ラーメン&つけ麺食べ歩き
豪快
(神奈川県 藤沢市)

店名 豪快(ごうかい)
住所等 神奈川県藤沢市亀井野2-3-21 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2006年8月上旬 らーめん 630円
           つけめん 685円



〜豪快 その1〜



お店に到着しました。
小田急江ノ島線の「六会日大前駅」から徒歩3分ほど。






藤沢市の中でも屈指の行列店。
建物の左脇に2台分の駐車場がありました。






入口ドアに貼られた営業時間と定休日。






店内はカウンター席と、四人掛けテーブル席が二卓。
カウンター台が高いので、調理の様子がほとんど見えないのは少し残念ですな。






カウンター上のメニュー表です。
このシンプルなメニュー構成で、連日、行列が絶えないのですから・・・・脱帽です。
「らーめん」と「つけめん」をオーダーしました。






明るい内装と喫茶店のようなテーブルや椅子。
丁寧で謙虚な接客、清潔感も満点です。






ほー・・・「ミニらーめん」や「ミニつけ麺」もあるんですね。
夏には嬉しいビールも・・・・ Uヽ(´ー`)










2006年8月上旬 らーめん 630円
(この写真はクリックで拡大します)



「うどん&そば」調の和風あっさりスープに、「スパゲティ」風の良く弾む丸太麺。
そこへ「特厚切り」のチャーシューが非凡なボリュームを添える一杯。

飲み口が非常に軽く、まるで「すまし汁」のように「スルスル・・・・」と、
とてもスムースにノドを通って行く魚ダシスープが秀逸。

スープも、麺も、チャーシューも・・・・ほぼ完全にオリジナル。
修行先の池袋大勝軒の面影は少ないですね。
全体として独自の「和風」路線を目指している印象・・・・。









意外にも・・・・脂がほとんど浮かないあっさり路線のスープ。
魚節や煮干の複雑な旨味が「ジワジワ・・・」と舌に沁み入るような美味しさ。
ライト&スムーズ系和風スープの中では「傑出」した美味しさです。
「きれいな旨味」で、グイグイと次々にエンドレスで「飲ませる」潜在パワーは相当なもの。






「プリン、プリン」と大きく弾み、 ビンビンに活きの良い麺は、かなーりインパクト大。
麺が短めなのも、バラつく感じの動きや、機敏なすすり心地を生んでいる。
太めのスパゲッティを硬茹でで食べる感覚が近いかな?






見た目は確かに大勝軒と同じ「丸太のストレート」ですが、
食味は明確に異なり、明らかに現代風にアレンジされ、
歯応えの明確さが感じられる若者向けの食感のイメージ。




2006年8月上旬 らーめん 630円

1990年創業、名実共に藤沢市を代表する人気行列店の一つ。
以前は大和市にあったが、2001年頃にこちらの藤沢市へ移転して来たらしい。普段は付近の学生達で大行列との話を聞いていたので、大学が夏休みに入る8月を選んで訪問してみた。

ちなみに・・・・東池袋大勝軒オーナーの山岸一雄氏の自伝 「これが俺の味」 を読むと、1961年の大勝軒創業以来、一度も弟子をとらずに家族経営を貫き通して来た山岸氏が、やむを得ない諸事情から初めて二人の弟子を取る事になったいきさつが書かれている。その後、この二人の弟子は独立し、それぞれ、「豪快」と「サニー」(西東京市)と言うラーメン店を開き、現在に至っている。
つまり、こちらの「豪快」の店主氏は「ラーメンの神様」こと、山岸氏の「一番弟子」と言う・・・・非常に輝かしい経歴をお持ちの方なのだ。
加えて言えば、今から16年以上前の山岸氏のピーク期の味を直伝された数少ないお弟子さんのお店であり・・・・・そう言う意味でも、私にとっては長らく最も訪問してみたいお店の一つだった。

まずは、登場した「らーめん」を見て、少なからず・・・・意表を突かれた。
すっきりとした透明感のある醤油スープ・・・・そして、脂やゼラチンがほとんど浮いていない表層・・・・からは、カツオ節や煮干の香りがあふれんばかりに匂い立っている。黒塗りの器との組合せと言うこともあり・・・・どこかしら「和風らーめん」と言う出で立ちだ。池袋大勝軒風の動物性の濁りのある濃濁ゼラチンスープを想像していた私としては、この時点で、正直、少々面食らってしまった。

まずは、黒いレンゲでスープを一口飲んでみると・・・・カツオ節や煮干の風味が、実に迷いなく「ストレート&強力」に口腔いっぱいにあふれ返る。
スープに浮く油が少ないので、一層、これらの香りと旨味が「むき出し」になっている印象である。
透明感のあるスープは、口当たり、舌触りともに、非常に「あっさり&さっぱり」としているが、味わい自体は、割と濃い目でしっかりとしていて、決して弱いとか、薄い訳ではない。味わいの輪郭がはっきりとしていて、しかも雑味がなく、カツオ節や煮干の風味が「クリアー」に出ていて、後口のキレの軽さがあり、あっさりしながらも非常に美味しい。

言うなれば・・・・上等な「そば」「うどん」の和風ツユをベースとして、そこへ少し豚のゲンコツのダシを足したようなイメージでもある。実に「澄んだ味わい」であり、透明感がある「きれいな美味しさ」であり、平坦ではあるが、丼の底の景色が良く見える味・・・・のイメージだ。
そして、後口には煮干特有の苦味がうっすらと尾を引くように感じられるが、さして気になるほどではない。また、これだけ大量の煮干類を使いながらも「生臭み」が全く出ていないのはお見事だと思う。煮干をドッサリ入れるのは良いが、煮干の旨味とともに生臭さなどの「負」の部分も同時にたっぷり出してしまっているお店も少なくない中、こちらのお店は煮干の使い方は「一流」と言う印象だ。

一方の麺は・・・・・見た目は、確かに大勝軒と同じ「丸太のストレート」である。しかし、食味は明確に異なり、明らかに現代風にアレンジされている。
すすってみると、とても活きの良い動きをする麺で、活きが良すぎて弾けてしまって、一本ずつの麺の向きがバラバラで、別々な方向を向いてしまうほどだ。さらに噛んでみると、口の中で「プリプリ」を通り越して、「プリン、プリン」と大きく弾んでしまう。若々しく、ビンビンに活きの良い麺であり、かなーりインパクト大。麺が短めなのも、バラつく感じの動きや、機敏なすすり心地を生むことに一役買っているようだ。
随分と活きが良い麺と言うか、歯応えの明確さが感じられ、すぐ近くに大学があることもあり、近隣からの客層を考慮した若者向けの食感だと思う。
ただし、その反面、きれいに足並みが整列したすすり心地や、モチモチと優しく歯を受け入れて、舌をもてなし、楽しませてくれるような「おしとやか」な感じは少ない。
この食感は・・・・判り易く言うと、太めのスパゲッティを硬茹でで食べる感覚が近い・・・・ような気がする。

具の中では、特厚切りのチャーシューが出色の美味しさだった。
1cm超の分厚いプロック状の肩ロースチャーシューがゴロッと入っていて、まさしく、「噛みちぎる」「かぶりつく」食べ方が良く似合う厚さである。
しかも、ズシッとする量感はあるのに、ほど良い柔らかさと適度な弾力のある歯応えが抜群で、ホグホグ、サックリとした口当たりの良さとジューシー感も装備、肉の旨味もズッシリ・・・と凝縮されていて、奥歯で「モッシュ、モッシュ」と、良く噛んで食べれば、これぞ「チャーシュー」の醍醐味と言える美味しさがあふれ返り、思わず満面の笑みとなってしまう。
店名の「豪快」の名前は、この1cm超の分厚いプロック状チャーシューに集約されている・・・・と言う印象を受ける。

食べ終えての感想としては・・・・
訪問する前は、大勝軒出身と言うことや「豪快」と言う店名から想像するに、「量感」「濃厚」「脂&ゼラチン質」に富んだ「圧倒的&重層的」なラーメンを想像していたが、実際には「明るさ」「キレ」「あっさり感」に寄っているイメージであり、麺の量は多めではあるものの、脂はほとんど感知できないほどに取り払われ、後味や腹心地が非常に「軽い」のが印象的だ。
つまり、意外にも味わいがクリアで透明感があり、豚や鶏の「肉」や「皮」の旨味や匂いが控えられ、節類と濃口醤油の旨味が効いたスマートでスレンダーな「あっさり路線」・・・・なのである。
決して「ガツンッ」とはやって来ないのだが、ジワジワ・・・・と味が姿を現したかと思うと、気が付けば、私の舌がすっかりと「美味しさ」に包囲されているイメージだった。

ともかく「動物性のコク」が控えられ、「油やゼラチン質」がほとんど存在していないので、「そば」「うどん」を食べた食後感に似ている。実際、「うどん」や「そば」などで多用される黒塗りの器を使っていることからも想像できるように、お店としても「和風」路線を目指しているように感じられ、これなら、ワカメなどの具を入れても良く合いそうだ。

ただ、その反面、味に動物性由来の「厚み」があまり感じられず、さほど重量感がないので、池袋大勝軒系に特有の食べ応えである、スープに溶け込んでいた「大量の動物素材」をしっかりと摂取した感じや、胃がジリジリする動物性の豊かな満腹感がお腹の底から湧き上がって来る感じ・・・・は期待できない。
後口も、唇が「ピトピト」とくっつく感じが全くなく、むしろ「サラッ・・・」として感じられる。おそらくは、池袋大勝軒の味のキーである「豚足」や「モミジ」など「ゼラチン質」「トロミ感」をたっぷり出す素材をほとんど使っていないと思われる。

そう言う意味では、あくまで「池袋大勝軒の味」を期待していくと、かなり戸惑ってしまうが、そう言う先入観や前情報なしで食べれば、洗練された「和風魚ダシスープ」は、この路線としては「絶品」の出来栄えだと思う。
ともかく、グイグイと次々にエンドレスで「飲ませる」潜在パワーは相当のものがあり、塩分や油感も控えめなので、飲み口が非常に軽く、まるで「すまし汁」のように・・・・「スルスルスルー・・・・」と、非常にスムースにノドを通って行くのが何とも言えない快感に感じられるほどだ。


(麺は完食。スープは6割飲んだ。)




↓続きあり






〜豪快 その2〜










同上日 つけめん 685円
(この写真はクリックで拡大します)



卵の甘味がたっぷり、「プルンプルンッ」と歯を弾くほどの明快な反発力の「自家製麺」。
脂が極少で、甘辛酸も控えめな、透明感のあるクリアタイプの「つけ汁」。
野性味たっぷり「塊り」感にあふれる極厚美味「チャーシュー」。

これらの組合せは斬新な気もしますが、この味が「大成功」しているのは、
何より連日に及ぶ店頭の行列が証明しておりますな。

麺の器の模様に大勝軒の名残りが・・・・。









ラーメンスープの濃度に限りなく近い「つけ汁」。
そこへ「酢」と「砂糖」を極々デリケートにほのかに効かせているイメージ。

油膜がほとんど浮かないので、ホワホワと上がる湯気に乗って、
鰹節や煮干の香りが「とめどなく」周囲にあふれ返る。






自家製麺は意外に短めなので箸から落ちてしまい、ちょっとつかみ上げにくいかも。
箸でつかんでも決して一塊まりにまとまろうとせず、バラバラに動く感じがある。
プルンプルンと弾けて、一本一本が自由気ままな動きと言う感じ・・・。






麺が短いので「すする」と言うよりも、「スパゲッティ」のように「食べる」と言う感覚に近い。
玉子の味が強く出ていて、小麦製品と言うよりも、むしろ玉子製品と言う・・・印象も。






つけ汁には1cm超の分厚いプロック状チャーシューがゴロッと埋蔵。
ズシッとする量感とほど良い柔らかさ、適度な弾力のある歯応えが抜群で、
ホグホグ、サックリとした口当たりの良さも装備。
肉の豊かな旨味とジューシー感にあふれ、非常に美味しいです。




同上日 つけめん 685円

続けて「つけめん」を食べる。
麺の器のデザインに大勝軒の名残りが感じられるが、やはりつけ汁は脂やゼラチンが極少であり、透明感のあるクリアタイプである。

まずは汁に漬けず、麺だけをそのまま食べてみると・・・・箸でつかんでも決して一塊まりにまとまろうとせず、一本一本がバラバラに動く感じがある。
麺が短めな事もあって、口の中へパラパラ、ポロポロとほぐれつつ入ってくる感じで、しっとりスルスル〜と整ってすすれるタイプではないようだ。
噛み締めると「プルンッ、プルルンッ」と、歯を弾いてしまう明快な反発力を放ち、モシャモシャと良く噛み砕き、噛み潰して食べる感じになる。その分、歯応えが「若々しく」「軽快」「明確」であるが、やはり、中華麺と言うよりもスパゲッティの食味を連想させられ、池袋大勝軒の「サクサク」とか「モチモチ」とする多加水系の麺の食感とは異なると思う。

また、つけ麺とラーメンは同じ麺を使っているのだと思うが、なぜか「つけ麺」の麺の方が短く感じられたのは不思議だ。
また、噛んでみると、麺がスープに浸っていたラーメンでは判らなかったが、卵の甘味がたっぷりと感じられ、これはかなり、玉子を使っている麺だと思う。玉子の味が強く出ていて、小麦製品と言うよりも、むしろ玉子製品と言う・・・・印象を受けるほどだ。

いよいよ、麺を透明感のある「つけ汁」に浸して食べてみると・・・・ラーメンスープの濃度に限りなく近い「つけ汁」であるが、そこへ「酢」と「砂糖」を極々デリケートにほのかに効かせている事が判る。
つまり、煮干と鰹節が鮮明に効いたスープに、控え気味に酸味と甘味がプラスされている。加えて、僅かな一味唐辛子も浮くものの、辛味はさほど感じ取れなかった。

このつけ汁なら、長め&柔らかめの細麺を組み合わせると相性が良いように思うのだが、現在の「プリンッ、プリンッ」と弾む活きの良い太麺との組合せでは、やや麺が浮いてしまうように感じられる。つまり、表面がツルツルした太麺に、トロミの少ないつけ汁が弾かれてしまって、あまり味がからまない印象なのだ。
しかも、非常に油の少ないつけ汁なので保温性があまり高くなく、麺を浸け続けていると、早めに温度が下がってしまい、温度が下がってしまうとさらに麺が浮いてしまって、麺とつけ汁のそれぞれが独自の道を歩むかのような・・・・分離した感じになり、一層、麺とつけ汁の「一体感」があまり感じられなくなってしまう。

やはり、つけ麺の「つけ汁」としては、もう少しトロトロするトロミと粘度のある動物性のゼラチン質を出さない限り、太麺相手にはさほど味がからまないような気がするが、一方で、多めの麺を、和風に「サッパリ・・・」と食べたいと言うニーズには、実に的を射て合致しているような気もして来る。

つけ汁の中には、チャーシュー、茹で玉子半分、メンマが入っていた。
そして、ラーメン同様に、このチャーシューが「絶品」の美味しさだ。他店のチャーシューが「板チョコ」ならば、こちらのチャーシューは、まさしく「プロックチョコ」にかぶりつく感覚と言えるだろう。
この野性味のあふれる「塊り」感が、まさに「豪快」そのもので、厚みのあるブロックチャーシューを大胆にホグホグと噛み砕いて味わう醍醐味は、他ではなかなか味わえないと思う。

食べ終えての感想としては・・・・・今回「らーめん」と「つけめん」を両方食べてみたが、あくまで個人的な感想だが、圧倒的に「らーめん」の方が気に入った。
少なくとも今回食べた限りでは、こちらのお店の魅力は「麺」よりも、「和風スープ」のあっさりとした美味しさと、「ブロックチャーシュー」のボリューム&豪快な美味しさにあると思う。
そう言う意味では「ラーメン」の方がこの二者をより一層堪能できる気がしたのと、つけ麺では多少バラバラに感じられた「麺とスープ」の両者の一体感が、ラーメンでは麺がスープに長らく浸り切っている関係で、より自然な一体感が醸されるようだ。

ちなみに、こちらの「つけ汁」・・・・この「あっさり感」は・・・・「池袋大勝軒」と言うよりも、「中野大勝軒」の味の方がまだ少しは近いと思う。
ただし、そもそもこちらのお店、店主が遠い昔に山岸氏の下で修行した経歴があると言うだけで、今では「ノレン」も「店名」も全く別のお店なのだから、むしろ、既に完全に「独自の路線を歩む味」と考えるべきであり、いつまでも「大勝軒」と比較すること自体・・・・無意味であることに気付かされた。
このつけ汁にこの麺の組合せは斬新な気もするが、その味が「大成功」しているのは、何より連日に及ぶ店頭の行列が証明していると思う。


(麺は完食。スープ割はせず。)










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