ラーメン&つけ麺食べ歩き
ほうさく
(神奈川県 横浜市)
店名 和風らーめん 味の ほうさく(ほうさく) 住所等 神奈川県横浜市南区通町2-39
↓ (2005年3月移転)
神奈川県横浜市南区通町2-25-1 【地図表示】禁煙 タバコ可否不明 訪問日 2005年3月上旬 塩わんたんめん 600円 2005年5月上旬 正油ちゃーしゅうめん 800円
〜味のほうさく その1〜
(各写真はクリックで拡大します)
京浜急行の「弘明寺駅」です。
「ぐみょうじ」と読みます。
小高い山肌に面した感じの駅舎は
パステルカラーでちょっとメルヘンチック。
京浜急行の弘明寺駅からは徒歩12分ほど。
横浜市営地下鉄線の弘明寺駅なら徒歩約5分。
井土ヶ谷駅や蒔田駅も徒歩圏内。
黄色のヒサシが目立つものの
実にさりげない店構え。
店内はカウンターのみでシンプルな造作。
衝立がちょっと高めですね。
メニューです。
塩わんたんめんをオーダーしました。
2005年3月上旬 塩わんたんめん 600円
うむむ・・・すごいですね。
いわゆる「オーガニック」系の頂点を感じさせる味。
何よりも余計な「色づけ」が成されておらず
「素材の持ち味」が非常に大切にされている印象です。
優しく、滋味豊か、上品な味わい・・・そして何より
スープも、麺も、具も、すべてが限りなく自然な姿で存在し、
かつ、「真円」のごとき完璧なまとまり感。
後味の素晴らしさはちょっとした「奇跡体験」ですな。
滔々と湧き出すナチュラルな優しい旨味のスープ。
素材を慈しみ大切にする「心」、自然からの恵みを敬う「気持ち」、
そういう価値観で作られている印象です。
玉子を多く練り込んだ印象の麺。
ストレートでツルーリとする滑らかな口当たり。
絶品チャーシューはまさしく最高ランクの素晴らしい肉質。
バラ肉の「皮」に近い部位のようですね。
ワンタンも非常に自然体な美味しさ。
「素材の声をそのまま食べ手へ伝える」
「素材の持ち味を上手に優しく引き出してあげる」
そんな意図が伝わってきます。
うーん・・・プロフェッショナルですな。
2005年3月上旬 塩わんたんめん 600円
東京にいてもよく名前を耳にする横浜の名店の一つ。2001年の創業らしいが、近日中に移転するとの情報を聞きつけ、その前にと思って訪問してみた。
京浜急行の「弘明寺」駅から地元商店街をてくてく歩いてゆき、その商店街から少し外れたところにお店を発見した。表通りを一本入るため、あまり目立たない場所にありながら、昼の一時半過ぎでも店内はほぼ満席であった。
店内はアットホームでシンプルな作り、やはり地元のお客さんが多そうだ。スタッフは3名いらっしゃったが、キビキビとして明るい接客が気持ちよい。
ラーメンはお盆に載せられ、袋に入った割り箸とともに登場した。
スープを一口含むと・・・「ホワァ〜〜〜ンッ」と、実にふくよかな芳香に全身が包まれる感覚があり、続けて「ジワジワ〜〜〜ン」と旨味が口中いっぱいに注ぎ込まれる感覚を受ける。まるで口の中の雑味が洗い流されるようなナチュラルな美味しさだ。
おそらくは鶏ガラ、節系、昆布などからとっているスープなのだと思うが、何よりも感心したのは、スープに余計な「色づけ」が成されておらず、「素材のピュアな持ち味」がとことん大切にされている印象である事だ。しかも、それでいていずれの素材も決して「顔を見せようとはしない」感じで、お互いに溶け込み合い、融和し合い、「スープ」という一つの味にまとまり切って、全体で見事に調和しているイメージなのだ。
塩味自体は割としっかりと感じられ意外にピントが太いものの、とがった感じがなく、量感もあるので、味が繊細すぎると言うこともない。
また、ワンタン入りとした事で、ワンタン風味がやや混じって感じられ、肉感を増幅させている気がする。ほのかに甲殻類系の風味も感じられる気がしたが・・・定かではない。
数口飲んでみても、ともかく添加物感が感じられず、非常に滑らかな味わいであり、素材を服従させ、いじり回す、というのではなく、素材の姿や気配を感じるような、残像を目にしているようなイメージがありながら、それらがすべて見事に「融和」「調和」し切って、品良く「一体」となっている印象のスープだ。
麺は小麦粉そのものの上質な風味を生かすと言うよりも、玉子などで豊かな味わいを持たせたタイプと思えた。ストレートでツルーリとする滑らかな口当たりだが、意外にやや味気ないすすり応えにも思える。スープがこれだけ良いと、麺にもいろいろ期待や要求をしたくなってしまうところだが、噛み締めても「トロン」とした舌触りが、やや大人しめに感じられ、もう少し何らかの主張や個性を持たせても良いかも知れない。
ワンタンは夢中になって食べてしまったため、正確に数えていないが、おそらく7つ前後入っていたと思う。数の多さもさることながら、内容的にも100円アップの内容としては実に素晴らしいものがある。
一つ食べてみると、皮は厚すぎず、薄すぎず、「チュルン」、「ツルン」と滑らかな口当たりでありながら、皮そのものを味わう余地も考慮されているような作りだ。餡は鶏肉ミンチだと思うが、風味が良く香りが立っていてとても美味しい。甲殻類系の風味や日本酒の風味もほんのりとだが感じられる気がした。
このワンタンも、奇をてらったような部分が全くなく、やはり「素材の声をそのまま食べ手へ伝える」、「素材の持ち味を上手に優しく引き出してあげる」、というような作り手の意図が伝わって来る気がした。
チャーシューは肉厚で、抜群の美味さ。塩というよりも白醤油のような味付けに感じられたが、肉質は紛れもなく「最高ランク」だと思う。鹿児島産の阿久根黒豚と言う素晴らしいものを使っているという情報も目にするが、むしろその肉質をここまでしっかりと生かし切る「調理技術」こそ、素晴らしいと思う。皮に近い部分のバラ肉のようで、白い部分は脂肪とともにゼラチンに近い食味も感じた。
青菜は小松菜だと思うが、非常に新鮮でふくよかな感じで、エグミや苦味が全くなく、サクリとほぐれる煮込み方といい、新鮮な青菜の風味といい、非常に美味しかった。
白髪ネギが鮮度感のある芳香と、歯触りの「キレ」を放っていて、全体のアクセントになっているようだ。
全体としてみても、「インパクト」や「キレ」よりも、「ふくよかさ」「自然体さ」を優先したような造りに感じる。
「ジンワリ」「ホワ〜ン」と来る、柔らかいながらもしっかりした「素材感」と、巧みな「量感」のある味わいからは、素材を慈しみ大切にする「心」、自然からの恵みを敬う「気持ち」、そういうオーガニック系の価値観で作られているラーメンという印象を受ける。以前、TVか雑誌で、「美味しいのは素材達の手柄、私はそれを引き出しただけです。」と話していた料理人の言葉を思い出した。
別な言い方をすれば、調味料や油をバンバン使う「中華」の手法というよりも、素材の持ち味を大切にリスペクトする「和食」の世界を感じさせてくれるイメージだ。
また、食べている最中は、割と塩味が感じられたが、お店を出てから5分もすると、舌の上からはいつの間にか塩味が完璧にその姿を消し去っており、舌の上が驚くほどにスッキリとしている事に気付いた。
食べる前よりも明らかに舌のコンディションが良くなったような・・・、リセットされたような・・・、実に不思議な「清々しさ」だけが、ただただ残っている。
まるで舌がきれいにお掃除され、「一糸まとわぬ」裸の状態になったような・・・限りなく「無垢」な状態の感じなのだ。
そして、それからさらに数分後・・・・ほんのりと甘いミネラルのような旨味が、まるで朧月(おぼろづき)のように、舌の中央にゆっくりと姿を現し・・・・30分ほどで再びゆっくりと姿を消していった。
(麺は完食。スープは7割飲んだ。)
↓続きあり
〜味のほうさく その2〜
お店が見えて来ました。
2005年3月にこちらの新店舗へ移転したそうです。
移転とはいえ、以前の場所から150m程の場所ですな。
横浜市営地下鉄の弘明寺駅から徒歩約5分ほど。
目の前を左右に横切る道路が鎌倉街道です。
おぉ・・・さすが新店舗、まっさらな外壁です。
濃い黄色のヒサシは変わらず。
店内はかなり広くなりました。
天井が高くとられ、窓面積も広いのでとても開放感があります。
カウンター席の向かいが厨房です。
テーブル3卓と、奥には小上がり席もあり。
メニューです。
他に「冷やし中華もりそば」600円もありました。
相変わらず良心的な価格ですね。
「正油チャーシューメン」を注文しました。
店内にあった「ちらし」。
詳しい営業時間と定休日が書いてあります。
2005年5月上旬 正油ちゃーしゅうめん 800円
盛り付けの芸術的な美しさ、その卓越したセンスに加え、
贅沢な厳選素材を実にさりげなく使いこなした何とも「粋」な一杯です。
ド、ド、ド、ド、ドーンと肉厚チャーシュー五連発。
その肉質はまさに業界トップレベル。
単に「コストパフォーマンスの良さ」と言うのではなく、
その「心意気」、「気風(きっぷ)の良さ」に心打たれます。
味わいは中華と言うよりも確かに「和風」路線ですね。
スープは醤油とミリンの風味が絡み合って、ちょっと甘トロンとした味わい。
驚くほどにスススーーーッと、スムーズに「舌に馴染む」スープですね。
たまたまかスープ温度は抑え気味に思えました。
中太の麺はスルスル、スルリ、スルリと、とても素直に口に入る。
数回ですすり切るのに長さが丁度良く、とても食べ易いうえ、
妙なクセのない穏やかな食味が身上と言うイメージ。
ぅわ〜!こんな超絶美味チャーシューが5枚も!!!
ホクホク弾力が豊かながら繊維に沿ってほぐれる最高の肉質。
脂身の状態から、いかにもよく運動させた豚という感じ。
肉本来の美味しさと魅力がギュウ〜ッと詰まってます。
厚みもドーンと肉厚ですね。部分的に2センチはあるでしょう。
食感は硬すぎず、柔らか過ぎず・・・クセや臭みなどとは金輪際無縁。
これぞ豚肉の「醍醐味」という旨さと風格に満ちています。
2005年5月上旬 正油ちゃーしゅうめん 800円
2005年3月に店舗が移転したと聞き、気になっていたが、そろそろ落ち着いたであろう頃を見計らって再訪してみた。
お店は道幅の広い鎌倉街道に面していて、目立つ角地と言うこともあるが、黄色のヒサシと赤いLEDの文字が点滅する看板で、遠くからでも非常に見つけやすくなった。
店前に立てば、さすが新店舗、まっさらな外壁が清潔感満点であり、またこれだけ知名度がアップしていても、自意識過剰な看板を付けたり、必要以上にゴテゴテと飾りを付けないストイックなところが、お金は「食材」にこそかけるべし・・・とでも言っているかのような、お店の「姿勢」を垣間見るようで、非常に好感度大である。
店内は、カウンター席とテーブル3卓、さらに奥には小上がり席もある。また、天井がかなり高くとられたことによる広々感、窓の面積が広いことによる開放感などがあって、とても快適な食スペースと言う印象だ。
カウンター席の向かいが厨房になっていて、接客は以前と変わらないちょっと割烹料理店のような威勢の良さがありながらもとてもアットホームで丁寧なもの。
ラーメンを作る様子を見ていると、店主さん始め、他のスタッフの方も、実に生き生きと、とても嬉しそうに調理をされていることに気付く。なにしろ調理を始めたとたん、自然と「笑顔」になっているのだ。いやはや・・・・本当にラーメン作りが好きなんだなぁと感心してしまう。
登場した正油チャーシューメン、目の前に置かれた瞬間から、その盛り付けの芸術的な美しさ、卓越したレイアウトセンス、刀工技術の正確さ・・・に感心してしまう。
何よりも「器」の中に広がる造形、具の采配は、色使いが美しく、バランスが良く、とても品があり、何よりレイアウトとしての「完成形」であることを強く意識させる。こういった調理のセンスは、懐石料理の「八寸」などに通じる盛り付けの美学を感じさせ・・・まさに本格的な「日本料理」にも劣らないレベルの高さを感じさせられる。
まずはスープをレンゲに取ると醤油の醸造風味がしっかりと立ち上がって来て、結構濃い味のスープなのかと思ってしまったが、一口飲んでみると・・・・動物系は鶏が中心なのか非常に穏やかで丸く、醤油の味もじんわりと効いて来る感じで、カドが立たずに丁度良い塩梅(あんばい)であった。油が少ないと言うこともあるかと思うが、驚くほどに「スススーーーッ」と、スムーズに「舌に馴染む」スープだ。
節系や椎茸なども使われているらしいのだが、素材同士が湯気の向こう側で朧気(おぼろげ)な姿を慎ましく現す感じであり、押し付けがましさや安直な旨味を持たない、ゆったりと身構えた奥ゆかしいスープである。軽やかな口当たりで、重さはないのだが、醤油ダレとミリンのような風味が絡み合って、ちょっと甘トロンとした味わいがある。また、私の錯覚かも知れないが、ちょっと日本酒のような風味も隠し味として感じられる気がしたが・・・定かではない。
ラーメン店出身や素人出身の方のお店でラーメンを食べると、そのダシの濃さや、強さ、インパクトなどをいかに競うか・・・のようなラーメンが多いが、こちらのラーメンは「抑制の美学」とでも言うのか、上品な慎ましさが感じられ、やはり和食のコンセプト、その手法で作られている気がしてならない。ただ、それゆえ結構デリケートなスープと思われるので、もし麺の茹で湯やカンスイ臭などが残っていると、そういった「外乱」にはちょっと影響を受け易いかもしれない。
麺はスルスル、スルリ、スルリと口に入って来る。数回ですすり切るのに長さが丁度良く、とても食べ易いうえ、妙なクセのない素直な食味が身上と言うイメージの麺だ。味わいとしては玉子などで豊かな風味を持たせたタイプと思えたが、前回訪問時の塩スープと比較すると、醤油スープの味は麺によくからむようで、麺の味自体を堪能しようとすると、醤油風味の湿潤がちょっと気になってしまう。
そういう意味では、「正油」と「塩」、いずれ劣らぬ秀作スープではあるものの、あくまで私的な好みで言えば、ダシや麺の味わいのトーンが一層明確に姿を現す「塩」の方が好みかも知れない。また今回は、結構麺の量にボリュームを感じ、チャーシューの多さと相まって、かなりの食べ応えを感じた。
チャーシューはしっかりと醤油による味付けを感じる。厚みがあることもあるが、ほっくりした肉の繊維感、トロンとした脂身の舌触りなどは、中華の角煮を連想させられる口解け感である。
また、いかにも国産生肉と言う感じのふっくら感と香りの良さがあり、肉汁もみっちりと内包されていて、この厚みに向かって歯を入れてゆくに従い、次々に肉がほぐれて美味しさがご開帳されてゆくのは、なかなかヤミツキになってしまう美味しさだ。
厚みはあるが、歯の通りは良いし、実に食べ易いサイズに切り分けられているので行儀良く食べられ、口の小さな人や、アゴの力の弱い人にも喜ばれると思う。
ただ、醤油オンリーと言う感じの味付けなので、5枚を食べ切るには、途中からやや単調な味付けにも感じられて来てしまう。香辛料や調味料などで味の抑揚を付けたり、肉の複数の部位を混ぜるなどして、何らかの変化が付けられるとさらに良くなるかも知れない。
それにしてもこの肉質、この調理、この量で・・・・800円と言う価格は、「超大バーゲンプライス」なのは間違いない。このチャーシューメンは当然だが人気があり、売切れてしまうことも少なくないようなので、早めの時間が狙い目のようだ。
メンマはプキプキする歯応えだが、これもいかにも和食風に仕上げられた味付けと言う感じ。チャーシューの存在感が大きいと言うこともあってか、今回は青菜、白髪ネギとも、具と言うよりは薬味的な位置づけに感じられた。
またなぜか今回のスープの温度は割と低く抑えられていた。
最初は大量のチャーシューが載った事で、表面付近のスープの温度が奪われたのかと思ったが、すぐに底の方のスープを味わってみても同様の温度であったので、おそらくチャーシューのせいではないようだ。
あまり熱過ぎるスープは、舌がびっくりして味が判らなくなるという事は理解できるし、最も味が伝わり易いスープの適温と言うものもあるだろう。これだけの力量のあるお店なので、単なるブレとは思えず、おそらくは明確なポリシーの元での温度管理なのだろうとは思う。
実際、この適温スープが、このラーメンの「優しさ」に、一層拍車をかけている感じもあり、人によっては安心できて食べ易いと言うかも知れないが、あくまで私的な感想としては、もう少し高い温度で提供しても良いのではないかと思えた。
食べ終えて思ったことは、これだけ贅沢な厳選素材を使いながらも、実に「力み」や「気負い」がなく、何とも「粋」を感じさせられる一杯であると言う事だ。
つまり、単純に「コストパフォーマンスがいい」と言うレベルの話ではなく・・・・・作り手側の「心意気」、その「気風(きっぷ)の良さ」に、心打たれる感じなのだ。
また、お店のどこにも「オーガニック」系という文字は出て来ないが、決して作り手の自己満足による味ではなく、何よりも食べる人の体の健康を念頭に置いて調理した物を提供してくれているような・・・・そんな気持ちがしてならない。
こちらのラーメンを食べ終えて感じる事は、やや大げさに言えば、血圧、血糖値、コレステロール、中性脂肪、尿酸値・・・などなど、これら食べ手の体の生体バランスに、決して悪影響を与えるようなそぶりが微塵もなく、どこまでも穏やかで健やかな味わいに終始している「やすらかな味」・・・というイメージなのだ。
そして・・・その味わいはラーメンでありながら、どこかしら日本風の「雅」、「風流」、を身にまとったようなラーメンでもある。
(麺は完食。スープは6割飲んだ。)
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