ラーメン&つけ麺食べ歩き
竹爐山房
(東京都 武蔵野市)

店名 知味 竹爐山房(ちくろさんぼう)
住所等 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-21-8 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2007年12月上旬 牛肘湯麺(岩手短角牛スネ肉入りタン麺) 1575円


〜知味竹爐山房〜



お店は吉祥寺駅から徒歩約5分、井ノ頭通りに面しています。
お店の左側はコンビニのローソン。






階段を降りて地下の客席へ・・・正面のドアが出入口です。
途中でクロークやワインクーラーがありました。
右手のドアは個室スペース。






ガラス窓の奥一帯が厨房スペース。
中華料理店と言うよりもフュージョン系の
洗練された明るいインテリア。






メニュー表のランチメニューのページです。
「石垣島のハタ」「上海ガニ」などの珍しい食材も・・・。






メニューは何ページもありましたが、これは「麺」「飯」のページです。
今回は二名で訪問し、「牛肘湯麺」、「三鮮炒麺」、「什錦炒飯」の
三品を注文しました。










2007年12月上旬 牛肘湯麺(岩手短角牛スネ肉入りタン麺) 1575円
(この写真はクリックで拡大します)



日本のラーメン専門店のラーメンとは・・・・
明らかに異なるベクトルですね。

イベント性のある「具」を主人公に据え、
スープや麺はむしろ汎用性のある脇役のような・・・
「具の美味しさ」を際立たせる造り。

さらに中華系香辛料で「本場」の異国風味を演出し、
「あっさり」「ローカロリー」でありつつも、
決して「薄味」ではないと言う・・・
現代の食の二大テーマである「インパクト」&「ヘルシー」を
上手に両立させた一杯と言うイメージです。









「鶏ガラ」でとった極めて「あっさり」「単層的」な毛湯スープ。
特に油脂分を徹底して取り去った感じ・・・。
旨味の複雑さや重層感をウリにしたスープではないようで、
割と一本調子のシンプルな味わい。






「ツルツル」としたノドゴシが大変心地良い細麺。
噛み心地は「フニュフニュ」として柔らかく、スープをよく吸い込むタイプ。
その分、あっさりスープとの相性は「良」。






具の「岩手短角牛のスネ肉」です。
「短角牛」とは、日本古来の「南部牛」と英国産の「ショートホーン種」を
交配して誕生した肉牛で、いわゆる「赤べこ」のこと。






赤身は「ホクホク」、ゼラチン部分は「トロトロ」・・・
非常に柔らかく、旨味が豊かで美味しい。
この「短角牛」の美味しさがこの一杯の「主役」として感じられる。
「八角」がしっかりと効いた実に「中華らしい」味付けです。




2007年12月上旬 牛肘湯麺(岩手短角牛スネ肉入りタン麺) 1575円

1987年開業、吉祥寺にある中華料理店。中国全土の伝統的料理を幅広く取り入れたと言う山本豊シェフの料理は評判が高い。
お店の入口は一階だが、そのまま階段で地下へ降りる形で入店となる。メニューを見ると「アワビ」や「フカヒレ」などの高級中華から、1000円前後の手軽なランチ、そして中華系の麺類やご飯ものに至るまで、幅広く充実している。

この日、二名で訪問して、私は「牛肘湯麺」(岩手短角牛スネ肉入りタン麺)を、同行者は「三鮮炒麺」(三種具入りヤキソバ)をオーダーし、合わせて「什錦炒飯」(五目チャーハン)をシェアした。ただ、12時少し前と言う、ちょうどランチタイムで込み始める時間に入ってしまったため、すぐに店内は満席に近くなり、料理が出て来るまでに45分も待たされてしまったので、可能ならなるべく混雑しない時間帯を選んだ方が良いかも知れない。

そうして登場した「牛肘湯麺」・・・・「タン麺」と言うメニュー名から「塩味」を予想していたのだが、見た目の色からも判るとおり、「醤油」の味がはっきりと効いていて、むしろ「カントン麺」のイメージに近い。
まずは「スープ」を飲んでみると・・・・スープから油を徹底して取り除いた感じがあり、とにかく驚くほど「あっさり」としている。
口に含んだスープは、意識して飲み込まずとも「スーッ・・・・」と喉の奥へ沁み込んで行き、後には僅かな香りとほのかな旨味が残るだけだ。醤油ダレは濃い色だが、醤油に何かの素材やエキスを加えたような感じがなく・・・・おそらくは「醤油」だけで味付けをしたようなイメージに感じられ、最初から最後まで割と一本調子のシンプルな味付けである。

じっくり飲むと、「鶏ガラ」の旨味がじわじわと姿を現して来る。割と舌にまとわり付く感じの旨味だが、中華の王道である「鶏ガラ」でとった「毛湯スープ」に間違いないだろう。
昨今の首都圏ラーメン専門店がスープの味をいかに「濃厚」「重層」にするかに躍起になっている事に比べれば、極めて「あっさり」「単層的」なスープであり、スープの脂をほとんど除去してしまっている事で、一層そのイメージが強く感じられる。
これはどちらが良いとかではなく、あくまでそれぞれの厳然たる価値観の元に、別の着地点へ向けて自分の道を歩んでいると考えるべきだろう。

それでも、せめてあと一押し、もしくは、もう一ひねり欲しいような気がしないでもないが・・・・おそらくはこのスープ、「ラーメン専用」として研究し作られたと言うよりも、やはり総合中華料理のお店として、「中華料理全般用」と言う位置づけで考えられ、作られているのだろう。他のあらゆるメニューのベースとして、様々に使い回しが出来る万能スープとして、敢えてそれらの「公約数的」な味に止めてある感じなのだ。
しかし、普段からこの手の淡い旨味のスープに慣れ親しんでいれば、むしろ昨今、話題を集める「旨味過多+脂肪過多+化調過多」のスープの方が、逆に「やり過ぎ」と感じられてしまうのかも知れないが・・・・・。
ただ、短角牛のスネ肉に香辛料の「八角茴香」(スターアニス)が使われているようで、その風味が流れ出てスープへ移ってしまっているため、「八角」の独特な香りが少々気になってしまった。

一方の「麺」は・・・・これも、いかにも中華料理店で良く使われる麺と言う感じのもの。つまり、あまり凝った感じがなく、主張の大人しいタイプで、その分様々なメニューへの「使い回し」に長けた感じの麺だ。
すすってみると、軽く「ツルツル」として口当たりやノドゴシが大変心地良いのだが、噛み心地は「フニュフニュ」として柔らかく、硬い麺が好きな人には茹で加減で調整が必要かも知れない。また、噛んでもさほど小麦の風味は香らず、旨味も控えめに感じられた。

そして、最初はツルツルと良い感じなのだが、油断しているとあっと言う間にふやけ始めてしまう。かなりスープを吸い込み易い麺のようで、その分あっさりスープの味が良く絡むのだが、すぐにボヨボヨと太り始め、柔らかくなってしまうようなので、早めに食べ切った方が良いと思う。

さて、それではいよいよ・・・・この一杯を「1575円」足らしめるべくトッピングされた具の「岩手短角牛」の出番である。
少しネットで調べた限りでは、旧南部藩時代からの古き伝統がある「南部牛」に明治以降にイギリスから輸入された「ショートホーン種」を交配し、品質改良を重ねた日本固有の肉専用種・・・・と言う事のようだ。主に岩手県、青森県、秋田県、北海道などで飼育され、毛色は赤茶色で、いわゆる「赤べこ」の愛称で親しまれている牛であると言う。
そして、短角牛の肉は赤身が多く、その赤身に含まれる旨味成分が他の牛と比べ群を抜いて多いそうで、つまり、「霜降り」の牛肉の美味しさとは違い、「脂肪」ではなく「赤身」に旨みが凝縮されたタイプの美味しい牛肉・・・・なのだそうだ。

食べてみると、なるほど・・・・赤身部分はとても「ホクホク」としていて非常に柔らかく、旨味が豊かでとても美味しい。そして、ゼラチン部分は「トロトロ」であり、強靭なスネ肉をコトコトと長時間かけて良く煮込んだ様子が伺える。
そして食べ進むにつれて、全体の中で、この「短角牛」の美味しさが「主役」として位置付けられている感じで、スープや麺はむしろ匿名性が強いと言うか、そのための脇役になっていると言う印象さえ受けた。

実際、本場中国では麺料理と言うと、スープや麺はむしろ脇役で、「具」を食べる目的である事が少なくないと言う。
つまり、日本人が「ドンブリご飯」だけでは「料理」とは見なせず、その上に「トンカツ」や「エビ天」や「鰻の蒲焼」を置きたくなるように・・・・・中国でも「麺とスープ」だけでは「料理」として物足りず、その上に「何かの具」を置いたり、「何かの餡」をかけたがるようなのだ。そしてその何かの「具」や「餡」を色々とアレンジすることで、メニューのバラエティを増やすのが中華料理の常法でもある。
この点、「スープが命」「麺が命」と考えている人が多い日本のラーメン文化とは異なる価値観を感じる。

ただ、短角牛の肉には、中華香辛料の「八角」がかなりはっきりと効かされており・・・・その香りが「漢方薬」っぽく感じられ、この独特な香りに馴染みのない人にとっては、やや好みが分かれそうに思えた。
「八角」は肉の臭み消しの作用がある訳で、確かに牛のスネ肉はもともと多少臭みがある部分だが、良く下茹でをして洗浄すれば臭みは消えるし、強い香辛料で牛肉に独特の「ビーフ」の匂いまで、全部消えてしまうのは惜しい・・・・。「本場の中華」の異国風味を演出する目的としても、ここまで使うと「料理」と言うよりも「薬膳」のように感じられてしまう。
せめてもう少し控えて隠し味的に使う程度に抑えた方が日本人ウケする味になるような気がするが、「八角」はほんの極少量でも非常に影響力の大きい強烈な芳香を発するので、今回はたまたまのブレなのかも知れない。

また、野菜類は調理時間の短縮のため予めまとめて「下茹で」をしているのかどうか・・・・野菜としてのアクや旨味がすっかりと抜け切っていて、アッサリし過ぎていて食べてもちょっと味気なく感じられてしまった。「タンメン」の醍醐味は野菜の旨味がスープに溶け出すところにあると思うので、もう少し香りや旨味が残っていて欲しい。そして「スネ肉」や「野菜」にトロミがほとんど付いていないのだが、あくまで個人的な好みとしては、片栗粉などを使ってもう少しトロミを付けて「うま煮の餡」のようなニュアンスが出て来るとさらに嬉しい。

また、「五目チャーハン」は熱々だったのは嬉しいが、おそらくは「ホカホカ」の熱いままの白飯を使って作ったものと思われ、ご飯に「ムチャムチャ・・・」と粘るややウェットなベタ付き感が出てしまっていた。そのため、横浜中華街などの店で多く出される、玉子の黄身で黄金色になった「パラパラ」と軽くほぐれる感じの炒飯とは少々趣きを異にしている。
炒飯を作る際の白飯は、湯気が立つような炊き立てご飯では粘り気やダマが出てしまうし、逆に「ヒエヒエ」に冷たすぎてもほぐれにくく中華鍋の温度が下がり過ぎてしまい美味しくできないので、良く湯気を抜いたほんのり温かい程度のご飯がベストと言われている。
そして、化学調味料は感じないものの、その分、塩とコショウでしっかりと味が付けられていた。特に塩気が「ビシィッ」と良く効いていて、いつもこの塩加減なのかどうか判らないが・・・・今回はパンチを出そうとしているのか割と「キツイ」味にも思え、少し勇み足になっている印象を受けた。

途中、同行者の「ヤキソバ」を少しもらったところ、こちらは意図的に付けられた麺の「焦げ」が芳ばしくて非常に美味しかった。中華鍋の鍋肌を滑らせるように焦がした感じで、見事に「炒麺」のコツを捉えている。ただ、やはり具の野菜の旨味が抜け気味なのが気になる。具は下茹でよりも油通しにすれば良いような気がするが、それだと油っこくなってしまうので、避けているのだろうか。

ちなみにチャーハンにはスープが付いて来たが、あっさりとしながらも実に「凛」とした味わいでとても美味しかった。廉価な中華料理店で出されるチャーハンスープは業務用の粉末スープを溶かしたギトギト系の味がする事が多いが、こちらのスープは雑味が一切なく、まったく「俗気」や「いやらしさ」がなく、ベーススープの素性の素晴らしさをしっかりと感じた。

食べ終わってみると・・・・訪問する前は、「高尚系」や「洗練系」の味なのかと想像していたが、実際には今回の三品とも意外に濃い目の味付けで「判り易い美味しさ」「ある程度のインパクト」を標榜しているような印象を受けた。タンメンもヤキソバもしっかりと濃い目の味が付いていたし、特に炒飯の塩味はたまたまかも知れないが結構強めだったと思う。
高価な食材を使いながら、じわじわと素材の持ち味が立ち上がって来るのではなく、いきなりあからさまな「味付け」の存在を感じてしまうのは少々もったいない気もするが・・・・1000円台のランチであれば、気取りのない日常食として食べたい客が多いだろうし、既にこの地で20年にも渡って営んでいるお店と言う事を考えれば、きちんとしたマーケットリサーチを行った結果として、おそらく現在の味付けへのニーズが多いと判断したのだろう。

ただ、塩気の存在感とは裏腹に、三品とも化学調味料や加水分解調味料は感じられず、中華としては驚くほど「油」もほとんど使っていないので、後口はかなり「すっきり」「さっぱり」として心地良いし、各料理のボリュームもさほど多くはなく、カロリーの計算は割とシビアになされているようだ。
現代の食の二大テーマである「インパクト」&「ヘルシー」の両立を上手に狙っている路線のような印象を受ける。
そのせいか、店内は女性客や高年層のグループがとても目立ったが、一方でランチメニューの一部には「ご飯お替り自由」の設定なども行うことで働き盛りの男性のニーズも上手く捉えるなど、なかなかの工夫を随所に感じさせられた。


(麺は完食。スープは5割飲んだ。)









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