ラーメン&つけ麺食べ歩き
源来軒
(福島県 喜多方市)

店名 中国料理 源来軒(げんらいけん)
住所等 福島県喜多方市一本木上7745 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2005年7月上旬 ラーメン 550円 



〜源来軒〜

(各写真はクリックで拡大します)




お店が見えてきました。
喜多方駅から徒歩5分ほど。
いかにも「中華」という外観の建物。






「元祖」の文字が誇らしそうですね。
繁忙期は一日800人もの来客があるとか・・・(゚Д゚)。






ふむふむ・・・大正時代から続く
喜多方のラーメン発祥のお店だそうです。






店内も中国料理店の造作ですね。
厨房が奥へ長く続いています。
壁には有名人のサインがズラリと並んでいました。
2Fもあるようです。






メニューです。
こちらのお店はネギラーメンが人気のようですが、
初訪問なので、「ラーメン」を注文しました。






看板には中国料理とありますが、
丼ものや洋食も揃っているようですな。










2005年7月上旬 ラーメン 550円



うーん、なんとも・・・
人の「舌」を知り尽くしたような「凄み」のあるラーメンです。

単純に「美味い」だけのラーメンではないですね。
序盤は「普通」を装っていますが・・・後半、終盤になって、
まるで、こちらの隙を突くように、
いきなり「スパート」をかけて来て、「圧勝」してしまう感じ・・・。

その巧みなペース配分ぶり・・・後を引かせる味の采配ぶり・・・
この辺りに老舗の「実力」を感じますな。









終盤に近づくほど、濃厚なコクや旨味とともに、何とも言えないパンチ、
引き込まれるようなスパイラル状の深〜い旨味を放つスープ。
中盤から、いきなり、モードが切り替わる感じ・・・。






麺は喜多方の王道、平打ちの多加水で優しく縮れた麺です。
すするとピロピロ、ツルツルしていて割と軽快感がある。
コシはやや柔らかめなタイプ。






食べ進むほどに、クルマのターボチャージャーが、
全開で回り始めるような・・・・。
後半から、俄然、「加速を始める」クライマックス感覚がある。
その感覚が、後を引き・・・「もっと食べたい」「また食べたい」と思わせる。




2005年7月上旬 ラーメン 550円 

喜多方のご当地ラーメンの基礎を築いたとも言われている有名な老舗店。
こちらのお店の先代である、潘欽星(はんきんせい)氏は喜多方ラーメンの「開祖」とも言われ、大正時代の末期から屋台を引き始め、後に「源来軒」を開業し、麺打ちやスープの作り方などを広く喜多方中に広めた功績者である。こちらで修行して独立した人も100人を超えると言う。
現在は二代目店主さんが切り盛りするお店は、外観も内装も赤色が基調でまさしく中国料理店の造作である。店内は細長い造りで、壁には有名人のサインがズラリと並んでおり、厨房が奥へ長く続いている。客席は2Fにもあるようだ。

登場したラーメンは、油の少ない透き通った醤油スープで、麺の量はさほど多くなく、いかにも「昔のスタンダード」の量だと思う。
レンゲが近くに見当たらなかったので、器からそのままスープを飲んでみると・・・「ジィーン」・・・とする強くて深い旨味が舌先を覆い尽くす、何とも積極的な味付けで、とても判り易い味の路線のスープだ。
スープ素材は、豚骨、ゲンコツ、丸鶏、煮干、利尻昆布、モミジ、野菜・・・・などらしい、それを水道水ではなく、喜多方の誇る飯豊山系の伏流水、地下40mの井戸水で仕込んでいると言う。

麺は平打ちで、優しい縮れが付いており、すするとピロピロ、ツルツルしていて割と軽快感があるのは良いが、コシはやや柔らかめでもう少し強い感じがあっても良いかも知れない。噛み砕いてゆくと、やや小麦粉の苦味のようなものを感じるちょっとレトロな食味である。
チャーシューはモモとバラの二種類、モモはややパサつきはあるが、バラはしっとりとした肉質で、肉の旨味にあふれている。
メンマは、スープと同化した味付け、ジョクジョクする柔らかめの歯応え、箸休めという意味ではもう少しコリコリ感があっても良いかもしれない。

驚いたのが中盤辺りからの味の変化で、最初の数口は、舌へダイレクトにやって来る強い味付けで、やや強引な旨味の運び方にも感じられたが、中盤に入る頃から、もっとお腹の底から湧き上がって来るような、じんわりとしながらも、スパイラル状の引き込まれるような深みとコクのある旨味へと変化して来たのだ。
いつの間にか、「うん?なんだかすごいコクと旨味だな・・・」と感じ始めて来る。天然素材群からのダシ、その旨味の伝わり方がワンテンポ遅れながらも、次第にはっきりと頭角を現し始めて来た感じだ。

特に、どうやら「野菜ダシ」に由来すると思われる舌を「深み」へと誘うまろやかな心地良い甘味があり、一度、舌がその「深み」に気付いてしまうと、めくるめく「さらなる深み」へとグイグイ引きずりこまれてしまうようだ。
同じ喜多方の「まこと食堂」なども同様だったが、あまり話題には上らないようだが、喜多方のスープは何より「野菜ダシ」の甘味の生かし方が素晴らしい。「甘い」のではなく、スープに非常に心地良い「深み」を加える見事な存在になっており・・・・他の土地のスープではあまり経験できない、まさに喜多方ラーメンの王道スープの魅力だと思う。

ここからは、まさしく本領発揮という感じで、心の準備もないまま、いきなりジェットコースターに乗せられたように、グングンと一気に加速を始めたスープの美味パワーは、とどまる所を知らずにスピードを上げ、コースの起伏を猛スピードで駆け抜けてゆく感じ・・・・・である。
つられて箸の動きも、ビデオの倍速モードの動きの如く、グングンとスピードアップ、こちらは相手のペースに付いて行くのがやっとという感じで・・・・「美味い」、「美味い」、「美味い」、と心の中で連呼しながら、気が付けば、いつの間にか、ふいに麺を食べ切ってしまっていたことに気付く・・・・。
見事と言う他ない、寸分の狂いもなく人の「舌」に向けてしっかりと「照準」が合っている味である。

しかも、こちらとしては、クライマックスを迎えたまま・・・・・いきなり麺がなくなってしまい、中途半端な、「満たされ切らない気持ち」という感じで、当然だが、「もう少し食べたい」、「まだまだ食べたい」、今日が無理なら「またぜひ再食したい」・・・と思わせられてしまう。
そういう意味では、食べ手に強く「名残りを惜しませる味」、必ず「リピートさせる味」に、なっているラーメンだと思え・・・まさに熟練の「技」を見せつけられる想いだ。今まで、このスープに「魅入られた」人は数知れないほど多いと思う。

食べ終わってみれば・・・・スタート時こそ、「普通」を装っていた感じだが・・・・油断していたら、後半、終盤になって、まるでこちらの心の隙を突くように、いきなり「スパート」をかけて来て、あれよあれよと「圧勝」されてしまった感じである・・・。
おそらくは、「煮干」や「野菜」の旨味が時間差を置いて、徐々に豚骨や鶏ガラの旨味にからんで、後半に入って見事に「シンクロ」して来たような印象だ。煮干や野菜のダシは、動物系と合わさる事で濃厚な「パンチ」と奥深い「コク」が出るのだ。

世の中には、美味しいと思うのは最初の数口だけですぐに馬脚を露(あらわ)にしたり、途中で飽きが来てしまうラーメンや、坦々として味の盛り上がりに欠けるラーメンが少なくない中、こういった中盤から終盤にかけて、圧倒的なクライマックスがやって来るラーメンはとても珍しい。

単純に「美味い」だけのラーメンではない、その巧みなペース配分ぶり、後を引かせる旨味の采配ぶり・・・・この辺りに「老舗」の実力、長い歴史で身に付けた「奥義」のようなものを感じてしまう。
また、強めの味付けにもかかわらず、食後の後味もナチュラルで、意外なほど爽快なものであった。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)










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