ラーメン&つけ麺食べ歩き
頑者
(埼玉県 川越市)
店名 |
頑者(がんじゃ) |
住所等 |
埼玉県川越市新富町1-1-8 【地図表示】 |
禁煙 |
タバコ可否不明 |
訪問日 |
2004年8月下旬 つけめん 700円 |
2006年8月下旬 ラーメン 650円 |
〜頑者 その1〜
埼玉県川越市は歴史ある街並み。
「蔵の街」「小江戸」などと言われてますな。
実際、重厚な瓦屋根の家並みや老舗店が目に付きます。
到着しました。
本川越駅から徒歩1分です。
川越市駅、川越駅も徒歩圏内。
埼玉でも屈指の人気店。
待ち客用にベンチがあります。
営業時間など。
日曜日が定休日。
ベンチで待っていると、
店員さんが注文を取りに来てくれます。
「つけめん」を注文。
店内はL型カウンターのみ。
スタッフは3名、真剣で寡黙な調理ぶりですね。
2004年8月下旬 つけめん 700円
(この写真はクリックで拡大します)
一目見て、さすがの「風格」を感じますな。
麺は250gほどと思いますが、歯応えが強めなのと、
つけ汁の中のチャーシューが多いので、
実際、数値以上の食べ応えがあります。
ワイルドとか、パワフルとか、濃厚というよりも、
ハード&ストロングで曖昧さのない作り込みという印象。
ツルツルした太麺は弾力を排した特有の固さ。
食感に「ゆるみ」や「あいまいさ」がなく、
歯応えが極めて「正確」な感じ。
ツルツル麺に合わせて濃いめの味付け。
コクのある動物系が意外に控えめに感じられました。
表面に多めの魚粉が浮いてます。
一味唐辛子がピリリと辛味を効かせて、
濃いめの味とともに「ガツン」と来るインパクトを提供。
甘味がない大人の味わい。
角柱切りのチャーシューはふくよかな味。
サシの入り方が良い感じですな。
6本ほど入ってました。
スープ割は魚節の風味が増して戻って来ます。
飲み干すには、ちょっと味が濃いめかも。
食べ終わってお店を出たところ。
後方に見える白い大きな建物が
「本川越」の駅です。
2004年8月下旬 つけめん 700円
名実共に埼玉県の屈指の人気店。特に「つけ麺」が人気のようだ。本川越の駅から、徒歩1分ほどと言う絶好のロケーションにある。ほぼ一年振りの再訪。
列に並んでいる間にオーダーを取ってくれる。店内はカウンターのみで席数は11席ほど、総入れ替え制で、前の組が全員食べ終わると次の11人が一斉に入店するシステム。
予め調理を進めていてくれるらしく、次の組が着席するとほどなく次々とラーメンやつけ麺が提供される。そのため回転が良く、この日は到着時に15名の行列で二順目となったが、ほぼ30分の待ちで入店でき、その15分後には食べ終わって退店していた。
ちなみに余談だが・・・・時折、このような「総入替制」を取るお店を批判するような意見を耳にする事があるが・・・・少なくとも私は、茹で時間が5分以上かかる「太麺」&座席数10席前後の超行列店においては、客の回転を劇的に上げ、お店の調理に関わる資源が分散せずにコストを抑え、かつ、ベストな商品が提供される可能性が極めて高くなる、「超画期的&大歓迎」な理想のシステムだと確信している。
そのメリットは「超混雑&激渋滞する交差点」に、まさに信号機が「ある」か「ない」か位の、あまりに「大きな違い」に匹敵すると思う。
バラバラ・・・・と「1〜2名」ずつ不連続に客が入れ替わり、しかも「ラーメン」と「つけめん」の注文が錯綜し、そのたび、1〜2杯のために「茹で釜」のガス火を5分以上も「全開」にして太麺を茹でたり、頻繁に水道を「全開」にして麺を冷やしたり・・・・等のイレギュラーな調理をするのは、人的資源もガス代も水道代も非常に非効率で無駄が多いし、どうしても手間が重複するため客への提供も遅くなる上、急ごうとすれば「ブレ」も生じ易くなる。
これは「地球温暖化」「資源保護」の観点からも好ましくないだろうし、ガス代や水道代一つとっても、一般家庭の感覚とは比較にならないほどラーメン店の光熱費は高価で、ヘタすれば毎月数十万円にもなってしまうと言う折・・・・その辺りの店舗側の重要な事情や目に見えないコスト節減努力を、客側もよく「理解」し「協力」する必要があるだろう。
さらに、どれほど混雑していても総入替制なら同行者と並んで座れる確率がグーンと高くなるし、作り手としても調理工程を完全に自己の管理下に置ける事で「味のブレ」を激減できるメリットも極めて大きい。数杯を一気に作ることによる最初と最後の「時間差」も太麺なら伸びにくいので全くノープロブレムだ。
また、食事はゆっくりのんびりとマイペースで食べたいと言う意見もあるのかも知れないが、そこが自宅ならどれほどゆっくり食べても自由だが、超人気店で自分の後ろに長蛇の列が出来ている状況であれば・・・・やはり、優先されるべき「TPO」と言うものがあると思う。
さて、登場したつけ麺は、ツヤツヤした丸太のストレート麺。どうやら店主さんのご実家が製麺会社を営んでいるという話を聞いた事がある。太さ的にはそれほど際立ったものではないが、一口そのまま食べてみると、カンスイ臭さがなくきれいな味わいで、中程度の「甘味」が付いている。しかし、その甘味が大変にすっきりしたクドさのない甘味なのが良い感じだ。
そして、噛み締めると、なんとも特有の「固さ」のある麺で、プリプリとかモチモチとかはせず、表現は難しいが、デュラム小麦のようなソリッド感のあるもので、太めのスパゲッティを固めに茹で上げた時の食感と似ている気がした。つまり、固いと言ってもシコシコしたコシがあるというよりも、弾力を排した固さのような、良い意味でちょっとプラスチックぽさのある固さなのだ。
そのため、食感に「ゆるみ」や「あいまいさ」がなく、歯応えが極めて「正確」な感じ。かなりこだわって作っている麺だと思う。この系統の固めの麺が好きな人には、なかなかハマる麺だろう。
つけ汁は、以前はもう少し魚粉が目立っていたと思うが、今回はやや控えめに感じられた。麺を浸けて食べてみると、真夏と言う事もあってか、割と醤油ダレと塩分が強めに感じられる。そして一味唐辛子がピリリと辛味を効かせて、濃いめの味とともに「ガツン」と来るインパクトを出している。つけ麺用に特化した強い味であり、じんわりとゆっくり味わうタイプではないと思う。
豚骨は以前よりライトになったようで、豚骨が濃く出たスープ特有の甘トロ〜ンとした感じは薄くなっている。予想していたより動物系が意外に控えめに感じられ、味は濃いがダシ自体は以前よりすっきりした感じだ。また、以前は、鰹節などの風味と酸味がかなり目立っていたが、今回は酸味が随分抑えられていて、その分、辛味と醤油ダレが増量された印象を受けた。甘味はほとんど付いていないので、食べていてハード路線の味を狙っている印象を受ける。
ただし、濃いめの味であるが、麺の表面がツルツルしてあまりつけ汁をからめないのと、太麺のため大量にほおばると体積比的にも、一瞬、つけ汁の味が薄く感じることがある。そのためやはり、この位の味付けがベストなのかも知れない。
ラードなどもそれほど多くない感じでクドさ感はなく、化学調味料に頼っていないので後味のキレも良く、次々に食べ進んでいける。美味しいつけ麺は、このリズム感が大切だと思う。さらに、麺を食べる3〜4回に1回位の割合で、唐辛子がジーンと特に強い辛味を発揮することがあり、この絶妙の采配もあって決して飽きさせない。
また、つけ汁の中は具で満載で、特にチャーシューは角柱切りになったものがかなりたっぷり入っていて、食べ応えがあった。味付けはスープと同化した薄味な感じだが、厚みのあるふくよかな肉質。チャーシューをまじまじと良く見てみると、マグロの中トロのような見事なサシの入り方をしている。多めにほおばると、肉と脂肪が入り混じった淡白な味わいで、ちょっとコンビーフの食味を思いだした。玉子半分は黄身が流れ出さない程度の半熟、味はつけ汁の味が染み込んだ感じ。
つけ麺と言う事もあって、麺の固さは最後まで一定に保たれ、特有の固さのある麺を、歯で次々に「噛み砕く」感じの心地よい歯応えが、ラストの一本までしっかりと味わえる。
最後にスープ割りをお願いすると、魚の風味が増して戻って来た。ただ、入れてくれたスープの量がやや少なかったのか、割った後も温度がぬるく、味もやや濃いままで、せっかく割ってもらったが、しょっぱさであまり飲む事ができなかった。
お店を出ると、やはり13〜14人が並んでおり、並んでいる人達の表情はこれから始まる美味体験への大いなる期待に満ちて、実に輝いている感じ。高い人気のほどが伺える。
(麺は完食。スープ割は3割飲んだ。)
↓続きあり
〜頑者 その2〜
ちょうど二年ぶりの再訪問ですが、「変わらない店構え」、
そして、「変わらない行列」・・・・です。
シンプルなメニュー構成も以前のままでした。
ですが、「中身」は確実に日進月歩で進化している模様・・・・。
「ラーメン」を注文しました。
2006年8月下旬 ラーメン 650円
(この写真はクリックで拡大します)
まき散らされた魚粉がワイルドな「容貌」を演出。
しかし、実際のスープは深いコクとともに、透明感と鋭角的なキレがあり、
パワーや量感に頼らない、かなり「洗練」された美味しさ。
思い切り「ガッツリ」感を強調したストレートの太麺は、
完食時の満足感、達成感、充実感は・・・・おそらく比類のない物。
「硬麺好き」のハートをがっちり鷲づかみする事でしょう。
個人的にはこのラーメンを、
「麺柔らかめ」指定で食べてみたいですね。
魚粉が目立って浮くため、「濃濁」タイプのドロリとするスープかと思いきや、
実際には、重さやトロミの少ない、明るさとキレのある「半濁」タイプ。
旨味と酸味が「キラリ」と光彩を放ち、「スラリ・・・・」として実にスマートな飲み口。
かなりのスピードを持って、ストレートに「美味しさ」がやって来る。
うむむ・・・・自家製の太麺は、容赦のない「がっつっつり」とした硬めの歯応え・・・・。
まるで、セモリナ小麦を思わせるソリッド感のある「ハード&ストロング」な噛み心地です。
この系統の「硬め&太め」の麺が好きな人は実に「ハマる」麺でしょう。
「ガッツン、ガツン」と伝わって来る太麺の強烈な衝撃がヤミツキ・・・?
完食すれば、「硬&太」麺ならではの、心地よい疲労感と達成感が体を包み込む・・・。
軟弱な気持ちで食べては返り討ちに合いそうな気も・・・。
2006年8月下旬 ラーメン 650円
ご存知、埼玉を背負って立つ人気店の一つ「頑者」を再訪問。偶然だが、前回訪問からちょうど丸二年での再訪となった。
最近は、いわゆる「がっつり太麺+濃濁魚粉スープ」系のラーメンを出すお店も随分と増えたので、以前ほどは「頑者」の噂を耳にしなくなった気がするものの、到着してみれば昼時を過ぎているにもかかわらず、しっかりと15名ほどの行列があるのはさすがである。並んでいる間に注文を聞かれたが、前回は「つけめん」を食べたので、今回は「ラーメン」を注文した。
30分ほどの待ち時間の後に入店すると、総入替制のおかげか、3分ほどで「ラーメン」が到着した。その後数分遅れて「つけ麺」が一斉に提供される。私と同時に入店した客の2割ほどが「ラーメン」で、ほとんどの客が「つけめん」を頼んでいた。やはり、「つけ麺」の方が人気が高いようである。
登場したラーメンを改めて良く見ると、魚粉(削り粉)がスープ表面に「まき散らされた」状態になっていて、どうやらスープに直接に魚粉を混ぜるのではなく、盛り付け時に上から「撒いて」(まいて)いるようだ。
魚粉が浮くため、「濃濁」タイプのスープかと思っていたが、魚粉や油層の下のスープを良く見ると、実は意外にもさほど強い濁りはなく、スープ自体は半透明に近い色合いをしている。
そのせいか、一口スープを飲んでみると・・・・深いコクがありながらも、透明感と鋭角的なキレがあり、非常に「明るく&明瞭」な美味しさに満ちている。
味に曖昧さが一切なく、エッジが通っていて、旨味と酸味が「キラリ」と光彩を放ち、「スラリ・・・・」として実にスマートな飲み口、ノドの通りが非常にスムーズで「スイスイ」と次々に飲める感じである。
また、魚ダシの旨味を十分に引き出している印象で、おそらくはその魚介に由来すると思われる「酸味」も強めに効いている。ただ、実にきれいな酸味であり、このきれいな酸味の存在がスープに明るさとキレを生んでいるようだ。
動物系もしっかりと土台を固めているのだが、クドさや獣風味は全く感じられず、濃厚なゼラチンや油で「トロン・・・」「タプタプ・・・」とする「粘りのある厚み」「重さのあるトロミ」を持ったスープではない。かと言ってもちろん「サラリ・・・」としたあっさりスープでもないのだが、見た目のワイルドさや「頑者」と言う店名から受けるイメージに比較すると、かなり「洗練」されている味わいなのだ。
油は多めなのだが「ドロリ」と粘る感じが絶無で、節粉も見た目よりもザラ付く感じが少なく、ザラザラと舌に触るような無粋な感じにはならなかった。
ただ、「じっくり・・・・」と隅々まで味わい反芻しながら飲むタイプではなく、かなりのスピードを持ってストレートに味がやって来る、美味しさが非常に「明瞭」で、誰にでも「判り易い」タイプになっている。
それでいて「やり過ぎ感」や「強引さ」は微塵もなく、なかなか品良くまとまっているのだが、今回はたまたまなのか化学調味料も多少は使われていたようで、食べている最中は「明確な美味しさ」の「解像度」アップに大きく貢献しているが、後口的には極僅かに舌に残って感じられた。
一方の自家製麺は、やはり、思い切り「がっつり」感を強調したストレートの太麺だ・・・・。
ある程度、予想はしていたものの、一口食べた段階で、そのあまりにも・・・・「がっつっつり」とし過ぎている食感に、一瞬、私には「難関」と言う印象さえ持ってしまった。
いくら若者を中心として「がっつり」が流行とは言え、あまりにも「ハード&ストロング」過ぎて、私には少々やり過ぎのようにも思えてしまう。
この硬さは、「麺」そのものの製麺が硬すぎるのではなく、いかにもベストの茹で時間よりかなり早く麺を湯から引き上げているように感じられ・・・・素人考えで恐縮だが、せめてもう少し長い時間茹でてもらうと、適度な「もっちり」感も出て来て、本来の麺の持ち味を100%生かした美味しい状態で頂けるような気がする。
実際、食べてみても、まだまだ「半生」に近いような状態のイメージに思え、麺が煮え不足で中心部がやや粉臭く、カンスイ臭も微妙に残り、噛んでみても麺の旨味が閉じこもっていてあまり湧き出て来ない。
今の茹で加減では、この麺の持つ「本来の旨味」や、「ベストな食感」が出るポイントのかなり前の段階で提供しているように思えてしまうが・・・・どうなのだろうか。
ちなみに・・・・初回訪問時に「ザ・ベスト」「理想中の理想」と確信した麺の茹で上がりだったお店が、一年後位に再訪すると「ガチガチ」の硬い歯応えになっていて狼狽してしまう事が、ここ数年、少なくない。
ひょっとして、一日に数名の「麺硬め!」と言う注文があると、店主氏も自身のレシピを、ひょっとして柔らか過ぎるのかなと「迷ってしまう」のだろうか・・・。
しかし、現実的には、おそらく「何も言わない」で注文する客層が圧倒的に多いだろう。そう言う客層は従前の麺を「最適な食感」と感じて「通って」いる訳なのである。ここを忘れて欲しくないと「非常に強く」願う。
そう言う、もともと「サイレント・マジョリティ」な客層は、もし硬すぎる麺が「標準」になってしまえば・・・・無言のまま「去る」だけであろう。事実として「私もそうしている」。
ただ、例えれば、クルマの「乗り心地」などでも、普通に乗るなら「純正」のサスペンションがベストだと思うが・・・・「カーマニア」にとっては、それでは「全くつまらない」「全然面白味がない」と言う話もよく聞く。
実際、純正のサスペンションを取り外し、わざわざガチガチに硬い「スポーツサス」に取り替えて、「固めた足回り」で首都高環状線や峠道をグリグリ走り回るのは、ノーマル車では絶対に味わえない刺激や快感、面白さがあるとは思うが。
そう言う意味では、迷わず「がっつり」感を強調したこちらのストレート太麺・・・・「硬い太麺」が大好きと言う客層にとっては、完食時の満足感、達成感、充実感は・・・・おそらく比類のない物があることだろう。
最近はインパクト指向と言うか、むやみに麺の「硬め」指向が過熱しているような気もするが・・・・そんな「硬&太フリーク」にとっては、ハートをがっちり鷲づかみされる麺だとは思う。
チャーシューは、よく煮込んでいるようで「ふっくら」として口当たりは良いのだが、その分多少だが肉の味が抜けた感じを受ける。
メンマもやや硬すぎるように感じられたが、この辺は「太麺」の食感と合わせているのかも知れない。
ただ、実は今回、二名で訪問したのだが、同行者の注文した「つけめん」を、途中少し食べさせてもらったところ・・・・・こちらの「つけ麺」は二年前と比較して、驚くべき長足の「進歩」を遂げており、その想像を超えた「レベルの高さ」に、正直、度肝を抜かれ、かなりのショックを受けてしまった。
しかも、私の「ラーメン」とは全く異なり、こちらの「つけめん」の麺は、「絶品の茹で加減」、「驚愕の麺の美味しさ」であり・・・・驚くべき完璧な「麺」の仕上がりぶりである。
まずは、箸で持ってみると、以前よりもプラスチッキーぽさは少なくなり、「スルン、スルン」としなやか&力強い麺の「うねり」を感じる。
そして、汁に浸けず麺だけをすすってみたのだが、歯を入れた瞬間は「普通」なのだが、いざ「すする」と、麺の全体が「ビビビン」と激しく反応するのだ。
すする事で口から伝えられた波動エネルギーの波が、まるでドミノ倒しのように、「スゥルゥゥルルンンーーー・・・・」と、麺の終端まで一気に力の波が「伝播」して、麺全体がうねる「龍」のように生き生きと力強く「うねり」「波打つ」のだ。
驚いたことに、そのエネルギーの波の「伝わり方」「移動の状況」がまじまじと口元へ「フィードバック」して明瞭に伝わって来る。
そして、一度、麺の終端へ届いたかエネルギー波は、再び折り返して「ヒュルルルー・・・」と口元へ戻って来る。つまり、いつまでも波動パワーが消えず、麺の中を何回も「往復」し続ける感じがある・・・・。
まさに「エネルギー保存の法則」、パワーの内部損失が極めてゼロに近い、凄まじい内部応力の伝播だ。
このような、驚くべき力学エネルギーの伝達度を持つ「驚異の麺」は、実に初めての経験である。
今まで私の持っていた「麺の常識」の、三歩も、四歩も、五歩も・・・・先を行く・・・・全く予測不可能な、まさしく「震撼」すべき「無類のすすり心地」&「驚愕のコシ」が生まれている。
しかも、内部欠落が限りなくゼロに近い骨太の麺でありながら、やたらと硬すぎず、きちんと「茹で上がっている」食感も備えている。
そして、汁に浸けないから判ったのだが、麺にははっきりと判るレベルの絶妙な「甘味」が付いていて、噛めば噛むほど小麦の味も湧き立ち、非常に幸福な気持ちになって来る。
「土三寒六」のこの暑い時季に、麺から塩分を全く感じさせないのも凄いことである。
同行者の注文品であったため、遠慮してあまり多くは食べられなかったが、実際、わずか一本の麺の中に、実に様々な発見があり、様々な動きがあり、様々な食味が舌の上に展開される。
食べていて口中に「超絶美味のショータイム」が開幕されるイメージだ。一本の麺でここまで食べ手に「アミューズ」を与えられる麺は極めて少ないだろう。
おそらく太麺ジャンルの自家製麺においては、前人未踏の「高み」に到達している麺だと思う。
また、一方の「つけ汁」も、二年前に食べた時は、スープのコクの薄さを唐辛子粉の辛味でぎりぎり補完しているような印象を受けたのだが・・・・今回は、そのような印象が全くなくなり、きっちりと濃厚な素材からのコクと旨味が詰まり、かつ、パーフェクトバランスに仕上がっていて、「つけ汁」もまた、絶品太麺に相応しいだけの力量を備えた見事な「パートナー」へと成長していた。
実は、食べ歩きを続けていると、ここ数年で新しく創業したお店の場合、以前に「凄く美味しい」と思ったラーメンでも、二年ぶり位に食べると、以前のままの味にもかかわらず、どこかしら古く、魅力が褪せて(あせて)感じられてしまう事も少なくない。それは周囲が日夜進歩している状況下では、味の現状維持は、むしろ「後退」に該当してしまうと言う事なのだろう。
しかし、さすが「頑者」は、「自家製麺」も「つけ汁」も二年前より遥かに進歩しており、過去の人気にあぐらをかく事なく、常に進歩と研鑽を続けているのは間違いない。
そして、「つけめん」を少し食べてみて、なるほど・・・・本来はこう言う仕上がりになるべき麺なのか・・・・と思って、ピンと来た。
先の私のラーメンの麺が硬過ぎると感じたのは、おそらくは、「つけ麺」とは異なり、熱いスープに長らく浸り続ける「ラーメン」の場合、スープの熱で麺が次第にヘタることを計算して、意図的に「硬め」に茹で上げているのだろう・・・・と。
つまり、食べているうちに、次第にスープの熱で麺がほぐされて、丁度良い硬さになるように配慮がなされていたのだと、理解し直すことができた。
ただ実際には、卵白を多めに使ったツルッとした太麺はあまりスープを吸わず、スープの熱さに負けることもなく、今回だけたまたまなのかも知れないが、最初の一口目の「硬さ」を最後まで維持していたと思う。
そのため、ラストはさすがに食べ疲れしてしまう感じがあり、食後も麺がやや重くもたれ、多少胃腸への負担も感じられた。
もし、次回、こちらで「ラーメン」を食べるなら、私的には「麺柔らかめ」指定が必須に思う。
途中、あまりにも衝撃的な「つけめん」の成長ぶりに大きなショックを受け、是非「つけめん」を追加注文したい強い衝動にかられたが、なにしろ「総入替制」が周知の事実となっているお店だけに・・・・追加注文は「掟破り」に他ならないので断念することとなった。
もう一度、行列に並ぼうかとも考えたが、この後も他店を連食予定のため、スケジュール上、泣く泣く諦めざるを得なかった。まさに「断腸の思い」である。
やはり、「麺の美味しいお店ではつけ麺を食べるべし」・・・・と再認識させられる結果となった。
(麺は完食。スープは6割飲んだ。)
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