ラーメン&つけ麺食べ歩き
不如帰
(東京都 渋谷区)
店名 |
豚清湯系貝汁そば 不如帰(ほととぎす) |
住所等 |
東京都渋谷区幡ヶ谷2-47-12 【地図表示】 |
禁煙 |
タバコ完全禁煙 |
訪問日 |
2006年5月中旬 そば(醤油) 700円 |
〜不如帰〜
京王線の幡ヶ谷駅の北口から「水道道路」へと抜ける「六号通商店街」です。
なかなか人通りの多い商店街ですね。
お店を発見しました。商店街からちょっとした路地を20mほど入ります。
知る人ぞ知る、隠れ家的なロケーション。
黒いノレンには「鳴かずとも 鳴かせてみせう 不如帰」と書かれておりまつ。
ラーメンを食べる鳥さんの絵がイカス〜 (´▽`*)
店内へ入るとすぐ右手に券売機。まだ下に何列かボタンがあります。
「そば(醤油)」を購入しました。
店内はL型カウンター席と、二人掛けの小テーブルが一つあり、全体が黒基調でシックな雰囲気。
カウンターも椅子も低めなので落ち着きます。
卓上のメニューです。
表紙には大きく「無化調」と書かれておりました。
メニューの右側。
サイドメニューやトッピング、ドリンクの案内。
2006年5月中旬 そば(醤油) 700円
(この写真はクリックで拡大します)
何とも、楽しい「吃驚!」の連続する美味ラーメン。
想像を超えた「新しいスープ」、予期せぬ「新しい麺」、上質で「新食感の具」も素晴らしい。
未体験のサプライズの連続に、全身を感激の「ヴァイブレーション」が襲う。
まさに「食べ歩きフリーク」のハートを見事に射止める一杯ですな。
うーん・・・クルマで例えるなら、万人向けで実用的な「国産車」ではなく、
独自のクセや確固たるアイデンティティでコアなファンを持つ「イタ車」のような・・・
「その道」のマニアの心をガッチリとつかむ、
何とも「趣味性」の高い個性派ラーメンと言う印象。
うむむ・・・予想以上に強めの「ハマグリパンチ」が圧巻。
まるで足の付かない、水深5m位の潜水用プールへ飛び込んだかのような・・・・
めくるめく底知れない「深み」と、重々しい「水圧」を感じる味のイメージ。
オンリーワンの「新しさ&オリジナリティ」の追求・・・がテーマかな?
低加水の平打ち細麺は「不規則なよじれ」が全身を包み、
すすると唇を「グリグリ」と不揃いにねじって通って行くのが非常に楽しい。
ツルツルと軽いすすり心地ではなく、噛めばワシワシする低加水感、カパカパする乾いた感じがある。
この乾いたうねり感、やや芯が残っている感じが、何とも「新食感」な麺。
斜めに身をよじりながら唇の隙間をグリグリと通ろうとする感触がとても面白いです。
手切り風の平打ちの麺の腹がペトペトと歯に吸い付く感じがあり、
都内ではほとんど食べた記憶のない個性的な麺。
2006年5月中旬 そば(醤油) 700円
2006年1月オープンの無化調ラーメンを出すお店。
京王新線の幡ヶ谷駅の北口を出て「六号通商店街」を進み、商店街の途中で細めの路地を左折すると、地元の皆さんの生活道と言う感じの通りに面してお店がある。店構えは、もともと飲食店用建物と言うよりも、民家の一階を改造したようなイメージを受ける。黒いノレンには「鳴かずとも 鳴かせてみせう 不如帰」と書かれていて、壁面にはラーメンをついばむホトトギスのユニークな絵が描かれている。
店内はL型カウンター席と、二人掛けの小テーブルが一つあり、全体が黒基調でまとめられている。そうして、店員さんの服装や雰囲気などを見ているうちに、「お・・・あれ・・・?」「デジャブ・・・?」と一瞬思った。なんとなく、店内の造作やスタッフの雰囲気、そして何より店内での「居心地」が「地雷源」(杉並区)にそっくりなのだ。後日、インターネットで調べてみると、どうやら店主さん同士で交流があるらしい。そう言えば「無化調」と言う点や、ラーメンを「そば」と呼ぶ点も同じである。隠れ家的なお店の立地も似ている。
登場したラーメン、ちょっとだけ揚げネギが浮くが、ホワホワと素材の香りが良く立ち昇り、なかなか期待を煽ってくれる。
スープをレンゲですくってみると、器の底が深いので、スープを余裕を持ってたっぷりとすくえる感じがある。
そうして一口飲んでみると・・・・これが、何とも・・・・透明感があり、雑味がなく、明瞭な美味しさとともに、めくるめく底知れない「深み」を感じるスープである。
素材は、生の蛤(はまぐり)、豚ゲンコツ、昆布、煮干、椎茸などらしいのだが、次々にあふれて来る旨味は、まさに「エンドレス」である。
もし例えるなら、普通のラーメンスープを水深1.3m位のプールだとすれば、「ドボンッ」と飛び込むと、すぐに足が付いてしまい、「底が見えてしまう」。
しかし、こちらのスープは・・・「ドボンッ・・・・」と飛び込んでから、その後がともかく長い。まるで水深5m位の潜水用プールへ飛び込んだ時のような、さらに「ドボドボ・・・ドボドボ・・・」と、潜っても潜っても、全く足が付かない・・・・。プールで足が付かず、どれだけ深いのか「底が判らない」、あのイメージである。
そうしているうちに、数秒遅れて、奥の方から「ハマグリの旨味」が大波のように力強く一斉に立ち上がり、舌へ押し寄せて来て、実に「吃驚」(びっくり)させられた。
口の中に含んだスープは、前半こそ全体の味が調和しているのだが、後半はまるで「ハマグリ」一色になるイメージだ・・・・。
このハマグリの味の出し方は、予想以上に強めのパンチがあり、これがお店の「狙い通り」なのか、今回たまたまの「ブレ」なのか判らないが、隠し味とか言うレベルではなく、ハマグリの味がかなりむき出しで遠慮なくグイグイと前面に出て来て、やや攻撃的とも感じられる位に、かなり個性的なインパクトになっている。正直、初めて経験する味であり、美味しいだけでなく、本当に目の覚めるような鮮烈な「目新しさ」を感じるスープだと思う。
ただ、かなりはっきりとハマグリの味が出ているので、その旨味とともに、ジリジリと舌を焼くような貝特有のニガニガしい「エグ味」も同時に感じられるので・・・・この辺りは食べ手側としては「貝」の好き嫌いによる好みがダイレクトに出そうな気はする。
さらに、スープからは「ミリン」のような、それともチャーシューを煮るのに使った「日本酒」なのか・・・・フワッと昇り立つ独特のアルコールチックな醸造風味を感じる。この「ミリン」or「日本酒」系の風味が、またスープの「クセ」として加わり、スープに一層の「ひねり」を加えている。
そしてさらに・・・・・麺を食べてみれば、「個性的」なのはスープだけではなかった。
麺を一口食べてみて、これまた「吃驚」である。
低加水の平打ち細麺なのだが、はっきりとした「不規則なよじれ」が全体に付いていて、すすると唇をグリグリと不揃いにねじって通って行くのに驚かされた。この「ねじれ」「よじれ」が生む動き、この斜めに身をよじりながら唇の隙間をグリグリと通ろうとする感触が「生き物」みたいで、とても面白い。
決してツルツルと軽いすすり心地ではなく、ワシワシする低加水感、カパカパする乾いた感じがあり、そして平打ちの麺の腹がペトペトと歯に吸い付く感じがある。そして、この乾いたうねり感、やや芯が残っている感じが、まるでよじって作った「紙紐」をイメージさせる。これまたスープに劣らず、何とも「新食感」な麺だ。
去年食べた佐野ラーメンの「Ra」(栃木県)の手打ち麺をもう少し柔らかくしたようなイメージが近い気がするが、都内ではほとんど食べた記憶のない麺なのは間違いない。もしかして自家製麺か特注麺のどちらかではないだろうか。ただ、後半になると多少スープを吸ってしまうのか、やや柔らかめになり、独特な「よじれ感」も薄れてしまうので、早めに食べるのがコツのように感じた。
チャーシューは、「赤身」「白身」「脂身」・・・と、重層的な構造のもので、相当に良く切れる包丁で切り分けているのか、肉の表面が驚異的に「滑らか」である。
口に入れると滑るように舌の上へと移動し、赤身部分は歯を入れると「フックラ」「ホワホワ」と身がほどけて、驚くほどに「柔らかで」「滑らか」だ。肉の上質な旨味だけをどっさり放出し、「ファッ・・・」ととろけて、あまり噛まずともそのまま口の中から自然に消えて行く。
肉の繊維とか筋と言うものが全く感じられず、言うなれば、まるで「メレンゲ」か「ムース」のような滑らかなとろける舌触りに、またまた「吃驚」である。
ただ、あまりにも洗練され過ぎていていると言うか・・・・その分、肉のワイルドな旨味や歯応えと言うものは少なくなってはいる。
メンマは二種類乗っていて、穂先メンマは「サックリ・・・」と、恐ろしいほどの心地よい「歯切れ感」に、再び「吃驚」。
素晴らしく足並みの揃った上質な繊維感、まるで柔らかく煮た極太のアスパラガスのような「ホッコリ」とした心地よい歯触りが、まさに「快感」と言えるほど、抜群に美味しい。
もう一種類は、普通のメンマを細めに丁寧に切り揃えたもの。こちらもやはり「サクサク、サクサク」と軽い食感で、焼き立てのビスケットを食べるような軽快な歯応えで美味しい。
食べ終えての感想としては・・・・想像を大きく超えていた「新しいスープ」、予期せぬ「新しい麺」が連続し、具の仕上がりも素晴らしく、未体験のサプライズの連続に知らぬ間に何とも「ワクワク」させられ、全身「バイブレーション」状態である。
安心して食べられる昔ながらの味も良いものだが、こういう新鮮な驚き、未知なる新テイストとの出会い・・・・こそが、やはり食べ歩きの醍醐味と言えるだろう。
ただ、前半は「インパクト」として感じられたスープの味の強さが、後半になるとやや押し付けがましく感じられてしまうと言うか、多少食べ疲れして来てしまう一面も持っている感じを受ける。そのためスープを飲み続けると味が次第に舌に蓄積してしまう感じで、今回は飲み干すまでには至らなかった。そして、まるでちょっと濃縮エキスをなめているかのようなハマグリの味のむき出し感が、やや「明確に美味し過ぎる」と言うのか、食べる人によっては、ややあざとい味とも受け取られかねない気もしないでもない。
味に透明感はあるものの、やはり、水深5m位の潜水用プールへ飛び込んだ時のような・・・・重々しい「水圧」を感じるような味のイメージでもある。
また、薬味のネギが中央にゴソッと固めて載せられているのだが、これが意外にほぐしずらく、途中、ちょっと食べづらく感じた。
それにしてもこちらのラーメン・・・・私は事前情報で「ハマグリ出汁」がメインのスープと知っていたので、ある程度心の準備も出来ていた訳だが・・・・もし通りすがりの人が何も知らないで食べたら、こちらの「ラーメン」には、相当な「衝撃」を受けるのではないだろうか。
車で言えば、誰が運転しても「安心感」や「親しみやすさ」を得られる国産のトヨタやニッサンの作る大衆車ではなく・・・・かなりのクセや独自のアイデンティティでコアなファンを持つ「アルファロメオ」のような・・・・何とも「趣味性」の高い個性派イタリアンエキゾチックカーを連想させる雰囲気がある。
そういう意味では、決して「万人受け」のラーメンは狙っていないように感じられる。
あふれるセンスと技術を、単に美味しさの追求だけで終わらせるのではなく、自分だけの大切なオンリーワンの「新しさ」と「オリジナリティ」の追求に費やしているとも思える一杯だ。
(麺は完食。スープは6割飲んだ。)
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