ラーメン&つけ麺食べ歩き
カミカゼ
(神奈川県 藤沢市)

(2006/10閉店)

店名 中華そば カミカゼ(かみかぜ)
住所等 神奈川県藤沢市善行7-5-4 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2006年8月上旬 塩ラーメン 700円
           ラーメン 700円 



〜カミカゼ その1〜



小田急江ノ島線の「善行」(ぜんぎょう)駅です。
あと、南へ5kmほどで江ノ島海岸と言う立地。
こちらは「カミカゼ」のある東口です。






善行駅から左方向へ歩いて1分弱。
「英会話」の看板の下に「カミカゼ」の看板を発見しますた。
看板の手前の路地を奥へ入ります。






路地を入って10mほどでお店を発見。
ヨコハマタイヤのスマイルがお出迎え。






昔懐かしいアンティークな看板やゲーム機、ナショナルのノレンなど・・・・
「昭和レトロ」がコンセプトテーマですかな?。






入口脇の営業時間と定休日の表示。






店内はカウンター席と、四人掛けテーブルが二卓。
手作り感のある店内、天井の照明の傘のデザインや色がバラエティ豊か。






メニューです。
「塩ラーメン」と「ラーメン」を注文しました。






ほう・・・・ふむふむ・・・・なるほどですねえ・・・・。
勉強になりますな。

店名の「カミカゼ」は、おそらく「神風」からのネーミングでしょう。
「化学調味料」「コピー食品」 が支配する今のラーメン界に
無化調の「神風を吹かす」と言う決意表明でしょうか・・・。










2006年8月上旬 塩ラーメン 700円
(この写真はクリックで拡大します)



アンティーク&下町チックな雰囲気のお店ながら・・・
供されるのは、厳選素材を駆使した「繊細&無化調」ラーメン。
このギャップが楽しいですね。

高尚系ラーメンにありがちな妙な気難しさや衒い(てらい)もなく、
判り易い&親しみを感じる「優しい」美味しさです。

素材感の息づくスープや、高い品質感のある具も素晴らしいですが、
絶妙に芯が残り、小気味良い「歯切れ」を放つ細麺が絶品。









あざとい添加物感のない、ふくよかで柔らかな出汁の旨味が満ちた優しいスープ。
塩ダレはカドが丸く、塩分も控えめで好感が持てますが、後口に割と甘味を感じます。






すすると「フワフワ・・・・」「フゥワリ・・・・」とする軽さがありながらも、
見事なハリ、動きの速さ、キレの良さ・・・・を備えた「絶品」細麺。

決して団子状に固まらず、口中で一本、一本の動きが
見事に「解像」してゆく印象・・・・。






「ザックリ・・・」とする潔い「歯切れ」の気持ち良さ・・・・
「カツカツカツ・・・」とする小刻みな「歯応え」の精緻さ・・・・

「歯ぬかり」や「曖昧さ」が一切ない、
「輪郭」のクッキリとした非常に美味しい麺。




2006年8月上旬 塩ラーメン 700円

藤沢市にある無化調ラーメンの人気店。
以前は横浜市泉区にあったが、2004年9月に惜しまれつつ一度は閉店してしまった。しかし、その後、再開を願う熱心なファン達の声が届いたのか・・・・2005年8月にこちらの藤沢市善行の地で復活したと言うストーリーがある。

お店は善行駅から徒歩一分ほどなのだが、表通りに面しているとばかり思っていたら、実は細長い建物の脇腹に位置していて、表通りからはお店の入口が直接見えにくい造りになっている。道路側に小さな看板が出ているので、看板を見落とさないように注意が必要だ。
入口周辺にはアンティークな看板や置物が並べられ、店内もどうやら「昭和」のムードで統一されているようだ。私が入店した時点では、カウンター席がほぼ満席だったので、四人掛けテーブルへ座った。

スープは厳選した安心素材を駆使して作られているそうで、鶏、豚、煮干し、マグロ節、アゴなどが使われているらしい。
メニューにも、大きく赤字で「無化調ラーメン」である旨が宣言されている。メニューの説明を読むと、ありとあらゆる食品に化学調味料が投入される今の時代に、本物の味を提供することで、「一石を投じたい・・・・」と言う熱い信念、その「ひたむき」な姿勢が伝わって来る。

ちなみに・・・・一言で、「無化調」と言っても、その定義は必ずしも明確でない部分があると思う。当然、化学調味料はアウトだとしても、「たん白加水分解物」の扱いはずっと不明瞭に感じていたが、こちらのお店ではメニューの説明によれば、各種「アミノ酸」に加え、「たんぱく加水分解物」(加水分解調味料)までも不使用との宣言をしている。

まずはスープを飲んでみると・・・・何とも「優しい味」・・・・である。
まさに、こう言うふくよかで柔らかな出汁加減は、厳選された天然素材スープの成せる味なのだろう。攻撃的な面が一切なく、旨味をひけらかして自慢するような感じでもなく、過不足のない、じんわりとする優しい味わい。
インパクト系やジャンク系のラーメンが好きな人にとっては、この「優しさ」を「大人しい」と感じる人もいるのかも知れないが、本来、「食べ物」としての「あるべき節度」「分別」を教えてくれる美味しさだと思う。

ただ、塩ダレはカドが丸く、塩分は極めて控えめで好感が持てるが、その反面、ミリンなのか砂糖なのか・・・・スープの後味には多少の甘味を感じた。
最初はその甘さが口当たりの良さに貢献している感じで悪くなかったのだが、ダシの美味しさをじっくりと堪能しようと、舌がダシの旨味を追いかけて行くと、途中からこの甘味がややしゃしゃり出てきて、舌の行く手を遮ってしまうような気がする。そのため、せっかくのダシを堪能する前に、この甘味で舌が満足してしまうイメージを受けてしまう。

また、スープ一口目に「揚げネギ」の香ばしい風味を感じたのだが、器の中を探しても見つからなかった。おそらくはスープ表面に浮く油の一部がネギ油だったのかも知れない。
さらに、食べていて途中、一瞬だけだがスープから白ワインのような・・・・微細な隠し味を感じたような気がしたが、おそらく私の勘違いだろう。

一方の麺は・・・・すすると「フワフワ・・・・」「フゥワリ・・・・」とする軽さがありながらも、舌先で麺同士がパラパラとリズムを奏でながら個別に動いている感じで、決して団子状に固まらず、まったく「くっつかない」印象。
まるで、「五月雨」(さみだれ)がトタン板へ降り付けるかのように、「パラッ、パラパラ、パラパラパラッ・・・」と、歯や舌へ麺が一本一本分離しつつも一斉に降り注いでくる感じで、この動きの速さ、軽快さ、キレの良さ、はすするのが楽しくてしょうがない。舌に触るか、触らないか・・・・位の軽快なリズムで次々とすすれる感じである。

細麺なのに非常にハリがあり、「コシ」と言うより、絶妙な「芯」が残されていて、歯を通した「食感」で脳に直接訴えかけてくるような美味しさである。
また、この絶妙な「細い芯」の成せる口当たりとして、実際の直径以上にかなりの「極細」麺に感じられ、口中での全ての麺の動きが完璧にトレース出来るかのごとく、一本、一本の動きが見事に解像しながらも、しかも決してバラバラにはならないと言う・・・・見事な食感を奏でてくれる。

さらに、歯を入れると「ザックリ・・・・・」と、何とも気持ちの良い潔い「歯切れ」の心地良さがある。
そして、軽く噛んで味わうと、「カツカツカツカツ・・・・」と、小気味良い歯応えがこれまた絶妙と言う・・・・「すすって良し」「噛んで良し」の美味しい麺だ。
「歯ぬかり」や「曖昧さ」と言うものが一切ない輪郭のクッキリとした麺であり、それでいて、博多豚骨ラーメンなどで使われているような低加水で「ザラザラ」と粗いとか、「ポキポキ」と言う「硬い麺」とはまるで違うのびやかな弾性、ふっくらとする肌合いや、しなやかな滑らかさも、きちんと装備している。しかも、これほど細いのに食べ終わるまで、全くヘタらないのも実にお見事。

チャーシューは、見た目は脂身が多いが、食べてみると「ふっくら」としていて、口の中で繊維が柔らかくほぐれ、しっとりとした肉質で旨味があふれ出す「絶品」レベルの美味しさ。複雑な旨味がジワジワと口中で展開し、肉汁もたっぷりと内包されている。
太めのメンマは、ミリンなのか、ちょっと甘味を感じる味付けで、歯を入れると「ザクッ、ザッ・・・クリ・・・」と歯を包み込む大振りな繊維感が心地良い。「シャクシャク」と噛み砕くと、繊維が微妙にトロける感じがして、中から美味しさが湧き出して来る。

食べ終わっての感想としては・・・・かなり完成度が高い無化調&厳選素材路線のラーメンだと思う。
しかもそれでいて、いかにも若手の人が作っている感じで、妙な衒い(てらい)や気難しさのない、フレンドリーで判り易い美味しさになっているのもいい。
ただ、麺をすする際にもう少し油の滑らかさが欲しいのと、スープの微妙な甘味に関しては・・・・・やや好みが分かれるかも知れない気はする。
繊細系の塩スープの場合、適度な甘味が入ると、甘味と塩味の「綱引き」で箸が進みやすくなり、しかも口当たりが良くなるので、美味しいと感じやすくなるメリットはあるのかも知れないが、むしろ、ここまでダシが良く出ているスープであれば、この「甘味」がなければ、さらに一層、満足度がアップしそうな気がするが、どうだろうか・・・・。

ちなみに、店内のアンティーク&下町チックな雰囲気や、敢えて「中華そば」と書かれている看板から、もっと「レトロ」で「下町っぽい」ラーメンが登場するのかと思っていたが・・・・意外にも懐古趣味的な要素はどこにも感じられず、「厳選素材&高尚系」のラーメンを真摯に目指しているように感じられる。
恐らくは店の作りはレトロチックで遊び心にあふれるエンターテイメント空間にしてお客さんには楽しんでもらい、しかし、ラーメンはどこにも負けない「100%の本物感」にあふれる一杯を・・・・と言うコンセプトなのだと思う。


(麺は完食。スープは6割飲んだ。)




↓続きあり






〜カミカゼ その2〜










同上日 ラーメン 700円
(この写真はクリックで拡大します)



塩と醤油では、どうやら「スープ」だけが変更される模様。

「鶏」と「醤油」と言う味の双璧を得たスープは、
舌の上で柔らかくゆっくりと・・・・大輪の美味しさが「花開く」イメージ。

鶏の旨味が豊かに増強されていて、
私のストライクゾーン「ど真ん中」の嬉しいスープです。

ナチュラルでピュア、上質な美味しさの中に、
どこかしら「独学」の雰囲気も・・・・。









芳醇な「鶏の旨味」が艶やかに効いた美味しい醤油スープ。
主役の「鶏」がはっきりと中心に存在し、他の食材は脇役として取り巻きを務めているイメージ。
心ゆくまで「じっくり・・・」と、雑味のない「ダシ」の美味しさをピュアに堪能できますた。






ふむ・・・・茹で加減の差なのか・・・・
「塩」の時のような、絶妙な「極細の芯」が残る食感は陰を潜めた感じで、
もっと「しっとり・・・・」とした、柔らかな粘性を感じる食味に変化。






細かく解像する極細のソリッド感よりも、
麺の「ふっくら」とする肌合いや、「しなやか」な滑らかさが、
より前面に出て来た印象・・・・。

ただ、醤油スープでは、こういう落ち着いた食味の麺が、
むしろベストマッチと感じられるから不思議・・・・。




同上日 ラーメン 700円 

続けて醤油スープとなる「ラーメン」を食す。
この「ラーメン」は、器も、麺も、具も、薬味も・・・・「塩ラーメン」と同一のもので、どうやら「スープ」だけが変わるようだ。

スープは・・・・塩の時のような焦がしネギの風味は感じられず、代わりに「鶏」の豊かな香りと旨味が感じられる。
「塩」は食材の全員参加型と言うイメージのスープだったが、こちらは、もっとずっと「鶏」の旨味がはっきりと感じられる。つまり、「鶏」と言う主役がはっきりと中心に存在していて、他の食材は脇役として、いい感じで取り巻きを務めているイメージだ。
そのため、スープにより明確な「顔」がある印象である。優しい醤油風味も非常に良くスープに馴染みきっていて、まさしく、私のストライクゾーン「ど真ん中」の美味しいスープだ。
しかも「塩」では気になった後付け風の甘味が存在しておらず、心ゆくまでじっくりと混じり気のない「ダシ」の美味しさをピュアに堪能することが出来た。

ただ、麺は・・・・一見すると、「塩」と同じ麺のように見えるのだが、やや茹で加減が長かったのか・・・・食感は「塩」のような軽快にパラパラする感じは少なく、もっと「しっとり・・・・」とした柔らかな粘性を感じる落ち着いた食味だった。
そのため、「塩」で美徳と感じたせっかくの絶妙な「極細の芯」が残る食感の素晴らしさも、こちらの「ラーメン」ではあまり感じ取れなかった。もっと、ふっくらとする肌合いや、しなやかな滑らかさが、前面に出て来た印象を受ける。
ただ、この醤油のスープには、こういう「しっとり」感のある落ち着いた動き方をする細麺の方が、むしろベストマッチに感じられるから不思議である。

バラ肉の絶品チャーシュー、太めの絶品メンマ、細かく切られた九条ネギ、海苔などは、「塩」と同じものである。
「塩」と「醤油」、いずれの美味しさも捨てがたいが、トータルの魅力で判断すると、あくまで私的な好みでは、「塩」よりもこちらの「ラーメン」の方が気に入ってしまった。
ただ、敢えて欲を言わせてもらえれば・・・・「塩」と「醤油」では、スープの変更に合わせて、麺や薬味などもそれなりに一層相性の良い物へアレンジして変更してくれると嬉しい。
例えれば「塩ラーメン」には、香りの強い九条ネギよりも、白ネギの柔らかな香りの方が合うような気がするが・・・・どうだろうか。

ちなみに、以前、週刊誌「FRIDAY」の巻末で「支那そばや」の佐野氏が連載していたコラム 「オレが唸ったラーメン」 の中で、佐野氏がこちらの「カミカゼ」(泉区時代)のラーメンを食べた回があり、自分の作るラーメンと似たベクトルを持つラーメンだと言うような趣旨の感想を述べていた記憶がある。
実際に食べてみると・・・・いかにも上質な小麦粉を使った感じのストレート細麺、ふくよかで柔らかな出汁の厳選素材系スープ、脂身多めのバラチャーシュー、色の濃い太めのメンマ、九条ネギなどなど・・・・・確かにどことなく「支那そばや」と同じ方向性を感じさせられる雰囲気がある。

ところで・・・・こちらの店主氏はどこのラーメン店で修行されたのだろうか?それとも独学なのだろうか?
実際はどうなのか判らないが、今回食べた限りでは、どこかしら「独学」の雰囲気が見え隠れするような気がするのだが・・・・・。
つまり、店舗の造り、ラーメンの造り、調理の様子、などを見ていると、自分の造りたいお店のイメージ、自分が理想とするラーメンの味やスタイルなど、店主氏の「自分のやりたいこと」があふれている感じで、お店もラーメンも、非常に店主氏の「想い」が強く出ていると言うか・・・・店主さんの考え方や目指す物が、非常にストレートに、ピュアに、ひしひしとこちらへ伝わって来る気がする。


(麺は完食。スープは9割飲んだ。)










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