ラーメン&つけ麺食べ歩き
隠國 本店
(神奈川県 愛甲郡)
店名 麺工房 隠國 本店(めんこうぼう こもりく) 住所等 神奈川県愛甲郡愛川町角田768-9 【地図表示】 禁煙 タバコ完全禁煙 訪問日 2006年8月上旬 醤油らぁ麺 550円
塩らぁ麺 650円
〜隠国 その1〜
お店のノボリ旗が見えてきました。
相模川にかかる高田橋から県道54号を南西へ350mほど。
旗の手前を左折でつ。
左折してから約100m、お店に到着しました。
お店の右手奥に駐車場があります。
裏側から見た図。
ふむふむ・・・・なるほど、こう言う建物だったのですね。
確かに「工房」と呼びたくなるアトリエ風の佇まい。
看板の文字は「隠國」ではなく、「隠国」になっています。
営業時間と定休日。
店内は「古材」を使ったと言う大きなテーブル卓と、カウンター席。
あまり飾らず、いかにも「工房」と言う雰囲気ですな。
窓はないものの・・・・天井が高いので開放感もあります。
メニューのメインは「醤油ラーメン」と「塩ラーメン」。
そして、部位の異なる四種類のチャーシュメンが揃います。
「丼物」も充実。
2006年8月上旬 醤油らぁ麺 550円
(この写真はクリックで拡大します)
ううむ・・・意外にも・・・「レトロ」「復刻」調の味わい。
「懐かしの味」「往年のスタイル」が現代風にリメイクされ、
確実なファンのいる「人気の味」をしっかりと狙って来たと言う印象です。
上手にレトロ感を残しつつも古臭さを取り除き、
現代の味覚水準に合わせたハイレベルな完成度。
「超ロングセラー」を予感させる美味しさです。
スープは「あっさり」&「シンプル」、どこかしら「中華そば」を意識させるテイスト。
口の中に「ジワッ・・・」と広がる旨味、「ほのかな」甘味、「じんわーり」と来る優しいコク。
鶏ガラと言うよりも・・・・「チキンエキス」と呼びたくなる何とも懐かしい味わい。
ポヨポヨと弾む「縮れ麺」の「丸々」とした角がたまらないですね。
連続する柔らかな「丸い物」が連なって口に入って来るようなイメージで・・・・
「プックリ」とした膨らみの感触が「プニプニプニプニ・・・・」と連続するのが非常に快感。
この食味・・・例えるなら丸い「真珠」の連なったネックレス?
2006年8月上旬 醤油らぁ麺 550円
ご存知、神奈川県の有名ラーメン店。
もともとは、相模原のラーメン店「春夏冬」の製麺所だった建物を改造し、店舗にしたらしい。そのため山の中腹のような奥まった場所にお店がある。しかし、ラーメンの美味しさに加え、むしろその「隠れ家」的なロケーションもウケて一躍話題になった面もあるようだ。
ラーメン雑誌などの写真ではお店の周辺は緑深い山の中のように見え、果たしてどれほど奥まった場所なのか・・・・と思っていたが、実際に到着してみると、決して「人里離れた山の中」と言うことはなく、相模原の街中から相模川を渡ってすぐと言う・・・・意外にも割と至便な場所である。これなら、埼玉県玉川町にある「大盛軒」の方が遥かに山間部に存在していると思う。
プレハブ風の建物は正面から見ると確かに「工房」と呼びたくなるアトリエ風の雰囲気がある佇まいである。
店内は線路の枕木か何かを連想させる「古材」を使った大きなテーブルが鎮座し、奥にカウンター席、そして厨房がある。店内のそこここの年季の入った使い込み具合から、元は長らく「工場」だった名残りが感じられる。
登場した醤油ラーメンを見ると、思っていたよりも器が小振りであることに気付く。
まずはレンゲでスープを飲んでみると・・・・スープはやや温度が控えめで、「フレッシュで鮮烈」な感じと言うよりも、結構長時間火にかけられていたような・・・・落ち着いた口当たり。
そうして鶏油の甘〜い香りと、口の中に「ジワッ・・・」と広がるスープの旨味と甘味、コクに、「うーん?随分と懐かしい味だなぁ・・・・」と思った。
この「鶏ガラ」と「醤油」と「ミリン」が混じって醸す、「ジーン・・・・・」として、舌へ、ノドへ・・・・旨味がゆっくりと「沁み込んで来る」ような味わい、「じんわーり」と来る優しいコクは、昨今の新作ラーメンと言うよりも、昔ながらの「中華そば」を偲ばせるレトロ系統の味わいだと思う。
しかし、よくよく味わうと醤油味の中に塩分が利き、なかなかにエッジの立った味わいになっている。魚介ダシが使われていると言う記述も見かけるが、たまたまなのか、ほとんど意識できなかった。自家製と思われる揚げネギが優しく香り、香ばしい風味を添えているが、実に穏やかなトーンでさほど主張し過ぎないのがいい。
そしてこの味・・・・昔よく食べた「あの味」に良く似ていると思ったのだが、どのラーメンなのかはすぐには思い出せなかった。
一方の麺は自家製麺だそうだが、箸でつかみ上げてみると、意外に太さがあり、まるで「手打ち麺」を思わせるような多加水の縮れ麺だ。
昨今の自家製麺と言うとがっつりした硬めのストレート麺ばかりが多い中、柔らかめの多加水縮れ麺と言うのは、これまたどことなく「レトロ」感をあおる。
食べ始めると、縮れがプルプルと元気良く弾み、ビビッドな動きを持っているのだが、途中からだんだん柔らかめになって来て、次第に「トロトロ、トロ〜ン」として、「ユルリ」とする柔らかいコシの動きを見せるようになる。
特に中盤以降の麺は、お湯でふやかしたようなマッタリとした多加水感と、「ポヨポヨ&モチモチ」とする粘度のある丸い縮れが絶妙で、噛み締める度にモッチリと歯を優しく包み込み、舌にまとわりからむような「モニョモニョ」感を帯びて来る。
何より縮れの丸い角が「むっちり」とした独特なソフトな歯触りで、まるで猫の足裏の「プニプニ」とした「肉球」のような心地良い柔らかさ。この柔らかな「丸々感」が、実に良い感じで連続して舌を「くすぐって」来るのだ。
もし、この一連の食感を計算して出しているのだとしたら・・・・これは相当に凄い事だと思う。柔らかくなってからも弾むような小気味良い反発力を維持していて、決して「ダラリ」とノビ切ったりはしないのもいい。
そうして、この麺を食べているうちに、こちらのラーメンが「何」と似ているのか、やっと判った。
ズバリ、日清の「チキンラーメン」である。
もちろん、そっくりそのままの味ではなく、チープさやインスタント感等は全くなく、チキンラーメンを本物の素材感満点に高級にリメイクするとこう言う味になる・・・・と言う意味である。
舌に乗って来る「ベタッ」とした油の甘さ、何より鶏ガラと言うよりも「チキン」と呼びたくなるエキス感・・・・そして「ほのぼの」とする醤油スープの優しい風味と、良い意味で絶妙に「ふやかした」ような口当たりの優しい柔らかさを持つ縮れ麺などなど・・・・。
スープも、麺も、「もしかして、あの味を狙っているのかな?」とも思えてしまう。
ちなみにチキンラーメンは、毎年のようにいくつもの新たな新製品が出ては消えて行く「袋麺」の世界で、1958年の発売以来すでに50年近くも飽きられずに「日本全国」で支持され続けている「超ロングセラー」を誇る偉大なる不動の人気商品である。
つまり、あの味が日本人に最も好かれるラーメンの一つの「理想の味」である事が歴史によって証明されている訳だ。もし、あの味をそのまま本格的にレベルアップして「店舗」で提供できれば・・・・これはもう、多くの人に愛されるラーメンになるのは間違いないだろう。
まあ、あくまで一回食べただけでの、何の根拠もない私の単なる感想ではあるが、いかにも「昔ながら」と思えるチキン風味の甘めの醤油スープ、「昔のスタンダード」と言える小振りな器、レトロっぽい柔らか縮れ麺、昔の定番のモモ肉チャーシュー、などなど・・・・少なくとも「レトロな中華そば」がコンセプトベースとして置かれているのは間違いないように思える。
自家製麺としては130g前後と控えめな麺量なのも、敢えて昔のラーメンを意識しているように思えるし、550円と言う値段も往年の価格に近い設定だ。
実際に訪問する前は、2000年創業と言うことや、隠れ家的なロケーションと言うことで、もっとニューウェーブ系の前衛的なラーメンを出すのかと思っていたが、見た目は白髪ネギや揚げネギがシャレた感じを添えているものの、予想とは正反対に、どことなく「三丁目の夕日」などに出てきそうな・・・・庶民的で懐かしい、レトロな味の・・・・「復刻ラーメン」をテーマとしたような一面も感じられた。
もちろん、上手にレトロ感を残しつつも古臭さを取り除き、現代の味覚水準に合わせたハイレベルな仕上がりになっているのは言うまでもない。
(麺は完食。スープは7割飲んだ。)
↓続きあり
〜隠国 その2〜
あちこち使い込まれた感じが繁盛ぶりの証明かな。
木製の丸い椅子がレトロチック。
平日は15:00までですが、この日は14:30でスープ終了してました。
遠方から行くなら早めの訪問がオススメでしょう。
お店から約350m、帰り道に再び目にする高田橋です。
橋の下は相模川、橋の向こうは相模原市。
同上日 塩らぁ麺 650円
(この写真はクリックで拡大します)
塩ラーメンはレトロ感がなくなり、「淡い」「シンプル」な洗練された味。
決して「力み」や「威圧感」のない優しいテイストです。
量的にはやはり昔のスタンダードサイズを連想させるもの。
味的にも、量的にも、軽く「サクッ」と食べられる「ライトウェイト感」がウリかな?
器と具は、醤油ラーメンと同一のようですな。
塩スープにはホタテパウダーと魚粉らしき粉が僅かに浮きます。
何種類もの素材を、あれもこれもと「ギュウギュウ」詰め込んだ路線ではなく、
塩気は立つものの、あくまで「あっさり」とした風通しの良い潔いテイスト。
塩ラーメンの麺はストレートで、なかなか「現代的」な食味。
たおやかながらも、すすれば「ツルツル」として明確なハリがあり、
噛めば「ハキハキ」とした明るいコシを放つ。
同上日 塩らぁ麺 650円
続けて塩ラーメンを食す。
ちなみにご飯が切れたのか、午後2時過ぎの時点で丼物はすべて売り切れになっていた。
塩ラーメンは、醤油ラーメンとまったく同じ器で登場した。
一口スープを飲んでみると・・・・ピンッと塩気が利いていて、割と強めのエッジが立っている塩味スープだ。
油があまり多くないと言うこともあるかと思うが、ちょっとだけしょぱく感じられるものの、汗をかき易い盛夏と言うこともあってこのようなチューニングとなっている気もする。
ダシ加減は、先の醤油ラーメン同様に、何種類もの素材を、あれもこれもと詰め込んだ感じの「奥深さ」や「量感」のある複雑系ではなく、あくまで「あっさり」とした潔いテイスト。醤油風味が入らないので一層「淡い」「シンプル」な味とも感じられる。醤油ラーメンと異なり、チキン風味はさほど強く感じられず、ミリンなどの甘味も感じられない。
白髪ネギにかけられていた粉末は、どうやらホタテのパウダーのようで、微細なホタテの風味が感じられ、魚粉らしき粉が僅かに浮いている。
魚介の風味が穏やかに姿を現す感じがあり、加えて塩スープと相性の良い揚げネギが香ばしくも優しく香り、食欲を増進させる。
一方の麺だが、塩ラーメンの麺はストレートタイプに変わり、醤油の柔らか縮れ麺と比較すると、かなり「現代的」な食味に感じられる。
たおやかながらも、すすれば「ツルツル」として明確なハリがあり、ストレート麺の「軌跡」がトレースできるかのような、上質なストレート感が心地良い。噛めば「ハキハキ」とした明るいコシがあり、歯応えの応答性が良い印象を受け、相当に上出来と思える美味しさである。細麺なのに時間が経ってもダレないのもお見事。
「自家製麺」と言うと、いかに「パーソナリティ」(個性)を持たせるか・・・・ばかりに注力するお店も少なくないが、こちらのお店のように、これだけはっきりと「クオリティ」面で自家製麺のアドバンテージを示せているお店は意外に少ないように思う。
チャーシューはモモ肉らしい「ミシミシ」と言うなかなかの硬さのあるもので、力を入れて噛んでも「モゴモゴ」として、噛み砕くのに時間がかかった。肉の繊維の硬さのせいか、あまり味も染み込んでいないようだ。
メンマはなぜかかなりの細切りにされているが、そのせいでコリコリとか、ザキザキとかのメンマ特有の歯応えが楽しめず、細いために麺の間に紛れ込んでしまい、やや気になる。
チャーシュー、ホウレン草、メンマ、白髪ネギ、揚げネギ、海苔など・・・・「具」は完全に醤油ラーメンと同じである。ただ、それでいて100円の価格差があるのは・・・・塩ダレとストレート麺に原価がかかっているのだろうか。
スープからも、麺からも、醤油ラーメンで感じたような庶民的で懐かしい、レトロな味・・・・と言う側面は感じられなかった。
あくまで両者の比較の範囲での話しだが、麺もスープもレトロ感のある醤油ラーメンとは対照的に、塩ラーメンは麺もスープもスッキリ洗練された、やや現代的なテイストに仕上げられているようだ。
そして醤油やミリンの風味が入らなくなる分、口当たりが「ライト」「軽快」にまとめられているように感じられるのだが、この「ライト」「軽快」な口当たりが、人によっては、ひょっとしたら「チープ」「単層的」と感じられてしまう事もあるかも知れない。
こちらの塩ラーメンも、醤油ラーメン同様に、味的にも、量的にも、軽く「サクッ」と食べ終えられた。
沢山食べたいと言う向きには、サイドメニューの「ご飯物」と組み合わせるのも一法だろう。ご飯物が常時数種類用意され、充実しているところを見ると、お店側としても無理にラーメンの量を多くして、今のラーメンの持ち味や自分達の目指すスタイルを壊すよりも、ご飯物との組合せを推奨しているような印象を受ける。
ちなみに、平日の営業時間は15時までとの事だが、スープ終了次第で閉店になる。
実際、この日は14時30分には材料が終了したらしく閉店になっていたので、遠方から訪問するなら時間に十分な余裕を持って訪問するのが良いと思う。
(麺は完食。スープは6割飲んだ。)
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