ラーメン&つけ麺食べ歩き
嘉夢蔵
(千葉県 松戸市)
店名 麺屋 嘉夢蔵(かむぞう) 住所等 千葉県松戸市稔台63-19 【地図表示】 禁煙 タバコ完全禁煙 訪問日 2005年12月上旬 つけ麺(太平つけ) 900円
〜麺屋嘉夢蔵〜
(各写真はクリックで拡大します)
お店を発見しました。
新京成線「みのり台駅」から徒歩4分ほど。
表通りからちょっと入った場所。
小料理屋さん風の佇まいですな。
店内は間口はさほど広くないものの、
奥に向かって結構広さがあります。
客席は広めの小上がりスペースとカウンター。
雑誌類も置いてあり、アットホームな雰囲気。
「卵麺」とは「らんめん=らーめん」のもじりかな?
国産小麦を生かした皮で作る饅頭類も人気の品のようです。
つけ麺を「太平つけ」で注文。
「スローフードに賛成します」の宣言。
なるほど・・・無カンスイの自家製卵麺なんですな。
スープも無添加・無化調のようです。
「つけ麺お奨めの食べ方」「スープ割の楽しみ方」など
順を追って細かに説明されています。
薀蓄(うんちく)大好き人間にはたまらん趣向。
営業時間と定休日。
平日は夜のみ、土日祝は昼のみの営業。
店の一番奥に位置する製麺室。
2005年12月上旬 つけ麺(太平つけ) 900円
丸太麺と幅広の平打ち麺を両方楽しめる「太平つけ」です。
麺は・・・何と「圧力鍋」で茹でているそうな。
その独特な超幅広の形状もさることながら・・・
まるで「鍛造」されたような強靭なコシ、非弾性的ソリッド感、瑞々しいウェットベール感・・・
そして、容赦ない歯応えを放つ何ともドラスティックな自家製麺。
東京モーターショー出品の「コンセプト・カー」の如く
既存の観念を超越した「コンセプト・ヌードル」・・・のイメージ。
幅約3cmの平打ち麺です。
ワンタン皮のようなピロピロとした軽快な動きは皆無。
「カッチリ・・・」と角がきれいに立ち、非弾性の「のっそり・・・」とした重い落ち着いた動き。
どことなく、「スライスチーズ」の食感を連想させられる。
表面はビロードのように滑らかで、
全体にしたたるような「水の膜」をまとう角太麺です。
非弾性的な図太い硬い芯が「くっきり」と残った
並々ならぬ「ソリッド&ストロング」な食感に圧倒される。
麺や具を少し残した状態で、スープ割をして頂いたところ。
スープは芳香を湛え、麺は物腰が柔らかに・・・。
2005年12月上旬 つけ麺(太平つけ) 900円
無添加無化調スープ+無カンスイ超幅広サイズ卵麺・・・で注目を集めている千葉県松戸市のお店。
営業時間がやや変則的で、平日は夜のみ、土日祝は昼のみの営業となっている。メニューには、「スローフードに賛成します」と宣言されており、「ラーメン」だけと言うよりも、「食のあり方」そのものに相当なポリシーをお持ちのように感じられる。ラーメン店でお饅頭(まんじゅう)類がサイドメニューになっているのは珍しいが、どうやら国産小麦を生かした手作りの皮で作られているようだ。自家製の麺はなんと圧力釜で茹で上げられ、茹で湯も一回ずつ取り替えていると言う。
登場したつけ麺・・・・・「太平」なので、「太」と「平」の二種類の麺が盛り付けられている。
まずは太麺を数本、何も付けずに食べてみると・・・・表面はビロードのように滑らかで、全体にしたたるような「水の膜」がまとわれている。麺自体はソリッドな硬さがあり決して多加水な食味ではないのだが、どこからかにじみ出るかのように水っぽさが感じられ、まさに「水もしたたる」佇まいとなっている。
そして噛み締めてみれば・・・かなり「ぶっとい芯」がズーン・・・と残っている感じで、重量級の強靭なコシが否応なしに登場する。圧力釜で茹でるほどの硬さに加え、さらにしっかりと冷水締めされているので、その仕上がりは「歯を寄せ付けない」「弾き返す」ほどであり、簡単には歯で切断できない感じ・・・である。実際、普段どおりの力で何気なく噛む程度では、麺の半分辺りまで歯が食い込むと「ガシッ」と歯がストップしてしまうのだ。最初の一口目は、何度も噛み切ろうとモゴモゴしているうちに、ついつい噛み切るのをあきらめて一本丸呑みしてしまったほどである。
この強いコシが「うどん」のようだと評される事もあるようだが、モチモチ、プリプリとする食味ではなく、もっと非弾性的な図太い硬い芯が「くっきり」と残った「ソリッド&ストロング」な食感だ。私的感想としては「パルミジャーノ」などの硬質系ナチュラルチーズの歯応えを連想させられた。
車のアルミホイールで例えれば、他店の麺が簡単に作れる「鋳造」(ちゅうぞう)レベルだとすれば、こちらの太麺の歯応えはまさしく何倍もの超高圧力下で造られる「鍛造」(たんぞう)のイメージであろう。もの凄い圧力をかけて圧延されている印象だ。無カンスイの分、小麦粉の配合も「強力粉」を多めに使っているのだろうか。
また、超幅広の平打ち麺は食べる前は、薄皮のワンタンのような「チュルチュル」と動きに愛嬌があり、「ピロピロ」した楽しい食感のものを想像していたのだが・・・・さにあらず。
こちらもやはり「ガッシリ・・・」と角がきれいに立っていて、弾性や軽さがない「のっそり」として重い、落ち着いた動きだ。何となく、この麺の重い動き、つかみ応え、口当たりからは・・・・「スライスチーズ」を食べるイメージを連想させられる。
ただ、太麺と比較すれば、平麺は薄い分さほど「硬い」とは感じられず、噛み切るのも容易である。
いずれの麺も噛み砕いても小麦の風味が湧き立つ事はなく、粉臭さのようなものも微塵も感じられない。小麦粉と言うよりも「卵と水」の存在感が際立って強い味わいに思う。
つけ汁は厚めのラードが浮いていて、細かく微塵切りされたネギが浮いている。華々しい明るい風味の淡いつけ汁ではなく、旨味がギュウッと濃縮されたような玄人好みしそうな濃い目のつけ汁だ。
味の濃度は、かなり「密」な感じだが、ショウガの芳香がジワジワと加わって食欲を誘っている。つけ汁は濃い目の味わいだが、麺を浸けて食べてみると、麺があまり汁を吸わない感じなのでこの位の濃さがちょうど良いのだろう。
メニューにも「よく噛んでお召し上がり下さい。店の名前もカムゾウですから・・・」というような事が書かれているが、確かに客としてはこの強靭なコシを持つ非凡な麺を、なかなかに手ごわい相手として一目を置きつつ、噛み砕く「仕事」を楽しむイメージだ。
具は丁寧に別皿に盛られるが、鹿児島産黒豚チャーシューはふっくらとしてウェットな食感で、優しい味付けがなされている。九州産の干し筍はシャクシャクと柔らかで緩い繊維感がまるでフキノトウの煮物のような食感。青菜は風味はさほど濃くない。麺のインパクトが強大なせいか玉子焼きやカマボコも含め、具はさほど印象には残らなかった。
ある程度の麺と具を残し、スープ割をしてもらうと、ミニラーメン風になって一杯で二度の美味しさが楽しめる。
再び加熱され、熱々のスープに浸ったチャーシューは、ホグホグと繊維に沿ってほぐれるようになり、中から肉の旨味がドッサリと流れ出てくる。そこへ魚介の風味が芳醇に立ち上り、タレの甘味もほんのりと加わり、とても豊かな味わいになる。
もともとつけ汁の中に様々な旨味が潜んでいたのだと思うが、あまりに密度が濃すぎるのと温度の関係で、判りづらかったのだと思う。スープで多少薄められ、加熱で温度が十分に上がる事で、スープの本来の風味が柔らかなトーンながらも全開になったイメージだ。
そして同時に、このスープがとても美味しいのに驚かされる。味がいきなり鋭利な輪郭を描くのではなく、湯気の中にゆっくりと、柔らかな輪郭が姿を現してくる感じで、エッジの立たない、何ともカドのない円い味わいの美味しさ。つけ汁そのものにも、辛味や酸味がないので、どちらかと言えば、つけ麺のつけ汁と言うよりもラーメンスープに向いている気がする。
また、熱々のスープに浸った麺は、芯の硬さが熱でほぐされた感じになり、がっつりした食感の中にも「しなやかさ」が加わり、ツルツルとすすれて、噛み締める際のコシにも単なる硬さだけではなく、フワフワと心地よい「弾性」が加わり、歯を受け入れる姿勢が現れ、随分と食べ易くなる。後味は加熱されたネギの芳ばしい風味が心地よく喉の奥に残る。
スープの味の判りやすさ、麺の食べやすさ・・・・私的には、麺も汁もラーメンで食べた方が生きるような気がした。その分、個性は薄れる気はするが・・・・。
ちなみに、こちらの太麺を食べていて、以前にどこかでよく似た麺を食べた事があるな・・・と思っていたら、去年食べた「大盛軒」(埼玉県)の無カンスイ「全蛋麺」に、食感も味も非常に近いものがあると思う。どちらも無カンスイで卵をたっぷり使い、作り立てのフレッシュな鮮度感、水がしたたる感じ、硬めのがっつりした歯応え、ズシリとする重み、そして硬質系ナチュラルチーズのような口当たり・・・・など、共通項が多いように感じる。
ただ、いずれも小麦粉の植物性「炭水化物の味」と言うよりも、卵による動物性の「タンパク質の味」・・・・がメインになってしまう感じで、かなりの「新食味」であるように感じる。
プリプリした柔らかい麺や、モチモチした粘りのある麺、スイトンのような粉っぽい麺などを想像して行くとやや戸惑うかも知れない。
(麺は完食。スープ割も完飲。)
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