ラーメン＆つけ麺食べ歩き
御天 千駄ヶ谷 店
（東京都 渋谷区）

2004年5月下旬　ラーメン630円 ＋ 替玉130円

御天は、以前に「なんでんかんでん」（東京都世田谷区）にいた人が独立して杉並区に出したお店と聞いていたが、ここはその支店である。
歩道橋の陰に隠れるようにあるが、目立つ看板ですぐに判る。店内は入ってすぐにテーブル席があり、奥に向かって細長いカウンター席が続く。すごい豚臭さと聞いていたが、たまたまなのかこの日はお店の外はおろか店内にもあまり豚骨臭は感じられなかった。カウンターに座るとちょっとすえたような複雑な醗酵臭がしたが、それはどうやら豚臭さというよりも、薬味としてカウンター上に置いてある辛子高菜の匂いだった。

ラーメンを注文すると、極細麺で茹でるのが早いのか、驚くほど早くあっという間にラーメンは登場した。
スープは豚のゼラチン膜が分厚く浮くが思ったより粘度は低そうで、油もそれほど多くなく適度である。飲んでみると舌にネットリとまとわりつく重み（濃度）が心地よく、ザラ付くような骨髄の感じは少ない。確かに若干の臭みはあるものの、それ以上にはっきりとした豚の風味と旨味にあふれていて、とても複雑、味わい深いおいしさがあり、確かに引き込まれるスープである。
良質なゼラチンのトロミや粘りでまったり感のあるスープだが、化学調味料による旨味の補強もあって、味の輪郭はきちんと明確に出ている。塩分が控えめなのは好感触。

麺はもの凄い極細麺。「バリカタ」で頼んだところ、かっちりした固めの食感で、ほとんど生に近いそうめんを食べているような感触だ。
麺の味はちょっとレトロで素朴な感じで、旨味の濃厚なスープを受け止めるにはこれ位の麺のほうが良いのかも知れない。量は少なめで、やはり替え玉前提という感じ。それに、昼はセット物もあるし、夜は飲んでいろいろツマミを食べたりするので、ノープロブレムだろう。
チャーシューはバラ肉か肩ロースか判りづらい小さなもので、博多系はこういうタイプが多いようだが、脂身がブヨブヨしていて味わいが堪能できる感じにはならない。また、万能ネギではなく九条ネギのようなネギが載っている。

替え玉をしてもらったが、スープの濃厚さはまるでびくともしないで替え玉を受け止める。
替え玉後に、卓上の白ゴマと辛子高菜を入れてみる。ゴマは半分すられているので風味が良く出ていてうれしい。辛子高菜は独特の醗酵臭があり、結構辛いため食べる時にちょっとむせてしまった。少しずつ入れた方が良いだろう。
この両者を入れてみてもスープの骨格が強いことや、濃厚なゼラチンのマスクがかかるためか、大きく味が変わることはなく、風味だけがより一層に豊かになって楽しめる。特に白ゴマが固めの極細麺にからむと、そのプチプチする食感が歯応えの心地よいアクセントになって大変おいしい。

前情報で強烈な匂いと味で食べ手を選ぶと聞いていたが、適度にリファインされていて、思っていたより食べやすいと思えた。
いずれにしても、豚の頭から尻尾まですべてを煮込むというスープには、豚の風味がストレートでありながら独特の深い複雑な旨味があって最後まで飽きさせない。やはり豚の頭を使ったスープは、一味も、二味も違うと思う。過激な感じではなく、むしろどことなくノスタルジックな雰囲気が感じられる本場の博多豚骨ラーメンという感じ。


（麺は完食＋替玉１回。スープは５割飲んだ。）

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