ラーメン&つけ麺食べ歩き
美学屋
(東京都 江東区)
店名 |
らーめん 美学屋(びがくや) |
住所等 |
東京都江東区東陽3-17-14 【地図表示】 |
禁煙 |
タバコ完全禁煙 |
訪問日 |
2007年4月下旬 塩らーめん 650円 |
〜美学屋〜
「美学屋」と書かれた白い看板を発見しました。
お店は「永代通り」に面しています。
東京メトロ東西線の「木場駅」から徒歩約3分、
「東陽町駅」からも約5分ほどの場所。
全面ガラス張りの明るい入口。
黒い看板が、どことなく「シブイ」・・・玄人好みの雰囲気。
入口に貼られた営業時間と定休日。
店頭の立て看板。
無化調スープのお店です。
カジュアルで明るい清潔な店内。
ユニークな照明や、白くて可愛い椅子のデザインもシャレています。
入店するとすぐ左手に券売機。
左上にある「塩らーめん」を購入しました。
店内に掲載された「お品書き」。
「特脇」と言う「脇役全部のせ」のネーミングが楽しい。
2007年4月下旬 塩らーめん 650円
(この写真はクリックで拡大します)
お店の人気No.1と言う「塩らーめん」です。
「無化調の塩味」と言う・・・・
ありと、あらゆるラーメンの中で・・・・
「最高難易度」のラーメンに果敢にチャレンジした意欲作でしょう。
とは言え、無闇に「求道者」的で、
徒らに「高尚難解」すぎる味ではなく・・・・
「フレンドリーな安心路線」と「親しみやすい美味しさ」で、
顧客の笑顔に「美学」を見出している印象。
キラキラと明るく瞬く「ふくよか」な肉系の美味しさを持つスープ。
塩気のエッジがクッキリと立ち、味の輪郭が鋭く整い、
「骨」や「ガラ」と言うより、もっと「ふっくら」と膨らみのある「肉」の風味が強い。
麺を食べると、改めてスープの塩梅の「見事さ」に気付く。
言うなれば・・・・「プッシュ&プル」の美学。
常に「強弱」を付けながら、時に「押し」、時に「引く」・・・・絶妙なる塩加減。
細麺は、すすると「プリプリ」と弾け、「ワシワシ」と反発する食感。
噛み応えは「ポクポク」「ポリポリ」として「乾いた」「粉っぽい」感じがある。
カンスイ臭はなく、アッサリとした味の「低加水」麺。
2007年4月下旬 塩らーめん 650円
2004年11月創業の無化調ラーメン店。こちらの店主氏は「らーめん涌井」(足立区)や「めんや もも」(江戸川区)等の数店で修行されたた後、独立されたらしい。
昨今、ラーメン店のネーミングも様々だが・・・・「美学」と言う言葉には大変なインパクトがある。実際、こちらの「美学屋」と言う店名を一度聞いてしまうと、いかがな味のラーメンが提供されるのかと・・・・強い興味がかき立てられてしまう。
お昼時を結構外して訪問したのだが、店名の印象から、もっと「厳格」「哲学的」な店構えと、頑固職人風の店主氏を想像していたものの・・・・・店内は、まるでパスタ屋さんかジェラート屋さんのような、明るくカジュアルな寛げる雰囲気であり、スタッフの方も若くフレンドリーでとても感じが良かった。
さて、登場した塩ラーメンのビジュアルは・・・・一目見て、修行先の「めんやもも」と良く似ている・・・・と感じた。
ただ、こちらの方がスープに溶け込んだ素材の固形分が少なく、かつ、色がやや濃く茶ばんでいる。色が濃いのは、おそらく火力が少し強めなのだろうか・・・・。
目の前に器が置かれた瞬間から・・・・かなり動物系の風味が「ふっくら・・・」として芳醇に漂い、肉の匂いが「ホワホワ・・・・」と力強く鼻腔を包み込む。この動物系のアロマは、おそらくは、「鶏」なのだろうと思うが、「鶏」と言うよりも「獣」を思わせる割と肉々しいアニマルチックな風味である。
スープを一口飲んでみると・・・・ジワジワと味が立ち上がって来るスロースタートな繊細路線ではなく、塩気のエッジがクッキリと立ちそろい、味の輪郭が鋭く整っている。
「塩味」のエッジが良く砥いであると言うか、刃先がきれいに光っていると言うか・・・・明るくキラキラと瞬くように輝いている味であり、いかにも「ミネラル豊富な塩の美味しさ」と言うイメージだ。無化調系の塩ラーメンだと、この豊かなミネラル感がキラキラと舌に降り積もるような美味は・・・・割と「定番タイプ」の味だとも思う。
そのため、無化調でも味は弱いとか、薄いとか言う事はなく、ストレートで判りやすい味に感じられる。
口当たりも「こってり」でもなく、「あっさり」でもなく、割と「油」も浮いている。そして、この油自身に、何かの素材の香りと旨味が付与されているようだ。後口にやや油膜の存在が残り、この表面の油に旨味を感じるのだ。修行先の「めんやもも」と同様にカツオの風味を移した香味油のような気がする。
立て看板に書かれていた説明よれば、スープ素材は「丸鶏」をメインにした動物スープと、日高産等の「昆布」と数種類の「節」で取った和風スープのダブル・スープとのこと。塩ダレは「沖縄天然塩」と、「貝柱」、「干しえび」などで仕上げているようだが、ダシ的には、最初の風味で感じたとおり、魚介や海老、帆立などの海産物系の風味よりも、むしろ丸鶏などの動物系のふくよかな「肉」の風味の方が強く感じられ、決して「魚介系」に頼らない味わいである。
そして、スープに「骨」や「ガラ」の味よりも、もっと「ふっくら」として膨らみのある「肉そのもの」の風味を感じる辺りも・・・・「めんやもも」と同様だ。こちらのスープは、肉の固形分が沈むような濃度はなく、やや透明度に比重が移っているが、この辺りに・・・・修行先の「めんやもも」のスープの系譜を強く感じさせてくれる。
この肉汁の風味は、丸鶏だけでなく、スープの上に一切沈むことなく置かれた、表面積(露出面積)の大きいチャーシューの匂いも多少影響しているのかも知れない。
一方の「麺」は、「太麺」も選べるようだが、何も言わなかったため定番の「細麺」となった。
すすってみると・・・・口先で「プリプリ」と弾けて、良く動く感じがあり、一本一本が常に分解し、決して団子にならず、決してくっつかない。「ワサワサ」「プルプル」と・・・・常に「横方向」に「微振動」して揺れる感じがある。
口に入ってからは、「ワシワシ」と反発する感じがあり、噛んでみると・・・・噛み応えは「ポクポク」「ポリポリ」として、食感が「乾いた」「粉っぽい」感じがある。カンスイ臭はなく、麺の味はアッサリとし、相当な「低加水」の麺だと思う。
細麺としては、「しんなり」とか「くったり」とかのヤワヤワ感を感じさせる要素は絶無で、どうやらスルーリ・・・とする「滑らかさ」や「のど越し」や「撫で回し感」よりも、ホクホク、ポクポクとする「噛み応え」や「歯触り」を優先した食味を狙っているようだ。
不思議な「ドライ」感のある麺で、やや無愛想な感じもあるが、スープを吸い込むとか、時間とともにノビ太ると言うこともなく、ラストまでこの食味が持続する。
麺を食べ始めてみると、改めてスープの味付け・・・・その塩梅が、想像していた以上に「絶妙」である事に気付く。
言うなれば・・・・「プッシュ&プルの法則」・・・・が絶妙なバランスで成り立っている。つまり、ベストな塩加減を基軸にして、時に「押し」、時に「引き」・・・・舌に触って来る。決して一本調子ではなく、常に「強弱」を付けながら、時に強く感じられ、時に控えめに感じられ・・・・おそらくは、麺に抱き込まれたスープの量や、舌に触れる面積の変化で、このような波状の変化が起きる物と思われるが、そのため、麺を食べていても、全く「飽きる」事がない見事な塩加減だ。
チャーシューは薄味だが、素材の良さがきっちりと残っていて、歯を入れた途端、「ジワー・・・」と流れ出す肉の美味しさに「厚み」と「重層感」があり、美味なる肉の旨味が「あふれ出す」「押し寄せる」、素晴らしい美味しさ。
食感は「ふっくら」「なめらか」で柔らかだが、「しっくり・・・」とする適度な「噛み応え」も残し、決してパラパラ崩れたり、ホロホロと早めにトロけてしまう事はない。
メンマは「クニクニ、コリコリ」と、柔らかさと歯応えが両立した物で、味付けはやや甘めである。さして太さはないのだが、とにかくドッサリ・・・と、中から旨味がほとばしり出て来て、旨味はかなり濃い目だ。
青菜は、新鮮でシャキシャキとしているが、余計な青臭さはなく、きれいに彩りを添えている。特に「茎」の部分が、明るく「ポキュポキュ」として、口中に爽やかな緑の空気を吹き込むと言うか・・・・高いリフレッシュ効果があるようで、口中をサッパリさせてくれて、食べ進むうえで良い「アクセント」になっている。
食べ終えてみると・・・・さほど麺量が多くはないと言う事もあるが、サクッと抵抗なく食べ終わる事ができ、「ライト&スムーズ」な腹心地である。
「この店ならではの味」と言うハマる感覚や、心身ともに「喰ったーッ」と言う「のしかかられるような圧倒的な満足感」などよりも・・・・どちらかと言えば、マナー良く、「スマートな食事」をした・・・・と言う印象になる。
店頭の立て看板には、「化学調味料不使用」である旨と、「オススメ!お客様の人気もNo.1」として「塩ラーメン」が推奨されている。
しかし、この「無化調の塩味ラーメン」と言うものは・・・・醤油や味噌のような香りや味の強い調味料が使えず、かつ、化学調味料や加水分解調味料などの「飛び道具」も使えないため、作り手としては「徒手空拳」の厳しい戦いとなる。
つまり・・・・実は、世の中の、ありと、あらゆる種類のラーメンの中で・・・・「無化調の塩味ラーメン」こそが、「最も作るのが難しいラーメン」であり、「最高難易度のスープ」・・・・である事は間違いない。
食べ歩きで、初訪問のお店の実力を見るなら・・・・「寿司屋ではギョク(玉子焼き)を、ラーメン屋では塩を・・・・頼むべし」と言う人もいる。
すべて天然素材だと、「旬」や「産地」や「個体差」などのバラ付きで、毎回、「安定」して同じスープの味を出すのは至難の業だ。
そう言う意味では、果たして今日のラーメンの「出来具合」がどれ位だったのか・・・・初訪問としては少々気になるところだが、少なくとも今日食べた印象としては・・・・独りよがりの「美学」ではなく、きちんと「お客様」の満足度に主眼を置いたラーメン作りの「美学」が醸成されていると感じられた。
つまり、無闇に「求道者」的で、やたらと「高尚難解」な路線に走っているのではなく・・・・そう言う気負いや重苦しさを感じさせない、比較的、「フレンドリーな安心路線」を標榜した味作りを目指し、「親しみやすい美味しさ」で・・・・顧客の笑顔にしっかりと「美学」を見出しているラーメンと言う印象を受けた。
最後に、少々余談になるが・・・・・
様々な調味料メーカーのWebSiteを拝見すると、今では「煮込んだ豚骨風味」や「炙った魚介風味」などなど、どんな香りでも、どんな味でも出せる・・・・何十種類と言うタイプの「業務用調味料」が市販されていて・・・・その進歩(?)ぶりに、「まさか、これほどとは・・・・」と、心底驚かされる。
しかも、「加水分解型調味料」(たんぱく加水分解物)は、個人的には間違いなく「第二の化学調味料」だと認識しているが・・・・食品衛生法によれば「食品添加物」に該当せず、単なる「食品」として分類され、流通されている。
よって、「加水分解型調味料」を多用していても、堂々と「無化調」や「無添加」を名乗っているラーメンや食品もある・・・・らしい。
「タンパク加水分解物」は、昔ながらのグルタミン酸やイノシン酸系の「化学調味料」と入れ替わる形で、ここ10数年ほどで急激に普及して来たので、歴史の古い老舗店のラーメンレシピには入っていない事が多いが、逆に、ここ数年で創業した「濃い味系」の多くのラーメンでは「必須」の調味料として好んで使われているようだ。
この「蛋白加水分解物」の味は、「化学調味料」の過激でキレのある「アップ系」の旨味とは異なり、後味の悪さや舌の麻痺感は軽減されているため、入れればいくらでも安価で簡単に旨味を増量できる非常に便利なシロモノだ。
しかし、その反面、デリケートな「味の機微」や「ダシの陰翳」、「隠微な巧拙」がなく、ベッタリと同一色に塗りつぶしたような強い「不透明度」を伴う濃い重さと・・・・ひたすら「ダウン系」の無機質な旨味が続く・・・・やはり、工場で大量生産された人工的な「工業製品の味」である。塩酸により処理された物は発がん性の危険も指摘されている。
使いすぎれば、ほとんど「カップ麺」の袋入りスープと同一レベルの味になり、ラーメン作りに「素人」と「プロ」の差はなくなってしまう。
そして・・・・この「たん白加水分解物」と「化学調味料」を合体させ、何種類も調合し、複数重ね合わせることで、旨味を徹底強化し、さらに「香料」(人工フレイバー)までも加えて最強のイミテーション・テイストを持った「ハイテク複合調味料」が、インスタント食品やスナック菓子を始め、ファーストフードのほとんどで、今では調味料の「主役の座」に着きつつある。
客側も、このハイテク調味料による人工の味を、「ダシ」の旨味と見事に勘違いし、「コクがある・・・」とか、「豚骨の旨味が・・・」、「魚介の風味が・・・」と語っている人も実に多い。
ラーメンの「味」を語る上で「化調」同様に、この「加調」や「複調」も、もっと話題に上っても良いと思うのだが・・・・・あちこちのサイトやブログのレビューを見ても、なぜかこの「加水分解型調味料」や「ハイテク複合調味料」に全く触れていないのは・・・・何とも不思議だし・・・・残念な気もする・・・・・。
(麺は完食。スープは7割飲んだ。)
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