口当たりに圧倒される。
ただ、そのトロミのポヨンポヨンした感触と、水分の豊かな野菜類の味に圧倒され、せっかくのスープのダシの味がやや判りづらくなっている。もともと醤油ダレが控えめで、ダシも繊細なスープゆえ、存在感の強い餡に食感も味もやや占領されてしまった感じで、うっすらした野菜の旨味と片栗粉が幅を効かせた味にすっかりスイッチしている印象なのだ。
しかし、よく噛むとシャクシャクする野菜類の歯応えがあり、マッタリするトロミの食感とのコントラストが楽しく、これはこれでなかなか美味しいとも感じる。
また全体に薄味なので・・・卓上のコショウやラー油や酢などで、ある程度自分の好みの味に仕上げても良いと思う。

麺は器の下層に埋蔵されている感じで、箸でつかみ出すと「餡」がたっぷりと分厚くからみ付いて来る。
すすってみると、見た目以上に「餡」の存在感が強く、その片栗粉によるトロミに、やはり手打ち麺の食感がすっかり占領されている感じである。
麺のパラパラする「動き」がトロミによってすっかり封じ込められ、「マッタリ」とした重さのあるすすり心地になっており、また、餡かけ焼きそばのように、麺が揚げ焦がされて硬さがあれば餡に埋もれる事がなくバランスが良いものの、茹でた柔らかな麺をこれだけ分厚いトロミが取り囲んでしまうと・・・麺自体のツルツルする感触がなく、何ともトロトロのゼリー状の流動食を食べているような感覚である。

餡自体、もう少し薄くしてサラッとさせた方が麺の食感を楽しめるし、食べ易いとも思うが、しかし、「インパクト」と言う意味では、ひとかたならぬものがあり、一度食べたら忘れられない印象の強さがある。それゆえ、ハマる人はこの食感にすっかりハマってしまうのかも知れない。餡の重量感も加わって満腹度も並ではない。
できれば個人的な好みとしてだが、「餡」の具材としてキクラゲや椎茸などのキノコ類も入れてくれるとグアニル酸の旨味が加わってさらに美味しくなると思うし、こま切れの豚肉などを一緒に炒めて入れてくれると肉の旨味が散りばめられて、餡のコクがグンと増すようにも思う。


(麺は完食。スープは4割飲んだ。)




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賞味期限 : 製造より90日
青竹手打麺&スープ 各4人前 : 1050円(税込)

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