01ch グルメ食べ歩き

(東京都 葛飾区)

店名 とんかつ 喝(かつ)
住所等 東京都葛飾区東金町1-11-3 【地図表示】
禁煙 タバコ完全禁煙
訪問日 2005年11月中旬 特ヒレかつ 1733円 + 他多数




〜とんかつ喝〜



2005年11月中旬 特ヒレかつ 1733円 + 他多数

今回は、都内でも屈指の「美味しいトンカツ店」との呼び声が高い、巷で評判の「喝」(葛飾区・金町駅)さんを訪問してみました。
実際、インターネット上の「とんかつ系サイト」「グルメ系サイト」などを見る限り、こちらのお店を「絶賛」する記述が多数見受けられます。
しかも、その表現は「人生最高」「感動する味」などの最上クラスの賛辞が惜しげもなく贈られているお店なのです。


 金町駅から徒歩1分

お店はJR常磐線の金町駅の北口を出て、左手へ徒歩2分ほどと言う「駅前」の便利な場所にあります。
イトーヨーカドーの道向かいのビルの階段を昇って2Fになります。


 ウッディな店内

店内は、民芸調と言うのでしょうか、ウッディで落ち着いた雰囲気です。
全席禁煙で、「空気も美味しいお店」がコンセプトになっているようです。
どんなに美味しい料理や、どんなに無添加で健康に良い料理を出されても、空気が紫煙で汚れていては台無しですので、実に素晴らしい配慮だと思います。


 メニュー その1

一枚目のメニューは、その日の「おすすめメニュー」です。
この日は、11月と言うこともあり、「カキ」が登場していました。
せっかくなので、「生カキ」1個と、「カキフライ」3個を注文しました。ちなみにこの日は3人で訪問しています。


 メニュー その2

こちらは常設メニューの一部です。
「ヒレ・ごはんセット1890円」と「特ヒレかつ1733円」では、使われるヒレ肉が異なるそうです。
もともと「トンカツ」目当てで来ているので、せっかくなので「特ヒレかつ」を注文しました。
他に「激辛カレー」、「ご飯セット」、「杏仁豆腐」もオーダーします。


 厨房とカウンター席

カウンター席の向こうが厨房です。
この日の厨房はご主人お一人で切り盛りされていました。ホールにも女性がお一人いらっしゃいます。
お酒も沢山の種類が揃っています。



 「生ガキ」 一個320円

さて、まずは「生カキ」から登場です。いやはや、何とも美しい盛り付けです。
メニューによれば「甘味、旨味が抜群の幻の赤崎産牡蠣」だそうです。
レモンと比べると大きさが判るかと思いますが、大きい上、丸々と太っています。

ポン酢が添えられますが、調子に乗って半分ほどそのまま食べたところ、やや海水の匂いや、うっすらとした生牡蠣の特有の匂いが鼻に付く感じでした。
そのため、残りの半分はポン酢で食べたのですが、やはり、ポン酢で食べた方が美味しいです。
酢の酸味が加わって、さっぱりと口当たりが良く、生の牡蠣の匂いがすっかり消えて、香りも良くなります。

「チュルン」とした食感が、何ともなまめかしい美味しさで、カキの旨味もたっぷりでした。



 「かきフライ」 一個350円

次に「牡蠣フライ」の登場です。衣の色が非常に「美しい」ですね。
単品一個で350円ですので、三個で1050円です。
サクサクした衣の中から「熱々」の牡蠣がほとばしり出て来ます。熱いので最初はちょっと注意した方が良いでしょう。とても丁寧に揚げられている印象です。
熱でカキの旨味が一層活性化し、同時にサクサクした食感が加わって、とても美味しいです。

ただ、フライになると「一品料理」と言うよりも、むしろ「おかず」と言う味わいに感じられます。ご飯が欲しくなりますね。
「牡蠣」には「菊の花」や「紅葉」が添えられていたり、砕氷の山に載せられて来たりと、なかなか手間を惜しまない「美的」演出のセンスも感じられます。



 「激辛カレー」単品 735円

「激辛カレー」単品です。写真は「普通サイズ」ですが、メニューには「小サイズ」もありました。
「激辛」とのことですが、赤みがかったルーの色から、おそらくは赤唐辛子を大量に使ったことんが容易に想像できます。

食べてみると、いきなり舌が強烈な辛さで「パルス振動」するような辛さです。
旨味もコクもあり、舌触りも滑らかで、とても素性の良い本格派カレーだと思えますが、いかんせん私にはちょっと「辛すぎる」ようです。
容赦なく辛いうえ、サラサラしたタイカレーのようなルーではなく、トロリとしているので、辛味に重みがあります。

マスタードによる「スパーン・・・」と頭上に爽快に抜けてゆくような揮発性の一過性の辛さではなく、赤唐辛子によるとおぼしき「ズーン・・・・」と蓄積し、沈み込んでゆくような持続的なヘヴィな辛さです。
どんどん辛味が舌に蓄積する感じなので、次第にむせて来るほど、確かに辛いです。そして、汗がどんどん滝のように吹き出て来て、終盤はお腹の中が「噴火」している感じになり、椅子にじっと座っていられなくなりました。
うむむ・・・・一般向けの辛さと言うよりも、既にカレーマニア向けの辛さの領域だと思います。

メニューには「激辛」一種類しかないのですが、あまりの重層的な辛さに圧倒されてしまって、「味わう」と言う意味では難易度が高いです。
「激辛」の二文字は伊達ではありませんでした。なかなかの難関メニューだと思います。
「小」もあったので、小サイズで十分だったかも知れません。ただ、できれば、「中辛」位のメニューも設定しておいて欲しい気もします。

ちなみに、このカレーは、「ライス別」になっています。
そのため、カレーをライスとともに食べるためには、ご飯と味噌汁のセット(600円位)を頼むことになります。ご飯は「白飯」か、「青シソご飯」が選べますが、カレーなので白飯にしました。
ただ、このご飯セット・・・・写真を撮るのを忘れてしまったのですが、お茶碗で登場します。
「とんかつ」メインのお店なので、それは当然なのでしょうが、カレーを注文した身としては、ちょっと戸惑ってしまいました。

カレーを、ご飯茶碗で食べるのは・・・・見た目にも、食感的にもやや違和感があります。
やはり、洋食風に平らなお皿で食べたいですね。
それとも、「とんかつ」を頼まずに、カレーとご飯セットのみを頼むと、平らなお皿でご飯が登場するのでしょうか。
また、味噌汁は赤出汁だったのですが、これもさすがにカレーとはあまり合わないと思いました。



 「特ヒレかつ」単品 1733円

さて、オーダーをしてから20分ほどで、いよいよ「特ヒレかつ」が登場しました。
うむむ、何と言う「美しい揚げ色」でしょうか・・・。
まさしく、光り輝かんばかりの「ゴールデン」「黄金色」です。

ちなみに、揚げ油に「つばき油」を多めにブレンドして使うと、このような目に鮮やかな美しい「黄金色」の衣に仕上がると聞いた事があります。
ただ、「椿油」は驚くほどに「非常に高価格」ですので、もしも、使っているとしたら・・・・客としては、本当に「頭の下がる想い」です。

また、トンカツ自体がかなりの大きさで、しかも丸々とした超肉厚さ・・・・何と包丁で10分割されるほどの「巨大さ」です。
添えられたレモンとの大きさを比較してみて欲しいです。

目の前に登場しただけでワクワクさせられるトンカツですね。さすが「特」の文字を冠するだけあります。
メニューにも「特ヒレ」には、「特上の肉質、肉の甘味が違います!」と書かれています。料理は単に美味しさだけでなく、この「客をワクワクさせる感覚」も大切だと思います。

ちなみに、ご飯は結構「硬め」の炊きあがりで、ドライと言うか、モチモチ感や水分が少なめです。
私は油の多いトンカツに組合せるには、こういうドライな食味のご飯が好きなのですが、それでもややドライ過ぎと言うか・・・人によっては多少パサパサしていると感じる人もいるかも知れません。
また、ご飯粒がちょっとヒビ割れがちで、食感がやや不均一で粗く感じられました。もう少しきれいにご飯粒がそろっていると、食感も丸くなり、さらに良くなると思います。

味噌汁は、「あっさり」とした赤だし汁で、やはり油の多いトンカツとの組合せを考慮しているようです。
八丁味噌に特有の、味に膨らみがなく、ミッチリと絞られたように凝縮された大豆の味で、出汁はあまり感じられず、ともかくスリムな旨味で、「シンプル」、「あっさり」しています。

また、「漬物バー」と言うサービスがあって、ケースに入った5種類ほどの漬物が食べ放題になっています。一通り食べてみましたが、中でも「カブ」がとても美味しかったです。
さらに、トンカツの薬味に使う「カラシ」は、「西洋辛子」、「マスタード」、「粒入りマスタード」の三種類が用意されています。
粒入りマスタードとは、よくホットドッグなどに使われるカラシです。



 超大きな「ヒレ肉」を10分割!

「10等分」されたヒレ肉を広げてみると、見事にピンク色の肌が現れました。何と言う見事な「パノラマ」「景観」でしょうか・・・・。
中央にも包丁が入っているのに、衣が全くバラバラにならないのは実にお見事です。これぞ「匠の技」ですね。
それにしても・・・・これほど巨大な「ヒレ肉」は、初めてお目にかかります。この見事なヒレカツが1733円とは・・・・実に驚くべき良心価格、超バーゲンプライスでしょう。

さっそく一切れ食べてみると・・・・・

「サックリ・・・」と歯が入る薄めの軽い衣、肉はとても柔らかく、肉汁がたっぷりと内包され、口中いっぱいにあふれ返る「豚ヒレ肉のパラダイス」が現出します。
うーん、とても柔らかくて、ジューシーで、美味しいですね。
そして肉が分厚いため、肉と衣の比率で言うと、肉の占める比率がかなり大きい食味です。

そして、ともかく、しっとりとした肉質と、ウェットな旨味、何ともゆっくりとした「落ち着いたおいしさ」・・・です。肉の複雑な旨味がじわじわと感じられ、ともかく柔らかな味わいです。
どこまでも紳士的で・・・落ち着き払った味わいであり、「複雑玄妙」な旨味があり、「しっとりした大人の味」、「こなれた感じの味」になっています。

ただ、一方でその分、パンチとか、味のスピード感、ダイナミズム・・・と言うようなものはやや控えめな感じです。
あくまで私の個人的な「好み」としては、肉質が引き締まっていてやや「がっしり」した歯応え、肉の繊維の間に汁気が滲まず、ほおばって「ホクホク」するタイプが好きなのですが、こちらのトンカツは、ジューシーで肉汁豊か、歯応えはあくまでソフトで柔らかなタイプのようです。

そして、衣にも肉にも、植物油で揚げたような後口のウエット感があり、逆にラードの芳ばしさや「カラッ」とするキレの良い後口は少なめです。こういうウエットなタイプは、「サクサク」と繊細な口当たりが楽しめますが、後口のキレが穏やかで、「しっとり」系の口解け感が長く残ります。また、肉がともかく厚く、無類のインパクトが楽しめますが、その分、衣とのバランスと言う点では肉の存在が勝ち過ぎていると感じる人もいるかも知れません。

そして、とても美味しいのですが、なにしろ巨大なボリュームなので、途中からどうしても満腹感が出て来てしまい・・・・後半になるとやや食べ疲れと言うか、多少の飽きが来てしまう気もしました。
普通の体格の人であれば、トンカツの最適サイズは150g前後だと言う説を聞いた事があります。この大きな「特ヒレかつ」であれば、数人で行ってシェアするのも良いかもしれません。
また、この逸品とも言える見事なサイズのヒレ肉の仕入れルートの確保、そしてその肉を完璧に「揚げ切る」調理技術の素晴らしさは、他では滅多にお目にかかれないでしょうから、何かイベント的に特に大きなトンカツを食べたい日などの「とっておき」的メニューと言うイメージを受けます。


ちなみに、私の「豚かつ」の好みは、以下のとおりです。

(1)ロースよりヒレ肉が好き。中学生の頃から、ずっとヒレ肉派です。
よく、肉の美味しさは「脂」にこそあるとして、淡白なヒレ肉よりも、脂の多いジューシーなロース肉を推奨する人がいます。
確かに豚肉を角煮やしゃぶしゃぶ等で食べると、その通りだと感じます。これらのように「お湯で煮る」場合は、脂感の少ないヒレ肉は確かに旨味が物足りないです。
ただし、肉を油で揚げる調理法であるトンカツの場合は、ロースの場合、脂に脂(油)を足すことになり、「食のバランス」における私的な好みとしては、脂感が強くなり過ぎる・・・・と感じてしまう事が多いです。
逆に脂の少ない「ヒレ」の場合、衣を付けて油で揚げる事で、まさにベストバランスの脂感が現出すると思っています。ゆえに、トンカツにおいては、今も昔も「ヒレ肉」派となっています。

(2)あまり熟成させ過ぎず、フレッシュな若い風味がある肉を、高温で揚げた、やや「がっしり」した肉質が好きです。
また、揚げ油はラードがメインで、衣はカリッとして多少焦げ臭がある位のもので、パン粉の厚みも肌理も中位で、溶き卵の層は薄い方が好きですね。

(3)豚の種類は、ズバリ「鹿児島黒豚」が好き。
よく運動する黒豚の赤身肉はサシが全く入らず、「がっつり」したやや乾燥気味の歯応えなうえ、旨味が非常に濃厚なので、まさに私の「理想のトンカツ肉」です。やはり、基本的に「とんかつ」に対して、ジューシーな脂ではなく、「赤身の旨さ」を追求する人間のようです。


一口に「美味しいトンカツ」とは言っても、実に、様々で、色々なタイプのトンカツがあります。どういう味を選ぶかは、まさに食べ手の「好み」に負うところが大きいと言うことになります。
「豚カツ」に、「肉の柔らかさ」と「あふれるジューシーさ」、「複雑玄妙な旨味の奥深さ」、「サックリ、しっとりとした衣」、「イベント性」などを求める人達にとって、こちらのトンカツの柔らかさ具合と肉汁の多さ、色合いの美しさと無類のビッグサイズ、落ち着いた味わいなどは間違いなく「絶品」として評価されるでしょう。



 「なめらか杏仁」 367円

最後に頃合いを見て、デザートの「杏仁豆腐」を出してくれます。
冷たいものが冷たいまま食べられる・・・・・この辺りの細やかな気づかいもうれしいですね。

杏仁豆腐は見た目からしてとても美しく、ミントハーブの香りも良く、食べてみると寒天質がほどよく感じられます。
ただ、かなり「ミルク」の味を生かしていて、どちらかと言うと「中華デザート」と言うよりも、「洋風スイーツ」的なテイストに感じました。
「ビジュアル」「味」「食感」ともに、とても上品な仕上がりです。



(すべて完食)










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