ラーメン&つけ麺食べ歩き
がんこ 十六代目
(東京都 豊島区)
店名 元祖一条流 がんこ 十六代目(がんこじゅうろくだいめ) 住所等 東京都豊島区高田3-22-12 【地図表示】 禁煙 タバコ完全禁煙 訪問日 2004年5月中旬 ラーメン(中間・大盛) 700円 2005年12月下旬 ラーメン(中間) 700円
〜元祖一条流がんこ 16代目 その1〜
(各写真はクリックで拡大します)
お店へ到着。
高田馬場駅から徒歩8分位ですかな。
神田川にかかる高田橋の隣です。
店は黒一色なので夜は見過ごさないよう注意。
営業時間です。
夕方から深夜にかけてのみの営業です。
「営業中」の目印。
この牛骨がぶら下がると「開店」です。
牛骨マークは「がんこ」系列店の
お約束ですな。
店内風景。
横一列に並ぶカウンター8席。
照明もやや暗めで、
ちょっと隠れ家風ですな。
メニューです。
脂の量であっさり、コッテリなど選べます。
スペシャルはいわゆる「全部載せ」のことです。
塩バターや角煮ラーメン等も。
夜8時までは大盛100円が無料サービス。
2004年5月中旬 ラーメン(中間・大盛) 700円
ものすごい「精度」で作られたラーメン。
中でも精緻な出汁の取り方は「ミリグラム単位&秒単位」
という見事な印象を受けますな。
チャーシューと麺をからめて食べると
その美味さたるや、まるで「奇跡」。
2004年5月中旬 ラーメン(中間・大盛) 700円
「がんこ」発祥の伝説の地に、居を構える16代目のお店。高田馬場という印象があるが、新宿区ではなく豊島区になる。
いろいろ食べ歩いたがんこ系の中では私の最もお気に入り。看板もなく、営業中はノレンの代わりに「牛骨」がつるされているだけなので、うっかりすると通り過ぎてしまう寡黙な佇まいのお店である。中はカウンターのみで横に細長く8席ほど、隠れ家的な雰囲気のある落ち着いたスペース。開店は夕方6時頃からで、8時までは大盛り無料のサービスがある。醤油ラーメンを脂の量「中間」の大盛りを食べた。
非常に穏やかに素材が香る醤油スープ、背脂の量は3タイプから選べるのだが「中間」にしたのでわずかに背脂が入る。一口飲んでみると、素晴らしく洗練された素材の複雑な旨味が舌の上に満ち潮のように広がる。飲み込むと鼻腔から海産物系素材の心地よい芳香が抜けてゆく。そしてほんのりやや強めの塩のミネラル感が舌の上にわずかに残る。繊細で素晴らしくうまいスープ。一般に「しょっぱい」と言われる「がんこ」系だが、こちらのお店はしょっぱさは割と控えめであり、非常に大切に丁寧に出汁をとった感のあるスープで、いずれの素材も突出することなく、驚くほどじんわりとした丸く豊かな旨味でまとまっている。何と言うか、厳選素材を大量に入れて上手に作ったスープを、何度も何度も濾(こ)して、さらにその「上澄み」だけを丁寧にすくって、醸したようなスープ。
後味に残る塩のミネラル感や昆布やスルメの風味が何とも心地よい。化学調味料感がほとんどしないのも特筆ものだと思う。
麺は黄色い細麺で、大盛りにしたので200gちょっとあると思う。スープの量があまり増えないので、バランス的には普通盛りの方が良いのかも知れない。「がんこ」系はどこもそうだが、ツルツルという滑らかな感じではなく、割と摩擦係数の高い表面とモソモソとした食感をしている。その方がスープを良くからめ、また、口の中での麺の滞留時間が長くなるので、出汁のきいたスープを、より多く、かつ、長く、舌の上へと置けるからだろうか。おそらく計算の上なのだと思うし、スープとの相性も抜群だが、ちょっとレトロチックな風味と食感である。
チャーシューは他のがんこ系の大きく薄い巻きバラタイプとは大きく異なる。非常に良質なバラ肉で、巻いておらず、フチがこげ茶になっているので炙っているのかと思ったが、焦げではなく調味液によるものだ。一口、口に含むと、なぜかほんのりとコーヒーのようなかぐわしい風味がする。コーヒー粉のような芳ばしさと絶妙な苦味があり、何とも言えずおいしい。この独特のタレの風味が肉の味を引き立ててやまない。そして、ほどよく繊維感のある赤身部分とトロトロの脂身部分の比率も絶妙。単独で味わっても絶品だが、このチャーシューで麺を軽く巻いて、スープを多めにからめてほおばると、もう「えも言われぬ」おいしさ。本当に動けなくなるほどに美味い。肉の旨味、脂の甘味、スープの出汁、タレの味、麺の食感、ネギの風味、などなどが、渾然一体となって、十数秒間だけの奇跡のような「究極美味」が現出する。
余計な味のしないメンマはコリコリと食感が良く、白ネギは水にさらして辛味だけを抜いた感じでみずみずしく新鮮な風味だけが残り、大変丁寧に切られている。ともかく、一つ一つの調理の精度が非常に高く、すべての行程が大切にされ、極めて正確に成されている事がよく伝わってくる。
また以前、こちらで味玉入りで食べた事があるが、驚くことに味玉の黄身までがしっかりと「スープと完全にぴったり同一の温度」に温められて載せられていたのには心底驚かされた。他店で味玉を頼むと冷蔵庫で冷え切った味玉を平然と載せてくるお店が多い中、こちらのお店のそういう姿勢にはつくづく感心させられ、本当に頭が下がる思い。
オプションのカリカリネギ(揚げネギ)はスープと良く合い、油の香ばしさが加わる。以前、塩ラーメンも食べ事があるが、醤油の風味があった方がこちらのスープに合うと思うので、個人的には醤油の方が好き。ただ、薬味として「青唐辛子」のすりおろしが置いてあるが、辛味は控えめだが、何となく薬臭いピーマンぽい味がして私はあまり好きになれない。また、非常にデリケートなスープゆえ、営業中も風味が飛ばないように火を弱めにして保管しているのか、本当に時々だが、スープがちょっとぬるい時に当たる事もある。
暗めで狭めの店内は、むしろ「個室的」雰囲気で落ち着いて食べられるので気に入っている。店員さんは非常に紳士的で謙虚で感じが良い。
(麺は完食。スープも完飲。)
↓続きあり
〜元祖一条流がんこ 16代目 その2〜
相変わらず黒一色のストイックな外観。
牛骨がぶら下がっていれば「営業中」のサインでつ。
2005年12月下旬 ラーメン(中間) 700円
うーむ・・・今回は一口目から
強めの塩気が「ピシッ・・・」と舌を撫でるしょっぱめのスープ。
「元祖がんこ」のアイデンティティへの原点回帰かな?
ただ、その割にはダシが大人しめ・・・。
メニューのバラエティが増え、
いろいろ試行錯誤しているようですが・・・
早く「絶好調」を取り戻して欲しいです。
「中間」なので背脂がちょっと混じります。
「ピシッ・・・」と塩気が立った鋭利な口当たりのスープ。
ダシの旨味はストイックな感じに・・・。
がんこの定番「ワサワサ・・・」「モソモソ・・・」する感じの縮れ麺。
表面の摩擦係数が高いタイプです。
この手の麺が好きな人も少なくないでしょうね。
2005年12月下旬 ラーメン(中間) 700円
実に一年半ぶりで「正油(中間)」を食べた。
この間もこちらのお店には数回訪問し、塩ラーメンやエビ風味塩ラーメン、正油(アッサリ)、魚ダシをブレンドした和風ラーメンなど、いろいろ頂いていた。しかしながら、個人的にはやはり「正油(中間)」ラーメンに軍配が上がる感じであった。特に和風ダシラーメンはスープの甘味が気になってしまい・・・ちょっと軟弱と言うか、「がんこ」のアイデンティティとは相違すると感じた。
そこで、久しぶりに「王道」とも言える「醤油の中間」を食してみたのだが・・・・今回の「正油(中間)」は、一年半前とは明らかに方向転換が感じられた。
一口スープを飲むと、「ビシッ・・・」としたしょっぱさが舌を撫でる。
「あれ・・・結構、塩気が強めに効いてるな」と思うと同時に、スープのダシが随分と大人しめに感じられる。こちらのお店は精緻なダシでしっかりと旨味を味あわせてくれるスープこそが「ウリ」であったと思っていたが・・・「がんこ」のアイデンティティとも言える「しっょぱいスープ」へ結構シフトしたような印象を受ける。それでも旨味の豊かさが変わらなければ良いのだが、たまたまなのか今回はスープの旨味がどことなく大人しく感じられてしまう。
麺はがんこの定番、口当たりが「ワサワサ・・・」する感じの細い縮れ麺。
表面の摩擦係数が高いタイプで、「ツルツル」とはすすれず、「モソモソ・・・」とすする感じになる。この摩擦係数の高い食味こそが、なぜか「がんこ系」のイメージとしてピッタリ来るから不思議だ。
世の中には、滑らかでのびやかなタイプや、モチモチとよく粘る麺、プリプリした弾むような躍動感のある麺・・・などもある訳だが、この手の摩擦係数が高い縮れ麺が好きな人も決して少なくないと思う。
チャーシューは、脂身にスープの熱が通り、箸で持つとハラハラとほぐれてしまうほど柔らかい。しかし、以前のようなコーヒーのようなかぐわしさ、独特な芳ばしさはあまり感じられなかった。
スープの旨味が薄く、大人しいと・・・せっかくの麺やチャーシューも精彩を欠いてしまう感じを受けてしまう。
ここ数回の訪問時に、以前のような感動がなかったのは、「塩」や「和風」などのメニュー選択のせいかと思っていたが、今回どうやら、そうではなくもっとベーススープそのものに起因するものであった印象を受けた。繊細で柔らかな旨味のスープであるだけに味の安定が難しい部分があるのかも知れない。
「がんこ」系列の中では最もお気に入りのお店であるだけに・・・何とも気にかかる。次回はぜひともこちらのお店本来の「絶好調」の時のスープを味わってみたいものだ。
(麺は完食。スープは5割飲んだ。)
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