01ch グルメ食べ歩き
おがわ屋
（東京都 荒川区）

2006年3月下旬　かけそば＋かき揚げ天　330円

今回は、都内でも屈指の「美味しい立ち食いそば店」との呼び声が高い、巷で評判の「おがわ屋」（荒川区・日暮里駅）さんを訪問してみました。
サラリーマンの強い味方、どんなに忙しくてもふらりと立ち寄れる・・・・多忙な一日の憩いの場所、それが「立ち喰いそば店」でしょう。「駅そば店」「路麺店」等とも呼ばれています。

ただ、「早く」、「安く」・・・・までは大抵のお店はクリアしていると思いますが、残念な事に、「美味しく」・・・・となると、世の「立ち喰いそば店」のほとんどは、立地の良さと低価格にのみ頼っている感じで、「味は二の次、三の次・・・・」と言うお店が多く、なかなか納得の行く「立ち喰い」の味に出会うことは多くありません。
さて、インターネットの「そば系」「グルメ系」サイトなどを見ていますと、こちらのお店はなかなか多くの支持を集めており、都内でも有数の「美味しいお店」として、推す声もあるようです。


　日暮里駅の南口側

お店は、ＪＲ日暮里駅の南口から徒歩１分弱の場所にあります。
ちなみに、日暮里駅は逆側へ降りてしまうと、お寺ばかりがある駅ですので、降り口に気を配る必要があります。


　日暮里駅　「おがわ屋」

お店は、全面ガラスのモダンな店舗です。
店舗右手で「おにぎり」のテイクアウトもしているようです。
入口に多数の「セットメニュー」の組合せが貼られていました。


　券売機が２台

入店すると券売機が２台ありました。
さすがに人気店、昼時などはかなり混雑するのだと思います。
カレーライスや牛丼、かつ丼、親子丼、豚キムチ丼などもあり、なんと納豆定食まで・・・。
なかなか、バラエティにあふれる布陣です。セット物も多数あります。

「かけそば」＋「かき揚げ天」の券を購入し、カウンターへ渡します。


　背中合わせの客席

店内は空間にゆとりがあり、カウンター台も広々しています。
しかも、客同士が背中合わせになる配置なので、落ち着いて食べられますね。テレビが一台点いていました。

ちなみに、たまたまなのか判りませんが、５名ほどいらっしゃった調理スタッフは、全員が女性でした。
誰かが中心に調理が進むと言うのではなく、パート（？）の方が平等に仕事を分担し合い、協力し合って切り盛りしている印象です。

２〜３分ほどで、調理が完了すると、「かき揚げそばのお客様〜」と呼ばれます。
ちなみに食券を渡してしまうと、手元には何も残りませんので、混雑時などは、自分の注文内容と順番を良く覚えておいた方が良いと思います。



　「かけそば＋かき揚げ天」　330円

さて、いよいよ「かき揚げ天そば」とご対面です。
気取りのない器、「型」を使って揚げたかき揚げ天、など・・・・いかにも「立ち喰いそば」と言うビジュアルです。

まずは、ツユを少しすすってみると・・・・
うーん、これは、まさしく「典型的」な「立ち喰いそば」の路線を歩むツユの味です。

しっかりと「寝かし」たのか、「かえし」は醤油の香りが抑えられ、旨味が凝縮した感じですが、同時に塩気がピシッと効いていて、明確な「エッジのある味」を舌へパンチして来る感じです。
あまり香りや出汁の旨味は感じられませんが、軽いジャブを、ピシ、ピシッ・・・と舌先に軽く打ち込まれる感じで、次々に箸が進みます。多少の旨味系の調味料が感じられる気もします。

いわゆる、「味を反芻しながら、じっくりと蕎麦を堪能する」タイプではなく、一気に「かき込むように食べる」・・・のが似合うタイプの味だと思います。
ちょっと塩辛い感じですが、「立ち喰いそば」であれば、むしろ、こういう味が好きだと言うニーズも確実にあると思います。

ネギは白い部分と青い部分が混じっていますが、ちょっと香りが穏やかで、瑞々しく、おそらくは水にさらしたとおぼしき食味でした。



　「かき揚げ天」のアップ

かき揚げ天は珍しく「ごぼう」が入っていて、そのクニクニする食感と独特の香りが個性を放っています。
玉ねぎやニンジンだけでは出せない、この懐かしい「土の香り」に、郷愁心をくすぐられます。
半分は、いかにも「高温の油」で揚げたほんのりと芳ばしい焦げ風味があり、歯触りが「サクサク」「ザッザッ」と言う感じで、とてもクリスピーなのですが、もう半分は、なぜか「ふんにゃり・・・」として、柔らかにふやけた食感でした。

おそらく柔らかな部分は、揚げた際に油の上に顔を出していた部分で、加熱が弱かったのではないかと思います。
かき揚げの芳ばしさと油の風味が、シンプルな蕎麦とツユに、いい感じでマッチしていてお互いを良く引き立て合っていますが、全体的には、やはり典型的な「立ち喰いそば」のかき揚げと言う感じで、ゴワッ、モソッと・・・・やや口当たりが詰まった食感です。



　「蕎麦」のアップ

麺はややモソモソするすすり心地です。
表面がちょっとザラッとして感じられ、摩擦係数が高い感じです。

噛んでみると、コシはやや硬めで、割と食感はしっかりとしていますが、歯が食い込む際に、やや軽くヌチャ・・・とする粘着質な感じを受け、多少、歯ぬかりするような感じがあります。
そして、麺がとてもツユをよく吸っているイメージで、なかなか「味」があります。

そして、「蕎麦」の香りや味が強く、すすって噛み砕くたびに、沸き立つ味と香りに、「今、自分は蕎麦を食べている」と言う自覚を、きっちりと堪能できる味、香り、食感です。
まさに、「蕎麦」を食べている満足感があります。

これこそ、いわゆる「立ち喰いそば」の典型モデル的な食味だと思います。



食べ終わって感じた事は・・・・
こちらのお店、チェーン店として展開しているのかどうか判りませんが、いわゆる「こだわりの蕎麦屋」と言うよりも、誰からも愛される「ファーストフード的なおそば屋さん」を目指している印象です。

敢えて、「こだわり」や「個性」などは消し去り、均質化され、しっかりとしたクオリティ・コントロールのマニュアルの元、仕込みや調理が画一化され、均質に、安心に、迅速に・・・お蕎麦を提供することを目指している印象です。
つまり、良い意味でマニュアル化された安心できる「味」です。値段的にも「立ち喰い」「駅そば」のジャンルにしっかりと収まっているのもいいですね。

まさに「立ち喰いそば」の原点に立ち帰り、その路線に特化した味だと思います。
そう言う観点で見ると、こちらのおそばは、かなり「完成度」が高いと感じました。

さらに、店内は清潔で広く、椅子が完備され、スタッフもキビキビしていて、メニューは良心価格なうえに、バラエティも非常に豊富です。
近隣の方や通勤通学ルートの方には、非常にユースフルなお店だと思います。



（すべて完食）

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