ラーメン&つけ麺食べ歩き
あぢとみ食堂 吹塚 店
(埼玉県 比企郡)

店名 あぢとみ食堂 吹塚店(あぢとみしょくどう) 
住所 埼玉県比企郡川島町大字吹塚793-2 【地図表示】
禁煙 タバコ可(灰皿あり)
訪問日 2004年4月下旬  塩らーめん+味玉 750円 
           正油らーめん 650円
           つけ麺 680円
2006年8月下旬  らーめん濃口 730円



〜あぢとみ食堂 吹塚 その1〜




11am、お店に到着。本日の一番乗りのようです。
店名は「あじとみ食堂」ではなく、「あぢとみ食堂」。






店内はテーブル席とカウンター席。






ほう・・・定食系メニューの札が多数貼られてます。
さすが食堂と名乗るだけありますな。






しかし卓上にはラーメンの詳しいメニュー。
塩ラーメン、醤油ラーメン、つけ麺、餃子、を注文しました。










2004年4月下旬 餃子350円
(この写真はクリックで拡大します)



まずは餃子がご登場です。
ニンニクの有無を指定できます。
ニンニク入りタイプを指定しました。

熱々、パリパリでうまいです。










同上日 塩らーめん(細麺)650円 + 味玉100円
(この写真はクリックで拡大します)



上品な香りとたたずまい。
見るからに繊細系ラーメンの代表という感じ。

澄んだスープの中身は素材の旨味の丹念な積み重ねです。
しかも「ピント」が完璧に合っているのはスゴイ。
味玉追加で玉子1個半に・・・ w 。




2004年4月下旬 塩らーめん(細麺)650円  + 味玉100円 + 餃子350円

埼玉県中部にある街道沿いの食堂なのだが、おいしいラーメンを出すと評判のお店で以前から気になっていた。
塩ラーメンは細麺150g(650円)と太麺250g(700円)が選べる。塩ラーメンということで細麺にしてみる。

登場したラーメンは見た目からしていかにも繊細に作り込まれた印象のもの。スープは穏やかな鶏の出汁と魚節系の奥ゆかしいベースで、まろやかな塩分とともに昆布などの旨味&甘味がとても心地よく感じられる。ともかく豊かでありながらあくまでもナチュラルな旨味であり、鼻を抜ける芳香の素晴らしさ、やわらかく奥ゆかしい口当たりが素晴らしい。
ライトな中にもよく磨き込まれた味であり、研ぎ澄まされたような精鋭感があるスープ・・・。
細麺はなかなかデリケートな食味で、スープをよくからめてスープのおいしさを取りこぼすことなく堪能させてくれる。しかし、その分表面が柔らかいというか、やや歯ぬかりのする後味がちょっと気になった。

塩スープは、ラーメンスープとしてもおいしいが、単独の飲み物としても滋味豊かなスープでかなりおいしい。柚子のカケラが入っているが、しっかりした風味のスープの中ではあまり存在を感じなかった。
具のカイワレ大根は清涼感の演出だろうと思うが、食べてみると辛味が強くて、ちょっと異端な感じがした。味玉は半分が最初から入るとは知らず、追加したため一個半になってしまった。ほどよい半熟だが黄身が少ししょっぱめに感じられた。
バラチャーシューはふんわりした食味でおいしい。ややボリューム不足だが全体のバランスを考慮してのことかと思う。小振りなメンマは控えめな味付け。

餃子はニンニクの「有り」か「無し」を選べるので「有り」を頼んだ。やや小粒だが、焼加減良くピリリとニンニクが効いていてサイドメニューとしてなかなかの存在。

見事にバランスを整えたスープで、繊細系でありながら複数の素材を駆使して味のピントを明確に出しており、確かにおいしい。また、塩分も控えめ、かつ、無粋な調味料を使っていないせいか、何よりも後味が素晴らしく良い。


(麺は完食、スープも完飲。)




↓続きあり




 



〜あぢとみ食堂 吹塚 その2〜










同上日 正油らーめん(細麺) 650円
(この写真はクリックで拡大します)



麺や具は塩ラーメンと共通ですな。
本当に毎日でも食べられる、負担がなく、
飽きが来ない、ナチュラルな美味しさ。

実は最も作るのが難しい一杯かも知れないですね。
相当に丁寧な「仕込み」を感じます。




同上日 正油らーめん(細麺) 650円

具の構成など塩ラーメンと同じだが、スープは塩ラーメンの「あっさりした旨味系」と異なり、「まったり魚節のコク系」になる。
スープの甘味は影を潜め、動物系のコクやまったり感を土台に、カツオ節、そして特に煮干の風味が強く感じられる完全な魚節主導型スープ。醤油ダレとも良く調和していて、この路線としてはかなり成功していると思う。
魚の削り粉のザラザラ感が少しあり、ジワジワ来る感じの意外にもまったりしたやや重さのあるスープで、キレがある感じではない。

やはり無粋な調味料を使った感じはなく、とてもナチュラルな素材の質感をダイレクトに舌で堪能できる。相当に緻密に作り込まれている印象、適度な重さとあっさり感とが良くバランスしていて文句なくおいしいと思う。
麺はやや柔らかめでソフト、好みの問題かも知れないがやはり後味の歯ぬかり感が少し気になった。この麺だと、「固め」でオーダーするのも良いかも知れない。


(麺は完食、スープは5割飲んだ。)




↓続きあり




 



〜あぢとみ食堂 吹塚 その3〜










同上日 つけ麺(醤油味・麺250g) 680円
(この写真はクリックで拡大します)



麺はとても無垢な味わい。
つけ汁は魚系インパクト。
麺とつけ汁が見事に「均衡」している。
この手のつけ麺の「お手本」のような出来栄え。

具はラーメン類と共通のようです。




同上日 つけ麺(醤油味・麺250g) 680円

つけ汁は醤油味か塩味を選択できる。醤油を選択した。
麺は角ばった太麺ストレートで、何か海草のようなものが多少練り込まれているような外見。一口そのまま食べてみると、ひんやりとよく冷水で締められ、角ばってちょっと固い麺かと思ったが、噛むと意外なモチモチ感があり、もっちりした麺が好きな人には大いに受けそう。カンスイ臭さもなく、かといって小麦風味にあふれるわけでもなく、透明感のある無垢な感じの食味。

つけ汁は、思い切り「魚系」がビンビンに効いている。カツオ節等の削り粉がつけ汁に混じっており、多少魚の生臭味も感じられた。つけ汁から受ける印象では「頑者」(川越市)を連想してしまった。
しかし、奥ゆかしい醤油ダレとよく引き立て合っていて、強い魚系が嫌味になるようなことはなく、素直な食味の麺をからめて食べると、濃度も適切でおいしく、とても早く箸が進む。
また、太麺のコシのつけ方が絶妙で、麺がノド元を通り過ぎ、次々に胃に溜まってゆくさまが心地よい。一気に食べ進んでしまう。

最後にスープ割をしてもらうと、より一層魚系の風味が濃厚になり、ナチュラルな味付けと相まって最後の一滴まで飲み干してしまう。お腹の中は満足感&幸福感でいっぱいに満たされた。
欲を言えば、具が基本的にラーメンと同じなのはちょっと残念。つけ麺はつけ麺なりのより個性的な具にしてくれるとうれしい。


(麺は完食、スープ割も完飲。)




↓続きあり






〜あぢとみ食堂 吹塚 その4〜




ほぼ二年半ぶりの再訪問・・・。
道路沿いに「中華そば」の看板と「ラーメン」のノボリ旗が出ています。






「中華食堂」と書かれたヒサシ。
右脇のベージュの小さな建物はトイレです。






いかにも「食堂チック」な店内。
マンガの単行本なども置かれています。






新作?前回はなかった
「だし醤油ラーメン」と「冷やしラーメン」。






定休日と営業時間。






卓上のメニューです。
前回はなかった「カレー太麺」や「正油濃口」も登場していました。






メニューの裏面です。
「カレー太麺」と「味付玉子」の紹介。










2006年8月下旬 らーめん濃口 730円
(この写真はクリックで拡大します)



モチモチの太麺、濃口のスープ、美味しい具・・・・
絶品「三役」揃い踏みの一杯です。

特にスープには、繊細でデリケートな美味しさと言うよりも、
一切の曖昧さのない、「力強さ」と「鋭さ」のある「凄み」を感じます。

お店としては「太麺」にこだわりがあるようですが、
私的には、このラーメンを
ぜひ「細麺」で食べてみたいような・・・・。









もの凄いグラビティで味を「焦点化」している「お見事」な濃口スープ。
旨味が「濃く」、「深く」、「鋭く」・・・・非常に「力強さ」があり、
それでいて、まさに目の覚めるような「クリアー」な美味しさがある。






太麺は、魚粉や煮干の体皮をちらちらと絡めると同時に、
スープを良くからめて、麺とスープがほど良く同化、一体化。
きちんと「茹で上がった太麺」なのは非常に好感が持てますな。






ストレートの太麺は、「モチモチ」、「モチョモチョ」と、
表面付近に粘り気があり、心地良い「モチモチ感」に富んでいます。
麺のボリュームもしっかり多めです。




2006年8月下旬 らーめん濃口 730円

埼玉県西部の「雄」、人気の「あぢとみ食堂吹塚店」をほぼ二年半ぶりの再訪問。
店構えや店内の造作は変わらないものの、メニューには前回はなかった「だし醤油ラーメン」、「冷やしラーメン」、「カレー太麺」、「正油濃口」など・・・・随分と新作が登場していた。まあ、「冷やし」は夏季限定だろうと思うが・・・・。

ただ、こちらのお店は、麺が二種類あり、「細麺」と「太麺」を使ったメニューに分かれているのだが、今回は「細麺」を食べたかったのだが、なぜか「塩」や「醤油」の細麺バージョンはどうやら「土日祝」以外は頼めなくなってしまったようだ。
この日は二名で訪問しており、私は「太麺」の「濃口」をオーダーし、同行者は「細麺」の「だし醤油らーめん」をオーダーした。

登場したラーメンを見ると、チャーシューが、以前の「バラ肉」から「肩ロース」へと変更されており、また、半分入っていた「味玉」が入らなくなっていた。
スープは以前の醤油ラーメンのスープに比較して、魚粉と油が増えているようだが、気になるほどではない。

一口飲んでみると・・・・何とも「キレ」があり、「コク」があり、「スゴミ」のあるスープだ。
旨味が「濃く」、「深く」、「鋭く」・・・・非常に力強さがあり、それでいて、まさに目の覚めるような「クリアー」な美味しさである。
もの凄いグラビティで味を「焦点化」しているこの「力強さ」と「鋭さ」は・・・・前回の醤油ラーメンの「まったり魚節のコク系」スープを、「鉄」に例えれば、こちらは焼き鍛えて強度を増した「鋼鉄」のイメージだろう。
一切の曖昧さがなく、一度舌を捉えたら、決して離そうとしない・・・・まるで掃除機で自分の舌が吸い込まれるかのような・・・・「引き込まれる」感覚だ。
また、これだけ明瞭に美味しいと、大抵は3〜4口飲めば、飽きてしまう事が多いのだが、その点、このスープはまるでレンゲが止まらない、口当たりがスムーズで、実に後を引く美味しさになっている。

一方の太麺は、「モチモチ」と言うか、「モチョモチョ」と言うか、表面付近に粘り気のある麺で、加水率も高いのか、心地良い「モチモチ感」に富んでいる。
昨今の太麺と言うと・・・・やたらと硬めの茹で加減が横行する中、きちんと「茹で上がっている」のは非常に好感が持てる。
太麺だと、魚介系スープを弾いてしまうことも少なくないが、こちらの麺は、魚粉や煮干の体皮をわずかに絡めると同時に、スープが湿潤していて、麺とスープがほど良く同化、一体化している。

ただ、それでも食べながら・・・・「なぜ太麺なのか?」と言う疑問が、なぜか次第に脳裏に浮かんで来てしまう・・・・。
もし、この「濃口スープ」で、「太麺」か「細麺」が選べるなら、私なら間違いなく「細麺」を選ぶような・・・・そんな気がしてしまう。やはり、こう言う魚介メインの「クリア」系統のスープであれば、あくまで個人的な「好み」としては、前回の細麺の方が相性的に「しっくり」と来る気がするのだ。
むしろ、こう言う太麺を使うなら、スープには「動物性のゼラチン」が豊富な、トロリとする濃濁動物性スープが合うような気がしてしまう。

チャーシューは、「ホクホク」「ホッコリ」としたトロける口当たりと、肉の旨味がどっさりと残っていて、非常に美味しい。
メンマはやや細めで、ポリポリとした歯触りが心地良く、味も良く染み込んでいてなかなか美味しいが、この「太麺」に合わせるなら、もっと太く切らないとバランスが悪いと思う。また、貝割ダイコンも、本来は「細麺」に合わせるべき、繊細な食感の具のように思える。

スープ、太麺、具・・・・と、単独では文句のない美味しさなのだが、透明感の残る魚介系スープ、細めのメンマ、カイワレ大根などを見る限り、なぜか、もともとは「細麺」との相性をイメージしていたような・・・・そんな「出自」の印象を受けてしまう。
より一層、「太麺」に合わせるべく、「濃口」スープを開発したのかも知れないが、何となく途中から無理に「コース変更」をしたかのような・・・・そんな印象を受けてしまった。

また、途中で同行者の「だし醤油ラーメン」を少しだけ食べさせてもらった。
メニューによれば、「出汁の旨味を感じるあっさりとした味」と言うことらしいのだが、細麺は良いとしても、スープについては、今までに全く「未体験」の味で、正直、戸惑いを覚えてしまった。
同行者は「オデンの汁の味・・・・特に鍋底に沈んだダイコンの味を連想する味」と例えていたが、確かに、和風の「煮物」や「鍋物」のダシを連想させられる感じであり、そう言う料理に使えば合うのかも知れないが、「麺」を食べさせるためのラーメンスープとしては、焦点化しづらい「モヤモヤ」「ぼんやり」とした味わいに感じられてしまう。
ただ、これは「キレ」「コク」「力強さ」のある「濃口ラーメン」の直後だったからかも知れない・・・・。単独で食べれば、もっと長所が前面に出て来るのだろうと思う。


(麺は完食。スープは7割飲んだ。)