ラーメン&つけ麺食べ歩き
一本気
(埼玉県 朝霞市)
店名 一本気(いっぽんぎ) 住所等 埼玉県朝霞市三原1-19-5
↓ (2007年6月移転)
埼玉県富士見市西みずほ台3-11-10 【地図表示】禁煙 タバコ完全禁煙 訪問日 2004年4月下旬 支那そば(塩)+味玉 850円
つけそば(小) 750円
〜一本気 その1〜
(各写真はクリックで拡大します)
手書きのノレンと手作りのような提灯。
気取りのない店構えです。
入口に駐車場の案内図が貼ってあります。
北朝霞駅、朝霞台駅、志木駅が近いですな。
L型カウンターのみの店内。
接客はちょっとおっとりした雰囲気。
待ち客用のベンチが店内にあります。
メニューが張られていますな。
支那そばは、醤油、塩、味噌と選べます。
支那そば(塩)と味玉、つけ麺(小)を注文。
鶏つくねは絶品ですぞ。
2004年4月下旬 支那そば(しお味)750円 + 比内鶏味付玉子100円
まるで食べ手の「心を映し出す鏡」のようなラーメンですな。
心穏やかにして食べないと、その真価が判らない気がします。
鶏の風味が非常にデリケートな美味しさ。
クリアでナチュラルな塩味。
まるで「心が洗われる」かのような体験。
2004年4月下旬 支那そば(しお味)750円 + 比内鶏味付玉子100円
もともとは秋田の「きりたんぽ鍋」の美味しいスープに、麺を入れたところ評判が良かった事から誕生したラーメンと言う話を、以前ラーメン本で読んだ覚えがある。確かにそういう感じのラーメン。
きりたんぽ鍋と言えば比内鶏で出汁をとったスープ。しかし、今は国の「天然記念物」に指定されている。その辺がちょっと気になって調べてみたところ、比内鶏は「天然記念物」とは言え、もともと食用家禽なので今も食用に対する規制は特にされていない。しかし、「原種」を保護するために、本当の比内鶏「原種」は市場に出回らなくなり、雄の比内鶏と雌の外国産鶏との交配による一代「雑種」が、「比内地鶏」という名前で流通している・・・と農林水産省のHPに説明が出ていた。
そのため、希少性の観点から言えば、「比内鶏」と「比内地鶏」は全くの別物と言うことになろう。
実は「きりたんぽ鍋」の大ファンの私は、大いに期待して訪問。本当は、ぜひ「つみれそば」を食べたかったが、早い時間で売切れてしまうらしく午後2時に訪問するとすでに売り切れだった。
支那そばは「醤油」「塩」「味噌」から味が選べるので「塩味」を指定。
供されたラーメンのスープは、やや透明感のある淡い醤油色で確かに鶏の出汁が中心だ。
鶏油が浮く非常に穏やかで丸みのあるもので、鶏の「ささみ肉」のような淡くデリケートでふくよかな風味が、まるではにかんだように繊細にその姿を器の中に横たえている。
「鶏」の旨味や甘味がとても穏やかに良く出ているが、全く臭みがなく、ブロイラーのような安い鶏では絶対にこのようなきれいな風味は出せないだろう。
確かに質の良い鶏から時間をかけてじっくり旨味を抽出した感じで、まるで「心が洗われる」かのようにおいしい。しかし、決して「弱い味」ではなく、まるで「凪」の大海のような、穏やかな「静」の表情ながらも、その内側に大きな「動」の量感をひしひしと感じさせる。鶏以外の素材をあえて必要最低限に抑えている印象も受ける。
「塩味」にしたためか、醤油の使われる「きりたんぽ鍋」のスープそのものという感じではないが、やはり、良い鶏を使ったあっさり&ふくよかなスープは非常に美味しいと思う。
麺は自家製らしい。白っぽい極細の麺は微妙なよじれがあり、穏やかな歯触りながらも芯のしっかりした食感で、雑味がないこの繊細なスープとは良く合っている。お互いに「心が通じ合っている」という印象だ。
このスープでこの極細麺を心静かに食していると・・・何と言えば良いのか、秋の夜長に庭先に潜むすず虫の「リリリリリリリ・・・」という、澄んだきれいな音色を静かに聴くかの如き、風雅で、ナチュラルで、繊細な、実に心洗われる体験である。
この両者の醸す繊細な味覚シーンを壊さないように配慮しているのか、味玉はなぜか別皿で出てきた。
また、一つだけ小さなものが入っていた「つみれ」は、食べる前はなんだかずいぶん小さいなと思っていたが、口に入れるとまさに「鶏の旨さと出汁」が爆発的に口の中一杯にひろがって驚かされた。こんなに小さいのに50回位噛んでも噛んでも後から後から噛めば噛むほど旨味が増幅したようにあふれ出てくる。鶏の醍醐味が高密度に濃縮された感じで、非常に美味しい。まさに「濃密な鶏肉のエキストラクト」という印象。
これが15個前後とたっぷりと入る「つみれそば」は一体どれほどの満足度になってしまうのか、想像ができないほどだ。後で気づいたが単品として3個100円で足す事もできるようだ。
チャーシューは肩ロースとバラロールという部位の違うものが二枚入っていた。やや薄めだが、臭みもなく素直な味付け。メンマも穏やかな味わい。
海苔と青菜の巻物が器の中心にちょこんと乗って彩りを添えている。
別皿で出された比内鶏の味玉は半熟タイプだが、ちょっと冷えた状態だったのが残念。しかし黄身がほんのり甘く味付けされていて、塩スープに入れて食べると塩味と甘味の絶妙な相乗効果でとてもおいしく感じる。
スープは多めなのでたっぷりと飲めるのが嬉しい。レンゲではなく、器に直接口をつけて飲むと、何とも香ばしい鶏の油が口中いっぱいに広がる。飲み込んだ後も、鶏のデリケートな心地よい甘味が口中に残ってくれる。
男性二人が調理担当で、女性一人がホール係をしていたが、都心の行列店などとは異なり、待ち客はいてもややのんびりした雰囲気がある。駐車場は3台分、店の裏手で少し離れて徒歩2分位の場所にある。
(麺は完食。スープも完飲。)
↓続きあり
〜一本気 その2〜
同上日 つけそば(小) 750円
美味さとナチュラルさの超ハイレベルな「邂逅」。
奇跡とも思えるつけ汁の素材感。
まるで更科そばのような細麺も驚愕の美味しさ。
この究極の「つけそば」には、
間違いなく、「埼玉を背負って立つ」実力がありますね。
同上日 つけそば(小) 750円
続けて「つけそば」を食す。
小盛りとは言え、麺の量は十分で、おそらく200gちょっとはある印象。ラーメンの麺と比較するとやや太めになって中細タイプ。
まずはつけ汁に浸けずに中細の麺をそのまま食べてみると、なんとも小麦の風味が清々しいおいしい麺だ。
意外にもやや固めのしっかりした食感だが、それを口中で噛み締めていくと、何とも素晴らしい風味が口の中にあふれてくる、噛めば噛むほどおいしい麺と思った。相当素晴らしい小麦を使っている印象。カンスイ臭がまったくないので、中華麺というよりはむしろ更科そば(そばの外皮をいれずに中心部の粉だけで作る真っ白いそば)を食べているような気持ちになる。
健やかな穀物の豊かな風味を心ゆくまで堪能できる素晴らしい麺。支那そばに使っている麺と同じ小麦だと思うが、やはりスープに浸し切らない「つけそば」にすると、断然、麺の風味が生きてくるなぁとつくづく実感した。
つけ汁は醤油味であった。
ひとつかみ麺を浸けて食べてみると、じんわりしながらも口中に芳醇な旨味があふれ返る。やはり醤油の醸造系の旨味が加わると味の輪郭が明快になるようで、塩味と比較すると随分と判り易いと言うか、確実に「うまい」と思わせられるしっかりしたインパクトがある。塩ラーメンよりも厚みのある判り易い味になっているので、濃い味が好きな人でも物足りなさは皆無だろう。こちらの醤油味は確かにきりたんぽ鍋のスープを彷彿とさせられた。
ともかく、箸が止まらず次々と麺がなくなってゆく。すくすくと金色に実った広大な小麦畑が風にそよぐシーンがまぶたに浮かび、のびのびと放し飼いで育った比内地鶏達の元気な鳴き声が聞こえてくるような・・・とても「自然な」「壮健な」「大らかな」印象の美味しさ。
「すごいなぁ・・・」と思わずつぶやいてしまう。美味すぎるなんてものじゃないほど「美味い」。うーん、朝霞市のレベル、侮れず。
鶏だけでなく豚も感じる豊かなつけ汁だが、豚風味はつけ汁に入っていた刻まれたチャーシューから肉汁が溶け出たものかもしれない。
その拍子木切りのチャーシューはやたらと脂身が多いもので、唯一残念なところ。また、支那そば同様につくねも一つだけ入っていた。つくねは「塩味」の方がその純粋な味がより生きるように感じた。
小皿で付け合せてくれた柚子の小片を入れてみると、醤油と柚子で実に「風雅」な和風のつけ麺になる。「更科そば」のような麺と相まって、日本そばの好きな人には、この味は応えられないだろう。
また、なぜかつけそばには最初から味玉も付いているので、値段から考えてもお徳だと思う。
残ったつけ汁にスープ割をしてもらって、改めてスープを飲んでみるとベースに煮干がじんわりと良く出ていて出来の良い日本そばのつゆを連想させられる味わい。この醤油スープなら、支那そば(醤油)もすばらしい旨さだろうと容易に想像ができるが、麺の美味さ自体も十分に堪能し切れる「つけそば」の方が、やはり満足感は高いかも知れない。
大満足とともに食べ終わると、後味はやはり鶏の油の甘味が心地よく残る。少しだけくどさがあるのは、つけ汁に投入されていた脂身の多い豚肉のせいだろう。
(麺は完食。スープ割も完飲。)
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