01ch グルメ食べ歩き
塩梅
(千葉県 柏市)

店名 とんかつビフテキ 塩梅(あんばい)
住所等 千葉県柏市明原1-2-3 【地図表示】
禁煙 タバコ可
訪問日 2006年6月中旬 ひれかつ定食(小) 1470円
           ロースかつ定食(小) 1365円




〜塩梅 その1〜



2006年6月中旬 ひれかつ定食(小) 1470円

今回は、千葉県でも屈指の「美味しいトンカツ店」との呼び声が高い、巷で評判の「塩梅」(千葉県・柏駅)さんを訪問してみました。
実際、インターネット上の「とんかつ系サイト」「グルメ系サイト」などを見る限り、こちらのお店を「絶賛」する記述が多数見受けられます。
しかも、その表現は「トンカツの概念が変わる」「今までで1番」などの最上クラスの賛辞が惜しげもなく贈られているお店なのです。


 柏駅から徒歩5分

お店はJR柏駅の西口から徒歩5分ほどの場所にあります。
西口から北西方向へ真っ直ぐ伸びる道路を、真っ直ぐに歩くと到着します。


 店舗入口

お店はビルの地下のため、入口の間口は狭めですので、通り過ぎに注意しましょう。
ちなみにこの日は二名でお店へ訪問しています。


 エントランス

階段を降りると、スポットライトに照らし出された美しい「紫陽花」(あじさい)が出迎えてくれました。
左手のドアが店内への入口です。


 入店風景

扉を開けると広がる景色です。
地下のため、窓が一つもなく、照明もやや落とされていますので、落ち着いた雰囲気になっています。
内装は、太い柱や梁がめぐらされ、古い民家風のウッディな造作です。



 店内風景

店内は結構広く、50席以上はありそうです。
ボックス席と座敷席があり、見えませんでしたが、カウンター席もあるようです。
奥に見える明るい照明の一帯が厨房スペースです。

柏市界隈では絶大なる人気を誇るお店のようですので、午後3時過ぎと言う最も空いていそうな時間帯に訪問してみました。
あちこちのテーブルには、まだ多数の空き食器が残され、つい先ほどまでの混雑振りの名残りを感じます。


 メニュー その1

メニューは二つ折りのとても大きなサイズで登場します。こちらの左ページは「とんかつ」と「海の幸」のメニューになっています。
この日は、二名で伺ったので、私は「ひれかつ定食(小)」、同行者は「ロースかつ定食(小)」を注文し、半分ずつシェアして食べることにしました。
なぜ小サイズにしたかと言いますと、実はこの日、つい2時間ほど前に別なお店でランチを食べていたため、あまりお腹が空いていませんでしたので、二人とも(小)を頼む事にしたものです。


 メニュー その2

右側のページは「牛肉」と「地鶏」のメニューです。
なお、ご飯は「白飯」もしくは「青紫蘇ご飯」が選べるそうですので、私は「紫蘇ご飯」にしてみました。


 ドレッシングメニュー

ご飯の選択に加えて、キャベツにかける手造りドレッシングも四種類の中から選べるそうです。
メニュー上段には、「お好きな物をお好きなだけ」と書かれています。

よくよく見ると、いずれのドレッシングも見事に「ヘルシー」路線ですね。
「梅」「紫蘇」「胡麻」「味噌」「玉葱」「人参」「トマト」「バルサミコ」・・・・などなど、いずれも一級の健康食材ばかりです。

目移りしてしまい決めかねていたところ、店員さんから笑顔で「よろしければ全部お持ちしましょうか?」と言われ、その大盤振る舞いさに感嘆してしまいました。
ですが、おそらく四種類は使い切れないだろうと思い、ムダにしてしまうのも申し訳ないので、定番っぽい「ごま味噌」と、珍しい「トマトバルサミコ」の二つをお願いしました。



 3種類の漬物

さて、注文を終えると、最初に「漬物」三種が提供されます。
左から、「切干大根」、「白菜キムチ」、「カブとキュウリの漬物」になります。
トンカツが出る前に、小皿へ取ってそれぞれ味見をしてみました。

「切干大根」は、水気の少ない沢庵のような感じで「ボリン、ボリン」とねじ切れるような歯応えと、古漬けのような風味が特徴です。
大根のしなびれた食感が通好みと言う感じで、刻み昆布が混じります。

「白菜キムチ」は、鷹の爪の辛味とニンニクのパンチがかなりしっかりと効いています。
ビンビンと来る辛味とニンニンクの辛気、味付けもかなり濃い目なので、少し食べるだけで、非常にご飯が進みそうです。

「カブとキュウリの漬物」は、浅漬けと言う感じのサッパリとした柔らかな優しい味わいです。ゴマ風味です。



 キャベツとドレッシング

オーダーをしてから7分後に、キャベツとドレッシングが登場しました。
二人前と言うこともあるかと思いますが・・・・すごい量の千切りキャベツです。キャベツには丁寧に紫蘇が均一に混ぜられています。

まずはドレッシングをかけず、キャベツだけを一つかみ食べてみました。
キャベツは水にさらされていたようで、口当たりに水気が多いですが、紫蘇の香りが混じった爽やかな風味が心地良いです。

ドレッシングは左が「ごま味噌」、右が「トマトバルサミコ」です。キャベツを小皿に取り、ドレッシングを使ってみました。

まず、「ゴマ味噌」は、ゴマの香ばしさが味噌風味と非常に良く合っています。
「白ゴマ+酢味噌」と言う感じで、柔らかながらも味の芯が太く、キャベツにしっかりと味を付けて食べさせてくれます。
それでいて、ゴマと味噌と言う強い味の材料を二つ使いながら、酢の酸味が味の濃さを上手に中和し、決して舌にクドくならず、ドレッシングとしての適切なあっさり感を維持しています。

もう一つの「トマトバルサミコ」ですが、こちらはトマトの軽い酸味が心地良く効いていて、バルサミコ・ビネガーのあっさりとした酸味と、これまたとても良くマッチしています。
明るいライト感覚のドレッシングで、とてもサッパリとキャベツを食べさせてくれます。
ちなみにバルサミコはワインと葡萄果汁から作られるイタリア製の酢の一つですが、米酢などに比べると非常に高価なものです。

そして、いずれのドレッシングも自家製らしい、ナチュラルな素材感のあるもので、人工的な味がせず、作り手の良心を感じます。
こうなると、他の「梅じそマヨネーズ」「おろし野菜」の二種類のドレッシングも大いに気になるところです。



 ひれかつ定食(小) 1470円

さて、オーダーをしてから18分ほどでカツ定食の登場です。
ちなみに、「ひれかつ」も「ロースかつ」も同時に登場しました。

厨房が離れているため、調理の様子は判りませんでしたが、カツの衣の色や、かかった調理時間から推察すると、低温〜中温の揚げ油を使っているようです。
ヒレカツの形から察するに、もともとはかなり大き目のヒレ肉を使っているようですね。

なお、メニュー右下に、「定食をご注文のお客様に限り、ご飯、赤だしのお替りが自由となっています」と書かれていましたが、親切な店員さんは口頭でもその旨を伝えてくれました。



 ひれかつ(小)

まずは何も付けず、ヒレカツをそのまま一切れ食べてみました。
熱されたラードの焦げ風味のような、ワイルドな風味は感じられず、「肉肉」しいパンチは控えめですが、その分とても優しい味わいです。

美しいキツネ色に揚がった衣は、「サクサク」とした食感です。実に小気味良く「サクッ」としています。
衣がやや密になった角の部分などは「ザクザク」とか、「ガリガリ」と、やや硬め、重めの食感になります。
ただ、衣はパン粉が「中目」です。そのせいか衣の層はやや薄めに感じられます。

また、カツからも衣からも揚げ立ての「ジュワッ」とする熱気がさほど感じられず、割と温度がしっとりとして控えめです。
同時に出された「ロースかつ」も同様でした。
厚めのトンカツの美味しい揚げ方として、油鍋での加熱は1〜2分で済ませ、鍋から上げた後は余熱で4〜5分ほどゆっくりと肉に火を通す調理法は良く知られていますが、
それにしても、ここまで冷めていると揚げ鍋から上げてからやや時間を置き過ぎているように思えてなりません。揚げ物はアツアツである事も味のうちだと思うのですが・・・・。

加えて、陶器の大き目のお皿に直接置かれる事で、余計にカツの熱が奪われやすいような気もします。



 ひれかつの断面

カツを広げて断面を見てみますと、確かにじっくり・・・・と火が通った感じで、肉の中心にほんのりと肉汁が集まっていますね。
ヒレ肉は、風味も旨味もしっとり淡白で、妙なクセと言うものが全く無く、とても素直な食味です。

特にヒレ肉にありがちな、急激な加熱で豚肉がギュッと縮んでしまったような「モギュモギュ」とする繊維の硬さがなく、どちらかと言えばソフトな歯応えで、非常に食べやすいです。
ただ、柔らかいのですが、「ホクホク」「サックリ」と歯切れの良い感じではなく、歯応えにやや粘りがあり、肉の繊維が歯にまとわりつくような微妙なクドさを感じます。

脂の少ないヒレ肉なので当然かも知れませんが、肉自体の旨味は「さっぱり」としていて、淡白なものです。
カツの肉汁があふれるような事もなく、実に「落ち着いている」口当たりと味わいです。

そして、カツが次第に冷めて来るにつれ、衣にも「カラリッ」「サクッ」と揚がった感じがなくなり、しっとりとウェットな口当たりに変化して来ます。
ラードで揚げたトンカツは、冷めてからもガリッとする歯応えが持続しますので、こちらのカツは植物油メインで揚げているのは間違いないでしょう。



 ソースとオロシぽん酢

さて、途中からソース類を使ってみました。
左の壷が「ソース」、右側の壷が「おろしポン酢」です。下の小瓶は使いませんでしたが、おそらく塩と醤油だったと思います。

ちなみに、こちらのソース・・・・味がかなり濃い目で、旨味がドカッとやって来ます。加えてスパイシーでパンチもあり、実に力強いソースです。
なかなか複雑で玄妙な、深い美味しさがあり、かなり多様な食材から作られている気がします。辛口か甘口かで言えば・・・やや甘口気味でしょうか。



 青紫蘇ご飯と赤だし

さて、ご飯ですが、今まであまり「トンカツ+紫蘇ご飯」は食べた経験がありませんでしたが、紫蘇の風味とトンカツは、相性が素晴らしく良いですね。
青紫蘇の香りが素晴らしく食欲を誘い、しかもサッパリとして、飽きずに次々と箸が進みます。

赤だしの具は「なめこ」でした。
飲んでみますと、八丁味噌に特有の舌を刺すような鋭角的な塩のトガリのある味で、甘味が絶無、ギッチリ絞り込まれたように凝縮された赤味噌の味が強く、ややしょっぱめです。
ともかくスリムな旨味で、さほどダシは感じられず、「シンプル」、「あっさり」しています。

ご飯はモチモチとして美味しいのですが、しばらく食べているとモソッとした粘りが感じられて来て、そのため次第に食感がモッタリと重く感じてしまいます。
多少、粘り気が強すぎる気がしますが、紫蘇を混ぜ込む際に、ご飯をしゃもじでかき混ぜていますので、その際にどうしても粘り気が出てしまうのでしょう。
ただ、それを補って余りある清々しい「青紫蘇」の香りが、油を多用したとんかつと想像以上に相性が良いと思います。



(カツとご飯と赤だしは完食。キャベツと漬物は4割食べた。)




↓続きあり






〜塩梅 その2〜




同上日 ロースかつ定食(小) 1365円

最初に述べたとおり、この日は二名で訪問しています。
同行者は「ロースかつ定食(小)」を注文しましたので、お互いにシェアして、「ひれかつ(小)」と「ロースかつ(小)」の両方を半分ずつ頂きました。
以下は「ロースかつ(小)」のレポートです。


 ロースかつ定食(小) 1365円

さて、こちらは「ロースかつ(小)」です。
キツネ色にこんがりと揚がった衣がとても美味しそうです。
ただ、「小」を頼んだからなのかも知れませんが、「ヒレ」も「ロース」も、トンカツの大きさに比較して、お皿が大きすぎる気がします。

実際、そのせいかどうか・・・・他店と比較しますと、トンカツは「熱々」の状態があまり持続しないように感じられます。
陶器の冷たいお皿は、トンカツにとってみれば、「放熱板」の役目を果たしてしまいます。
当然ですが、大きなお皿ほど、トンカツの温度をどんどん奪い去りますので、できればカツの下に網か何かを敷いてもらえると嬉しいです。



 ロースかつ(小)

ロースカツの衣も、ヒレカツ同様に「サクサク」とした優しい食感です。
旨味も口当たりも上品で、肉の舌触りが滑らか、妙なクセと言うものが全く無く、非常に食べやすいです。

ロース肉にありがちな「ブヨブヨ」した嫌な匂いの脂身や、「グニグニ」として歯切れを乱す筋もなく、食感がきれいに「整然」と整っている感じがあります。
素晴らしく優等生的で、万人向けの、とても安心できる「確かな味わい」だと思います。



 ロースかつの断面 その1

カツを広げて断面を見てみました。
肉も衣も実にしっとりと落ち着いて、しかも両者が非常に良く「馴染んで」いますね。衣が全くカツからはがれないのはお見事です。
高温で加熱しますと、どうしても肉が縮むため、衣との収縮率の違いから間に隙間が開きやすいのですが、
これほど「ピッタリ」と一体化しているのは、素晴らしい「プロの技」だと思います。

先のヒレ肉に比べて、ロース肉は、肉に「もっちり」とした感じがあり、旨味とジューシーさが豊かですね。
特に左端の脂身のある部分のカツは、噛み締めると脂が「ジュワッ」と滲み出て来て、上質な脂身の美味しさが楽しめます。

いつもはヒレ肉派の私ですが、こちらのお店では、どちらかと言えば「ロースかつ」の方が好みに感じられました。



 小皿で出る調味料

あらかじめ壷に入って置かれたソースとは別に、小皿でも調味料が提供されます。
左が「ソース」、右が「辛子ポン酢」です。

「ソース」は中濃と言う感じの口当たりですが、「甘トロ〜ン」とした味で、やや市販品っぽい味ですが、串カツなどに良く合いそうなソースです。
「辛子ポン酢」は、「柑橘」と「酢」のキレのある酸味が効いていて、かつ、ニンニクの風味が強いパンチを添えています。



 ロースかつの断面 その2

後半、カツが冷めて、温度が低下してしまうと、肉汁が染み出て来る様子もなくなり、「肉」の味わいがやや「大人しめ」に変化して感じられて来ます。
そのため相対的に、「肉」の味よりも、「衣」の玉子とパン粉の味が目立ち始めて感じられて来ます。

また、次第にカツの下部の衣が油でベシャっとした感じになってしまいますので、たっぷりのキャベツや多種類の漬物などを楽しむのも良いですが、まずはカツを早めに食べ切った方が良いでしょう。



 食後の青紫蘇茶

食べ終わる頃を見計らって、最初に出してくれたお茶とは別に、食後の「青ジソ茶」と「オシボリ」の替えを出してくれます。
「青ジソ茶」は飲み易くするためなのか、はっきりと甘味が添加されていましたが、紫蘇の風味が良く、口当たりがサッパリとしていて、トンカツの油を洗い流す感じで、口中をスッキリとリセットしてくれます。

それにしても、青紫蘇ご飯といい、青紫蘇茶といい、青紫蘇とトンカツは相性が非常に良いですね。これは、新発見です。



さて、食べ終えての感想ですが・・・・・。
いやはや、ここまで念入りに「客の満足度」を追求し、実践しているお店も珍しいと思います。
まさに、「万全の布陣」「磐石の味」「完全無欠のサービス」を目指している印象・・・・思い付く事はすべて「実行」していると言う印象です。
何重にも、幾重にも、味とサービスが張り巡らされていて、「必ず満足させてみせる」というような、お店の強い姿勢が垣間見えて来る、至れり尽くせりの「味」と「量」と「サービス」・・・・という印象を受けました。

特に、副菜類のボリュームによるお得感や、色々と食べられる楽しみと言う点では比類のないものです。ランチタイムですと、さらにお得なサービスが増えるようです。
しっかりとお腹の空いている時、かつ、時間に余裕のある時であれば、こちらのお店は素晴らしい「食事処」として、大いなる「満足度」を発揮すると思います。

ただ一方で、「とんかつ食べ歩きフリーク」として、純粋に「トンカツ単品」だけを評価の対象と考えている人や、「豚肉の味」以外には一切の興味がない・・・・だから、シンプルに「トンカツ」と「白飯」だけを「じっくりと」味わいたいと言う人には、トンカツ以外にも、ありとあらゆる物にボリュームとバラエティがあるため、目移りしてしまい、場合によっては気が散ったり、付随するものが多すぎると感じられてしまう人もいるかも知れません。

むしろ、まるでサラダバーや漬物バーのような副菜の種類と量の多さや、旺盛なサービスなどから考えますと、家族や仲間と訪れて、ワイワイ楽しく歓談しながらお腹いっぱい食べる・・・・と言う、「とんかつ」に特化した「上質なファミリーレストラン」のような使い方が似合いそうな気もします。また、これだけの広さがあり、顧客ニーズにも敏感なのであれば、ぜひ禁煙席を設けて欲しい気もします。

ちなみにウッディで重厚な店内インテリアやメニュー構成、漬物やドレッシングの多彩なサービスなどから、判る人にはすぐにピンと来ると思いますが、
こちらのお店は、都内の人気店「かつ吉」「菩提樹」で修行され、独立された方が開かれたお店のようです。(「かつ吉」「菩提樹」のサイトでもその旨紹介されています)



(カツとご飯と赤だしは完食。キャベツと漬物は4割食べた。)











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