ラーメン&つけ麺食べ歩き
壱兆
(埼玉県 さいたま市)

店名 麺家 壱兆(いっちょう)
住所等 埼玉県さいたま市見沼区東大宮3-3-14 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2004年12月上旬 壱兆そば 630円



〜麺家壱兆〜

(各写真はクリックで拡大します)




到着しました。
赤いヒサシのお店です。
東大宮駅から徒歩10分ほど。
あと数メートルで上尾市と言う場所ですぞ。






ノレンには「商ひ中」と書いてあります。






営業時間が貼られていました。
月〜金ランチタイムは半ライスサービス。






お店の前に貼られていた「埼玉らあめん番付」。
TVチャンピオン第8回ラーメン王の小林氏による番付です。
こちらのお店が「東の大関」に入っています。






店内はカウンターとテーブル2卓。
冷水はセルフサービス。






券売機制です。
シーズン毎につけ麺が変化するようですな。
「壱兆そば」を購入しました。






カウンターに座ると調理の様子が良く見えますぞ。
麺茹で時間はタイマーできっちり計測。
スープは一杯ずつ「追いガツオ」してくれます。










2004年12月上旬 壱兆そば 630円



穏やかな味わいの中に、
素材の好バランスが息づくラーメンです。

無粋なインパクトとは無縁というか、
性急な美味しさの対極に位置する味わいですな。

ほのかな柑橘系の香りが見え隠れするスープは
後味も軽快なナチュラル路線でまとめられています。









一口目の「ガツン」などとは金輪際無縁と言う感じ。
最初はスロースタートですが、後半になって
俄然「本領」を発揮して来るタイプの美味スープ。






実にやさしい食味の細麺です。
店主さんの目指しているものが伝わって来る感じ。
麺も後半になって俄然「本領」を発揮して来るイメージ。




2004年12月上旬 壱兆そば 630円

2002年開店らしいが、最近のラーメン本に良く登場するお店。実際、TVチャンピオン第8回ラーメン王の小林氏による埼玉県内のラーメン番付で、東の大関の地位を獲得した事もあるようだ。
お店は東大宮駅から徒歩10分ほど、さいたま市内であるが、あと数メートルで上尾市と言う場所にある。店主さんがお一人で切り盛りされていた。
カウンターに座ると、調理の様子が手に取るように見える。麺茹ではタイマーで正確に時間を測り、スープは一杯ずつ雪平鍋で温め、追いガツオをしていた。

登場したラーメンはすぼまった形の器に入り、珍しいナルトの配色が目を引く。
まずはレンゲでスープを一口飲んでみた・・・・追いガツオの様子を見ていた事もあり、また、スープの色合いもやや濁っていかにも旨味が満載と言うビジュアルな事もあり、まずは「ガツンッ」とカツオ風味が舌先に押し寄せるものと予想していた。
しかし、これが意外や意外、予想外にとても「謙虚」な味わいであった。一口目は、「え、薄味?」と一瞬の戸惑いが脳裏を走る。
勇み足で先走った私の舌を、再度リセットし直し、もう一口飲んでみた。
スープからはうっすらと柑橘系の風味を感じる。もちろんカツオ節の風味も感じる。もちろん動物系も使われている・・・しかし、ちょっと離れた遠くから話しかけられるようで、声(味)のトーンがなかなか控えめである。醤油ダレの存在感も随分と控えられている感じだ。

続けて麺を食べてみた。ちょっとウエーブの付いた細麺は、なんともたおやかな食味であり、実に「やさしさ」にあふれた味わい。ただ、ちょっと弱い感じにも思える。
その麺が、この謙虚な旨味のスープと組み合わさると、「随分と大人しいラーメンを作るなあ・・・」と思ってしまった。
しかし、数分後には、それが全くの勘違いであることを思い知ることになる。

半熟玉子は白身が薄い赤茶色になっていて、その色合いからしっかりと味付けされているのかと思ったが、実際は黄身に控えめな甘めの味付けが感じられる程度の、やはり薄味路線であった。メンマやチャーシューも同様である。

しかし、食べ進んでいて、丁度半分ほど食べた頃から、「むむ、だんだん味が増してきたな・・」と感じ始めた。タレが混ざらずに器の下にたまっていたとか、そういうレベルの話ではない。
今までの味が徐々に蓄積されていよいよ花開いたのか、それとも私の舌の感度が次第にMAXになったのか、その両方なのかは判らないが、このラーメンの深い位置に息づいている素材や食味の「好バランス」の存在が、次第にはっきりと感じられ始めて来たのだ。
ジワジワと湧き上がって来る天然の旨味、そしてその素晴らしく「丸い」バランスに、心の底で「うーん・・・美味しい」と、思わずつぶやいてしまう。

なるほどねぇ・・・この「域」に到達するまでに、ある程度のプロローグの時間が必要だったのだろう。そのための「前半」であり、「伏線」なんだなぁ・・・映画や小説でも、いきなり前半に「クライマックス」は持ってこないものなぁ・・・・と理解させられる想い。
スープの本領が発揮され始めて来ると、たおやかな食味の細麺もまるで「呼応」するかのように、俄然、その本領を発揮してくる感じで、ツルツルと小気味良いリズムを奏でて、私の胃の中へ収まって行った。

スープからは、ほのかな柑橘系の香りが見え隠れし、最後の一口まで味わいの伴走をしてくれる。
後味にはミリンのようなデリケートな甘味が口に残るが、全体としては軽快感のあるナチュラル路線でまとめられていた。
ただ、チャーシューはやや薄めのうえ、たまたまなのか脂身が多く、肉の味わいを堪能するまでには至らなかったこと、そしてメンマは一つ一つが固かったり柔らかかったりと食感にバラツキが感じられたこと、はちょっと気になった。

食べ終わってみれば、実に穏やかな味わいの構成の中に、確かな素材の好バランスが息づいているラーメンだ。スープも麺も、最初こそスロースタートだが、後半になって俄然「本領」を発揮して来るタイプと思えた。
無粋な「あざとさ」や「インパクト」とは無縁というか、性急な美味しさばかりを前面に出そうとするラーメンとは対極に位置する味わいである。
それにしてもインパクト流行の昨今のラーメン事情の中で、商売として考えると、当初はこういったラーメンを作るのはかなり勇気が必要であったのではないかと思う。


(麺は完食。スープは6割飲んだ。)











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