ラーメン&つけ麺食べ歩き
福寿
(東京都 渋谷区)

店名 福寿(ふくじゅ)
住所等 東京都渋谷区笹塚3-19-1 【地図表示】
禁煙 タバコ可否不明
訪問日 2004年6月中旬 ラーメン 500円



〜福寿〜

(各写真はクリックで拡大します)




お店が見えてきました。
店の左側路地は笹塚駅へ続く地元商店街です。
ちょうど商店街の出口に建ってる感じですな。






ファッショナブルタウン渋谷区にありながら、
昭和26年創業時の面影を
そのままに残す店構え。







6月のそよ風が吹いて、
ノレンが微妙に揺れています。
のどかな昼下がりですなぁ・・。






店内風景。
カウンターとテーブル席があります。
これほど「スポーツ新聞」がピッタリ来る店も少ないでしょう。






壁にかけられたメニュー。
ラーメンを注文。
こうして見ると昔は「ラーメン」と「ワンタン」は
「同等」に扱われていたんですな・・。






厨房にはでかい羽釜が鎮座しています。
麺茹ではもう少し小さい鉄鍋でした。










2004年6月中旬 ラーメン 500円



非常に「衝撃的」なラーメン。
とてもではないが「考えて」作れる味ではない。
ひょっとしたら、1951年の創業時から、50年以上、
一切、「何も変えていない味」かも知れない。

「懐かしい」などというレベルではない・・・
スープも、麺も、何もかもが逆に「新鮮」。
す、す、「凄すぎる!!」。



カウンターが傾いていて、
スープもちょっと傾いてます (´Д`)




2004年6月中旬 ラーメン 500円

創業は昭和26年。東京でも「屈指」と言われる老舗中の老舗店である。こちらのお店は、ちょっとした地元商店街の出口付近にある。
狭く、下り坂になった、その商店街をてくてくと下ってゆくと、そろそろ商店街も終わろうかという頃、左手側に、まさに「佇む」という言葉がぴったりの雰囲気でお店は建っている。

時代を重ねてきたお店の店構えを見て思うのは、何より「壁が薄く」「窓が多い」ことである。現代の機密性住宅など「有り得ない」という感じの、柔らかさ、おおらかさ、オープンさ。開け放たれた戸口や窓を、6月の風が吹抜けてゆくのが判る。ノレンが小さく風に揺れている・・・。

このラーメンはある意味で「都内唯一」、いや、ひょっとしたら「日本で唯一」ではなかろうか。
創業、昭和26年といえば第二次世界大戦が終わって、わずか6年目の年である。早や、50年以上の歳月が流れている。
しかし、おそらく、このラーメンはその50年間、何一つ変わっていないと思える、あまりにも衝撃的なラーメンだった。
「懐かしい」とか「昔ながら」などという甘いレベルではない。まさに「衝撃的」なラーメン。

店内へ入ると、その造り込みに確実な長い時の隔たりを感じさせながらも、かなり隅々まで丁寧な清掃が行き届いていて、店主さんのお店に対する愛着がまじまじと感じられる。
この日は気温30度近い暑さだったため窓がすべて開け放たれ、エアコンの代わりに扇風機が回っていた。
店内には大きな鉄の羽釜が鎮座している。横には鉄鍋もあって、それで麺を茹でている。水はけを考えてのことか、お店のカウンターもしくは床がゆるく傾いていて、ラーメンが置かれると、スープがちょっと片寄ってしまった。
店主さんがお一人で切り盛りされているので、サラリーマンでごったがえす昼休みは、おそらく客をさばき切れないだろうと、あえて昼過ぎの午後1時半から開店することにしたという話を聞いた事がある。

登場したラーメンは、やや小振りの器。色は濃いけれど、限りなく透明感のある醤油スープだ。
そして、その「衝撃」は一口目からやって来た。この衝撃は、言葉で表すのはとても難しいのだが、自動車に例えるなら、ローバーの旧型「ミニ」に初めて乗った時の衝撃と非常に良く似ている。旧ミニは、日本でも大人気でいまだに良く走っているのを見かけるし、根強いファンが沢山いる車だが、やはり50年近く前に基本設計が成された車である。
普段、トヨタや日産の新型車に乗っている人が乗ったとしたら・・・・・まさに「驚天動地」の強い衝撃を受ける車だ。
現代の車とは「すべて」においてあまりに大きく違っている。むしろ、その見事なかけ離れぶりに「震撼」してしまうほどだ。それゆえに深くハマる人もいる訳だが・・・。

スープは、表面に「油」が全く浮いていない。濃い醤油色だが醤油は実に穏やかで謙虚に裏方へ回っている。
とても口当たりの穏やかな、大人しめの、透明感のあるやや甘めのスープ。塩分もかなり控えめでライトなタイプ。出汁は何なのか、まるで自分には判らなかった。まるで、フトンの下に紙一枚敷かれたような感覚・・・。私のような凡人にはその素材を認識できなかった。化学調味料がほとんど感じられないのはかなり好印象。

麺は、器の中心にごっそりと固まって入っていて、食べ始めればこの手の中華そばとしては意外すぎる位に量が多いことに気づく。おそらく190g位だろう。
当時としたら、かなり麺の量が多めで、美味しいものをお腹一杯食べられると、大いに人気を呼んだであろう事が容易に想像できる。
断面は丸く細く、食感はちぢれていてボソボソッとした感じがあり、味は玉子がほとんど入っていない感じで、かなーり昔ながらの素朴で庶民的な小麦粉と、驚くほどに原風景的なカンスイの風味が強くはっきりと感じられる。

このノスタルジックな小麦粉とビンテージ風のカンスイの相乗効果による独特な麺の味には・・・・まさに「隔世の時の流れ」を目一杯に凝縮して披露される感じがあり、思わず感慨深さにふけってしまう。
具のチャーシューはかなり小さめだが味は濃い目、食感は「モモ肉」そのものという感じ。モヤシもメンマも「あるがまま」の、自然体そのもの。

うーん・・・・この味は、とてもではないが「考えて」作れる味ではない。
過去にも都内の「老舗」を何軒も食べ歩いてきたが、どこも「昔のまま」と言いつつそこそこ「現代」向けに大なり小なり味をアレンジしている。
しかし、こちらのお店は、頑なに、確実に、100%、「創業時から50年間、味を変えていない」と思えてならない。
と言うよりもむしろ、正反対のベクトルを感じる。つまり、兎にも角にも、「創業時の味」をいかにそのまま完璧な姿で残すか、いかに一切何も変えないか、そちらの方向に全身全霊で尽力している気がしてならない。

言わば「長寿日本一」のラーメンを全身で目指している印象。

まさに、中華そばの「ルーツ」に邂逅した想いである。
ロストテイスト・・・・現代に「失われた味」。


(麺は完食。スープは5割飲んだ。)











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