01ch グルメ食べ歩き
壽々屋
(東京都 豊島区)

店名 とんかつ 壽々屋(すずや)
住所等 東京都豊島区西池袋1-38-3 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2006年4月下旬 ひれかつ定食 1785円




〜寿々屋〜



2006年4月下旬 ひれかつ定食 1785円

今回は、都内でも屈指の「美味しいトンカツ店」との呼び声が高い、巷で評判の「壽々屋」(すずや)(豊島区・池袋駅)さんを訪問してみました。
実際、インターネット上の「とんかつ系サイト」「グルメ系サイト」などを見る限り、こちらのお店を「絶賛」する記述が多数見受けられます。
しかも、その表現は「最高の味」「日本一」などの最上クラスの賛辞が惜しげもなく贈られているお店なのです。


 池袋駅西口の繁華街

お店は、池袋西口の有名な歓楽街にある大きな商業ビル「ロサ会館」の隣りにあります。
写真で左側に見える淡いピンク色のビルがロサ会館です。「寿々屋」の入っているビルは右側の薄いグレーのビルです。


 ピカピカの新築ビル

とても真新しいビルに、高級感と清潔感にあふれる和風の店構えですね。
どうやら2005年秋頃にビルごと建替えられ、リニューアルされたようです。


 店頭の営業案内

店頭に主なメニューと営業時間などが記されています。
創業は昭和31年、こちらのお店は夕方5時からの開店で、昼間の営業はないようです。


 シックで高級感あるインテリア

入店するとピカピカの白木のカウンターやテーブル席、柔らかな間接照明などで、非常に清潔感とシックな高級感があります。
トンカツ屋さんの油ぎった内装のイメージはどこにも感じられません。
開店直後で一番乗りの予定でしたが、既に先客がいらっしゃいました。


 ゆったりとした贅沢な席配置

うーん・・・・ゆったりとした贅沢な席配置ですね。壁にかけられた絵画が良い感じです。
静かですし、完全禁煙なので、ゆったりと落ち着いて食べられる環境です。
椅子もしっかりとした背もたれが付いたタイプです。


 メニュー表

卓上のメニューです。
メニューを見ると、どうやら「メンチかつ」が名物のようなのですが・・・・やはり私の好みとして、「ひれかつ」を注文しました。「海老フライ」も自慢のようですね。
また、「絶品50年物のぬか漬けお新香」や「自家製いかの塩辛」など、お酒の「友」も大いに興味をそそります。

「うーむ・・・50年物・・・・?」
50年間使い続けてきた糠床を使った漬物と言う意味なのでしょうか・・・・。
実は、自宅に帰って画像を良く見てから、このメニューがあったことに初めて気付き、頼まなかったことを激しく後悔しました・・・・。
一度食べてみたいですね、これは興味をそそられます。超オールドビンテージ物なのに、値段も良心的です。

洋食系の「オムレツ」は、トンカツ屋さんでは珍しいサイドメニューでしょう。
おそらく何かの「由緒」があるメニューなのではないでしょうか。


 メニューの裏面

メニューを裏返すと、トンカツの食べ方について「一家言」書かれていました。
ふむふむ・・・・店主さんご自身は、どうやら「トンカツには醤油」党のようです。


 卓上の調味料群

清潔感にあふれる卓上の調味料入れ。伯方の塩の後ろに醤油差しがあります。
陶器の入れ物に入ったソースは中濃のやや甘口タイプです。



 「ひれかつ定食」 1785円

さてさて・・・・いよいよ「ひれかつ定食」のご登場です。注文をしてから12分ほどで登場しました。

ヒレカツはこげ茶の色合いからしても、調理時間からしても高温揚げされているようです。
幅3cmほどに切られた丸いヒレ肉はちょうど大きなホタテの貝柱のような形に見えます。それを食べやすいように半分に包丁で切り分けたタイプですね。

話が前後してしまいますが、まずは付け合せ類から、食べた感想をレポートしたいと思います。
まず、ご飯は「モッチリ」としながら、飯粒がピンと立ち、硬めの炊きあがりでトンカツには良く合っています。旨味と粘りの多いことで知られる「コシヒカリ」を丁寧に硬めに炊いたような美味しさです。

豚汁は、豚肉の脂身部分がかなり多く、そのため汁もかなりコッテリと脂ぎっていて、トンカツとの組合せとしてはやや脂がクドく感じられますが、味噌の風味は「白味噌」っぽく感じられ、やや甘口系の優しい味わいです。それにホウレン草が入っています。

漬物は室温のキャベツの浅漬けです。「ギシュギシュ」と浅漬けキャベツ特有の歯応えがあり、冷たくないため口当たりのサッパリ感は今ひとつで、できればヒンヤリと冷やしておいて欲しい気もします。
水っ気も少ないので、トンカツの油を洗い流す感じは少なめです。浅漬けでは、糠の風味がないのがやや寂しいと言う方は、ぜひ「50年物の糠漬」を頼むと良いでしょう。

キャベツは「ふんわり」と盛られていて、それでいて「ザクザク」と歯触りも心地よく美味しかったです。
キャベツの幅がミリ単位できれいに揃い、食感が非常に均一で、ともかく大変丁寧に、実に「心を込めて」切り揃えられている感じがひしひしと伝わって来ます。
野菜としてのキャベツの旨味や甘味も良く感じられ、エグ味などもなく、水っぽくなく、サッパリとして口直しに最適でした。

また、ちょっとした価格のトンカツを出すお店へ行くと、油を使うトンカツと相性の良い「ほうじ茶」が出されることが多いのですが、こちらのお店では「煎茶」が供されました。
おそらくはお店なりのこだわりがあるものと思われます。



 中心部が見事なピンク色

さて、いよいよヒレカツですが、見ての通り、肉は中心部がほんのりとピンク色です。
絶妙な火の通し方で、見るからに肉の旨味が活性化しているイメージです。さすがプロと言える見事な火加減だと思います。見ていると余熱で徐々に火が通って白くなって行きます。

衣は、北関東などでよく見かける「ソースカツ丼」などを連想させるものです。衣が非常に薄いのが特徴ですね。衣が薄いため、小麦粉や玉子の中間層も薄く、やや肉とはがれやすくなっています。
ちなみになぜ衣との間に隙間が開くかと言うと、肉は加熱によってかなり「縮む」習性があるため、衣との収縮率の違いが原因です。

食べてみると・・・・衣の色合いは濃い目のこげ茶色ですが、さほどの「焦げ風味」は感じられず、パン粉がやや短めで、細かな粒子っぽく、歯に「サワサワ・・・」と平坦に、まるで紙ヤスリのように触ります。
軽くカリッとする歯触りはあるものの、「サクサク」とか、「ふっくら」とか、立体的に空気を含んだような軽い食感ではありません。

黄色の溶き卵の色はわずかに見て取れますが、層はとても薄く、卵の甘い味や風味はほとんど感じられませんでした。
極薄なせいか・・・口に入ると「ふわっ・・・」と衣が溶けてしまう感じで、「ガリガリ」と硬い感じで、衣が口に残る感じではありません。
衣が厚めで、パン粉が大きく、黄金色のサクサクした口当たり豊かな衣とは対極に位置するタイプです。
衣の油切れは良く、サラッとしてカラッとした感じなので、「揚げ油」はラードと植物油のブレンドではないでしょうか。

肉質は「モギュ、モギュッ」とする、結構、引き締まった感じのもの。
ミシミシと「硬い」と言うのではなく、「ギュ、ギュウッ」と密に「引き締まった」感じの肉質です。まさに良く運動させた豚の筋肉と言う感じで、水っぽさが全くないのは良い豚肉の証拠でしょう。
柔らかくてモチモチする口当たりの良さ、つまり保水率の高い豚肉とは対極に位置する感じですが、こう言う噛み応えのある豚肉が好きな人も多いと思います。
見た目は、中心部など肉汁がしたたっている感じですが、実際に食べてみると、ヒレ肉と言う事もあり、ジュワッと肉汁があふれて来るようなジューシーさはあまり感じませんでした。

そして、肉が若くて味に明確なパンチや勢いがあるタイプではなく、かなり肉をじっくりと熟成させた「複雑玄妙系」の味ですね。
ただ、何も付けずにカツだけを食べてみると、豚の野性的な「獣風味」がほんのりと感じられ、どちらかといえば取り澄ました上品なタイプではなく、ややワイルドテイストな路線にも思えます。



 ソースは中濃タイプでやや甘口

卓上のソースは、ややドロッとした中濃タイプですが、ともかくクセがなく、旨味も穏やかな中庸なタイプです。割と甘味があって、甘しっょぱい感じの味で、どちらかと言えば、やや甘口タイプでしょうか。

塩や醤油でも食べてみましたが・・・・これらの調味料の味が肉の味に吸収されてしまうと言うか、打ち消されてしまう感じです。
塩を多めに振ってみたり、皿に添えられたマスタードを使ってみたりしましたが、肉の味が「微動だにしない」感じです。マスタード自体は結構鮮烈な鼻に来るパンチのある辛さなのですが・・・。

全体の印象として、衣の存在感がかなり希薄で、ともかく肉がダイレクトに歯にタッチし、じかに舌の上へ乗って来る感じを受けます。特に卵の層が薄いので卵の甘味が付与されていないため、甘味がない味の構成です。
そのためか、衣のサクサク感や甘味を華やかな演出効果として、味がパーっと、明るく「花開く」タイプではないようです。

静かにゆっくりと肉そのものの熟成感を楽しむ・・・「侘び寂び」(わびさび)の世界に通じるような・・・まさしく「いぶし銀」のような大人の味わいですね。
チョコレートで例えて言えば、豊かな「ミルク感」や「砂糖の甘味」で明るく華やかな味わいのミルクチョコレートではなく、甘みやミルク感がなく、深い深いカカオ感を楽しむ「大人向けビターテイスト」のブラックチョコレート・・・・と言うイメージが近いような気がします。

池袋と言うメジャーな繁華街にありながらも、店主さんの独自の「ポリシー」がしっかりと伝わって来るお店に思えました。



(すべて完食)










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