ラーメン＆つけ麺食べ歩き
かいらく
（東京都 北区）

2004年11月上旬　らーめん　450円

「王子にかいらくあり」と称される老舗店。
昼過ぎに訪問すると満席でしばし入口で待つ事になった。客層は、地元の老紳士、老婦人の方々が多い。店内は、さながら集会所のような和気あいあいとした和やかな空気で満ちている。ホール係の人が、一人で忙しそうにしていた。

登場したラーメンは、器はそれほど大きくないものの、なみなみとスープが注がれていて、動物系の良い風味が漂っている。表面に浮く鶏油がキラキラと光っている。
一口飲んでみると、はっきりとしながらも、穏やかでふくよかな、動物系の旨味がたっぷりと内包されたスープだ。微妙に「まったり」としていて、緩やかなコクがあり、ほんのりとした甘味がスープに味の「厚み」を加えている。素材はおそらく、鶏ガラ、豚骨、昆布、野菜などと思われる。
味付けは、決してナチュラルさばかりではないが、強すぎる化学調味料が食べ手を翻弄するような事もなく、なかなかまとまりの良い味わいだ。この手のラーメンとしてはショウガが目立たないのも「まったり」に拍車をかけている気がした。これで、もう少し鶏油が加わると、同じく老舗の「来集軒」（浅草）のスープと良く似ている気がする。

麺は白っぽい丸細ストレート。黄色い細縮れ麺を予想していたので、これは少し意表を突かれた感じだ。食べてみると、スルスルと軽く口に入り、次々に喉を通ってゆく、実に軽快感のある麺で、あまり小麦密度が高くなさそうな「ゆるり」「するり」とした食味であり、噛んでみると、カンスイ控えめで、ナチュラルな上質小麦の風味がある。
最近の一癖も、二癖もある麺を食べていると、こちらの麺はあまりに素直すぎる食感と感じる人もいるかも知れないが、こちらのお店の客層を考えれば、この麺はベストチョイスだと思う。実に食べ手に負担がかからない麺なのだ。量はおそらく130gほど。

チャーシューは、まさに「昔ながら」のモモ肉。あまり厚みはないが、それでも噛み締めれば「ミシッ、ミシリッ」と言う感じのしっかりとした歯応えを放つ。味付けはあまり感じられないが、冷凍臭みなどもなく、モグモグと奥歯で良く噛んで食べると、まさに「肉」を食べている気になって来る。実にラーメンの「原点回帰」という印象だ。
メンマはスープと同化した味付けで、いかにも繊維の密度が粗そうな、やや柔らかめの歯応え。結構美味しい。

麺をすすると、スープとともに、小さな白ネギの破片が口に入ってきて、シャクシャクという歯応えのアクセントになるとともに、砕けるネギの芳香がプラスされ、実にいい感じになる。ネギが小さく切られ、分解され、全体に散らされているのは、おそらくこの食感を狙っているのだと思う。

また、この手のラーメンには、「白コショウ」が絶好のパートナーと思い、卓上のコショウを少しかけてみたところ、これが何と「黒コショウ」だった。黒コショウのパンチの効いた荒っぽい風味は、このラーメンにはちょっと強すぎる気がした。
店内はマンガ雑誌も置いてあり、くつろいだ雰囲気。他のお客さんは「わんたんめん」をオーダーする人が多かった。老舗店ならではの「五目そば」などもある。このスープなら「もやしそば」も美味しそうだ。


（麺は完食。スープは４割飲んだ。）

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